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ハイメール通信No. 179 超満員エルサレム

イスラエルでは、3月30 日から4月5日まで過越の祭りが行われ、エルサレムは世界中から来るユダヤ人で超満員となっていました。これに加えて4月4日は、クリスチャンのイースターが重なり、混雑を極めました。

東エルサレムの住宅建設をめぐってアメリカとの関係がぎくしゃくしています。

ガザでは、国境付近の紛争でイスラエル兵2人が死亡。ただちにイスラエル軍が反撃の空爆を行い、西ネゲブ地方にロケット弾が撃ち込まれました。西岸地区でもあちこちで、投石などの衝突がありました。

エルサレムよ。
もしも、私がおまえを忘れたら、
私の右手がその巧みさを忘れるように。
もしも、私がおまえを思い出さず、
私がエルサレムを
最上の喜びにもまさってたたえないなら、
私の舌が上あごについてしまうように。(詩篇137:5-6)



■ 2010 年過越

今年の過越は3月30日から4月5日まででした。過越は聖書的には新年にあたります。過越前には大掃除が行われ、種のあるもの(パン粉やパン類)「ハメツ」が家から取り除かれます。また1週間分の過越中に食べる料理がたくさん用意され、ちょうど日本のお正月のような雰囲気になります。

日本でも「無事に正月を越す」と言われますが、イスラエルでも、この時期には貧しい人々が「無事に過越を越す」ことができるよう、食べ物をわかちあうのが「ミツバ(善行)」とされます。

そのため国内、海外から支援団体がいっせいに過越むけの食料や、スーパーで食べ物に交換できるクーポン券を配布しました。スーパーでは各種クーポン券を使う人々でレジの列はいつも以上の長さとなりました。

26 日の過越に入る夕べは、イスラエルの多くの家庭で「セデル」と呼ばれる特別な式次第と食事が行われました。出エジプトの奇跡を記念し、その物語を読みつつ、苦菜を食べて奴隷生活の苦しみを思い、甘い「ハロセット(りんごと蜂蜜をまぜもの)」を食べては主の愛を思い起こします。

いろいろな国から来ているユダヤ人ですが、不思議にセデルで歌う歌などは共通です。ロシア系であってもイラクからのアラブ系ユダヤ人であっても彼らは口をそろえて「私たちはいつも危機的な状況になる。でもそのたびに神が助け出される」 と言います。過越の時には神とユダヤ人の関係を考えざるをえないようです。

正統派ユダヤ教徒の間では、アフマディネジャド大統領は、現代のハマン(エステル記に出てくるユダヤ人の敵)であるとして恐れられているとのことです。今週、イランはウラン濃縮のための新しい設備を中国から買い付けました。

過越の1日目と最後の1日は国民の祝日、その他の曜日は半日仕事となります。途中安息日もあるので結局1週間のゴールデンウイークです。今年もイスラエル人の多くが、エジプトを含む海外に旅行に出かけていきました。また春のよい気候であるため、イスラエル北部の国立公園では今年も50万人がピクニックにでかけました。

<大混雑エルサレムの嘆きの壁>

エルサレムの旧市街は、嘆きの壁に祈りにくるユダヤ人で混雑していました。ヤッフォ門から嘆きの壁に向かう道はユダヤ人、観光客などでぎっしりつまってしまい動かないほどです。嘆きの壁に入る直前の検問では人々の長い列ができていました。

嘆きの壁に最も近い噴門付近はメア・シャリーム正統派の居住区と嘆きの壁を行き来するバス1,2がシャトル運航しています。子どもを4-5人連れている上に双子用のベビーカーも一緒にバスに乗るので、バス内部は超満員状態です。

4月1日は「ビルカット・ハコハニーム」と呼ばれ特別に祭司が主に祈りを捧げる日とされています。ユダヤ教徒の男性たちはタリートとよばれる祈りのショールを頭からかぶり、主の前に出て半日の長きにわたり祈り続けます。そのため、混雑の上にさらに混雑しました。

4月2日はグッドフライデー、4日(日)はイースターの日曜も重なりました。ユダヤ人に加えてクリスチャンがエルサレムの旧市街を訪れ、さらに混雑を極めることになりました。イスラエル政府は過越の期間、西岸地区からの出入りを遮断して警護にあたっています。

