ツアー体験談

大谷司音さん (福生ベテルチャーチ)

恐れるな。私があなたとともにいる。

想像してほしい。夜空に満月が輝き、星々が輝く雲一つない美しい景色を見ながら、ツアーからはぐれ、岩と砂でできた山々を一人果てしなくさまよい歩く男の姿を。
手元に持っているのは、電波の入らない携帯電話、荒野では紙切れの日本のお札と数ドルが入った財布、観光客丸出しのデジタルカメラ。役に立たず、なんと、すべてがむなしいことよ。

どうしてこのようなことになったのか。振り返れば、それは日の沈みかける夕方から話が始まる。今夜は荒野でみんなと野宿を体験し、かつてモーセが荒野を旅したように、またイエス様が荒野で試みを受けたように、神様によって自分を整えられる時間を味わうのが目的だった。野宿するためのキャンプにて言われたことは、「40分一人になって、自然の音や神様との関係を持ってほしい」とのことだった。弾丸のように走り抜けてきたイスラエルツアーで、神様との時間をもてる絶好の機会だっただけに、嬉しくなってどこに行けばいいか神様に祈って聞いてみた。目を開け見渡すと、それはそれは大きな岩の山が目の前に広がっていた。

頂上にまでいけと言われた気がする。どんなに遠くても、歩いてみた。勇み足で15分。途中挫折しそうになったが、神様に言われた気がしたから頑張ってみた。登り切った先には死海周辺の町々の光。お昼まであそこにいたのに、なんだか数日前のような気がしてきた。座るのによさそうな場所を見つけ、黙々と祈った。「あなたがここに私を連れてきて、語りたかったことをお語りください・・・」しかし、何のみことばも思い浮かばない。仕方ないので、マタイ4章の悪魔の試みでイエス様の言われた言葉を叫んでみたり、賛美したり悔い改めたり好き放題やってみた。でも、何も聞こえない。そんなこんなで、ちらっと携帯電話を見るとすでに40分を過ぎていた。焦った私は神様に文句を言った。「何も得られず、キャンプに戻るなんて、できないですよ!どうぞ教えてください!何のためにここに来たんですか!」そのとき、イメージを与えられた。それは、ヤコブがエサウに会う前に、主と格闘し、イスラエルと名前がつけられた場面だった。ヤコブは、神様が去らせよといったのに、祝福されるまでしがみついていた。つまるところ、語って欲しければ食らいついてみよ、もっと求めよ。ということだと確信した。
「神様、あなたは私にもっと求めよとおっしゃるのですね、分かりました、語ってくれるまでしがみつきます!」そう思ったら喜びが溢れた。徹夜してでも求めようという気になった。一人で笑い、喜び、主に感謝した。

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