ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 175 簡単な問題ではない・・・。
シャリートさんをめぐる交渉が遅々として進まない中、ガザからイスラエルへのロケット攻撃があり、イスラエル軍がガザ地区への空爆を行いました。
イスラエルは、ロケット砲迎撃ミサイルシステムの整備を急ぎつつ、ガザとの国境線上に壁を作る計画を決めました。
西岸地区では、ユダヤ人入植者とパレスチナ人が衝突し、イスラエル軍が武力で両者の紛争を治めました。その西岸地区では、30年以上入植者のリーダーを務めてきたワラステイン氏が辞任を表明し、西岸地区がさらに過激になる見通しです。
この地域の問題はそう簡単には片づかない・・。イスラエルとパレスチナ人が和平交渉を再開するよう努力しているアメリカのいらつきは限界に来ようとしています。今週もその地に住む人々を覚えてとりなしましょう。
わたしは世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光をもつのです。(ヨハネ8:12)
拘束されているイスラエル兵シャリートさんを巡る交渉が遅々として進まない中、先週、ガザ地区より20発以上のロケット弾や迫撃砲がイスラエルの西ネゲブ地方に撃ち込まれました。
けが人や被害はありませんでした。これを受けてイスラエルは直ちに空軍を発進させ、ガザ地区でロケット弾発射地となっている場所などを空爆。3人のパレスチナ武装兵士が死亡しました。
ネタニヤフ首相は、昨年のガザ侵攻以来、ハマスの攻撃が激減したことを受けて、反撃することの重要性を上げ、「イスラエル領内への攻撃に対しては直ちに厳しい対処を行う」との方針を明らかにしました。
不思議なことに、今回の攻撃についてパレスチナ側は、子どもの遺体の写真を羅列するなどのいつもの派手なイスラエル非難をメディアに流さず、小さく報じただけでした。
また、今回イスラエルを攻撃したのはハマスではなく別のテロ組織、イスラム聖戦でした。この件について、ハマスがイスラエルの出方をテストしたという見方がある一方、ハマスが弱体化し、ガザ地区内で複数のテロ組織を治められなくなっているのではないかとの見方もあります。
ガザ地区では相変わらず、エジプト側からフィラデルフィ回廊(エジプトとガザ地区の間に横たわる非武装無人区域)の下を通るトンネルを利用して、ロケット弾など武器の密輸が行われています。
トンネルを作ってはイスラエル空軍の空爆で破壊され、また新しいトンネルをつくるといったいたちごっこが続いています。この連鎖を止めるため、イスラエル軍がフィラデルフィ回廊を押さえるのではないかと予想する記事があります。
イスラエルとエジプトの国境は茫漠とした荒野の厳しい自然環境にあるため、人がそこから入りこむ可能性が低いと見られてきました。
しかし、実際はそこからテロリストや武器、麻薬や強制売春に使う女性の密輸、アフリカから難民の密入国が行われています。
この問題についてエジプト政府も改善に努力を行っており、昨年5月から、密入国しようとした者17人がエジプトの国境警備隊の指示に従わなかったために射殺されています。
ネタニヤフ首相は、この国境線にフェンスや壁をつくって、イスラエル軍によるパトロールを行うことを決めました。エイラットとガザ付近は壁、荒野はフェンスになる予定です。
今後、地形の他、密入国ルートなどが綿密に調査され、最新のIT機器を導入しての防衛システムになります。費用は15万シェケルかかります。
イスラエルは北からはヒズボラのミサイル、南からはガザからのミサイル、東からはイランからの弾道ミサイルの脅威にたえずさらされています。
これに対処するため、イスラエルはアイアンドーム(鉄のドーム)と名付けられた短距離抗ミサイルシステムの開発を急いでいます。先週その実験が行われ、成功しました。
しかし、完成までにはまだ時間がかかるみこみです。
あらゆる努力にもかかわらず、イスラエルとパレスチナ側が和平交渉にいっこうに近づかないことを受けて、イスラエル出身のユダヤ人で大統領補佐官の一人であるエマニュエル氏は、オバマ政権がいらつきを見せ始めている、場合によっては、この地域の紛争解決から手を引いてしまうかもしれないと語りました。
その後、オバマ氏と大統領の座を争ったマケイン氏が、「アメリカはいかなることがあってもイスラエルへの支援を止めることはない」と表明しています。
かつて自爆テロを決行するためにイスラエルへ入りながら、直前になって思いとどまり、現在、パレスチナ側で、自爆テロをやめるように働きかけているパレスチナ人女性がいます。
2002-2006年自爆テロが頻発し、10人の女性自爆者がイスラエル人37人を殺害していました。アイリーンさん(現在28才、当時は21才)も当時自爆テロを決断し、指導部にその願いが受け入れらた一人でした。
アイリーンさんは、男性自爆志願者のイサ(当時16才)とともにイスラエルへ送り込まれました。まずイサが自爆し、救急車が来て騒ぎになっているところでアイリーンさんが自爆するという計画でした。
二人はイスラエルの町リション・レツィオンで指定された公園に行きました。そこでアイリーンさんの目に入ったのは、平和に生きている普通の人々の姿でした。見ていると公園で母親と遊んでいる小さな赤ちゃんがアイリーンさんにむかってほほえみました。
その笑顔を見た瞬間、自爆をやめる決心をしました。アイリーンさんは指導部に電話し、自爆しないでパレスチナへ帰ると告げました。これは大変な危険を伴う決断です。
同行したイサにも自爆をやめるよう説得し、2人は3時間ほどベンチで座ったままでした。しかし、イサは、その後イスラエルにとどまって自爆を決行、イスラエル人2人を殺害しました。