<ヘブロンで過越フェスティバル>

ヘブロンのマクペラの洞窟は、アブラハムとサラ、イサクとリベカ、ヤコブとラケルが葬られている場所として、ユダヤ教徒の聖地の一つとなっています。今年イスラエル政府はこの場所を国家遺産に指定しました。しかしヘブロンはパレスチナ自治政府の管轄であるため、パレスチナ側からは反発が起こっています。そのヘブロンで4月1日数千人のユダヤ人がヘブロンを訪れ、過越のフェスティバルが行われました。ユダヤ教のロックバンドなども出演しています。

この日ヘブロンに来るユダヤ人で満員のバスが、あやまってパレスチナ人地区に入り込み、石が投げつけられました。乗客の女性が軽傷を負いました。

*ヘブロンでは1994 年にマクペラの洞窟で過激なユダヤ教徒がテロを決行し、パレスチナ人39人が死亡するというユダヤ人によるテロ事件がありました。

<騒音合戦>

ヘブロンには16 万人のイスラム教徒が在住しており、1日に5回「アザーン」と呼ばれるイスラムの祈りが町中に流されます。ヘブロンでは大音響のスピーカーが導入され、大変な騒音となっていました。

ヘブロンに住むユダヤ人は80 人ほどです。ユダヤ側も大きなスピーカーを導入してユダヤの祈りを流し始めました。これにはアラブ側が苦情を出しています。国防軍兵士がユダヤ人側に騒音をやめるように注意すると、ユダヤ側では「イスラム側がやめたらこちらもやめる」と言い張っています。ヘブロンではイスラムとユダヤの祈りで騒音の毎日となっているようです。

*先週、西岸地区の他の町々でもイスラエル軍とパレスチナ人との衝突があり、国境警備隊員3人が負傷しました。

<祈り>

  1. エルサレムを訪れるすべての人を主があわれんでくださるように
  2. 平和の君、救い主に目覚めるユダヤ人、イスラム教徒がおこされるように

■ ガザでイスラエル兵2人死亡 ガザ情勢に懸念

26 日、ガザとイスラエルの国境付近で爆弾を設置していたパレスチナ人とイスラエル軍の間で衝突がありました。この衝突で兵士エリラズさん(32 左)、イランさん(21 右)が死亡しました。

エリラズさんの兄は12 年前の戦争で戦死しています。母親は「息子たちは最前線で戦う兵士でした。いつかはこんな日がくると思っていました・・・」と語りました。
イスラエルでは、子どもたちが戦闘部隊に行くということについて両親が同意書を出さなければなりません。

子どもたちは自分の意志で戦闘部隊に入るのですが、戦死したときに、承諾書を出した両親は深い痛みを負うことになります。この制度については論議がなされています。エリラズさんには妻があり、子ども4人(6歳、4歳、2歳、2カ月)の父親でした。

この衝突に先立ち、ガザから継続的にロケット弾が西ネゲブ地方とアシュケロンにも発射されているため、イスラエル空軍は報復としてガザへの空爆を行いました。一時はガザで再び戦争になるのではないかと緊張が走りましたが、今のところ、大規模な戦闘には発展していません。
4月1日、エジプトの新聞によると、シナイ半島中央付近で巨大な武器庫が発見されました。武器は対空ミサイル40 基を含む本格的な武器庫でした。行き先は不明ですが、ガザへ向かっていたとの見方が優勢です。

<祈り>

  1. 戦死した兵士の家族を覚えて。
    ガザ地区に従軍する戦闘部隊の兵士たちを覚えて
  2. ガザが再びおちつきを取り戻すように

■ 広がるアメリカとの距離


東エルサレムの住宅建設許可をめぐって、イスラエルとアメリカとの関係がぎくしゃくし始めています。すぐにも建設をやめるようにとのオバマ大統領の要請に対し、ネタニヤフ首相は、「東エルサレムはエルサレムの一部であり、イスラエル領内である。テルアビブで建設が自由であると同様に、東エルサレムでの建設についてもイスラエルが決めることである。」と述べました。

建設が問題となっているエルサレムのラマット・シュロモー地区ですが、実際は明らかにユダヤ人地区であり、建設を反対されるいわれはないというのが現地の一般的な見方です。オバマ大統領は、すぐにでも建設を中止するよう要請しているため、イスラエル人の間では、オバマ大統領は現地事情を知らないのか反イスラエル主義者なのかといった印象が強くなってきています。

<祈り>

  1. アメリカとイスラエルの関係の上に主のお導きがあるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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