ホーム支援するエズラ作戦 > プロジェクトレポート

プロジェクトレポート

ミサイルが降り注ぐ町

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

日本ではイスラエル側の被害はほとんど報じられませんが、
北部は連日のように攻撃を受けています。
残る住民の苦悩は、はかり知れません。
このような時こそ、私たちは支援の手を
差し伸べたいと願っています。

ヒズボラの攻撃を受け、破壊されたキリヤット・シュモナ市
Photo by Michio Nagata/bridgesforpeace.com, Peter Fast/bridgesforpeace.com

昨年10月25日、レバノン南部に拠点を置くイランの代理テロ組織「ヒズボラ」が、イスラエル北部のキリヤット・シュモナ市に向けて迫撃砲を発射しました。その時、サイレンは鳴りませんでした。迫撃砲はたやすく標的をとらえ、郊外にある住宅のセメント壁を突き破り、台所に激突。床に大きな穴が開き、火の玉となって爆発すると、ガスに引火して二次爆発が発生しました。3LDKの住宅はたちまち猛烈な炎に包まれ、近隣一帯に黒煙を吹き出しました。

家が炎に包まれる間、被害状況を見に来る近隣住民は誰もいません。遠くからサイレンを鳴らして消防車が現場に駆け付け、続けて緊急対応チームと民間防衛軍がアビハイ市長と共に現場に到着。大騒動が起きている中、現場周辺の道路や裏庭には不気味なほど人影がありませんでした。心配で駆け寄り、手を差し伸べる隣人もいません。事実、どの家を見ても玄関は固く閉ざされたままです。

それもそのはずです。かつて人口2万4千人を誇ったキリヤット・シュモナ市では、大半の住民が避難し、今も残る住民はわずか2千人ほどです。ヒズボラの迫撃砲が町に命中する5日前、市長が避難を命じたためです。ヒズボラのミサイルや自爆ドローン、迫撃砲による絶え間ない攻撃を受けていた住民2万2千人は、国内500箇所以上に散り散りになりました。

「避難命令は苦渋の決断でした。しかし、現実に即した選択でもありました」と、アビハイ市長は振り返ります。キリヤット・シュモナ市には、住民を砲撃から守るのに十分な防空シェルターがありません。一番大事なのは住民の命を守ること。ただし、避難命令はテロ組織ヒズボラの願いをかなえることにもなる、と市長には分かっていました。ヒズボラの狙いは、イスラエル市民の生活を脅かし、住民を逃亡させることで、ガリラヤ北部を自由に侵略することです。

アビハイ市長自身は、治安部隊や固い決意をもって残るイスラエル人と共に、この地にとどまることを選びました。それは、個人的にも大きな代価を払う選択でもありました。その背後で、妻と幼い子どもたちを海外に送るという苦渋の決断を迫られたからです。

BFP(ブリッジス・フォー・ピース)のチームが8月5日、この地を訪れた時、町は荒廃し、かつての栄光は跡形もなくなっていました。私たちは、20分前に起きたヒズボラのミサイル攻撃をかろうじて逃れ、ほぼ無人と化した町に到着しました。閉じられたレストラン、カフェ、ショッピングモール、黄色点滅を続ける信号……。時折、車が通り過ぎていく他は、町に付きもののにぎわいはなく、不気味なほど静かでした。

ヒズボラが放った何千発ものミサイルは、はかり知れない破壊をもたらす危険性がありましたが、防衛システムのアイアンドームによってこれまで約1400発が迎撃されました。しかし、700発は迎撃をくぐり抜け、家屋や産業センター、サッカー場、道路、自動車など、ありとあらゆる物を破壊。爆発したロケット弾の鋭い破片が至る所に転がっています。アビハイ市長はその一片を拾い上げ、「ほら! これを見れば、私たちが毎日経験していることを思い出せるよ」と私に手渡しました。

不眠不休の消火活動

市長は町が置かれた状況を丁寧に説明してくれました。レバノンとの国境近くにあるこの町には、高い稜線(りょうせん)があり、そこに茂る森林にヒズボラが放ったミサイルが激突すること。そのため大きな山火事がたびたび発生していること。その炎が町を焼き尽くす恐れがあるため、住民自らが消火活動に当たることを余儀なくされていること。中には自宅にあるホースやバケツの水で消火に当たり、消防隊員を不眠不休で支えている住民もいること――。

その後、市長はレバノンを見渡せる展望台に連れて行ってくれました。その展望台から2km先にレバノンがあります。「ヒズボラは尾根の向こうから迫撃砲やロケット弾を撃ってきます。サイレンが鳴ったら、10秒以内にシェルターに逃げなくてはなりません。まぁ、サイレンが鳴れば、の話ですが……」

辺りには、破壊された家々や焼け焦げた車など悲惨な光景が広がっていました。たとえ住民が戻ってきたとしても、人々の生活は以前とは全く違ったものになることでしょう。攻撃によって無数の土地が焼け焦げ、事業も破壊され、残っているものはほとんどありません。

ここに残ることを選んだ住民の顔には、苦悩がにじんでいました。そんな様子を目の当たりにし、私も心を揺さぶられ、感傷に浸りました。荒廃した町の中で、私たちは住民の心の内に耳を傾けました。

そんな中、強力な光が差し込んだ瞬間がありました。BFPチームが市長の目を真っすぐに見つめ、「皆さんは一人ではない」と約束した時のことです。世界中のクリスチャンが彼らのために祈っています。イスラエルが、破壊を求める敵に取り囲まれた状態に置かれても、イスラエルに残って奉仕を続ける各国のクリスチャン・ボランティアがいます。私たちは決して引き下がりません! 私たちはここイスラエルにとどまり、キリヤット・シュモナ市に愛と具体的な支援をお届けします。

キリヤット・シュモナとアビハイ市長に希望の光をともすため、BFPの「危機基金」へのご支援をぜひご検討ください。

今も攻撃を受け続けるイスラエル北部へのご支援は、「危機基金」へお願いいたします。
ご入金方法は、下記バナーよりリンク先をご覧ください。

※銀行またはゆうちょダイレクトからの送金の際は、必ずご連絡をお願いいたします。

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.