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ティーチングレター

霊界を具体的に理解する 天使とは悪魔とは何か -前編-

BFP編集部 2004年2月

科学とヒューマニズムこそ、1960・70年代にかけて人類にとっての王でした。ある雑誌は“神は死んだ”とショッキングな一言を掲載しました。しかし実際は過去30年間にわたり、人々は超自然的なものに傾倒し続け、社会での宗教の重要性も増し加わりました。

2002年に世界各国の3万8千人を対象に行われた公式調査によると、「宗教をもつことは大切である」と答えた人々の割合は59%でした。天使や悪魔にかかわる映画やテレビドラマが過去数年間で大流行しています。こうした霊的存在が私たちの住む世界の一部であるという認識は、もはや普通になっています。

多くの人々は、テレビや映画や小説など、市場で製造されるもの、またオカルトや多神論を通してのみ、天使と悪魔について理解します。しかしながら、神を信じる私たちは、神の創造物として彼らを理解する必要があります。そして、これらの霊的存在について真の理解を与えてくれる唯一の情報源は聖書にあります。

今月はまず、聖書に厳密に基づいて彼らについて理解を深めていきます。そしてクリスチャンが神の支配される霊界の中でいかに生きていくべきか、来月の後半で結論を得たいと思います。

天使とは何か

人間との違い

役割

天使は、神のみことばを伝える者となるべく(ヘブル12:22、詩篇68:17)創造された霊的存在です(コロサイ1:16)。彼らの数はおびただしく(ダニエル7:10、詩篇68:17)、神に仕え、また神の目的を成すために人に仕える存在です(ヘブル1:14)。彼らは預言者たちに神の啓示を示すために現れます(II列王1:15、ダニエル4:13-17、8:15、9:21、ゼカリヤ1:8)。また、迫り来る災害から人を守ることができます(詩篇91:11、マタイ2:13)。聖書では、天使が現れ、警告し、導き、教え、守り、戦い、また必要に応じての助けを与えるという場面がいくつも出てきます。また、神に敵対する者たちのもとに遣わされ、神の罰を遂行します。

性質

彼らは己ではなく、常に神に目を向けます。聖霊のように、人の中に内在することはありませんが、人の姿形をとって、神がお許しになる時に姿を現し、また消えます(創世32:1-2、ダニエル10:6、黙示10:1)。しかしながら、いかに霊的な存在であろうとも、彼ら自身が崇拝の対象となることはありません(コロサイ2:18、黙示19:10)。

霊的存在であるがゆえに、天使は死ぬことも、また病気にかかることもありません。人間と違い、結婚することもありません(マタイ22:30、マルコ12:25)。ここで挙げたみことばは同様に、人は復活して天に挙げられると、結婚はしないことを明らかにしています。天使と同じ状態になるのです。このため、「天使たちが結婚しない存在ならば、彼らには性別が存在しないのだ」という解釈も生まれました。しかし聖書のどこにもそのようなことは明記されていません。

自由意志がない

神の御国では、人間は天使よりも若干劣る者として位置付けられている(ヘブル2:5-7)一方で、自由意志がないゆえに、人間が味わう恵みや信仰、救い、また聖霊なる神の内在を経験することがありません。神を父と呼ぶことも、自ら福音を語ることもできません。天使には(神に従うかどうかの)選択権が与えられていますが、いったん神に逆らうことを選んだら、永久にそれに縛られます。

その一方で、天使は持続的に神を礼拝し続けることができます(黙示5:11-12)。

天使たちには知識がありますが、神のように全知全能ではありません(マルコ13:32)。人よりは力があり(IIテサロニケ1:7、IIペテロ2:11、詩篇130:20)、そして神の御心によって人に罰を下します(ヘブル1:7、II列王19:13、I歴代21:16、使徒12:22-23)。例えば、死の天使がエジプト全土に臨み、その住民と生き物の長子に死をもたらしました(出エジプト11章)。また、エルサレムを包囲した18万5千人ものセナケリブの軍勢を打ち破りました(II列王19:34-36)。

姿

天使はいつも人間、それも男性の姿をとって現れます。セラフィムの場合は別です(イザヤ6:2)。決して、人間以外の姿、つまり動物や他の物質の形態を取ることはありません。

天使の種類

絵画に描かれた
セラフィムの姿

天使たちにはさまざまな種類があります。大天使、御使い、セラフィム、ケルビム、主の使い、守護天使です。

大天使―天使長の座にあるのがミカエルです(ユダ9)。ミカエルはイスラエルの民を守る守護天使です(ダニエル12:1)。彼は将来に起こるサタンとの戦いに対し、天の軍を率いる将であり、主イエスが地上に再び来られてイスラエルを救われる際に共に現れます(Iテサロニケ4:16)。

