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ティーチングレター

イスラエルと共に立つ 聖書から見るイスラエル国家 Part-2

BFP編集部 2003年9月

前回のティーチング・レターでは、イスラエルがユダヤ人の祖国として平和に存続することに関連する、さまざまな事柄を学びました。今回は引き続き、神のご計画にある預言的観点から、現代イスラエルについて検証していきます。この学びは、皆様がこの国のために祈り続け、周りから寄せられるさまざまな批判や質問に対応していく助けとなるでしょう。

戦略的観点

イスラム原理主義の台頭

2001年9月11日のニューヨーク同時多発テロを機に、イスラム原理主義者による大規模なテロ事件が連発しました。翌年11月、多くのオーストラリア人と日本人が死亡した、バリ島でのテロ事件。同じ月、ロシアで起こった、チェチェンの独立を目指す劇場占拠テロでは、100名を超える人々が亡くなりました。発表されたチェチェンのテロリストたちの声明は、「これはイスラムの教えに基づくものである。」というものでした。スーダンでは、過去15年間に、北部に住むイスラム教徒の手によって、南部のクリスチャン150万人の尊い命が失われました。

これらの事件はすべて「イスラム原理主義」と呼ばれるグループが源となって起こっています。世界で起こっている諸問題の大部分は、イスラム諸国での出来事です。もし、関連する事件の舞台となった国々をマークしていくなら、そこに、イスラム圏の境界線が出来上がります。フィリピン、バリ、アンボン、イエメン、ソマリア、スーダン、イスラエル、レバノン、バルカン半島諸国、チェチェン共和国、インド。非イスラム圏にも、ケニア、南アフリカ、アルゼンチン、そしてアメリカ合衆国など、イスラム原理主義の魔手が及んでいます。昨年11月には、アメリカ政府がオサマ・ビン・ラディン本人によるものと認定した声明が放映されましたが、その中で彼は、一連の出来事はすべてつながっていると語りました。――それはあまりにも恐ろしい現実であり、西側世界が認めたくなかったことです。

今や世界中がテロの舞台

イスラム過激派が地上を席巻しています。宗教としてのイスラムは、他国を征服し、そこの民族を改宗させることで拡大してきました。また、ジハード(聖戦)をもって、敵を滅ぼすことを勧めています。今日、ジハードの新しい波が地上に押し寄せています。

第三次世界大戦は、水面下で進行中です。これは決して非現実的なドラマではなく、世界がやがて直面するであろう出来事なのです。アメリカ、ヨーロッパでは、人々がデモ行進をしながらこう叫んでいます。「私たちは平和が欲しい!」それはつまるところ「戦争なんかしたくない!」という叫びです。しかし、事態は全くそれと逆行しています。

7世紀の誕生以来、イスラムはユダヤ人と教会を攻撃してきました。中東、そしてイスラエルに住むユダヤ人は、125年もの間その猛威にさらされています。過去10年間、何百万人ものクリスチャンが、イスラムの手によって殺されました。そのことに対し、世界は沈黙したままです。スーダン、インドネシア、ナイジェリア、レバノン、パレスチナ自治区、イラク、アフガニスタン、パキスタン、イラク、エジプト、ニューヨーク、バリ、そしてモスクワ……で、次々と命が奪われているのです。

アメリカは2001年9月にその嵐に巻き込まれました。3千人を超える死亡者を出したこの大惨事に、人々は衝撃を覚えました。私もアメリカ人の一人として、祖国の痛みを共有しました。オーストラリア人と日本人は、バリ島での惨事に衝撃を受けました。ロシア人は、モスクワでの出来事に心を痛めました。南アフリカ人は、ケープタウンのレストランで起きた事件に、喪失感を覚えました。しかし、イスラエルの抱える痛みについては、誰も無関心のように思えます。この土地では、テロの脅威にさらされない日はありません。ここではカレンダーが、毎日9月11日なのです。2000年以降、イスラエルの端から端まで、テロの標的となっています。

テロの現実

インティファーダ以来、726人のイスラエル人が亡くなり、5,050人が何らかの後遺症を負うか、あるいは負傷しました。テロ攻撃の総数は、実に2万件近くに及びます。これがイスラエルの全人口(600万強)にどれほどの衝撃となっているのか、より深く理解するために、これを皆様の国の人口に換算して比較してみましょう。

