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ティーチングレター

つながっている旧約と新約

文:シェリル・ハウアー(BFP国際副会長)

旧約聖書をしっかりと理解した上で新約聖書を読み進めると、これまで見えてこなかった世界が広がってきます。
聖書理解のさらなる深みを目指し、この二つの書のつながりを見てまいりましょう。

Photo by Hannah Taylor/bridgesforpeace.com

私たちにニュースをもたらす新聞や報道は、私たちが思っているほど信頼できないかもしれません。実際のニュースと偽のニュースがあるからです。しかし聖書は違います! 聖書以上に、生ける神に関する、信頼できる素晴らしい知らせはありません。聖書によれば、神は比類ない力と完全な権威を持ち、ご自分がつくられた人類を愛し、親密な関係を築きたいと願っておられます。聖書はまた、歴史の背後に隠された、驚くべき神の性質と活動の物語でもあります。

BFPでは、「いっしょに聖書通読」のプロジェクトを通して、聖書を愛する世界中の人々と通読の特権にあずかっています。私自身励まされ、引き上げられ、力付けられています。新しい聖書(新約聖書)が登場した時、タナハ(旧約聖書)は不要になったと考える人もいますが、神が二つの書の間に築かれた数え切れないつながりを見る時、新約も旧約もそれだけでは成り立たないことが分かります。

共に受け継ぐ財産

聖書学者マービン・ウィルソン博士は、「キリスト教はヘブルの土壌に深く根を下ろしているので、ユダヤ教なしには持ちこたえられなかっただろう」と語りました。ユダヤ教とキリスト教には非常に異なる点がある一方、多くの点で似ており、共通の歴史と聖書を通して切っても切れないつながりがあります。これまで互いのつながりに関心の薄かった大勢のクリスチャンやユダヤ人も、もっと互いについて学びたいと願うようになっています。それは共通の価値観を発見したからです。同じイスラエルの神を愛し、聖書に啓示された神の御心に基づく、共通の受け継ぐべき財産を持っているという価値観です。

Jenna Solomon/bridgesforpeace.com

旧約聖書は無効になったと教えられたクリスチャンも多いでしょう。しかし、聖書の最初の3分の2を調べることで信仰に深みと豊かさが増し加えられ、使徒たちの手紙(新約聖書)をより深く理解できるようになります。ユダヤ人共同体の中でも、新約聖書はユダヤ人によって書かれ、実にユダヤ的な書物であり、旧約聖書からの引用が数多くあることに気付き始めている人もいます。

キリスト教とユダヤ教の基盤

ベイカー神学辞典では、正典を「権威ある聖書のことばと認められた文章もしくは書巻」と定義しています。使徒パウロが宣言しているように、ユダヤ教、キリスト教を問わず正典として認定される土台は、その文書が「神の霊感によるもの」(Ⅱテモ3:16)と見なされることです。タナハ(旧約聖書)の一部は既に紀元前400年ごろには正典として認められていました。神殿が崩壊した紀元70年までには、四つの書巻(箴言、雅歌、伝道者の書、エステル記)を除き、正典の認定はほぼ完了しています。聖典の認定作業が終わったのは、四つの書巻が正典に加えられた2世紀初頭です。新約聖書の正典認定も時間が掛かり、紀元4〜5世紀に入るまで、権威あると認められた「新約」聖書は存在しませんでした。

旧約聖書がユダヤ教とキリスト教の土台であることは明白です。ある意味、旧約聖書が新約聖書を生み出し、キリスト教を形づくり、キリスト教の行く末を示しました。今日、一部の教会では、聖書のメッセージは短くて単純で、創造、人間の堕落、救いと回復の物語だけが必要だと教えています。しかし、もっと注意深く聖書を調べるなら、そうではないことが分かります。ユダヤ教の基盤は、一神教、聖なる生活、復活と死後の世界、神の聖と義に対する人間の罪深さ、神の恵み、救い主であり解放者である神、神と人との愛の関係、あがない、選び、契約、神の国にあります。これらはキリスト教神学を支える柱でもあり、福音書を始め、各手紙、イエスご自身の教えにまでつながっています。

旧約からの引用

新約に引用されている旧約聖書は、直接引用や隠喩、暗示を含めると数え切れないというのが、ほとんどの学者の一致した見解です。直接引用は、翻訳にもよりますが350〜500箇所あると言われ、旧約聖書全39巻のうち29巻からの聖句が、新約27巻のうち23巻で引用されています。マタイは、創世記、出エジプト記、申命記、詩篇、イザヤ書、エレミヤ書、ミカ書、ホセア書、ゼカリヤ書を引用。ルカの福音書にはこれらに加えてマラキ書とレビ記からの引用もあります。使徒ヨハネは黙示録で550箇所の旧約聖書を引用しました。

