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プロジェクトレポート

ホロコースト生存者に神の愛を!

TEXT.レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

今月はイスラエル国内外、特にウクライナなど旧ソ連圏に今なお残るホロコースト生存者の様子をお伝えし、お祈りをお願いします。

ウクライナ在住ホロコースト生存者の住む家 Photo by Stanislaw Gawel

ホロコースト生存者の悪夢は痛みに満ちています。戦後70年が経過した今も、ホロコースト生存者は少数ながら存在します。イスラエルには20万人、世界各国を合わせると存命の生存者は50万人です。彼らの平均年齢は79歳で、25%が85歳を超えています。イスラエルに住む生存者のうち、16万人がロシア語を話す旧ソ連からの移民です。彼らの生活は今もかなり厳しいものです。BFP(ブリッジス・フォー・ピース)は、このようなイスラエル在住生存者に、食料などさまざまな支援を通して励ましをお贈りしています。

イスラエルに帰還せず、ウクライナなど旧ソ連圏に残っている生存者の生活はさらに悲惨です。私はウクライナを訪れ、生存者を支援している地元のクリスチャンと共に彼らを訪問しました。多くの生存者に会いましたが、腕にはナチスに刻まれた番号の入れ墨が残っていました。BFPはこのようなイスラエル国外在住ホロコースト生存者たちに、『希望の糧』プロジェクトを通して、温かい食事を中心とするあらゆる支援をお贈りしています。

ウクライナの生存者の証言

BFPの『希望の糧』プロジェクトで食料支援を受けているギタさんは次のように語りました。「私は86歳です。戦争が始まり、強制労働に駆り出されるようになりました。一人のウクライナ人の警察官が、母にナチスがユダヤ人を強制収容所に送ろうとしていることを教えてくれました。それで、私たちはすぐさま森に逃げました。森の中がとても寒かったことを覚えています。神さまが、私を生き残らせてくださいました。戦後、私は教員として学校に戻りましたが、家族はホロコーストで死んでいました。今は独りで近くに身寄りはいません。でも神さまをほめたたえます。必要な物資を持って、訪ねてくださる皆さんがいるからです。自分では買い物にも行けませんし、皆さんが送ってくださる食料は私にとって命そのものです。」

グリゴリさん
Photo by
Stanislaw Gawel

次に、87歳のグリゴリさんとその妻(83)をウクライナの別の地域で訪ねました。グリゴリの奥さんは腰の骨を折り、歩けません。ご夫妻はナチス時代のことを、つい昨日の出来事のように語りました。「戦時中、私たちはウクライナ、ジトームィル地区のゲットー(ユダヤ人強制隔離地区)に閉じ込められました。私も妻も、家族をホロコーストで失いました。父はナチス兵に殺されました。私自身もナチス兵に打ちたたかれた傷が頭部に残っています。当時、ユダヤ人の逃亡を助けてくれたウクライナ人もいました。私はその恩人のことを証しするために、エルサレムのヤド・バシェム(ホロコースト記念館)に自分の証言を書いて送りました。ユダヤ人を助けた異邦人がいたことを知ってもらい、神をほめたたえたいのです。反面、多くのウクライナ人がナチスに協力しました。彼らはユダヤ人の家々を襲い、可能な限りすべての物を盗んでいきました。私のベッドに置いてあった枕まで!今も、ウクライナにはユダヤ人を憎む派閥が存在します。」

その時、グリゴリの奥さんが突然「歴史は繰り返すのよ」と言葉を挟みました。すると、同行していた『希望の糧』プロジェクトの現地責任者であるスタニスラウが、彼らを励ましてこう語りました。「グリゴリさん、神さまはあなたがたご夫妻にご計画をお持ちです。神はあなたがたを愛しておられますよ。」それを聞いて、グリゴリさんの顔が少し明るくなりました。「確かに。17歳のホロコースト当時を思い出せば、驚きの連続ですね。履く靴も無く、とても寒かったのに風邪ひとつひきませんでした。今なお87歳にしては健康でいられます。でもホロコースト生存者の仲間たちも次々と亡くなり、今となっては私の知り合いでホロコーストを生き残った者は、妻だけです。」

衝撃的な経済状態

ウクライナの生存者たちの貧困は悲惨を極めています。田舎の村を訪れると、生存者たちは今にも壊れそうなあばら家に住んでいます。都市部ではもの寂しく湿った旧ソ連時代のアパートに住んでいます。あるお宅では、食料棚を開くと、ティーバッグの他に何もありませんでした。年金があまりにも少ないので、食費すら捻出できない状態なのだと悟りました。

BFPの『希望の糧』プロジェクトは、このように高齢で貧しいホロコースト生存者を支援しています。クリスチャンの皆様の寛大なご支援によって、困窮するホロコースト生存者へ、食料を届け、暖房器具や、薬を提供しています。料理ができる方には、食料品の状態でお届けし、料理もできないほど弱った方々には、地元のクリスチャンたちが温かい食事を作り、提供しています。冬が深まる中、ウクライナは凍えるような寒さです。私たちの支援がなければ、彼らの多くは暖を取ることができません。命綱である薬を必要とする人々もいます。

ウクライナ在住ホロコースト生存者の生活環境
Photo by Stanislaw Gawel

ホロコーストで傷つき、今なお貧困に苦しむ生存者の方々の実際的な必要をクリスチャンが支援する『希望の糧』プロジェクトは、生存者の方々の人生に劇的に触れ、神の愛を表しています。

私が初めてホロコーストの写真を見た時の記憶が鮮明に残っています。幼い私はショックを受けて、泣きながらこう言いました。「もし私がこの時、あの場所にいたら、彼らを助けてあげたかったのに…。」

確かに私はホロコースト時代にはいませんでした。他の人に、その時代の召しが与えられていたのです。今が、私たちの時です。

神は私たちを、歴史上、今この時代に生きるよう選んでくださいました。ナチスは去りました。しかしナチスの被害者たちはなお苦しんでいます。彼らは凍えており、飢えており、病気です。そして、孤独です。神は私たちをこのような人々への働き人として召してくださっています。日本の皆様の寛大なご支援により、ホロコースト生存者の方々に、「自分は神さまに忘れられていない」と感じていただくことができます。

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