ティーチングレター

祝福 -前編-

レベッカ・J・プリマー/BFP国際会長(CEO)

聖書は「祝福」という言葉で満ちています。神はご自分の民を祝福されます。神は万物を祝福され、父親は子どもたちを祝福し、人々は他の人々を祝福します。人間は肯定的に受け入れられ、祝福されることが必要不可欠です。

この学びでは、皆様と共に、祝福の概念について探求してみたいと思います。聖書で最も有名なのが、祭司アロンの祝祷です。「主があなたを祝福し、あなたを守られますように。主が御顔をあなたに照らし、あなたを恵まれますように。主が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えられますように。」(民数6:24-26)。この祝祷にあるように、神が皆様を祝福したいと願っておられることを知り、神が出会わせてくださる人々を祝福する力を得ていきましょう。

言葉の力

言葉は人生に大きな影響を与えます。子どものころ、「棒や石で殴られると骨折するが、言葉で骨折させることはできない」という諺(ことわざ)を聞いたことがあります。しかし大人になるにつれて、これは全く逆であることが分かりました。精神的な傷は、骨折よりもずっと治りにくいのです。言葉によって受けた傷のために、人生が変わってしまうこともあれば、肯定的な言葉を掛けられて人生が大きく好転することもあります。

私はいつも父の仕事を手伝っていました。私の家族はアメリカの端から端まで、伝道しながら旅行していました。そのため、移動住宅を車に付けたり外したり、タイヤを換えたりニュースレターを発送したり、証しを伝えるための視聴覚機材や本を販売するテーブルを設置したり、一時的な事務所を設置したり、しなければならないことがいつもたくさんありました。父はよく私に、「ベッキーは働き者だ」と言ってくれました。その言葉に励まされた私は、今でも働くことが大好きです。父が掛けてくれた肯定的な言葉が、今日まで私に影響を与えているのです。反対に、自分の子どもに向かって繰り返し、ばかだ、醜い、不器用だと言う親がいます。その言葉を信じた子どもたちは、大人になっても否定的なセルフイメージに苦しめられています。

舌によって周りの人々を祝福することもできれば、呪うこともできます。 その影響を最も強く受けるのが、身近な人々です。聖書には舌について書かれた箇所が数多くあります。

「同様に、舌も小さな器官ですが、大きなことを言って誇るのです。……私たちは、舌をもって、主であり父である方をほめたたえ、同じ舌をもって、神にかたどって造られた人をのろいます。賛美とのろいが同じ口から出て来るのです。私の兄弟たち。このようなことは、あってはなりません。」(ヤコブ3:5、9、10)。「死と生は舌に支配される。」(箴18:21a)。「軽率に話して人を剣で刺すような者がいる。しかし知恵のある人の舌は人をいやす。」(箴12:18)

神の祝福

神はご自身の性質を、祝福の中で表しておられます。聖書には、神が天地を創造されたときの最初の祝福の数々が書かれています。

「神はまた、それらを祝福して仰せられた。『生めよ。ふえよ。海の水に満ちよ。また鳥は、地にふえよ。』……神はこのように、人をご自身のかたちに創造された。神のかたちに彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。神はまた、彼らを祝福し、このように神は彼らに仰せられた。『生めよ。ふえよ。地を満たせ。 地を従えよ。海の魚、空の鳥、 地をはうすべての生き物を支配 せよ。』」(創世1:22、27、28)

神の祝福があるとき、「増し加わる」という結果が伴います。 イエスの5千人の給食の奇跡においても、祝福と増し加わることが対になっています。聖書には「(イエスは)五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて、それらを祝福し、パンを裂いてそれを弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。」(マタイ14:19b)と書かれています。

また、申命記には、祝福が列記されています。そこには、神とイスラエル民族との特殊な契約の更新が語られていますが、それは私たちにも適用されま す。イスラエルの民が約束の地に入る準備をしていたとき、今後どんな人生を送るか選択の機会が与えられました。神は人間に自由意思、選択の自由を与えられておられます。この原則は今も変わっていません。神は30章19節で、「あなたはいのちを選びなさい。」と言って祝福の選択を勧めておられます。それは30章20節にあるように、アブラハム、イサク、ヤコブとの約束の成就の預言につながるのです。

神は祝福の神です。神は私たちの人生を良いもので祝福したいと願っておられます。人間は神を賛美し、周りの人々を祝福するために、神の似姿に創造されたのです。

トム&レベッカ・ブリマー

族長たちの祝福

2、3年前、夫のトムが、大病を患っていた父親に会うためにアメリカに行きました。それが父親との最後の別れになるのではないかと夫は予感していました。父親は急速に衰え、話も余りできず、ほとんど寝たきりでした。トムは聖書の族長の祝福の記事を読んでいたので、父親から祝福を受けたいと強く願っていました。

トムが父親の病院のベッドのそばに来たとき、父親は目を覚ましました。トムは、「お父さん、ちょっと考える時間がいるかもしれないけれど、僕はどうしてもお父さんから祝福されたいんだ」と言って、父親に祝福を願いました。驚いたことに、それまで口を開きさえしなかった父親が即座に、「時間なんかいらないよ。今、祝福しよう」と答えたのです。いつも手のひらサイズのコンピュータを持ち歩いているトムはキーボードを取り出し、父親の祝福の言葉をすべてタイプしました。父親は病から回復することなく主の許に召されました。しかしそれから後も、トムは父親の祝福の言葉によって、励ましと祝福を受け続けています。