日本の人口に換算すると、1万5,246人が死亡、10万6,050人が後遺症を負った、もしくは負傷したことになります。

2002年6月、私が住むギロで、70人が乗ったバスが爆破されました。このバスには、たくさんの高校生が乗っていました。20名が死亡、残る人々も重傷を負いました。この自爆を行ったテロリストは、始業ベルが鳴る少し前、高校の一つ手前の停留所でバスに乗り込み、登校のためにたくさんの高校生でいっぱいになった時を狙いました。できるだけ多くの若者を殺すつもりだったのです。私の娘たちは2人ともその日自宅にいたので、命を救われました。しかし、いとしい人々を失った犠牲者の家族の心中は、いかばかりでしょう。イスラエルには、すべてのバス停に、自爆テロで亡くなった死亡者を知らせる紙が張られています。

イスラエルの痛みに目を向ける

アメリカ、バリ、ロシア、南アフリカ、そしてブエノスアイレス……どこも甚大なテロの痛みを被った場所です。これらの事件で感じた悲しみを胸に、日々テロ攻撃にさらされているイスラエルに目を向けてみてください。ここでは、テロが終わることはありません。

パレスチナ人についてはどうでしょう。彼らの中にも平和を願い求める人々はいます。彼らもある意味で、イスラエル人と同じように、テロの犠牲者です。なぜならハマス、イスラム聖戦、そしてアラファト議長直轄の組織・ファタハのアルアクサ殉教団といったイスラム原理主義組織が、パレスチナとの和平を願うイスラエル国を認めず、テロをはびこらせてきたからです。和平交渉は遅々として進まず、結果として、人々が願う平和な日々は遠のく一方です。

アラファト議長にとって、結局のところ『オスロ協定』は、1974年に立てた「段階的イスラエル破壊プログラム」の達成のために都合のいいものでしかありませんでした。2000年9月、イスラエルが提示した最大級の譲歩――これは、これまでパレスチナが独立のために掲げてきた要求の大部分を満たすものでした――に対し(詳しくは前号を参照)、アラファト議長はこれを退けました。そして、戦争という形で応答したのです。パレスチナに、イスラエルとの和平共存を求め、いかなる努力も惜しまない、新しいリーダーシップが立てられる必要があります。

アメリカが、一連のテロの禍根であるビン・ラディンを探しているように、イスラエルもまた、テロ活動によって罪なき人々を殺し、和平を阻んでいる、ハマス、イスラム聖戦、ファタハ内のテロリストたちを探し出し、その根を絶つことがどうしても必要です。そうしなければ、日々イスラエルの一般市民の命が奪われてしまうのです。

預言的観点

契約は永続的

神は、ユダヤ人と結ばれた永遠の契約を、一度も破られたことはありませんでした。彼らが約束の地から追放されていた間も同様です。聖書は、やがて神がイスラエルの民を地の四方から連れ戻す、という預言で満ちています。民数記23章19節にはこうあります。「神は人間ではなく、偽りを言うことがない。人の子ではなく、悔いることがない。」

エレミヤ書31章35節から37節にはこう書かれています。「主はこう仰せられる。主は太陽を与えて昼間の光とし、月と星を定めて夜の光とし、海をかき立てて波を騒がせる方、その名は万軍の主。『もし、これらの定めがわたしの前から取り去られるなら、――主の御告げ。――イスラエルの子孫も、絶え、いつまでもわたしの前で、一つの民をなすことはできない。』」

神はご自身のみことばに対して、真実な、そして誠実なお方です。もし、イスラエルとの契約を破られるなら、教会に対しても同じことをされるでしょう。私たちはクリスチャンとして、この時代に、神がイスラエルとのお約束を成就してくださっていることを喜びましょう。それはまさに、神の忠実さの表れそのものだからです。

教会の役割

エゼキエル書36章は、ユダヤ人が例え彼らの土地から追放されても、神が彼らを連れ戻し、国を立て直し、イスラエルが世界に対して担っている霊的役割を回復されると語っています。これはまさに、今日のことです。教会とイスラエルは、互いに祝福し合い、世界に対する祝福の基となるよう選ばれています。聖書のみことばが、再び活発に働いているのが今です。神は多くの預言を成就しておられます。私たちは歴史の中で、最もエキサイティングな時代に生きているのです。

今日、イスラエルは教会を必要としています。そして教会もまた、自らとイスラエルの両方が、世界を救うために立てられた神の預言的計画の中で、それぞれ役割を負っていることを認識する必要があります。

四方からだけでなく、内部にも
イスラムの脅威を抱えるイスラエル

それぞれの国でできること

1.情報を収集する。
イスラエルに関する報道の多くが、この国の実情を正確に伝える内容になっていません。こうした中で、クリスチャン、あるいはユダヤ人によってイスラエルから発信されているニュースが有益です。BFPのウェブサイトや、電子メールニュースもぜひご利用ください。

