ティーチングレター

笑いという贈り物

文:シェリル・ハウアー(BFP国際副会長)

「笑い」には、さまざまな効果があります。
逆境の中にある今の時代こそ、私たちには笑いが必要です。

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先日、私はメッセージに招かれました。マスクを着用し、ソーシャルディスタンスを取っている会衆の前に立ち、私が開口一番に告げた言葉は「ノック、ノック」。マイクを向けられた聴衆は声をそろえて「どなたですか」と答え、対する私の返事は「誰もいませんよ。みんな隔離期間中です」。この軽いジョークに、最初はあまり面白くなさそうだった聴衆も、私がくじけずにウケそうなジョークを言い続けていると、ついに大きな笑い声が起こり、共に笑いながらメッセージの時が始まりました。

講演者や教師、説教者であれば、話の冒頭で軽いジョークを交える利点を知っています。笑いによって雰囲気が和み、心を開いて話を聞けるからです。しかし、この時のジョークはそれが目的ではなく、「笑い」自体がメッセージでした。今の時代に笑いはとても重要です。

笑いは最良の薬

「笑い」という言葉は聖書の中に40回以上登場します。さらに、笑い方、笑う理由などを含めれば、笑いに関する言葉は数え切れません。例えば、楽しむ、面白がる、冗談を言う、遊ぶ、ほほ笑む、はしゃぐ、あざけるなどです。喜びや陽気といった、笑いを暗示する言葉もあります。このように「笑い」という行動を指す言葉は聖書に数多く出てきます。聖書を読む時、神ご自身も笑うことが分かります。嘲笑の場合もありますが、ほとんどは喜びの笑いです。私たちも笑います。それは私たちが神の似姿に創造されているためです。

人間行動学の専門家たちは何十年もの間、笑いを研究し、人々が笑う理由やなぜ笑いが伝染するのか、陽気な笑いにはどんな影響があるのかを科学的・社会学的に解明しようとしてきました。笑いが人間にとって良いものだという点で専門家は一致しています。「笑いは最良の薬」という古くからのことわざは真実だと証明されているのです。

笑いの肉体的な効果は広範囲に及びます(参照:Laughter isthe Best Medicine - HelpGuide.org)。全身の緊張をほぐし、リラックス効果があります。笑うことで免疫システムが強化され、感染症と闘う抗体が増加し、病に対する抵抗力が付きます。さらに血管の機能が向上して血流が増し、痛みが軽減され、カロリーが消費されます。

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笑いには素晴らしい精神的効果もあります。怒りが解消され、問題を大局的に見られるようになり、ストレスホルモンが減り、心配や緊張が和らぎ、気分が良くなります。また、活力が増して焦点が定まり、生活に喜びと熱意が加わり、立ち直りが早くなります。

ノルウェーの研究によると、ユーモアにあふれている人はあまり笑わない人よりも長生きするそうです。医師や心理学者や無数のウェブサイトが、ユーモアのある人生を送ることを推奨しているのもうなずけます。ロックダウン(都市封鎖)中に、人々が何とか時間をつぶそうと最も視聴した動画がコメディーだったことも納得できます。

笑いは人々を結び付ける

私が笑いの効果で最も重視している点は、社会に与える良い影響です。これは既に立証済みで、特に2020年以降の状況においては大切です。笑いは、エンドルフィンという幸せホルモンの分泌を促します。気分を良くし、リラックスさせてくれる天然ホルモンです。また社会的なつながりも強化してくれます。エンドルフィンによって周りの人々と一緒にいることが心地良く感じられ、互いに引き寄せ合うのです。友達や家族と一緒に過ごした後、気分が良くなるのはそのためです。実際エンドルフィンは人間関係を強固にします。一緒に笑う夫婦は、関係がより強く、より長続きすることが多いと、世界的に有名なメイヨークリニックが述べる理由はここにあるのでしょう。

笑いは本当に強力な薬です。人々を結び付け、心身共に健康的な変化を引き起こします。これは神からの賜物でしょう。箴言17章22節には「喜んでいる心は健康を良く」するとあり、伝道者の書3章4節には「泣くのに時があり、笑うのに時がある」とあります。神ご自身が「笑いをあなたの口に、喜びの叫びをあなたの唇に満たされる」(ヨブ8:21)と明確に語っているのです。ヨブと、箴言31章に登場する妻は、勇気をもって未来を見つめ、恐れを笑い飛ばしました。ルカの福音書6章21節では、今泣いている人たちは笑いという報いを受ける時が来ると約束されています。他にも、尽きることのない喜び、確信、勇気、信仰が神の民の心を満たすことに言及している聖句が数多くあります。神は笑いによって民を祝福し、人々を信仰の共同体として結び合わせてくださるのです。

心の結び付き

最も感動的な神の笑いの贈り物は、サラが神から息子を与えられることを知った創世記の場面でしょう。ここでの笑いは、社会的なつながりだけでなく、精神的なつながりを生じさせました。「主は、マムレの樫の木のところで、アブラハムに現れた。彼は、日の暑いころ、天幕の入り口に座っていた。彼が目を上げて見ると、なんと、三人の人が彼に向かって立っていた。アブラハムはそれを見るなり、彼らを迎えようと天幕の入り口から走って行き、地にひれ伏した」(創18:1-2

