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ティーチングレター

イスラエルを支援するみことばの土台 -後編-

TEXT: ジム・ソルバーグ [BFPアメリカ合衆国局長]

前編ではイスラエルを支援する聖書的土台について学びました。後編では歴史を通して浮かび上がってくる、神の契約に対する誠実さを検証してまいりましょう。

永遠の契約

前回、イスラエルの国と民族に与えられた、神の契約を確認しました。神がアブラハムと結ばれた契約は、イサクに、その後ヤコブに、そしてその子孫へと継承されました。神は虹の契約についてこう語られました。「わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべて肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」(創9・15〜16)。神はそれと同じ言葉を、後にアブラハムに対して、創世記17章7節で用いられました。「わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。」神はそれらを「永遠の契約」と呼んでおられます。それは、永久に続く壊すことのできない契約=約束です。

私たちが聖書を読む時に土台としていることは、単純に、神がすべての契約(約束)を守られるということです。虹は神の契約のしるしであると聖書が語っていると信じるのなら、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫である現代のユダヤ民族への神の契約についても、同じように変わらない契約であると信じることができます。

イスラエルの歴史を通して

アッシリアのラキシュ攻略のレリーフ

ここまで、神が永遠の契約としてユダヤ民族に与えられたみことばを検証してきました。それでは、歴史の中に織り込まれた、神の契約の糸をたどっていきましょう。紀元前740年代ごろから、まず南北に分かれていた北イスラエルが侵略され、多くの人々がアッシリアへ連れ去られました。次に紀元前587年、南側にあった神殿が略奪され、今度は南ユダがバビロンによって占領されました。こうして南北イスラエルは崩壊。イスラエルは寄留の民となりました。

しかし、国を失い、民族がバラバラになっても、神の永遠の契約は変わりませんでした。エズラ書、ネヘミヤ書に記録されているように、バビロンに捕囚された民が徐々に帰還し始めたのです。一度失われた国が、神の介在によって奇跡的に回復を遂げました。なぜ、神はバビロンに連れ去られたイスラエルの民とその国を回復されたのでしょうか。このとき、神はイスラエルを回復されたのみならず、倒れた神殿を建て直されました。なぜわざわざこのような大掛かりなことをされたのでしょうか。それは、「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創12:3)というアブラハムとの契約を実現されるためでした。神は民族への最大の祝福であるイエス・キリストの誕生を準備されました。舞台を整え、その主役であるアブラハムの子孫を、その舞台に立たせたのです。神はその契約通り、全人類の罪のあがないをアブラハムの子孫を通して成し遂げられました。

第一次アリヤーで帰還したイエメンのユダヤ人

しかし、イスラエル再建という大きな奇跡を体験したにもかかわらず、イスラエル民族はその後も神に逆らい、再び国を失うことになりました。戦争、国外追放、大虐殺…と、激しい歴史の波に飲まれましたが、イスラエル民族が消滅することはありませんでした。

イザヤ書11章11〜12節には、こう書かれています。「その日、主は再び御手を伸ばし、ご自分の民の残りを買い取られる。(中略)主は、国々のために旗を揚げ、イスラエルの散らされた者を取り集め、ユダの追い散らされた者を地の四隅から集められる。」

ここで「再び御手を伸ばし」とあります。バビロン捕囚からの帰還が、第一回目に当たるなら、第二回目とは、いつのことを言っているのでしょう。バビロン捕囚のとき、ユダヤ人は東側にいました。みことばにあるように、神が西からも地の四隅からも、彼らを連れ戻されるのはいつでしょう。

1880年代以来、何百万人ものユダヤ人がイスラエルに帰還しています。神の契約の成就をここに見ることができます。

近年の歴史

「恐れるな。わたしがあなたとともにいるからだ。わたしは東から、あなたの子孫を来させ、西から、あなたを集める。わたしは、北に向かって『引き渡せ』と言い、南に向かって『引き止めるな』と言う。わたしの子らを遠くから来させ、わたしの娘らを地の果てから来させよ。」(イザヤ43:5-6)

19〜20世紀まで、北にいたユダヤ人は、ロシアのポグロムや、ソビエト連邦の共産主義支配によって虐げられました。1970年代、抗議の波が高まり、ユダヤ人がソ連からイスラエルへの帰国許可を要求しました。チェルノブイリ原発事故(1986年)以後、ソ連の「鉄のカーテン」(共産圏の閉鎖性を表す言葉)は徐々に開き始め、ミハイル・ゴルバチョフ氏は、前例のないほど多くのユダヤ人の大量出国を許可しました。チェルノブイリで被ばくしたユダヤ人が続出し、医療費の高騰が懸念されたからです。こうして北の国は、彼らを「引き渡し」始めました。

