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リーダーシップへの道

文:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

人には、それぞれ神から与えられた召しがあります。
しかし、その道は時に険しく、達成することが難しく感じられることもあるでしょう。
今回はモーセの人生から、神の召しに生きる生き方を学んでまいります。

Photo by Robyn Hill/bridgesforpeace.com

モーセは、史上最も偉大なリーダーの一人でした。彼はエジプトで奴隷だったイスラエルの子らを一つの国家とするために、神から選ばれました。神はこの偉大な指導者をどのようにして形づくられたのでしょうか。指導者になる道のりでモーセはどのような障害に直面したのでしょうか。出エジプト記の最初の数章の中にその答えがあります。

ヘブライ語では出エジプト記をシェモット(数々の名前)と言います。この書巻の冒頭に、エジプトに下ったヤコブの子孫の一覧が載っているためです。続く内容はその後の数百年間の歴史です。ヨセフを知らない新しいファラオが起こり、エジプトに住むおびただしい数のイスラエル人が反逆することを恐れ、彼らを奴隷にし、厳しく抑圧しました。この後、状況はさらに悪化します。ファラオはイスラエル人を減らそうと、生まれたその場で男の赤ちゃんを殺害するよう命じたのです。もしイスラエル人の男子が全員殺害されていたなら、女子はエジプト人と結婚せざるを得なくなり、イスラエル国家はあっという間に消滅していたことでしょう。ファラオはヘブル人の助産婦シフラとプアの2人に、生まれた直後の男の子を皆殺しにするという恐ろしい任務を課しました。

正しい行動を選択する

助産婦たちはファラオの出したエジプトの法律に従わず、もっと高い召しに従いました。これは聖書で最初に見られる市民の抵抗です。彼女たちは自らの安全を犠牲にしても正義に立ちました。男の赤ちゃんを殺さなかった理由を問いただされた時、2人は如才(じょさい)なく「ヘブル人の女はエジプト人の女とは違います。彼女たちは元気で、助産婦が行く前に産んでしまうのです」(出1:19)と答えました。

信仰の無い指導者の下で、神に忠実であり続ける方法を見いだすことは困難な闘いです。ホロコースト時代、神の法と相反するナチの法律に従わず、ユダヤ人をかくまった真の信者が大勢いました。人間よりも神をおそれたからであり、正しい行いを取ったのです。

助産婦たちは、何度も自らの心を探り、神の守りと導きを祈り求めたことでしょう。彼女たちが正しい決断をしていなければ、モーセは生まれた時に殺されていました。

ファラオはそれでもあきらめず、今度は両親を含むすべての人に、男の赤ちゃんを川に投げ込んで殺せと命じます。彼の家族は国の法律に背いて3カ月間モーセをかくまい、その後母親が法に従って文字どおりモーセを川に流しました。しかし、命拾いできるように小さなかご(小舟)に乗せる賢い対応をしています。

そのかごの見張り役を託されたのが、モーセの姉ミリアムでした。家族はファラオの娘が水浴びをする場所を知っていたに違いありません。そして、王女が無力な赤ちゃんに同情するよう彼らはどれほど祈ったことでしょう。もちろん王女はその通りに行動しました。その後ミリアムが現れ、子どもの世話をする方法を提案し、産みの親は養母からお金をもらって乳母になりました。この日モーセの家族が歓喜したことは想像に難くありません。

Photo by matrioshka/shutterstock.com

2人の助産婦、モーセの母親、姉、ファラオの娘(養母)―この5人の素晴らしい女性たちがいなかったら、モーセが生き延び、神から与えられた人生の目的を成し遂げることはありませんでした。彼女たちが示した勇気と戦略的思考と愛によって、モーセは死なずに済んだのです。

幼少時代のモーセはイスラエル人である両親に育まれ、教育されました。王家の養子となった後は、エジプトで最高の教育を受けました。モーセが何歳からファラオの娘と生活を共にし始めたかは分かりませんが、モーセが自分の出自を忘れたことはありませんでした。

教訓

神はご自分の計画を確実に成就するために多くの人々や出来事を用いられます。神が探しておられるのは、自らの危険を顧みず正しいことを行う人々です。

神に先んじる

若かったモーセが神の召しを認識していたかどうかは分かりません。ある日モーセは、イスラエル人を虐待していたエジプト人の監督を殺してしまいます。怒りによって衝動的な行動を取ったため、モーセは命からがら逃亡せざるを得なくなりました。神の召しを受け取るだけでは十分とは言えません。神の本性を現しつつ神の方法でそれを行い、神の時を待つことが必要です。

モーセはミデヤン人の祭司の娘と結婚して子どもをもうけ、義父のために羊飼いとして働きました。働き者で、肉体労働によって生計を立てていたモーセ。後悔はしていたでしょうが、落ち着いた生活をしていたようです。

この時点でモーセが国の指導者になる可能性は低いように見えたかもしれません。神は殺人者を用いられるでしょうか。羊飼いは?奴隷の子どもは?

