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プロジェクトレポート

取り残されたユダヤ人を祝福する

TEXT:レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

イスラエルに移住したくても高齢や病気のために移動できないユダヤ人が、ウクライナに多く取り残されています。
彼らに一杯の温かい食事を提供することで、クリスチャンの愛と慰めを贈りませんか?

希望の糧プロジェクト

「なぜ、いつまでも、私たちを忘れておられるのですか。私たちを長い間、捨てられるのですか」(哀歌5:20)
これは、預言者エレミヤの言葉です。バビロニア帝国によって 神殿が破壊された後、取り残されたユダヤ人の嘆きの声を表した言葉です。今日、この嘆きと同じ叫びを上げている人々がいます。それは、ウクライナなどに取り残されているユダヤ人です。彼らは高齢や病気のために、家族と一緒にイスラエルに移り住むことができませんでした。友人や家族から離れ、以前にも増して困難でみじめな生活を送っています。

BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は「希望の糧プロジェクト」を通して、このような取り残されたユダヤ人を支援しています。彼らの多くは、年老いて、楽しみが少なく潤いのない生活を送っています。私たちは、地元のクリスチャンの助けを得て、週5日スープキッチンを開設し、彼らに温かい食事を提供しています。炊き出しに歩いて来られる範囲に住んでいる人はまだいいのですが、皆がそうではありません。体が弱くて動けない人や、遠くに住んでいて交通費もない人も大勢います。そうした人々には、毎月一度、食料のパッケージを各家に届けています。パッケージには、小麦、砂糖、米、お茶、肉か魚の缶詰食品が入ります。また、ユダヤの祭日には、チョコレートが少し、それに加わることもあります。食料のみならず、壊れた窓を取り換え、薬を購入し、血糖値や血圧を測る道具をプレゼントするときもあります。さらに、ウクライナの厳しい冬の間、満足な暖房器具がなく凍えている人々には、暖房器具をお届けしています。

この、「希望の糧プロジェクト」のマネージャー、ステインスロー・ガーウェルはスロバキアのクリスチャンです。彼はよく、ウクライナの地でホロコーストの生き残りたちがどのような生活をしているか話してくれます。ホロコーストで凄惨(せいさん)な地獄を経験したある男性は、一つしか部屋のないアパートで、電気も水道も止まってしまい、トイレは詰まってあふれかえっているような中で暮らしていました。数年前の冬の日、ガーウェルは吹雪に足止めされて、男性に食料を届けることができませんでした。すると、彼らが着いたときにはその男性は亡くなっていました。数年前の出来事にもかかわらず、このことはいまだにガーウェルの心を痛め続けています。もし、私たちの支援が無ければ、このような状況で飢えと寒さのために衰弱して亡くなっていくユダヤ人は増える一方です。

ホロコーストの生き残りを支援する

腕に強制収容所で入れられた識別番号を  ヨセフさんが大切に
見せるヨセフさん               しているシェマの写し

ウクライナでは、大戦前、人口のおよそ三分の一がユダヤ人でした。戦争中、すべてのウクライナ人に、前例のない暴力、破壊、そして恐怖が襲いました。ウクライナだけで500万人以上が亡くなり(ある資料によると、死者は700万に達した)、そのうちの225万人がユダヤ人でした。1941年には、3万4千人のユダヤ人がたったの二日間でナチスによって銃殺されました。他のユダヤ人は強制収容所に送られました。ウクライナのユダヤ人の60パーセントがホロコーストで亡くなりました。89年には、ウクライナのユダヤ人人口は48万7千人にまで減少しました。さらに90年代、残っていた彼らのうちの半数以上がイスラエルに移住していきました。現在は、たった7万1千5百人(2010年の統計)がウクライナに残っているだけです。

希望の糧プロジェクトで支援を受けるホロコースト生存者の一人、84歳になるヨセフ・ピンチャス・レヴィさんという男性がいます。彼はウクライナのベレゴヴォの出身です。マネージャーのガーウェルは、ヨセフさんを何度も訪問しました。その中で次のような話しをしてくれました。「実はヨセフさんはたくさん話したいことがあるが、ホロコーストのこととなると、話ができないほど動揺してしまうのです。彼にとってホロコーストの記憶はいまだに絶えずうずく傷のようなものです。アウシュビッツの強制収容所で家族のほとんどを亡くした彼の心には深い喪失感があり、今も癒えていません。」ヨセフさんはガーウェルにシェマ(申命記6章4節〜9節のユダヤ人の祈り)の写しを見せてくれました。それは、彼の家族がガス室に向かって行進するときに唱えた最後の祈りでした。それ以来、このシェマの写しは彼にとってとても大切なものになりました。なぜなら、それは彼が最後に家族を見たときのことを思い起こさせるからです。

私たちは今、ヨセフさんの住む町、ベレゴヴォのシナゴーグ(ユダヤ人の会堂)でスープキッチンを開いています。ガーウェルと彼のチームは、ユダヤ人社会のリーダーと良い関係を築いています。ヨセフさんはかつてこのスープキッチンに定期的に来ていましたが、今では、体力がないために来られません。ですから、彼は食料のパッケージを受け取っています。ヨセフさんは彼の食料がクリスチャンからの贈り物であるのを知っていて、そのことをとても感謝しています。

スープキッチンの様子

ガーウェルとそのチームは、皆様に心から感謝しています。彼らは、自分たちが支援している貧しいユダヤ人を心から愛し、心配しています。家から出られない人々の家を訪問し、支援を受けている人々の話を聞き、生活を見て、緊急の必要がないか尋ねます。彼らはこのようにして、神のご命令に従っているのです。「弱い者とみなしごとのためにさばき、悩む者と乏しい者の権利を認めよ。弱い者と貧しい者を助け出し、悪者どもの手から救い出せ。」(詩篇82:3、4)

貧しい者を顧みる

この希望の糧、スープキッチンをもっと拡大しなければならない状況です。ある地域では、40の小さなユダヤ人区域の中に、約一万人がひしめき合って生活しています。その生活ぶりは、私たちだったらとても耐えられないだろうと思われるほどのひどさです。
トーラー(創世記から申命記)の多くの律法が、貧しい者の世話をするようにと命じています。他の聖句では、彼らに対する神の御心について触れています。「主は、弱い者をちりから起こし、貧しい人をあくたから引き上げ」(Ⅰサム2:8)「神は貧しい者を剣から、彼らの口から、強い者の手から救われる。こうして寄るべのない者は望みを持ち、不正はその口をつぐむ」(ヨブ5:15,16)
マタイ25章の説教には、イエスが貧しい者に仕えることについて述べています。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです」(マタイ25:40)

BFPのプロジェクトのほとんどはイスラエルに住むユダヤ人のための支援です。しかし、私たちはイスラエルに住む夢が叶えられることの無い、取り残された人々を忘れることはできません。ウクライナのユダヤ人、イエスの兄弟姉妹たちのために、主があなたに何を求めておられるのか、どうぞ祈り、尋ねてください。主が皆様を用いて、悲惨な状況下のユダヤ人に一時の安らぎと暖かさを与えてくださいますように、心からお祈りいたします。

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