ユダヤ教では、アブラハムはもてなしの賜物があることで有名です。ここでも、すぐに見知らぬ人々を歓迎し食事を整え、安全で快適な休息の場所を用意しました。しかし、彼らは明らかに普通の人々ではなく、サラはその言葉に非常に驚きます。

すると、そのうちの一人が言った。『わたしは来年の今ごろ、必ずあなたのところに戻って来ます。そのとき、あなたの妻サラには男の子が生まれています。』サラは、その人のうしろの、天幕の入り口で聞いていた。アブラハムとサラは年を重ねて老人になっていて、サラには女の月のものがもう止まっていた。サラは心の中で笑って、こう言った。『年老いてしまったこの私に、何の楽しみがあるでしょう。それに主人も年寄りで。』」(創18:10-12

神がこの計画を示されたのはこれが初めてではありません。既にアブラハムにこの驚くべき計画を知らせていました。その時のアブラハムの態度はサラと全く同じです。「アブラハムはひれ伏して、笑った。そして心の中で言った。『百歳の者に子が生まれるだろうか。サラにしても、九十歳の女が子を産めるだろうか。』」(創17:17

ところが、同じように笑ったサラに対する主の応答は異なっていました。「主はアブラハムに言われた。『なぜサラは笑って、「私は本当に子を産めるだろうか。こんなに年をとっているのに」と言うのか。主にとって不可能なことがあるだろうか。わたしは来年の今ごろ、定めた時に、あなたのところに戻って来る。そのとき、サラには男の子が生まれている。』サラは打ち消して言った。『私は笑っていません。』恐ろしかったのである。しかし、主は言われた。『いや、確かにあなたは笑った。』」(創18:13-15

伝統的な解釈によると、アブラハムは喜びと信仰をもってひれ伏して笑い、不可能なことが起こるかもしれないと考えたのに対し、サラは神にそのようなことができるとは信じられずにあざ笑い、そのサラの態度を神がお喜びにならずに叱った、と言われています。しかし、どちらも「笑い」は同じ単語で、同じ不信の態度が表れています。「100歳の男と年を取った女に子どもが生まれるだろうか」と考えたアブラハムが、サラよりも正しかったと考える現実的な理由はありません。

主の応答(「主にとって不可能なことがあるだろうか」)は、ヘブライ語をじっくり調べると理解できます。ここで「不可能な」と訳されているヘブライ語は、パラです。聖書辞典によると、「奇跡的な、途方もない、素晴らしい」という意味で、不思議を行うことを表します。「こと」に当たるヘブライ語はダバルで、「言葉、発言」という意味です。さらに、「いや、確かにあなたは笑った」という言葉は「笑い続けなさい」とも表現できます。つまり、サラの否定的応答に対する神の応答は、これは神から出た素晴らしいものであるから笑い続けなさい、と言い換えることができるのです。

おそらく主はサラを叱ったのではなく、安心させていたのかもしれません。何と途方もない主のことばでしょうか。これは神ご自身の素晴らしい約束です。神は、サラが男の子を生んだ後にもう一度帰ってくるという約束を繰り返し語られ、サラを励ましました。さらに「笑い続けなさい」と言われたのです。サラはその通りにしました。「サラは言った。『神はわたしに笑いをお与えになった。聞く者は皆、わたしと笑い(イサク)を/共にしてくれるでしょう。』」(創21:6、新共同訳)

アブラハムは息子を、「笑い」を意味するイサクと名付けました。サラは、年老いて与えられた息子が神からの贈り物であり、地域全体に喜びと笑いを与える存在だと知っていました。それは人々を互いに結び合わせ、神に引き寄せる笑いの贈り物だったのです。

笑い続けよう

私たちは困難な時代に生きています。新型コロナウイルスの感染拡大による孤立感はいまだ多くの人々に影響を与え、ワクチン接種を選んだ人とそうでない人との間で分裂が起きています。世界中の人々がつながりと所属意識を切実に求めている今こそ、サラのように笑う時です。互いに、そして主と共に笑い続けましょう。

同時に、注意も必要です。私たちのたましいの敵は、神と心を結び付ける笑いの贈り物を使って、私たちが神の憎まれるものを楽しむようにし、神を否定させようとしているからです。娯楽産業は、性的不品行、酩酊(めいてい)、薬物中毒、売春、いじめ、虐待を面白いと思い込ませようとします。罪は毒です。罪を面白がる時、笑いはもはや最善の薬ではありません。

正義に焦点を当てましょう。互いの間に喜びを見つけ、周囲にある喜びに目を留めましょう。笑いは、神の似姿につくられた私たちのものです。神の子らと共に楽しく笑い、神から愛されている人々と喜びを分かち合うことは神に喜ばれます。そして自分の人生、人間関係、選択を神が喜んでおられることを知る時、私たちは幸せになるのです。

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