教訓

神に先んじたり、ビジョンを無理に実現しようとしたりしてはなりません。神の時を待ち、神の本性に沿って神の方法で行動しましょう。

召し

神はイスラエルの子らの嘆きを聞かれ、ご自分の契約を思い出されました(出2:24)。神が民のために働かれる時が来たのです。燃え尽きない柴の中で神はモーセにご自身を現されます。モーセがファラオに会ったのは80歳の時ですから(出7:7)、燃える柴の所で神と出会ったのは高齢になってからのことです。

神は、ご自分に代わってイスラエルの民を解放する者としてモーセを召されました(出3:7-10)。残念ながらモーセは準備ができていたとは言えませんでした。自分は無価値で準備不足、未熟でふさわしくないと感じ、どのように言えば民が従ってくれるかも分かりませんでした。殺人犯という評判を気にしたり、民が肉体労働者には従わないのではないか、と思ったりしたかもしれません。そのため、召しから逃れようと神を説得しようとしています。

神は、モーセのすべての懸念と質問に答えました。「何を言ったらいいか分からない」と言うモーセに、神が語るべきことを教えられました。それでもモーセには、人々に影響を与えられるという確信がありませんでした。もし神との出会いを疑われたら…。民が信じなかったら…。神もおそらくそのリスクを考えられたのでしょう。人々がモーセを信じるように、しるしとしての奇跡という方法を与えました。杖を蛇に変えて元に戻す、手を皮膚病にして元に戻す、川の水を血に変える、という大きな力です。

どういうわけか、若いころにモーセが持っていた大胆さは、時を経て恐れに変わっていました。そのためモーセは誰か別の人を送ってほしいと神に願います。神はこれを喜ばれませんでしたが妥協し、助け手アロンを遣わされました。最終的に仕方なくモーセは神の召しを受け入れました。

教訓

召しを確認してもかまいません。「必要な方法を与えてください」と神に願ってもかまいません。しかし、恐れによって決断を左右されてはなりません。神を信じましょう。神があなたから離れることはありません。必ず一歩一歩導いてくださり、必要な方法を与えてくださいます。

召しを実現させ始める

モーセとアロンはイスラエルの民の元へ行きました。アロンが語り、モーセがしるしを行ったので民は信じました。「…彼らは、主がイスラエルの子らを顧み、その苦しみをご覧になったことを聞き、ひざまずいて礼拝した」(出4:31

最初の一歩は達成されました!民は耳を傾けてモーセを信じ、神に立ち返って礼拝しました。この先に待ち受けるのは、今体験したばかりの喜びと平安を脅かす長い道のりです。人生は不完全でとどまるところを知りません。恐れか信仰かを選ぶ時がたびたび訪れます。

モーセとアロンは成功に後押しされてファラオと会見しましたが、完全に要求を拒絶されて完敗します。イスラエルの神を知らないファラオは神を全く恐れず、怒りをもって応答しました。労役をさらに厳しくして、自分たちでわらを見つけてこれまでと同量のれんがをつくるように命じ、イスラエル人の監督を打ち叩きました。民が不平を言ったところで何の役にも立ちません。痛みと絶望で打ちのめされ疲れ切った民は、モーセとアロンに「これはすべてあなた方のせいだ」と訴えました。

イスラエルの子らと初めて共に神を礼拝し、神の臨在を体感した山頂経験は終わりを迎えました。モーセは再び挫折感と闘います。ファラオとの会見は裏目に出て、イスラエルの民はモーセに反逆しています。モーセは神の元に戻り、こう尋ねました。「主よ、なぜ、あなたはこの民をひどい目にあわせられるのですか。いったい、なぜあなたは私を遣わされたのですか。私がファラオのところに行って、あなたの御名によって語って以来、彼はこの民を虐げています。それなのに、あなたは、あなたの民を一向に救い出そうとはなさいません」(出5:22-23

教訓

道が険しくなってもあきらめてはなりません。心配事を主の元に持っていきましょう。

神への信頼

ここで話は終わりません。解放に至るまでの道のりは長いのです。ご自分の契約を覚えておられる神、忠実な助産婦たち、戦略的な母と姉、同情的な王女、気の進まない指導者モーセ、その兄アロンがいなくては、出エジプトは起こり得ませんでした。

神はどんな召しをあなたに与えておられるでしょうか。神を信頼し、神の時に、神の方法でそれを行いましょう。自分の考えで脇にそれてはなりません。神に耳を傾けるなら、神は語ってくださいます。あなたの仕事に必要な方法と手段を与えてくださいます。あなたの務めは、神に聞き、神に信頼し、それが神の召しであるとへりくだって認めることです。うまく行かない時は祈りましょう。神の戦略を信頼し、既成概念にとらわれず、さらに深く信頼していきましょう。

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