ツアー体験談

田中 満矢たなか みちや先生 (札幌新生キリスト教会)

―主が愛するものを愛する―

「わたしが見ている光景をあなたも見たいか
わたしが聞いている声をあなたも聞きたいか
わたしが愛している民をあなたも愛するか」

主は、この旅を通して何度も優しく問いかけてくださいました。ガリラヤ湖からの風景を見ながら、街の様子はすっかり変わったのだろうけど、今見ている山並みやそこから昇る朝日、水辺の赤く染まる風景は、イエスさまが見ていた光景と近いのかなと想像していました。主の心をもっと知りたい、主の心を知らずには何もすることができないし、何もしたくありません、と激しく飢え乾きながら貴重な一日一日を過ごしました。主はそんな私に喜びも悲しみも、またハプニングさえも豊かに用いて応えてくださいました。

「あなたは、どこにいるのか。」創世記3:9
アダムとエバにそう語られたように、主は私にも語ってくださいました。アウシュビッツ強制収容所の地で、ユダヤ人に起きた悲劇を肌で感じました。ホロコースト記念式典である方が声を上げました。「600万人のユダヤ人が虐殺されていた時、世界はどこにいたのか。全世界がユダヤ人を見捨てたのです」と。主は続けて私の胸に問うてくださいました。「この過去を知り、感じ、体験したあなたは今、どこに立って生きるのか。今を生きる者として、この悲劇の歴史をどの立場で、どの立ち位置で、どう受け止めて生きるのか」と。アダムは罪を犯し、主との関係に溝を作りました。そんなアダムに対して主は、「あなたはどこにいるのか」と語りかけ、その溝を埋めようとされました。同じように主は私との関係の溝、そして私とユダヤ人との関係にあった溝を埋めようとされました。この声に背を向けてはならない、この事実に背を向けてはならない、そしてユダヤ人に背を向けてはならないと強く思わせられました。それが主との距離を縮めていくことになると示されました。5月11日、戦没者追悼記念日に響き渡るサイレンの中、すべての人が黙祷もくとうし今も悲しむユダヤ人の姿を見、5月12日、独立記念日に子どもも大人も、朝方まで喜び踊るユダヤ人の姿を見、「喜ぶ者といっしょに喜び、泣く者といっしょに泣きなさい(ローマ12:15)」というみことばが、初めてユダヤ人へのことばとして胸に響きました。

また、今回大きなトラブルがありました。イスラエル到着後、何とメンバー全員のスーツケースが届かなかったのです。ほとんど眠れない深夜便で到着し、早朝4時から行列を作って大変な手続きをしなければなりませんでした。次の日にスーツケースがホテルに届いたのですが、私を含む9名の分はそこにはありませんでした。入ってきた情報によると、ある人のスーツケースはポーランドに、ある人のはテルアビブに、しかし私を含む3名の分は今も行方不明の状態でした。至る所に散らばってしまい、もはや手元に帰ってくる望みは薄いだろうという中で、最も辛いのは取り返せないものを失うという辛さでした。着る服などはまた買えばいいのですが、写真データを移し替えるために持ってきたハードドライブが入っていました。そこにはたくさんの資料や神学校時代に勉強したノート、思い出の写真や映像など大事なデータがたくさん入っていたのです。失えばもう二度と取り返すことはできないので、それだけが悔やまれました。世界に二つとない、オンリーワンなものほど失う悲しみがあります。確かに世界のどこかに存在はしているのに、見つけ出すことのできないもどかしさで一杯でした。しかしその体験を通して主は「あなたも私にとってオンリーワンの存在で、失われていた一人だったんだよ」と語ってくださいました。その時に、イエスさまのもとに帰ることができた喜び、そして失われていた時、主がどれほど痛み、悲しみ、忍耐を持って帰りを待ってくださっていたのかを思い感動しました。続けて主は語りました。「イスラエルの民一人ひとりも私にとって代え難い存在だ。彼らが今も世界中に散りばめられ、失われていることにどれだけ胸が傷んでいるか、あなたに分かるか。」その時本当に胸が苦しくなりました。イエスさまの時代から今までずっと彼らは盲目にされてきました。迫害されてきました。先の者なのに後にされてきました。それは異邦人である私たちが救われるためだったのです。私がイエスさまと出会い、信じることのできている事実はどれほどまでに奇跡的な恵みだったのでしょうか。そして神の摂理の中で、どれほどまでにユダヤ人の犠牲があったのでしょうか。この終わりの時代、福音がイスラエルに帰っていきます。そのために私はとりなして祈らなければなりません。

スーツケースは無事に帰ってきました。その時の喜びは言葉にできないほどです。であれば、主の愛するイスラエルの民が、主に立ち帰る時、天でどれほどの喜びがあるでしょうか。主の愛するものを私も愛し、主の喜びのために私の一生を捧げます。すべての栄光が主にありますように。

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