そのすぐ後、妹のサンディが両親の家に行き、「お父さんお母さん、義兄のトムはお父さんに祝福してもらったのよ。私たちも祝福してほしいわ」と言いました。両親は特別な祝福の言葉を私たち一人ひとりに書いてくれました。その手書きの祝福は私たちの宝物です。それはいつでも読めるように、机のすぐそばに置いてあります。父は昨年夏に召されましたから、この祝福は今まで以上に大切なものとなりました。

両親、祖父母、おじ、おばには、家族の若い世代の者たちに祝福の言葉を語るという素晴らしい特権が与えられています。 どうか、呪うのではなく祝福することを選択してください。それは家族の健康と幸せのために、かけがえのない永遠の投資となります。

ユダヤ人の生活における祝福

「祝福」と訳されているヘブライ語は、「ベイト・レーシュ・カフ」という語根から派生した「ベラカー」(ベイト・レーシュ・カフ・ヘー)という言 葉で、ひざまずく、祝福する、賛美する、敬意を表するという意味があります。この語根とそこから派生した言葉は聖書に415回出てきます。ヘブライ語で「祝福する」とは、成功、繁栄、多産、長寿のための力を賦与するという意味です。

成功したクリスチャンビジネスマンであり、2人の子どもの父親でもあるロルフ・ガールボルクは彼の著書の中で、家族の祝福についてこのように書いています。「神の好意と力を人生に及ぼす行為の一つとして按手がある。イサクは按手によって息子ヤコブを祝福し、ヤコブは息子たちを祝福した。またイエスもこのようにして弟子たち(ルカ24::50)や子どもたちを祝福した。」

ユダヤ教では、すべてのことに祝福の祈りがあります。祈りはすべて「バルーフ・ハター・アドナイ・エロヘイヌ・メレフ・ハオーラム」(世界の王な るわれらの神、主はほむべきかな)という祝福の言葉で始まります。人生はさまざまな祝事で区切られ、それぞれに独自の祝祷があります。一年はいろいろな祭りによって変化が付けられ、そのすべてに独自の祝祷があり、その頂点に週に一度のシャバット(安息日)の祝祷が行われます。そして、一日は神を賛美する3回の礼拝によって特徴付けられます。

この礼拝と礼拝の間に、ユダヤ人は食べたり飲んだりすることへの感謝など、ほとんどすべてのことで一日中主を賛美するのです。良い知らせを聞いたこと、稲妻など自然の驚異を見たこと、新しい家を購入したこと、新しい服を手に入れたことなど、考え得る限りの出来事に対する感謝と賛美、そして祝福の祈りが捧げられます。

また、ユダヤ人の家庭では安息日の祝祷が毎週金曜日の夜、唱えられます。父親(時には母親)が子どもの頭の上に手を置いて、息子に対しては創世記 48章20節から「神があなたをエフライムやマナセのようになさるように。」、娘に対してはルツ記4章11節から「神があなたをサラやリベカ、ラケルやレアのようにしてくださるように。」と言って子どもを祝福し、アロンの祝祷で締めくくります。この両親の祝祷は結婚式にも、また臨終に際しても親自身によって唱えられます。特に、ヨム・キプール(贖罪の日)の前日と結婚式の前には、祖父母が存命であれば慣例として祖父母も子どもたちを祝福します。

毎週金曜日の安息日の食事の席で、夫はお客と子どもたちの前で、箴言31章のエシェット・ハイール(しっかりした妻)の箇所を引用して妻を祝福します。また、結婚式に欠かすことのできないのが、近い親類や友人からシェバ・ブラホット(7つの祝祷)を受けることです。

  1. ご自身の栄光のためにすべてを創造された、世界の王なるわれらの神、主よ、あなたはほむべきかな。
  2. 人間の創造者、世界の王なるわれらの神、主よ、あなたはほむべきかな。
  3. 人間をご自身の姿に似せ、永遠のいのちへの備えをされた、世界の王なるわれらの神、主よ、あなたはほむべきかな。人間の創造者なる主よ、あなたはほむべきかな。
  4. 不毛の地よ、子どもたちとの喜ばしい再会を大いに喜べ。シオンと子どもたちを喜ばせてくださった主よ、あなたはほむべきかな。
  5. 神よ、遠い昔エデンの園であなたが被造物を幸福にされたように、愛し合う夫婦を幸せにしてくださるように。夫と妻を幸福にしてくださる主よ、あなたはほむべきかな。
  6. 喜びと祝い、花婿と花嫁、歓喜、歓声、快楽、楽しみ、愛、兄弟愛、平和と友情をつくられた、世界の王なるわれらの神、主よ、あなたはほむべきかな。
    主なる神よ、まもなくユダヤの町々やエルサレムの通りで、喜びと祝いの声、花婿と花嫁の声、結婚の席の花婿や歌い祝う若者たちの喜びの叫び声が聞こえるようになりますように。花婿と花嫁を共に喜ばせてくださる主よ、あなたはほむべきかな。
  7. ぶどうの実を創造された、世界の王なるわれらの神、主よ、あなたはほむべきかな。

次号後編では、私たちクリスチャンが神の約束の道を選び取り、神の祝福の中を歩むことについて、さらに掘り下げて学んでまいりましょう。

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