御使い―最も良く知られている存在はガブリエル(“神の英雄”という意味)で、主のことばを伝える伝令者でもあります。彼は慈しみと約束を示す働きを担い、人々に神の御心を伝えるために現れます。例えば、ガブリエルは、主イエスによって終結する終わりの時代の幻(ダニエル8:25、9:21)を伝えました。エルサレムの神殿で香をたいていたゼカリヤのもとに現れたり(ルカ1:19)、マリヤに受胎告知をしました(ルカ1:26)。他の御使いたちもまた、神の目的に従って人々にみことばを伝え、また人々を守りました。

セラフィム第一ペテロ書3章22節で、権威と権力の象徴として描かれています。ヘブライ語で“燃え盛る者”“高貴な者”という意味があります。彼らは6枚の羽をもち、神の御座の上部に位置しています。彼らの役目は、常に神に賛美を捧げ、神の御名とそのご性質をほめたたえることです。神はご自分に仕える人々を洗い清めるために彼らを用いられます(イザヤ6:1-6)。

発掘品に刻まれた
ケルビムの姿

ケルビム―神の玉座の隣、下方に位置しています。とても強力で、羽と手と足があります(エゼキエル10章)。彼らはエデンの園にあるいのちの木や(創世3:24)、エルサレムの神殿の至聖所を守りました。他の天使たちと共に、彼らも神を賛美します。ケルビムの姿は、かつてイスラエルの民が荒野で建てた幕屋の中(出エジプト25:18)、その後ソロモンの建てた神殿の中に置かれた「あがないのふた」に刻まれました。

主の使い―彼らについては、聖書の中で50カ所にわたる記述があります。その多くがただ単に“主の使い”という天使について述べているのではなく、神である主ご自身を指しています。

神が姿を現されることを、「顕現(セオファニー)」という特定の言葉で呼びます。これは、一時的・視覚的・聴覚的なものすべてを含め、神の現れを現す言葉です。ここで留意すべきことは、唯一絶対の神が直接ご自分の姿を現されるのではなく、“主の使い”という天使を遣わして現されるということです。ただし、人として来られたイエスご自身に表された神の現れについては、「具現(インカーネーション)」と呼ばれて区別されます。

「顕現」にはいつも何らかの啓示が伴います。例えば、アブラハムの正妻サラによって荒野に追い出されたハガルのもとに主の使いが現れ、助けを与えましたが、これは神ご自身の御業でした(創世16:7、21:17)。また、創世記18章でアブラハムのもとを訪れた3人の人もまた、主の使いでした。アブラハムは彼らを“ご主人”と呼びました(3節)。出エジプトの時代には、神はモーセやイスラエル人と関わられ、直接的に導きと教えを与えられました。神は“わたしの使い”(出エジプト23:20-23、32:34)また“わたし自身”(出エジプト33:14)を遣わしてイスラエルの民を導かれたのです。

守護天使―彼らは私たちが生きる現実に実在する、個人的な存在です。詩篇の作者はこう言っています。「主の使いは主を恐れる者の回りに陣を張り、彼らを助け出される。」(詩篇34:7)。また次のように約束されています。「まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。」(詩篇91:11)。ダビデは詩篇で次のように語っています。「主をほめたたえよ。御使いたちよ。みことばの声に聞き従い、みことばを行なう力ある勇士たちよ。」(詩篇103:20)

ユダヤ教では、世界のそれぞれの国々には、神によって送られた守護天使、また天使が存在し、その国が神に対して取る態度によって、また神の御心に従って下された命令を通し、その国を祝福、あるいはのろうということです。ヨハネの黙示録1章から3章にかけて、七つの教会を守る御使いが登場しますが、彼らもこうした守護天使でした。

悪魔(サタン)、そして悪霊とは

その起源

次に悪魔、悪霊について見てみましょう。悪霊が生まれた背景には二つの説があります。まず、悪霊はルシファーに合流して、神に逆らった堕天使たちだという説があります。彼らは神に反抗していますが、やがてすべての生きとし生けるものと共に神の御前にひざまずき、主の御名を呼びます(ピリピ2:9-10)。他の説では、悪霊はもともと天使でも何でもなく、アダム以前の時代に存在した種族が神に滅ぼされ、その霊が地にとどまったものだとしています。どちらにせよ、悪霊は反逆者・ルシファーの部下たちです。

ルシファー――その起源

ルシファーは、ミカエルと共に大天使の座に就いていた存在でした。彼は“暁の子、明けの明星”(イザヤ14:12)と呼ばれ、神への礼拝を導く音楽隊の長であったと推測されています。アダムが誕生する前、天使たちが創造された時、神と共に地上を治めていたとする学派もあります。やがてアダムが創造され、神の権威の下で地上のすべてのものを治める者として定められました(創世1:26-28)。

