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イスラエルという土地 -後編-

パメラ・トーマス/BFP英国総責任者

前号では、イスラエルにユダヤ人国家を築く土台となった「神とアブラハムとの契約」、また、その再確認ともなった「神とダビデとの契約」について学びました。

テトスの門のレリーフ。エルサレム神殿を
打ち壊して得た 略奪品を担ぐ兵士たち

イスラエルの国土の小ささ及びその位置、また、他国に取り囲まれたその環境から、イスラエルは何世紀にもわたって度重なる侵略を体験してきました。バビロンの王ネブカデネザル、メディアの王クロス、アレキサンダー大王などを含めた諸国の強力な王たちの手に、イスラエルは何度となく落ちました。その結果、ユダヤ人の世界離散が引き起こされたのです。

イスラエルの人々は、大部分がバビロンへ捕囚となって送られるまで、約束の地に残っていました。またそのすべてがバビロンに捕囚になったわけではありません。そのときから第二神殿時代の終わりに至るまで、この地には常にイスラエル人が残されてきました。さほど多くはありませんでしたが、ネヘミヤの時代に人々がイスラエルに帰還した輝かしい出来事が聖書に記録されています(紀元前464年頃から423年頃)。彼らはイスラエルに以前から残っていた人々と協力し、エルサレムの町の城壁を回復したのです。紀元前5世紀に書かれたとみられる、エジプトで発見されたエレファンタイン・パピルスと呼ばれるユダヤの古文書類が、聖書のその記述の信憑性の高いことを記しています。

当時エルサレムに住んでいたユダヤ人を非常に心配したネヘミヤは、大胆な行動に出ました。彼は勇気を振り絞ってアハシュエロス王に会見を求め、エルサレムに自分が戻り、エルサレムの町全体を取り囲んでいる城壁を修復するという壮大な計画のために、王の援助を要請したのです(ネヘミヤ2:1-9)。ユダヤ人に敵対する者たちの共謀と妨害にもかかわらず、その城壁は奇跡と言えるほどの短期間、52日間で修復が完成しました(ネヘミヤ6:15)。祭司エズラはその後、人々を聖別する役目を果たしました。人々が「神の律法に従って歩む」ことを再確認することを通して、神との契約は更新されました。(ネヘミヤ10:28、29

その後、ローマ帝国が約束の地を占領することに成功しました。紀元70年にエルサレムの神殿が破壊されてからも、多くのユダヤ人がエルサレムに残りました。その他のユダヤ人は紀元70年から1948年の間に帰還してきましたし、今日に至ってもなお彼らは帰還し続けています。「一つの家族から生じた民族が、指定された土地に3420年以上もの間、民族としての独自性を保ち、古くからの言語、宗教、文化を保ち続けてきた例は、この民族のほかにはありません」(ウィリアム・C・ブラッド著『最終的民族脱出』P16)。神はご自身の言葉を守られました。創世記17章7節から8節にはこのように記されています。

「わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。わたしは、あなたが滞在している地、すなわち、カナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」

現在の状況

私たちは現在、エレミヤの預言が成就しつつある時代に住んでいます。エレミヤは次のように預言しています。「見よ。わたしは、わたしの怒りと、憤りと、激怒とをもって散らしたすべての国々から彼らを集め、この所に帰らせ、安らかに住まわせる。彼らはわたしの民となり、わたしは彼らの神となる。わたしは、いつもわたしを恐れさせるため、彼らと彼らの後の子らの幸福のために、彼らに一つの心と一つの道を与え、わたしが彼らから離れず、彼らを幸福にするため、彼らととこしえの契約を結ぶ。わたしは、彼らがわたしから去らないようにわたしに対する恐れを彼らの心に与える。わたしは彼らを幸福にして、彼らをわたしの喜びとし、真実をもって、心を尽くし思いを尽くして、かれらをこの国に植えよう。」(エレミヤ32:37-41)

イスラエル国家の誕生を宣言する
デビッド・ベン・グリオン
www.israelimages.com/GPO

西暦1948年5月14日、午後4時、デビッド・ベン・グリオンが立ち上がり、集まっていた聴衆に向かって演説し、「古代ユダヤ・ヘブロン・サマリヤの継承者として、ただ今、イスラエル国家(「エレツ・イスラエル」)が誕生しました!」と宣言しました。近代シオニズム運動の父テオドール・ヘルツルやホロコーストの犠牲者として滅ぼされた何百万人のユダヤ人の夢がついに実現したのです。奇跡が起こりました。国連が公式にイスラエルの国家を承認したのです。紀元70年にローマ人によってもたらされた離散の憂き目に遭ったとき以来、大量虐殺、民族抹殺計画、ゲットー(ユダヤ人隔離政策)、国外追放などあらゆる辛酸を乗り越えて、ユダヤ人は見事に生き延びてきました。そればかりでなく、祖国に帰還し、再建できるほど大勢の人々がどうして残されていたのでしょうか。近代のイスラエル国家の誕生は、神の奇跡による以外の何物でもありません。

近代になって起こったこの奇跡を可能にしたのは、神ご自身です。1861年には、ロンドン、フランス、ドイツの各地でパレスチナに人々を入植させる手助けをすることを目的とする協会が設立され、それがやがてイスラエルへの移住を促進させる実際的な手段となりました。当時の暗黒時代、ロシアと他のヨーロッパ諸国にいた神に忠実なユダヤ人はシナゴーグに集い、申命記に記されたイスラエルに対する神の約束を読み続けることを止めませんでした。彼らはユダヤ人が何世紀にもわたって祈り続けてきた祈りの言葉、すなわち、「来年こそはエルサレムで神を礼拝することができますように!」という祈りを決して途切れさせなかったのです。