南の国、エチオピアでは1970年代初期、政府の下でユダヤ人の迫害が始まっていましたが、彼らのイスラエルへの移住は許可されませんでした。しかし、その政府が転覆し、1984年(モーセ作戦)から1991年(ソロモン作戦)まで、22,000人以上のエチオピアに住むユダヤ人がイスラエルに移住しました。南ももはや、彼らを「引き止める」ことはできませんでした。イザヤ43章5〜6節のみことばが間違いなく成就した瞬間でした。

エチオピアからの移民(1985年)

今日、主が世界のすべての国々からユダヤ人を連れ戻しているのを私たちは目にしています。エゼキエル37章には、有名な幻である「干からびた骨」について書かれています。これが現代イスラエルのことだとしたら、私たちは骨が集められる音を耳にし始めているのです。「それゆえ、預言して彼らに言え。神である主はこう仰せられる。わたしの民よ。見よ。わたしはあなたがたの墓を開き、あなたがたをその墓から引き上げて、イスラエルの地に連れて行く。わたしの民よ。わたしがあなたがたの墓を開き、あなたがたを墓から引き上げるとき、あなたがたは、わたしが主であることを知ろう。」(エゼキエル37:12-13)

出エジプト記には、神がエジプトから男性だけでも60万人のユダヤ人を連れ出されたと記されています。神はご自身の民を奴隷から救い出し、40年間かけて彼らを約束の地に戻されました。多くの学者が、エジプトを出て約束の地へ移った人々の総数が、約200万〜300万人であったとしています。イスラエルが独立した1948年、イスラエルのユダヤ人人口は65万人でした。その後約60年の間に、神がユダヤ人を世界100カ国以上から帰還させ、今日、587万人を少し上回るくらいまで増加しています。出エジプト時代よりも大きなことが今起こっているのです。史上かつてなかったほどの多くのイスラエルの民を、神は約束の地へと連れ戻しておられます。現代において、神は再びイエス・キリストの道を備えるために、イスラエルを集めておられます。

私たちの応答と責任

嘆きの壁の前で祈るユダヤ人 (1900年撮影)

神が今日ユダヤ民族との契約を成就されていて、私たちのまさしく目の前で、預言を成就されているのであれば、私たちにはどんな責任があるのでしょうか。

偉大な伝道者ハドソン・テーラーは、こう言っています。「最初、私は、神に私を助けてくださいと祈っていました。その後、私はどのように神に仕えるかを尋ねるようになりました。しかし最終的には、私を通して主の働きをしてくださいと願うようになりました。」今日、神はイスラエルを永遠の所有地として、御民に回復することによって、神が約束を果たされていることと、契約に対して誠実であることを示されています。

ハドソン・テーラーのように、私たちには、神が今、何をされているのかを見、その神の計画の一旦を担うチャンスが与えられています。その働きの一部は、イスラエルの民が国を再建するように、彼らを支えるということです。もちろん、イスラエルの民も、私たちと同じように罪を犯しますし、たくさんの過ちもある人間です。過去に失敗もしましたし、これからも失敗することがあるでしょう。彼らは選びの民ではありますが、決して聖なる人々ではないのです。

神は、すべての人々を愛しておられます。あなたも私も、パレスチナ人もユダヤ人も他のすべての人々も同様に愛しておられます。ヨハネ3章16節にある通りです。

「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」聖書のみことばを信じる私たちクリスチャンは、ヨハネ3章16節を信じるのと同じように、創世記17章8節のみことばをも信じます。「わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」(創17:8)

ノアの見た虹が神の契約への忠実さのしるしであるように、現代イスラエル国家の存在そのものが、神の忠実さを表していると言えるのではないでしょうか。

耳を澄ましてください。預言者アモスが預言したことが今まさに成就しています。「『わたしは、わたしの民イスラエルの繁栄を元どおりにする。彼らは荒れた町々を建て直して住み、ぶどう畑を作って、そのぶどう酒を飲み、果樹園を作って、その実を食べる。わたしは彼らを彼らの地に植える。彼らは、わたしが彼らに与えたその土地から、もう、引き抜かれることはない』とあなたの神、主は、仰せられる。」(アモス9:14-15)

再び植えられたイスラエルが、その地から引き抜かれることが無いように、城壁の見張り人として、祈り続けていただきたいと心から願います。

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