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プロジェクトレポート

忘れられ、見捨てられた人々のために

TEXT:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

ウクライナでは、何千人ものユダヤ人が貧困の中で生活をしています。旧ソ連のこの国に住むユダヤ人の数は、10万人から50万人とも言われています。しかしその多くがユダヤ人であることを公にしたがらず隠しているため、本当のところは誰にも分かりません。

イスラエルに移住したユダヤ人の中には、かつて住んでいた地域に、老人や病人をやむなく残していかなければならなかった人々がいます。その残された人の多くは、ホロコーストの生き残りです。今や世界は彼らの存在すら忘れているようです。そのため、彼らは省みられていないという思い、飢え、病気、孤独などの苦しみと日々戦っています。詩篇の記者は、その心の叫びをこう伝えています。「あなたの山鳩のいのちを獣に引き渡さないでください。あなたの悩む者たちのいのちを永久に忘れないでください。どうか、契約に目を留めてください。地の暗いところには暴虐が横行していますから。しいたげられる者が卑しめられて帰ることがなく、悩むもの、貧しいものが御名をほめたたえますように。」(詩74:19.21)

残された人々の叫びに応答する

神は、イスラエルと取り交わした約束を覚えておられるので、彼らの叫びに答えてくださっています。「まことに主は、ご自分の民を見放さず、ご自分のものである民を、お見捨てになりません。」(詩94:14)。神は、ウクライナにいる神の民の必要を満たすことができるように、クリスチャンを用いておられます。

4世代が共に暮らす、ホロコーストの生き残りのバーディッシュさん家族

ルドミラ・バーディッシュさんは1937年に生まれました。ホロコーストを生き延びた貴重な存在です。彼女は、夫を亡くした娘のスヴィエタさん、夫に去られた孫娘のアイラさんとその娘のリナ(3)とハンナ(6か月)と共に暮らしています。この4世代にわたる5人のユダヤ人家族には、十分な食料がありません。

彼女たちは、何とかイスラエルに移住したいと思っていますが、火災によって、住んでいる町の昔の記録文書の一部が失われてしまいました。そのため、彼女たちがユダヤ人であることを証明することができません。資料はいくらか残っていますが、移住するためには不十分です。そんな彼らを、ブリッジス・フォー・ピース(BFP)は、『希望の糧プロジェクト』を通して、食料支援しています。

イスラエルでは、どの国からの帰還であっても、ユダヤ人には自動的に市民権が与えられます。しかし、申請が認められるためにはユダヤ人であることを証明しなければなりません。この地域は第二次世界大戦の間、破壊され、その後、宗教が禁止された社会主義の下にありました。ですから、ユダヤ人であることを証明するのは難しく、時には不可能でさえあるのです。

希望の糧プロジェクトのスタッフは、ユダヤ人の音楽家で作曲家のオレグ・サロシエスキーさん(56)の家を訪ねました。彼と彼の妻、そして二人の娘はキエフ地域の町、イルペンに住んでいます。オレグさんはユダヤ人コミュニティーのリーダーで、皆から慕われています。私たちの訪問の2週間前、隣家の電気系統が劣悪だったために、彼の家は火災に遭いました。現在、オレグさん一家は絶望的な状態に置かれています。焼けてしまった家の外で、頭上に輝く何千という星を見ながらソファで寝起きしているのです。町長に援助を求めても、「君が80歳になれば(25ドルほどの)年金が出るから」と言われるのみでした。

一家がイスラエルに帰還できれば、状況はもっと良くなるでしょう。25歳と23歳の娘たちにも、もっと良い未来が開けるはずです。問題は、彼らがユダヤ人であることを証明する記録が焼けてしまったことです。オレグさん一家もまた、希望の糧プロジェクトを通して食料の援助を受けています。

「正義の異邦人」となり、命を救う

BFPはこのようなユダヤ人家族に援助を行い、現在約292世帯が食料を受け取っています。ウクライナとシベリアでは、400人が1日に1度の食事を受給しています。私たちはこの地域の困窮している人々に手を差し伸べ、彼らの苦しみを和らげる助けができることを神さまと皆様に感謝しています。しかし同時に、食料を受け取ることができない方々を見て胸が痛みます。必要は大きいのですが、まだまだ本当にわずかな人々にしか食料を提供できていないからです。

ステインスロー・ガーウェルさんはポーランド人のクリスチャンで、このプロジェクトを監督しています。彼によると、私たちは至急スープ・キッチン(食料配給所)をあと25箇所設置し、さらに1000世帯が食料の供給を受けられるようにする必要があるということです。また、手術、歯科治療、暖房、冬用の防寒靴、衣料品など、医薬品や緊急援助のための基金も必要です。

ホロコーストという人類史上類を見ないほどの大虐殺を生き延びた彼らが、お腹を空かせて亡くなることがないように。また、私たちに聖書を書き残し、イエス・キリストを生み出す管となったこの民のために、どうか共に立ち上がってください。ホロコーストの期間、ユダヤ人を助けた人々は「正義の異邦人」と呼ばれています。自分の命を危機にさらしながら、大きな危険を冒してユダヤ人に手を差し伸べ、命を救ったクリスチャンたちに続く者に私たちもなりたいと思います。食料、暖房、医薬品そして愛を提供することで、彼らが主の愛を知ることができるようにお祈りください。彼らは見捨てられておらず、主は彼らの祈りを聞いておられると、彼らに伝えていきたいと思います。

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