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プロジェクトレポート

戦争から2年、永続するトラウマ

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

23年10月7日以来続くハマスとの戦いは、
イスラエルの人々の心に暗い影を落としています。
BFPは希望の光となるべく、命をもたらす支援活動を継続中です。

(左)BFPのCEOとスタッフたちは、ハマスによるテロで愛する隣人を失い、心に傷を負った住民に慰めを届けました
(右)テルアビブの人質広場で人質解放を訴える市民たち
Photo by Michio Nagata, McCoy Brown/Bridges for Peace

23年10月7日未明のハマスによる残忍な攻撃に端を発し、現代イスラエル史上最長の戦争が勃発して2年がたちました。「黒い安息日」として知られるこの日、ハマスのテロリストらはガザ地区に隣接するユダヤ人コミュニティーを襲撃し、一日にして約1200人を殺害、5400人以上を負傷させ、251人を人質に取りました。あの朝に始まったトラウマは今なお国中を覆っています。

ハマスによる攻撃の翌日、イランの支援するレバノンのテロ組織ヒズボラからのロケット弾が、雨のようにイスラエル北部に降り注ぎました。続いてイエメンのフーシ派が戦闘に加わり、弾道ミサイルの発射台はさらに増加。そして今年6月の12日間、これらすべてのテロ組織を背後で操っているイランが、イスラエルに向けて550発以上の弾道ミサイルと1千機以上のドローンを発射し、29人を殺害、3千人を負傷させ、9千人のイスラエル人が避難せざるを得ない事態となりました。

一方、世論戦も激化の一途をたどっています。外国政府は、イスラエルがガザで行っている人質救出とハマス解体の取り組みを非難。反イスラエルの抗議デモが世界中で激化し、ハマス支持派のデモ隊はテロリストを称賛する一方で、ユダヤ人国家を中傷し、ユダヤ人を攻撃しています。反ユダヤ主義は前例のないレベルに達し、世界中でユダヤ人を標的とした迫害、暴行、破壊行為が横行しているのです。

ホロコースト、ポグロム(大規模なユダヤ人迫害)、そして1948年以来、幾度となく繰り返されてきた生存をかけた戦い――。これらすべてを耐え抜いてきた民族にとって、10月7日とその余波は、現代ユダヤ史において最も長く、最も暗い日々の一つとして記憶されています。

見えない傷痕

ルッピン・アカデミー・センターとコロンビア大学の共同研究によると、虐殺から数週間のうちに、イスラエルではPTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ病、不安障害の発症率がほぼ倍増したそうです。

戦争勃発以来、多くのイスラエル人が、トラウマ的出来事や愛する人との突然の別れを経験し、避難生活を強いられ、苦難を味わってきました。こうした体験により国民の5%以上がPTSDを発症する可能性が高い、と別の研究で指摘されています。これらは単なる統計ではありません。悪夢で叫びながら目覚める子どもたち、すべてを失った家族、再び安全を得るために苦闘する地域社会の現実なのです。

闇の中にある希望の光

BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は、圧倒的な逆境に直面しても、イスラエルの人々を支えるという揺るぎない決意を貫いています。ロケット弾の警報が鳴り響く合間をぬって、BFPボランティアたちは水や食料、慰めを届け、生存者と共に涙を流してきました。皆さんのような仲間がいたからこそ、私たちはイスラエルの最も暗い日々の中で命綱となる存在であり続けられたのです。

BFPボランティアたちが壁に花々を描き、
生まれ変わったシェルター
Photo by McCoy Brown/Bridges for Peace

BFPは7月、ガザ地区からわずか数kmの場所にあるゾハールを訪ね、防空シェルターの改装に取り組みました。暗く殺風景な内部は、子どもたちのセラピールームも兼ねた明るく快適で安全な空間へ。BFPボランティアたちは、愛情を込めて壁に鮮やかな花々を描き、本やおもちゃ、工作材料で空間を満たし、恐怖に満ちた場所に光をもたらしました。

イランの弾道ミサイルがバットヤムの住宅を破壊した時には、翌日すぐに現地での支援活動を開始。イザヤ・プロジェクトという団体と協力し、救助隊ががれきの中から生存者を救出できるよう機材を提供しました。

南部の都市ベエル・シェバが攻撃を受けた際には、同日中に現地入りし、生存者と救助隊員に飲料水を、爆撃でトラウマを負った子どもたちにはおもちゃやお菓子を届けました。

この2年間、BFPは紛争による被害を受けた方々へ支援を行ってきました。砲撃の危険にさらされる地域には防空シェルターを寄贈。10月7日の攻撃で最も深刻な被害を受けたキブツの一つ、ベエリには新たな防犯システムを贈りました。ガザ地区との境界線に位置するキブツ・ケレム・シャロームの避難室には、新型の防犯ドアを設置。さらに、混雑した狭い道路を迅速に移動できる救急バイク「メディサイクル」を寄贈し、イスラエルの救急隊員が最悪の事態に備えられるようにしました。支援活動は枚挙にいとまがありません。

私たちは、物理的な必要だけでなく、目に見えない闘い、つまり心に受けた傷と闘う人々にも寄り添っています。「危機基金」を通じて、想像を絶する惨状を目撃した子どもたちへのトラウマカウンセリングを支援し、心的外傷を負った若者たちのためのドッグ・セラピーにも資金援助しました。最も深刻な被害を受けた地域の家族のために、継続的に心のケアを行うプログラムも支援しています。また、10月7日の攻撃で甚大な被害を受けたクファル・アザの子どもたちには個別セラピーを提供し、生活再建を目指す避難家族に生活必需品を支給しています。

共に手を取り合って

癒やしに至る道のりは長く、イスラエルの人々は今後何年も目に見える傷と見えない傷を抱え続けることでしょう。しかし、私たちが共に力を合わせれば、彼らの再建と回復を支援し、次に何が起ころうとも備えることができます。

このような時に極めて重要なのが、BFPの「危機基金」です。ロケット弾攻撃を受けた家族への緊急支援、子どもたちのセラピー支援、さらなる脅威に対するコミュニティーの強化など、皆さんからのあらゆるご支援は私たちが迅速に対応する力となります。次の危機がいつ訪れるか予測できないからこそ、今から準備を進める必要があるのです。

今日、イスラエルの最も暗い時を照らす光となりましょう。「危機基金」へのご支援は、絶望ではなく希望を、恐怖ではなく安全を、破滅ではなく癒やしをもたらします。彼らを支える確かな手となり、闇を貫く光として共に輝くことができます。

どうか、寛大なご支援をご検討ください。危機が再び訪れた時、イスラエルは私たちを必要とするでしょう。皆さんの力を受け、私たちは必ずそこにいます。

イスラエルの危機に迅速に応えるためのご支援は、「危機基金」へお願いいたします。ご入金方法は、下記バナーよりリンク先をご覧ください。

※銀行またはゆうちょダイレクトからの送金の際は、必ずご連絡をお願いいたします。

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