2.皆様がイスラエルについて学んだことを、地域社会に伝えていく。
そしてどうぞ、皆様がこのことを伝えたいと願う方々の連絡先を、地元のBFP事務局に知らせてください。資料を送らせていただきます。

3.政府の指導者に真実を伝える。
イスラエルを愛する人々は、それぞれの祖国の政治家たちがこの国に対して、目が開かれることを望んでいます。しかしながら、こうした動きを断ち切るべく、イスラム諸国は膨大な反イスラエル的内容の偽情報を用いて、大規模な運動を展開しています。こうした運動は、貿易関連、また時には石油の輸出と絡んで、しばしば経済的な圧力を伴っています。祈りをもっての対処が必要です。

神の側に立つ

神はいつも、神のご計画を支持する人々の側に立っていてくださいます。私たちがみことばを土台に立ち続けるなら、神は勝利を与えてくださいます。

世界の国々がイスラエルの運命について議論している現代の状況は、詩篇2篇のみことばと重なってきます。「なぜ国々は騒ぎ立ち、国民はむなしくつぶやくのか。地の王たちは立ち構え、治める者たちは相ともに集まり、主と、主に油をそそがれた者とに逆らう。『さあ、彼らのかせを打ち砕き、彼らの綱を、解き捨てよう。』天の御座に着いておられる方は笑う。主はその者どもをあざけられる。」また、ヨエル書3章1節から2節にはこうあります。「見よ。わたしがユダとエルサレムの捕われ人を返す、その日、その時、わたしはすべての国民を集め、彼らをヨシャパテの谷に連れ下り、その所で、彼らがわたしの民、わたしのゆずりの地イスラエルにしたことで彼らをさばく。彼らはわたしの民を諸国の民の間に散らし、わたしの地を自分たちの間で分け取ったからだ。」

イスラエルは、神が目的をもって選ばれた国民です。エルサレムは、神がご自身を世界の人々に明らかにするために選ばれた町です。イザヤ書2章3節にはこうあります。「シオンからみおしえが出、エルサレムから主のことばが出るからだ。」これは今日も変わりません。神はエルサレムをご自身の町として選ばれました。かつてソロモンの建てた神殿に、そしてバビロンからの帰還民が再建した神殿に、神のご臨在がありました。まさにメシア的時代といえる現代、私たちはもう一度、この場所にメシアなる神が来られ、お住まいになり、世界を治められる日を待ち望んでいます。

物理的にも霊的にも神のご計画に敵対する人々は、神の預言の成就に戦いを挑んでいます。私たちは世俗のメディアが流す報道に惑わされる必要はありません。それは、神の聖書的・預言的計画を理解していない人々の手によるものだからです。

私たちは神の側に立ち続けましょう。ゼカリヤ書12章2節から9節にこうあります。「見よ。わたしはエルサレムを、その回りのすべての国々の民をよろめかす杯とする。ユダについてもそうなる。エルサレムの包囲されるときに。その日、わたしはエルサレムを、すべての国々の民にとって重い石とする。すべてそれをかつぐ者は、ひどく傷を受ける。地のすべての国々は、それに向かって集まって来よう。(中略)その日、わたしはエルサレムに攻めて来るすべての国々を捜して滅ぼそう。」

神の御救い(ご計画)の成就のために

イスラエルの主なる神の名が、はずかしめられることはありません。神はイスラエルとユダヤ人にとって、もはやかかわりのないお方ではありません。いにしえに結ばれた永遠にわたる契約を守られるお方です。イスラエルと教会は、双方とも神のご計画に組み込まれています。神がイスラエルとの間に結ばれた契約と約束の中に、私たちクリスチャンも組み込まれたということ、神の国の一部になったことを、新約聖書は私たちに語っています。

イスラエルと教会は、聖書的運命共同体なのです。ですから、エルサレムの平和のために祈るだけではなく、神の救いのご計画が成り、最終的に世界が救いに導かれるよう、共に立ってくださいますようお願いします。イスラエルという国がつくられ、神のご計画が着々と運んでいたあの旧約聖書時代にも、政治的、霊的に複雑に絡み合った諸問題がありました。エルサレムにメシアが戻ってこられ、支配される日が近づいている今日、その状況が再び起こっています。

神がアブラハムに4千年前に何と仰せられたか、思い出してください。「あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世12:3)。この預言が成就する日は決して遠くありません。私たちは、神の御救いのご計画にとって尊い存在であるこのイスラエルと共に立ち、これを支えて口を開いていきましょう。そうすることで、終わりの日の到来に向けて霊的に働き掛けることになります。神のご計画がイスラエルを通して成されることを信じて、私たちは固く立っていきましょう。

エルサレムよりシャローム

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