イサの犯行を取り調べていたイスラエル軍はまもなくアイリーンさんを逮捕、7年間、イスラエルの刑務所で拘束され数ヶ月前に、自宅に戻りました。現在、ベツレヘム大学で学んでいます。パレスチナ側の指導部からの非難は今のところありません。
アイリーンさんは「私たちは生きなければならない」と訴え、海外でも講演を行っています。アイリーンさんはイスラム教徒です。「イスラエルとの戦いは続けるか」との問いに「続けます。しかし、別の方法で抵抗を続けます。」と答えました。
しかし同時に「この問題は簡単に白黒つけられる問題ではありません。子どもたちの笑顔は両方にあるのです。もし神が、なぜあの時、自爆しなかったのかと聞くなら、私にはどう答えたらいいのかわかりません。」と複雑な表情で語っています。
昨年末にネタニヤフ首相が10ヶ月間の西岸地区での建設活動を凍結して依頼、入植者たちが過激になりつつあります。
昨年末に車を運転中に入植者の男性がパレスチナ人に射殺される事件が起こりました。これを受けて8日にはラマラ近郊では、パレスチナ人と入植者が石を投げ合う紛争があり、イスラエル軍兵士が出動しています。
緊張が高まる中、過去30年以上、西岸地区ならびにガザ地区のユダヤ人入植者団体(ヤッシャ協議会)の指導者であったピンハス・ワラステイン氏が10日、突然辞任を表明しました。
過激化する他の指導者をまとめあげることができないというのが理由でした。たとえばワレンフィールド氏自身は、一部のイスラエル軍兵士が西岸地区での任務の場合は上官の命令に従わないと公に表明したことについて、合意できないとする立場をとっています。
国家に正面から対立する姿勢は入植者のイメージを落とすものであり、有益だとは考えていないからです。また、指導者として働きの境界線があいまいになってきたこともあげました。
ワラステイン氏と対立し、時期指導者になるダニ・ダヤン氏は、リクードに所属する国会議員です。ワラステイン氏は、ネタニヤフ首相にどう対抗していくかについて、ダヤン氏や他の指導者たちと合意できなかったと語りました。
記者団に対しては、「基本的な概念は同じだが。程度に違いがあった」と語り、穏やかに長年、指導者として働くことができたことを感謝する言葉を述べています。今後、入植者たちが過激にすすむ可能性が高くなりました。
アメリカが核開発を続けるイランに対して制裁を検討中です。アメリカは今回の制裁はイラン国民を苦しめる経済制裁ではなく、現政権をゆるがすため大統領直属の革命軍に打撃を与えるための制裁を予定しています。
しかし、国連安保理の常任理事国の一つロシアが同意せず、中国も足踏み中です。この中で、イランのメディアが11日報道したところによると、イランは核濃縮活動を2ヶ月間保留するみこみです。またIAEAによると、イランは現在、ウランの濃縮活動を従来の69%にまで落としています。
まだ正式発表ではありませんが、イランは1200Kgの低濃縮ウラン(イランが保有していると思われる濃縮可能なウランの75%にあたる分量)をロシアに輸出します。そこで20%にまで濃縮されたのちフランスに回されます。フランスはそれを医療用の核燃料に生成してイランに戻す予定です。
このようにイランは段階立てて、開発を保留にすることを提案していますが、アメリカはそれに応じない構えです。
イランのアフマディネジャド大統領のファミリーネームが、ユダヤ系に近いことから、彼自身がユダヤ人の子孫ではないかという報告がありました。
また今回、アメリカとイスラエルに武力で戦いをいどんでいるアフガニスタンのタリバン戦士の多くがアッシリアによって離散させられたイスラエル十部族の末裔ではないかとの仮説があることがわかりました。
彼らはパシュトゥン人に分類されていますが、アフガニスタン周辺の広域に住んでおり、歴史的にもイスラエルの十部族から出てきた可能性は否定できません。
今回、この仮説に注目したのがイスラエルの外務省です。インドのDNA鑑定の専門家シャフナズ博士をハイファのテクニオン(技術大学に招致し、科学的な研究を進めるよう公的支援をすることになりました。
シャフナズ博士は、アフガニスタンとパキスタン、インドが国境を接している地域の部族民たちから血液を採取してきており、今後時間をかけて分析がなされます。
この地域は、テロとの戦いにおける“グランド・ゼロ”と呼ばれる地域で、現在政治的に最も繊細で危険な地域です。もしこの仮説が証明されたら、政治的にも大きな影響が出ることになります。
バンク・イスラエルの発表によるニ、2010年のイスラエルの景気はさらに好転との予想が発表されました。GDPの成長率は3.5%(昨年は2.5%)、失業率は7,1%(昨年7.8%)です。
好転の予想は、世界経済が回復するに連れて輸出が増加するとみられています。
“Jaffa”マークで日本の市場にも親しまれているイスラエルの柑橘系は今が収穫シーズン。いろいろな新種の開発がすすめられています。3万トンの輸出がみこまれているのは、皮がむきやすく種なしの新種です。
このオレンジは国内でも4万トンが消費される予定です。秋冬のあらゆる柑橘系果物の収穫は20万トンで、年間をトータルすると60万トンとなり、100万シェケルの収益をもたらします。
果物については、労働賃金がイスラエルより80%も低いエジプトや、トルコと競合しなければなりません。そのためにはよりよいものを開発し、質で勝負する必要があります。
イスラエルには、すでに多くのショッピングモールがあり、安息日あけなどは家族連れでにぎわいます。(ショッピングモールでの催しを楽しむ家族連れ:ハイファ・カニヨン)
この先数年間にさらに大小会わせて75箇所にショッピングモールが建てられることになっています。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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