ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 156 どう終わらせる・・?
ガザ総攻撃が始まって2週間になりました。パレスチナ側の死者は846人。民間人も多数犠牲となりました。イスラエル側の死者は13人(民間人3人)となっています。
10日、イスラエルは国連安保理の停戦決議案を拒否、ハマスも続いて拒否し、戦争は終わる気配がありません。
北部では南レバノンから発射されたミサイルがナハリヤに3発着弾し、懸念がひろがっています。
西岸地区ではユダヤ人を拉致しようとしたパレスチナ人が逮捕され、警戒態勢に入っています。西岸地区ではハマスとファタハメンバーの衝突も報告されています。
時間がたてばたつほど市民の犠牲者が増え、反イスラエル感情は高まり、世界、特にヨーロッパに不安定な空気が広がっています。戦争をどう終わらせるのか、指導者たちの必死の模索が続いています。(写真:イスラエル閣議 1月4日 右はしオルメルト首相・左はしバラク国防相)
万軍の主はわれらとともにおられる。
ヤコブの神はわれらのとりでである。 セラ
来て、主のみわざを見よ。
主は地に荒廃をもたらされた。
主は地の果てまでも戦いをやめさせ、
弓をへし折り、槍を断ち切り、戦車を火で焼かれた。
「やめよ。
わたしこそ神であることを知れ。
わたしは国々の間であがめられ、
地の上であがめられる。」
万軍の主はわれらとともにおられる。
ヤコブの神はわれらのとりでである。 セラ (詩篇46:7-11)
ガザでの戦闘が始まってから14日目となりました。パレスチナ人の犠牲者は846人に上っています。国防軍は、ハマスのトップ指導者300人がすでに死亡したと推測しています。
しかし、8日イスラエル政府は、さらに攻撃を継続することを決めました。激しい空爆とともに、地上ではハマスとイスラエル軍兵士が直接撃ち合う戦闘がくりひろげられています。
10日、イスラエル軍はグラッド・ミサイルなどでイスラエルを攻撃してきた指導者アミール・マンシを殺害したと発表しました。
ガザ住民には、改めてハマスとの関係を避けるようにとの警告が出されており、イスラエル軍はさらに攻撃の手を強める方針のようです。
最前線兵士の証言によると、ハマスは民間人を巻き添えにすることを躊躇せず、あらゆる手段(心理的な作戦を含めて)でイスラエル軍への抗戦をしています。イスラエル側の戦死者は10人。19才、23才、27才と若い兵士たちで、遺体はそれぞれの家族に引き取られ、軍葬の形で葬られています。
*イスラム聖戦は10日、イスラエル軍兵士の小型ロケット弾(外枠のみ?)の他、血のついた軍服やホットドッグのから袋など個人的な持ち物を盗み出し、公表しました。これはすなわち、彼らがいつでもイスラエル軍内部でゲリラ戦ができると脅迫しているものと思われます。
2006年の第二次レバノン戦争では指導者の指揮、国防軍の指示系統の乱れ、補給の不備など様々な課題が浮き彫りとなりました。最終的には国防軍のしきりなおしが必要とされ、アシュケナージ参謀総長がその任にあたりました。
今回のガザ攻撃における国防軍は統率のとれた動きを見せ、構造改革の結果を見せています。前回酷評を受けたバラク国防相は、戦争が始まってから支持率をあげているもようです。
ハマスはイスラエル領内のアシュケロンやアシュドッドなどへ向けて日に30~40発のロケット弾を撃ち込んでいます。負傷者は出ていますが、死者はありません。(写真:ロケット弾警告のサイレンで伏せる親子)
ハマスは10日、テルアビブ近郊の空軍基地(ガザから27Km)にミサイルを撃ち込んだと主張していますが、イスラエル側は否定しています。
4日前、イスラエルはUNRWAの学校をイスラエルが攻撃したとして激しい非難を受けました。イスラエル軍がユーチューブを通じて説明したところによると、攻撃してくるハマスに応戦したところ、民間人が避難していた学校であったということです。
イスラエル軍は頻繁にビラをまき、民間人はハマス関係施設、ハマス関係者から離れるように警告していますが、ハマスはなお民間人が密集するところから攻撃してくるので、民間人の巻き添えを避けることが大変難しくなっています。イスラエル軍は、ハマスが作成した「民間人を盾にした市街地作戦」が記された地図を発見しています。
さらに、国連決議案をイスラエルが拒否したというニュースとほぼ同時に、イスラエル軍が110人のパレスチナ市民を一つのビルに移動させ、24時間後にそのビルを空爆し30人が死亡したというニュースが流れました。
いかにも昨日起こったように、しかもイスラエル軍がガザ市民を殺害することが目的で犯した犯罪のようにも聞こえますが、これは、国連人道支援担当者が未確認の証人の証言にもとづいて1月4日に発生したと主張するできごとです。
イスラエル軍はすでに調査中との返答を出しており、イスラエルの新聞にはこの事件に関する記事はありませんでした。
この事件を記事にしていたニュースメディアにはCNNがありますが、すべてのメディアが取り上げているわけではありません。
日本では、国連決議の内容を記事に載せず、イスラエルの立場は考慮されず、イスラエルは決議案を「無視」と報じた新聞もありました。
