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ハイメール通信No. 169 それぞれの思惑・・・

9月初頭、国連に、昨年末のイスラエルによるガザ攻撃の報告書「ゴールドステイン報告書」が提出されました。
イスラエルは一方的であると反発。パレスチナのアッバス議長は、報告書に関する論議の延期を申し出て、ガザの犠牲者等から激しい反発を受けています。

エルサレムでは、仮庵の祭中に、神殿の丘で暴動が発生しました。続いて郊外でヘ石投げなどインティファーダを思わせる状況も報告されています。(写真:仮庵でにぎわう嘆きの壁。祈る母の膝で眠る男の子)

緊張の続くエルサレムですが、今年も恒例のクリスチャンによる仮庵の祭りカンファレンスが行われました。100ヵ国以上、7,000人のクリスチャンがエルサレムを訪問。カラフルなパレードでエルサレムの人々を魅了しました。

わたしは、世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光をもつのです。(ヨハネの福音書8:12)



■ ゴールドステイン報告書が呼ぶ波紋

9月1日、国連の人権問題を担当するリチャード・ゴールドステイン氏が、昨年末からのイスラエルによるガザ攻撃の調査資料を提出しました。

報告書には、ハマスのロケット弾に苦しむスデロット市民の実情も述べられています。しかし、ガザでイスラエル兵に虐殺されたとされる生々しいガザ市民の証が多数含まれており、結果的にはイスラエルを戦争犯罪者として訴えるものでした。

今後の論議によっては、国連安全保障理事会からジュネーブの国際法廷に提出され、直接関わった司令官やバラク国防相が裁判にかけられることになります。

実際はアメリカが拒否権を発動する可能性が高いので法廷にかけられることはないとも見られていますが、9月29日、イギリスを訪問中だったバラク国防相を、イギリス政府が逮捕するのではないかとの記事が一時出回りました。

ネタニヤフ首相は、9月23日からの国連総会でこの件に触れ、8年間もの間イスラエル南部の市民がロケット攻撃を受け続けているのに国連は一切何もしなかったこと、そのためイスラエルはガザを攻撃せざるをえなかったということ、またガザ市民の被害を最小限にするため、イスラエルが自らの兵士を危険にさらしても地上でのピンポイント攻撃を行ったと訴えました。

首相は、「ハマスはイスラエル市民だけでなく、ガザ市民の間から攻撃して彼等を盾にするという二重の罪を犯している」と訴えました。

<実際はどうなのか・・・?>

報告書にはガザで被害にあった生々しい市民の証言が多数書かれています。それらの出来事は国防軍でも調査中のものであり、実際は何があったのかは私たちにはわかりえない事柄です。

心理学によると、ホロコースト生存者に育てられた子どもたちは、成人してから「虐待する側」に立つ確立が高く、また戦場のような異常な環境では、通常では考えられないような心理状態になるため、暴力的な過剰防衛をする可能性は大いにあるということです。

いずれにしても、被害にあったガザ市民とともに、現場で関わった若い兵士たちの心にも大きな傷を残していることに違いはありません。またその兵士がこの報告書のゆくえをどのような思いで見守っているか、その苦しみは想像を超えています。

<苦境に立つアッバス議長>

パレスチナ自治政府のアッバス議長は、当初、ゴールドステイン報告書の論議を来年3月まで延期すべきであると表明しました。

理由は現在進行しかかっているイスラエルとの和平交渉を守るためですが、アメリカから圧力がかかったのではないかとも推測されています。

その直後、ガザでは、市民らがアッバス議長に怒りを発し、議長の顔写真に大きな×マークをつけ、靴を投げつけるといった激しい抗議行動が行われました。

また10月4日には、仮庵の祭りでにぎわう嘆きの壁広場の真上、神殿の丘で暴動が起こりました。神殿の丘では、真下の嘆きの壁で祈っている人々を傷つけるための石が多数みつかっています。そのためイスラエル政府は、仮庵の祭り中に神殿の丘で礼拝するイスラム教徒を50才以上に限定しました(若者は暴力的になりやすいため)。

その後、東エルサレムで国境警備隊に石を投げるなど、「第三インティファーダ(民衆蜂起)」の再発かとも言われるような動きが今も続いています。
このような中で、13日、アッバス議長は急にゴールドステイン報告書の審査をすぐにでも始めるべきと発表、以前の発言を覆しました。

<オバマ大統領の立場>

オバマ大統領は、イスラエルの立場に理解を示し、報告書の論議は延期すべきと考えています。

しかし、二国家共存への強い意志を明確にしており、西岸地区でのイスラエルの入植地活動を直ちに凍結するよう圧力を強めています。同時に、イスラエルはユダヤ人の国であると認め、暴力を停止するようにパレスチナ側に求めています。