帰還に関する年代別の主な出来事

  • 1897年
    テオドール・ヘルツルによって提唱された第一回目のシオニスト会議が開かれました。ほとんどの西洋諸国からユダヤ人指導者が集まり、次のような議決文が可決されました。「シオニズムは、パレスチナ地方に、憲法で保障されたユダヤ人のための故郷を造り出すことを目的とする」。
  • 1914年
    9万人以上のユダヤ人がすでにパレスチナに住んでおり、キブツ(共同体)が少なくとも43箇所に定着していました。
  • 1917年
    バルフォア宣言。大英帝国の当時の外相アーサー・バルフォアは、ユダヤ人のための故郷をパレスチナに設立することに賛同しました。ユダヤ人移住者の数が増加し、荒地が肥沃な畑地へと変わっていくにつれ、アラブ人は次第に恐れを感じ始め、敵対心を強めていきました(*注:イスラム教の原則では、神によって一度呪われた民が再建され、アリヤー〔帰還〕することは、悪魔の働きであると理解されている)。1929年には、ユダヤ人入植者に対する大規模な攻撃が始まりました。そして1936年、アラブ人は当時の英国による支配に対して謀反を企てました。当初、英国人はパレスチナに法と秩序をもたらす権威として存在感を示していました。しかし、1939年までに、パレスチナにおける無法状態が悪化するにつれて、英国議会はバルフォア宣言を撤回し、アラブ人の独立と彼ら自身による自治に賛同する白書を提出しました。
  • 1932年
    イラクが独立国家となりました。
  • 1943年
    レバノンがフランスから独立を獲得しました。
  • 1944年
    シリアが独立国となりました。
  • 1945年
    「アラブ連盟」がエジプト、シリア、レバノン、イラク、サウジアラビア、イエメン、トランス・ヨルダンによって結成され、ユダヤ人国家設立に反対し敵対する勢力となりました。
  • 1946年
    トランス・ヨルダンが英国の委任統治の終結と共に独立を獲得しました。
    国連はパレスチナをユダヤ人とアラブ人それぞれによる二つの国家に分割することを決議しました。
  • 1948年
    5月14日、イスラエル政府が65万人のユダヤ人によるイスラエル国家を公式に樹立しました。

「見よ。わたしは、わたしの怒りと、憤りと、激怒とをもって散らしたすべての国々から彼らを集め、この所に帰らせ、安らかに住まわせる。」(エレミヤ32:37)

イスラエル国家の設立以来、(最新のレバノン戦争を除き)8つの戦争がその国境線を挟んで起こりました。神は「『わたしは彼らを彼らの地に植える。 彼らは、わたしが彼らに与えたその土地から、もう、引き抜かれることはない。』とあなたの神、主は、仰せられる。」(アモス9:15)というみことばを成就され、今日もこの国家が存在し続けています。1967年のいわゆる六日戦争で、エルサレムがローマ時代以来、初めてユダヤ人の支配下に入りました。最近のレバノン戦争が示すように、この地域には紛争が絶え間なくあるのです。

ユダヤ人国家とパレスチナ人国家の共存を試みることで、街角を歩く一般の人々、バスで通学する子どもたち、市場で買い物をする母子たち、コーヒー店でくつろぐ若者たちなど、ほとんどすべての人々がテロという苦痛に日々直面してきました。
世界の大国の指導者たちは、パレスチナの人々との交渉による「平和な地」の実現を叫び求めていますが、それは今なお実現に至っていません。また余り知られていないことですが、パレスチナは歴史上のいかなる時点においても独立国家となったことがありません。

結論

世界の少数民族と言えるこの人々が、抑圧、迫害、吸収同化への圧力など、あらゆる困難にもめげず、消されることを頑固に拒否し続けているその様は、歴史の謎とされています。

ユダヤ人はイスラエルの地に
4千年以上も住み続けてきた

ここに神の摂理、計画があります。イスラエル民族には救い主を生み出す役割と、その方を再びお迎えするという重要な役割が与えられています。もしユダヤ人の独特な霊的・文化的遺産の中に、延命のための策略があらかじめ練られていなかったなら、多くの災難を乗り越えて生き延びることはほぼ不可能だったと思えます。ユダヤ人が生き延びることを可能にした最も重要な手段の一つは、彼らの宗教的諸書、歴史的文書、律法など、選民である彼らに与えられた神のみことばでした。ユダヤ人は、幾世紀もの離散時代の間に激しく試みられました。その試練は、たいへん親密な家族関係、ユダヤ人社会、公同の礼拝、宗教教育、やがて来られる救い主への信仰などを含めた、彼らの生き様を根幹から脅かすほどでした。

ユダヤ人が今日も依然として自分たちの救い主の到来を期待しているという事実が、契約によって裏打ちされた神の真実さを指し示しています。

ユダヤ人は4千年以上もイスラエルに住んでおり、聖地における最も長い歴史を誇っています。イスラエルの地は本来神に所属し、神ご自身が誰にそれを保有させるのかを定めておられます。神の明らかな臨在が過去においてこの土地で明らかにされました。救い主が到来されたとき、もう一度、聖地に居住する神の民によって、神の栄光が輝くことになります。そして、救い主イエス・キリストが、エルサレムから世界を支配されるのです。

「来年はエルサレムで!」との切なる祈りを、私たちも捧げたいと思います。

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