最も説得力ある旧約聖書の使用法は、イエスが引き合いに出された例でしょう。イエスは聴衆に「もしも、あなたがたがモーセを信じているのなら、わたしを信じたはずです。モーセが書いたのはわたしのことなのですから。しかし、モーセが書いたものをあなたがたが信じていないのなら、どうしてわたしのことばを信じるでしょうか」(ヨハ5:46-47)と言われました。

また、イエスはエマオの途上で2人の弟子たちと共に歩き(ルカ24:13-35)、道中、「キリストは必ずそのような苦しみを受け、それから、その栄光に入るはずだったのではありませんか」(26節)と語り、「モーセやすべての預言者たちから始めて、ご自分について聖書全体に書いてあることを彼らに説き明かされ(27節)ました。

マタイの福音書4章1〜11節にはイエスとサタンの対決が描かれています。サタンはイエスを誘惑して神に喜ばれない行動を取らせようとします。イエスはそれに対し、申命記6章13節、16節、8章3節を宣言されました。神のみことばの力は、「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる』と書いてある」(マタ4:4)というイエスの応答にはっきりと表れています。イエスと弟子たち、そして初代教会が実践した「ことば」とは、旧約聖書なのです。

隠喩

限られた誌面では、旧約聖書からの隠喩(いんゆ)だと分かる新約箇所を全部挙げることはできません。次のリストを参照し、興味のある箇所を学んでみることをお勧めします。

以下の箇所を比較してみましょう(イザ7:14マタ1:23ミカ5:2マタ2:6ホセ11:1マタ2:15エレ31・15マタ2:18創1:27マル10・6出20:12、21:17マル7:10)。

両聖書の重要な記述には無数の類似点があり、これにより使徒たちが語った物語が旧約聖書に関連付けられ、完全に信用できるものとなりました。旧約聖書には、本来なら妊娠するはずのない女性が子どもを生む話が何度も出てきます。バプテスマのヨハネの母エリサベツの物語もこれと似ています。救い主イエスの母となったマリアも若く未婚でした。2人の妊娠は神の訪れによって前もって告げられ、この妊娠が奇跡であることが裏付けられました。

1世紀の聴衆は、「ベツレヘム周辺の男の赤子を殺せ」というヘロデ王の命令を聞いた時、すぐに旧約聖書とのつながりを感じたでしょう。真っ先に心に浮かぶのはモーセです。パロから同様の命令が出され、殺されるはずだった新生児のモーセは神の介入により救われ、安全なエジプトへ連れて行かれました。これはイエスも同様です。

癒やし主なる神という考え方は、イエス時代のユダヤ人によく知られていた概念です。旧約の預言者は癒やしをもたらす者として一度ならず主から用いられました。1世紀のイスラエルでメシアを待ち望んでいた人々も、「翼に癒やし」(マラ4:2)のあるメシアが来ることを期待していました。聖書には、盲人の目を開き、死人をよみがえらせ、祈って太陽を止めるなど、自然界の中で数々の奇跡を行った人々のことが書かれています。それは信仰、犠牲、希望、愛、神の勝利の物語であり、過去と現在における神の御業を結び付けるものです。

つながっている旧約と新約

新約の著者たちは、預言者とトーラー(モーセ五書)の教えを捨てたいとは考えず、むしろ神のことばを尊び、自分たちが養われてきた教えに忠実であろうと努力しました。当時は預言が成就する大変動の時代、すなわち、世界がまさにひっくり返ろうとしていた時代です。旧約聖書は彼らの錨だったのです。

私たちも大変動の時代に生きています。世界は急速に変わり、転覆するのも近いと感じることがありますが、同時に預言の成就する時代でもあります。神はご自分の民に、神のことば(新旧約聖書)のすべてを読んで受け入れたいという願いを起こさせています。そうする時、この時代の出来事の重要性が明確になるでしょう。創造、洪水と人類の再生、イスラエルと国家誕生のすべての物語は、私たちを教えるために書かれたと使徒たちは言いました。そこに、あわれみ、愛、力、誠実さといった神の性質を見ることができます。

私たちが読んでいるのは、神とイスラエルの民との素晴らしい関係と、何千年も前に神がイスラエルの民と結んだ約束です。聖書全体を受け入れて初めて、目の前で起こっている約束の成就を、あふれ出る喜びをもって理解できるようになります。神は愛する民を捕囚から救い、神の子どもである諸国の民を力付け、国々にご自分こそが神であることを知らせておられます。皆さん、これこそ知らせる価値があるニュースではありませんか!

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