イスラエルは決議案を検討した結果、自国をハマスのミサイル攻撃から守るために、「拒否」を決定したのであり、決して「無視」したものではありません。(次の記事を参照)
時間が経つに連れて、民間人の犠牲者が増え、世界の反イスラエル感情が高まっていきます。今回、イスラエルが目標とするところは、「現状を打破し、ガザ地域の治安を完全に回復すること」です。1日も早くこの目標が達成され、戦争が終わるようにとりなしが必要です。
(学校に仕掛けられた爆弾を爆破される前にイスラエル軍が発見:イスラエル外務省HP) Video: Gaza school and zoo wired with explosives
(民間人をたてにするハマスに関するイスラエル政府のアピール映像:イスラエル外務省HP) Video: Hamas use of civilians as human shields
ガザへイスラエルが攻撃を開始して2週間が経ちました。延期されていた国連安保理が8日、停戦に向けた決議案を出しました。イスラエルのオルメルト首相は「イスラエル市民の安全を守る具体案がひとつも盛り込まれていない」としてこの決議案を拒否しました。安保理決議案の内容は以下の通りです。(概略)
現在の安全保障理事国
常任:アメリカ・イギリス・中国・フランス・ロシア
非常任:クロアチア・コスタリカ・ブルキナファン・ベトナム・リビア(2009年末まで)
①はすでに実行中です。イスラエルは1日に2-3時間空爆しない時間帯を作り、人道支援物資を毎日運び込んでいます(前回号外ハイメール参照)。ハマスはこの短い停戦時間中にもイスラエルへミサイルを撃ち込みました。
②についてUNRWAは、これまでハマスのかくれみのとして利用されることが多々ありました。UNRWAの活動には警戒も必要になることがあります。
④について、イスラエルはこれまでの空爆によって70本の密輸トンネルを破壊しました。2005年以来、EUが担当してきた監視は全く功を奏していなかったことは明らかです。EU監視団はハマスがガザを制覇した2007年6月、すでに撤退してしまいました。
⑤のアラブ和平案は、穏健派アラブ諸国との国交正常化に引き換え、イスラエルは1967年国境線まで撤退するという和平案です。要するにこの決議案は、イスラエルに即時撤退を求めるもので、イスラエルを保護する提案はなにもないということです。
アメリカは今回の安保理決議案を棄権しました。ライス国務長官は、「なぜこの戦争が始まったかをよく考えましょう。イスラエル市民の安全を確保しなければネりません。また、いかなる停戦案にも(ハマスに拉致されているイスラエル兵)シャリートさんの返還を盛り込まなければなりません。」と語りました。
*シャリートさんの母親は政府に対し、同様の嘆願を出しています。
イスラエルに続いてハマスもこの決議案を拒否 イギリスの新聞タイムによると10日、安保理は次の停戦案を提示しました。以下の通りです。
①ガザ地区はパレスチナ自治政府の支配下に戻す
②武器密輸に使われてきたガザとエジプトの国境はトルコとフランスの軍が監視する
皮肉にも、この停戦案が出される前にパレスチナ自治政府のアッバス議長は、酷評の中、辞任をせまられ、総選挙をしない限りは議長職から降りないと主張したという経過がありました。さらにハマスは9日、改めてアッバス議長をパレスチナ人の代表とは認めないとの声明を発表しています。
さらに、エジプト政府も自国内に外国の軍隊を招き入れることを拒否しており、この停戦案は実行不可能と見られています。
8日、朝7:30、北部イスラエルの町ナハリヤにカチューシャロケットが3発着弾しました。1発は2F建てケアハウスに入居中のバティヤさんの部屋を直撃し、部屋を完全に破壊し、下のキッチンを貫通していました。
バティヤさんはその10分前に階下に朝食に降りていて一命をとりとめました。他の入居者も皆朝食に降りていて無事でした。
ヒズボラは関与を否定していますが、ナハリヤ住民の中には、2006年の戦争経験からすでにハイファへ一時避難をする住民もでているようです。
10日(土)、世界の町で反イスラエルデモが行われました。レバノンはじめ、中東諸国、またロンドンではイスラエル領事館前に20,000人、ハイドパークには12,000人が終結しました。パレスチナの旗をふりながら「パレスチナに自由を!」などと叫びました。パリでは30,000人、ドイツでは全国の町々で40,000人(このうち,8500人がベルリン市内でデモ行進しました)
イスラエル国内でも国道65号線に沿って数百人のユダヤ人とアラブ人が手をつないで立ち並び、反戦を訴えました。
西岸地区のラマラでは9日反イスラエルデモを行っているファタハメンバーとハマスメンバーの間で衝突がありました。治安部隊は催涙弾を使って沈静化しています。ヘブロンでも3000人の反イスラエルデモが行われました。
戦争が長引く中、私たちは何を指針に祈るのでしょうか。これからの情勢で注目しつつ祈る点は以下の通りです。この戦争で、イスラエルの人々が彼らの主により頼むことができるようにとりなしましょう。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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