ティーチングレター

神の水路 -前編-

TEXT:シャリーダ・スプリンクル(BFP本部編集補佐)

聖書には、海の水、川の水、滝の水など、水について書かれた箇所が数多くあります。それらは何を表し、何を教えているのでしょうか。私たちの内に流れる生ける水がより純粋になり、ますます強められるために、聖書の語る「水」の意味を、今一度、学んでまいりましょう。

聖書には、海が真二つに分かれ、エジプトから逃げるイスラエルの子らを通らせたという記述があります(出エジ14:21-22)。また、モーセが岩に命じると、岩から水が出ました(出エジ17:6)。祭司たちがヨルダン川に足を踏み入れると、ヨルダン川は「せきをなして立ち」せき止められました(ヨシュア3:16)。苦い水が荒野で甘くされました(出エジ15:25)。イエスは水の上を歩き(マタイ14:25)、水をぶどう酒に変えました。(ヨハネ2章)

このように、神の声に応答するのは人だけではありません。神の被造物すべてが神のことばに応答するのです(詩69:34)。神は聖書の中で、水について多くのことを記され、教えの道具として用いられました。私たちも、この自然のもつ素晴らしい側面を、より詳細に観察し、宝を発掘してまいりましょう。

大海

創造の3日目に、神は海を創られました(創世1:10)。人は海の広さに圧倒されます。聖書で海は「大いなる」水と呼ばれています(出エジ15:10)。「大きく、広く広がる海」(詩104:25)「海の果て」(詩139:9)。地中海は「大海」と呼ばれています。また、数えきれないことを表現するために、「海の砂」という言葉が旧約聖書で6回使われています。(ホセア1:10他)

神はイスラエルの子らに、主の命令ははるか彼方のものではなく、彼らに近いものであることを知らせるために、身近な「海」を使って表現されました。

「また、これは海のかなたにあるのではないから、『だれが、私たちのために海のかなたに渡り、それを取って来て、私たちに聞かせて行わせようとするのか』と言わなくてもよい。まことに、みことばは、あなたのごく身近にあり、あなたの口にあり、あなたの心にあって、あなたはこれを行うことができる。」(申命30:13-14)

また、患難時代後に訪れるメシアの時代について語られるとき、その計画の偉大さと、神についての知識がどれほど大きなものであるかを表現するために、神は再び「海」を選ばれました。「わたしの聖なる山のどこにおいても、これらは害を加えず、そこなわない。主を知ることが、海をおおう水のように、地を満たすからである」(イザヤ11:9)

ソロモンの神殿には、祭司たちが手と足を洗うための設備があり、銅の洗盤に水が貯めてありました。それはあまりにも大きかったので、「海」と呼ばれていました(1列王7:23)。確かに高さ約2.3m、直径約4.5m、厚みは手幅ほどもあり、さらに、12匹の大きな銅製の雄牛の上に据えられていました。神殿の丘の下にあった水貯めの一つは、「大海」と呼ばれるほど大きいものでした。

地中海(c) Israelimages / Eyal Bartov

海岸に立ち、地平線を眺めるとき、どれほど海が大きいかを感じます。砂漠の真ん中で、目にするものすべてが砂とゴツゴツした岩であるときにも同じように感じます。いずれも広大さに圧倒されます。そして、ほかでは感じないような、神の大きさと自分自身の小ささを感じます。岸辺に打ちつける波の、止まることなく繰り返されるリズムは、神の誠実さ、神の広大な尽きることのない備えを思い起こさせます。

この世界では地球の表面のおよそ四分の三を海が覆っているのに対し、新天新地に海がないことは興味深いことです(黙示21:1)。バーンズの注釈によると、「その日には全世界が人々の住む所となっていて、海水のために広大な土地が無駄にされていない」ということです。ウィクリフ(*聖書翻訳を目的とするキリスト教団体)の聖書注解では、海は不安、死、破壊を意味し、また、地理的に国々を分割しているものとなっています。しかし、これらのすべては、やがて預言が成就し、救いの完成がなされた後には、全く無くなってしまうというのです。そのときには、平和が全世界を覆っています。預言者ミカは、「すべての罪を海の深みに投げ入れてください。」(ミカ7:19)と神に言っています。終わりの日に海が無いということは、私たちの罪をそれほど完全に取り除いてくださることを意味しています。それを見える形で表してくださる、これが神の方法なのかもしれません。罪を投げ入れる海がもはや存在しなくなるのです。ハレルヤ!