オバマ氏はアメリカの大統領に就任してまだ10カ月ですが、この強い二国家共存案をおし進めていることも加味され、ノーベル平和賞を受賞することとなりました。

<祈り>

  1. 報告書が国際法廷に提出されることのないように
  2. 家族を失ったガザ市民とともにガザの戦闘に従軍したすべての兵士たちの癒しを覚えて

■ イランとアメリカ、そしてロシア

核疑惑の消えないイラン。波乱の選挙でイランの大統領に留任したアフマディネジャド大統領に、国連での発言権を認めるかどうか物議をかもしていましたが、最終的にその機会が与えられました。

アフマディネジャド大統領は、神は唯一と語るなど、宗教的要素を多数含む演説を行いました。

イスラムの終末論によると、ムフティ(聖書で言えばメシアにあたる人物)が世に到来し、世界を治めると信じられています。またその前に、世界は大変なカオス(混沌)に陥るとも言われています。

イランが、ムフティの到来のために核兵器を使用する可能性も否定できず、イランが核保有国になることは大変危険 なことです。

アメリカは、9月末までにイランが態度を変えなければ、新しい方針を立てると公言していましたが、10月現在、イランは、態度を変えて今までIAEAの査察を受け入れなかった核工場に査察を受け入れると発表しました。

しかしながら、これはイランが世界の核廃絶に協力する意図があるとはいえません。イランは他にも核工場を建設しているからです。イランが態度を変えたことで対処が、難しくなったと分析されています。今後アメリカの動きに注目されます。

ロシアはイランに対する新しい制裁に反対しています。評論家は、ロシアがイランの核開発にきわめて寛容なのは、イランの核開発の現状を誰よりもよく知っているからではないか(つまり、まだ危険な状態ではないということ)と分析している新聞もあります。

<祈り>

  1. イランの動きを主が制していてくださるように

■ ギラッド・シャリートさん無事のビデオ

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-3784612,00.html

ハマスに拉致されたままのギラッド・シャリートさんが映されているビデオがハマスから両親に送られました。このビデオと交換に、イスラエル政府は20人のパレスチナ人女性収監者を解放しました。

ビデオの中でシャリートさんは、撮影されたのが9月14日であることを、パレスチナ人の新聞を使って証明し、両親やイスラエル政府への手紙を読み上げました。

政府には、彼の解放に十分な力を注いでいないと落胆の思いが述べられました。その後シャリートさんは立ち上がって数歩歩き、体が完全であることを証明しました。

ビデオが出たからと言って、シャリートさんの解放が確定したわけではありません。逆に今後の対処の仕方によっては、彼の命が危険にさらされる可能性もあります。今後イスラエルがハマスの提示通りに動かなければシャリートさんを殺害し、応じなかったイスラエル政府を非難することができるからです。

イスラエルはシャリートさんの位置を確認していると言われています。ハマス側もそれを察知し、シャリートさんのいる地点を武器で囲んでいるということです。もしイスラエルの特殊部隊が救出のために突入してくれば、すぐにシャリートさんを殺すためです。過去に特殊部隊が拉致された兵士を救出に突入し、その時に兵士は殺害されたという記録があります。

<祈り>

  1. イスラエル政府とハマスの交渉を主が導いて下さり、最善の形でシャリートさんが返還されるように
  2. シャリートさんの健康と命が守られるように

■ 仮庵の祭りとクリスチャン

イスラエルでは10月4-8日まで、全国的に仮庵の祭りが行われました。この間、毎年恒例のクリスチャンによる仮庵の祭りカンファレンスも行われました。

エルサレムでは、仮庵で世界各国からユダヤ人が来ている上に、1000ヵ国以上から7,000人近いクリスチャンも来て、大変な混雑となりました。

ヨセフとマリアが登録のためにベツレヘムに来たとき、宿泊する場所がなかったと言われていますが、現在もその時と同じです。ホテルはどこも満員、宿泊費はどこも割高になりました。毎年恒例のこのカンファレンスは、イスラエルにとって最大の経済効果をもたらす集会となっています。

今年ネタニヤフ首相は、ビデオを通じてカンファレンスに参加しているクリスチャンに挨拶を送りました。

エルサレムパレードでは、エルアル航空や、バンクレウミなど、大手の企業がパレードを行い、それに続いてクリスチャンがカラフルな国旗や民族衣装を着て、エルサレムの町を歩きました。100ヵ国以上の代表団がイスラエル支援を叫びながら次々に歩いていく、その列 は道いっぱいに広がり、延々と続いていました。

パレードに参加した代表団たちはそれぞれの小さな国旗を道行く人々に渡すなどして、イスラエルへの想いを伝えていました。(写真:パレードをみているエルサレムの人々)

ユダヤ教のラビたちは、福音宣教の可能性があるため、ユダヤ人がこのカンファレンスやパレードに参加しないよう通達を出しました。しかし、一部のラビたちがカンファレンスでセミナーを担当し、パレードには7万人が参加するなど通達はほとんど無視されたようです。

<祈り>

  1. 終末が近づいています。
    イスラエルで世界諸国にリバイバルを与えて下さるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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