中世に描かれたサタンの姿。
ヨブの羊飼いと家畜に災いを与えている光景

この時点でルシファーは、“己の地位を上げよう”と決意します。彼は自らが最初に置かれた地位に満足せず、神に反抗するという罪を犯し、他の天使たちを連れて出ていきました。彼に従ったすべての者たちは裁かれました。創造が始まった後――天地創造の第7日目、神が創造されたすべてのものを“良し”とされた後に、アダムとエバをエデンの園で誘惑した蛇は、ルシファーが姿を変えたものだったのです。

聖書の中で、ルシファーは“サタン(悪魔)”という名でも登場します。彼は、神への賛美を導く存在でありながら、自らも賛美を受けたいと望み、神に反抗しました。彼は自分の物ではないものを欲しました。このことは、彼が人間を試みる際の手段ともなりました。この性質は私たちの中にもあります。それゆえ神は十戒の中に、「……すべてあなたの隣人のものを、欲しがってはならない。」(出エジプト20:17)という教えを含まれたのです。イザヤ書14章12節から14節には、ルシファーが神に逆らった際に示した“五つの欲望”が記されています。「暁の子、明けの明星よ。どうしてあなたは天から落ちたのか。国々を打ち破った者よ。どうしてあなたは地に切り倒されたのか。あなたは心の中で言った。『私は天に上ろう。神の星々のはるか上に私の王座を上げ、北の果てにある会合の山にすわろう。密雲の頂に上り、いと高き方のようになろう。』」(イザヤ14:12-14)。しかし神は、高ぶった彼を次のように罰せられます。「しかし、あなたはよみに落とされ、穴の底に落とされる。」(イザヤ14:15)

ルシファーと悪霊たちの働き

ルシファー(サタン)は天の全天使たちのうちの3分の1、神に逆らった天使を配下に置きました(黙示12:4)。これら堕天使――悪霊たちは、「空中の権威を持つ支配者」(エペソ2:2)と呼ばれているルシファーによって支配され、神のやり方に反抗し、人間に苦しみを与えるなどして、神のご計画と目的の成就を阻むために働いています。特に「神に選ばれた人々」を標的とし、彼らにつまずきを与えようと努めています。もともと光輝く栄光に満ちた天使であった彼は(エゼキエル28:12-17)、真実を捻じ曲げて人々をだまします。サタンとの戦いについて、パウロは言っています。「私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。」(エペソ6:12)

サタンは全能者ではありません。彼もまた、神に造られた者です。クリスチャンは、サタンや悪霊から干渉を受けたり、あるいはいろいろと苦しめられたりすることがあるかもしれませんが、主イエスの御名の権威によって、彼らに私たちのもとから出て行くよう、命じることができます。

ルシファーと悪霊の末路

聖書は、やがて天にてルシファーとミカエルの間に最終戦争が起こることを告げています(黙示12:9)。ルシファーと悪霊たちは、神と、神のご計画を滅ぼそうと努めたため、裁きが予定されているのです(IIペテロ2:4)。マタイは、悪魔、堕天使を永遠に焼くための炎が用意されると言っています(マタイ25:41)。これは神のご計画の中に用意されています。マタイ伝8章29節で、イエスが悪霊を追い出そうとされたとき、悪霊が何と言ったでしょうか。「神の子よ。いったい私たちに何をしようというのです。まだその時ではないのに、もう私たちを苦しめに来られたのですか。」

彼らは自分たちがやがて苦しめられることを知っていたのです。マルコ伝での同じ場面では、悪霊たちはむしろ、自分たちを守るように神に助けを求めています。「いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのですか。神の御名によってお願いします。どうか私を苦しめないでください。」(マルコ5:7)

黙示録は、やがて主イエスが地上に戻られ、エルサレムからすべてを支配されると教えています。「また私は、御使いが底知れぬ所のかぎと大きな鎖とを手に持って、天から下って来るのを見た。彼は、悪魔でありサタンである竜、あの古い蛇を捕え、これを千年の間縛って、底知れぬ所に投げ込んで、そこを閉じ、その上に封印して、千年の終わるまでは、それが諸国の民を惑わすことのないようにした。サタンは、そのあとでしばらくの間、解き放されなければならない。」(黙示20:13)。穴から解き放たれたサタンは、もう一度諸国に干渉し、彼らをだまして神に反抗させようとします(黙示20:7-9)。この時点で、神はサタンと悪霊たちを罰し、永遠に苦しみの刑を与えます。「そして、彼らを惑わした悪魔は火と硫黄との池に投げ込まれた。そこは獣も、にせ預言者もいる所で、彼らは永遠に昼も夜も苦しみを受ける。」(黙示20:10)

そして、神は“新しい天と新しい地”を創造されます。そこでは、自らの意志によって神の救いのご計画に従い、サタンに同調することを拒み、神の王国に住むことを望んだ、選ばれた人々が神と共に住むことができるのです。

また来月の後編で、霊界についての理解をさらに深めていきましょう。

エルサレムよりシャローム

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