川がある……

川がある。その流れは、いと高き方の聖なる住まい、神の都を喜ばせる。」(詩46:4)そのような川が本当に存在するのでしょうか。単なる比喩的表現なのでしょうか。創世記2章では、「神である主は東の方エデンに園を設け、」(8節)とあり、この園をエデンと呼ぶのではありません。エデンの中に園があったのです。エデンがどれくらい大きかったのか、私たちには分かりません。しかし、聖書にはエデンには4つの川が流れていたと書かれています(創2:10-14)。そのうちの二つの川は分かっています。なぜなら現存しているからです。チグリス川(ヒデケル川と訳されているものもある)とユーフラテス川です。

残りの二つ、ピション川とギホン川は現存せず、分からないため、多くの議論と研究の的となっています。しかしその二つの川は今もあるかもしれません。それらがイスラエルの地下で、北から南へと流れている可能性を示唆する証拠が幾つかあるからです。

1960年代、井戸の掘削の際、南イスラエルにあるアラバ砂漠の地中に、それまで予想されていたよりもはるかに多量の水があることが分かりました。今日、神殿の丘の南方の旧市街の城壁の外側にあるヒゼキヤトンネルは、人気の観光名所で、聖書時代に掘られた2700年の歴史のあるトンネルです。膝から足首ほどの深さの水が流れていて、ギホンの泉と呼ばれています。ある人は、それがエデンにあったギホン川の名残の可能性があると言います。ただし、これは憶測の範疇(はんちゅう)であり、あくまで手掛かりに過ぎません。しかし、聖書はエルサレムから流れる本物の川について述べています。

砂漠に咲く花

エゼキエルは神殿の幻で、この川を見ました。それは、エゼキエル書後半の8章に語られています。多くの人々は、メシア時代の描写であると信じています。「彼は私を神殿の入口に連れ戻した。見ると、水が神殿の敷居の下から東のほうへと流れ出ていた。神殿が東に向いていたからである。その水は祭壇の南、宮の右側の下から流れていた。」(エゼキエル47:1)。川がさらに遠く東へと流れると、それは渡ることができないほど深くなります。川岸には食物としてのくだものと、薬としての葉を茂らせる木々があります。その川は死海までずっと流れており、死海を完全に回復させます。それゆえ魚も死海で生きることができるようになるのです。驚くべき〝いのちを与える水〟が流れ出すのです。ヨエルもこの川について同様に預言しています。(ヨエル3:18)

ヨハネの黙示録の新天新地について書かれてある箇所でも、ほぼ同様の記述が見られます。「御使いはまた、私に水晶のように光るいのちの水の川を見せた。それは神と小羊との御座から出て……」(22:1)。しかしここでは、エデンの園の初め以来、見ていないものがあります。それは「いのちの木」です。その葉は癒やしをもたらし、「国々の癒やし」となりました。これは回復したギホン川であり得るのでしょうか。おそらくそうでしょう。神は回復を与え、元の状態に戻されるのが得意ですから。

仮庵の祭りの最後、「水を汲む祝い」のときに、イエスが語られたことを思い出します。多くのファンファーレ、歌と喜びで、人々はシロアムの池へと祭司の後を付いていきました。そして、ギホンの泉から汲み上げられた水を、金色の水差しいっぱいに満たしました。それは生ける水を象徴しています。神殿へ戻るとき、祭司は水を祭壇に注ぎます。そして彼らは、「ああ、主よ。どうぞ救ってください。」または、「ホザナ」と言って叫びます(詩118:25)。この素晴らしい出来事のクライマックスに、イエスは大声で言われました。「さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立って、大声で言われた。『だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる。』」(ヨハネ7:37-38)

地上の神の都と御座から流れ出る川があるように、一人ひとりの信ずる者から流れ出る川があります。その川のいのち、イエスのいのち、私たちの内におられる聖霊さまの力が、飢えた心を満たし、病を癒やされるのです。その川の恵みを受けるために、最後の日まで待つ必要はありません。詩篇46篇を私たち自身に適用できると信じます。苦難がやってくるときに、「地は変わり山々が海のまなかに移ろうとも。……川がある。その流れは、いと高き方の聖なる住まい、神の都を喜ばせる。神はそのまなかにいまし(あなたも私もです)、その都はゆるがない。」(詩46:2,4,5節)

次号後編では詩篇のみことばなどから、私たちの口と思いを守り、私たちの喜びが奪われないようにすることと、また、私たちの内に流れる生ける水がより純粋に、より強くされるために必要なことを学んでまいりましょう。

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