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プロジェクトレポート

「君はみんなの宝物」 - 夢は大きく!

TEXT.大坪幸子(B.F.P.Japan継続支援プログラム担当)

カーミエル市のハデケル小学校、キッズプログラムに参加している子どもたち

キッズプログラムは現在、ベイトシェメシュ市7校とカーミエル市1校で300人のキッズを支援しています。さらに、新年度には、新たにエルサレムで1校、50人のキッズが加わります。今回私たちはハデケル小学校を視察しました。

ハデケル小学校訪問

「皆様のおかげで、支援を受けている子どもたちが尊厳を取り戻しています。少なくても学校にいる間は、自分もほかの子たちと同じなんだと思えるからです…。彼らにとって、このプログラムは、荒野の中の避難所なのです」(ハデケル小学校の先生)

ハデケル小学校は、BFPキッズプログラムの提携校です。全校生徒420人。そのうち80人がこの支援を受けています。内、7割が、移民の子ども。これは、移民が生活を軌道に乗せるのは容易ではないことと、子どもがその影響をもろに受けていることを物語っています。

着替えの無い子どもたちのための服

先生の言葉は、近代的な町の様子からは想像も付かない、切ないものでした。「毎日同じ洋服を着て来る子がいます。他に持っていないのです。家でシャワーを浴びられなくて、臭いがする子もいます。背が伸びても小さい服をずっと着ていたり、お下がりの大きな靴しかなかったり…。」そう言いながら、先生は応接室のロッカーを開けて見せてくれました。サイズ別に仕分けられ、きれいにたたんで積み上げられた服や靴。「いろんな団体からの寄付です。必要に応じて子どもたちにあげているんです」。

できる限りのことをしてあげたいと、いつも何かと心を砕いている先生たち。親たちは、一生懸命働いていますが、教育費を捻出できずつらい思いをしています。片親の家庭も多く、放課後の子どもたちの安全をどう確保したらよいか、皆、頭を抱えています。キッズプログラムが始まる前は、心を痛めることや心配事が尽きない毎日だったのです。

「でもこのプログラムのおかげで、この子たちは、1日1食は必ず温かい食事を食べられます。ノートもエンピツもカバンも、必要な物がすべていただけるので、みんなと同じように〝普通〟に新年度を迎えられます。放課後は安心して放課後クラブで遊べます。以前は本当に考えられなかったことなのです。」

初めての誕生日プレゼント

先生がうれしそうに写真を見せてくれました。誕生日プレゼントを抱え、ちょっと照れて、でもうれしくてたまらない笑顔で佇んでいる男の子や、はしゃいでいる女の子…。「みんなこのプレゼントが早く欲しくて、欲しくて、仕方が無いんですよ!」先生の声が弾みます。「わざわざ『僕いつもらえるの?○月は僕の誕生日があるよー!』って、忘れてないか確認してくるんです。それはもう楽しみにしているんです。」

毎日温かい食事を用意してくれる給食のおじさん

プレゼントはもちろん誰でもうれしいもの。でもBFPで支援を受けているキッズたちにとって、このプレゼントには特別な意味があります。多くの場合、このプログラムでもらうのが生まれて初めての誕生日プレゼントなのです!中身は、子どもたちの大好きなお菓子の詰め合わせ。ちゃんとラッピングされ、リボンも付いています。「これ、本当に私の?」生まれて初めてプレゼントを手にした時の彼らの驚き、喜びを想像できるでしょうか?自分は特別で大切な存在なのだ、ということを、言葉ではなく心いっぱいにリアルに感じることができるのです。

子どもたちを変えた支援

授業が終わって付近で遊んでいた子どもたちの中から先生がキッズを呼んでくれました。支援を受けている子の顔も学年も名前も、先生は一人残らず把握しています。

「シャローム!」口々に挨拶しながら、みんな応接室にゾロゾロと入って来ました。キラキラ輝く目、目、目・・・。はにかんだ笑顔、うきうきした顔、元気いっぱいに少しおどけて入ってくる子、恥ずかしくて友だちの陰に隠れる子ども。でも隙間から一生懸命にこちらを伺っています。思いがけない訪問客を前に、興味津々で興奮が抑えられない様子です。

「ありがとう!」と元気いっぱいに斉唱してくれた後、キッズプログラムで何が好きかと尋ねると、一斉に返って来た答えはやっぱり「プレゼント!」でした。それから?「動物園!!」これは、ちょっと前に遠足で行ったハイファ動物園のこと。参加費はプログラムから出ています。

他には?「サッカー!」「バスケ!」「放課後クラブ!」これは日本の学童保育に相当し、これもプログラムが費用を出しています。「お昼ご飯!」、「スクールバッグ!」キッズたちは自分が受けている支援をすべて知っていて、これらもちゃんと挙げてくれました。

彼らにとって、このすべてが、私たちが考えている以上の意味を持っていることをぜひ知っていただきたいと思います。

遠足。ほとんどのキッズは、旅行はおろか日帰りの遠出さえしたことがありません。そんな彼らには、町の外に出るというだけで一大イベント。それがなんと、イスラエル北部で最大の都市、あのハイファ、それも日常とは別世界の動物園(!)に行けたのです。先生いわく、その後もしばらく大興奮の日々が続いたそうです。

バスケットボールの試合で準優勝したキッズ

放課後クラブは、サッカー、バスケットボール、ヒップホップダンス、美術の中から好きなものを選べます。以前は、学校が終わった後、彼らには安心して過ごせる場所がありませんでした。今は学校に来てくれる専門のコーチと一緒に、大好きなスポーツの練習ができます。毎日この時間を心待ちにしているキッズたち。おまけに、試合で他の町へ遠征することもあります。こうして彼らの世界はまたちょっと外に広がるのです。

給食も、ノートやエンピツも教科書も、それを入れるカバンも、キッズの毎日を支える大切なアイテム。これがないとすべてが始まりません。みんな、自分たちが受けているものを決して当たり前だと思っていませんでした。そのすべてを、感謝を持って覚えているのです。

彼らの「やる気」が変わった、と先生は言います。「こんなに応援してくれるから、頑張るんだ」。苦手だったことにも向き合い、何にでも一生懸命に取り組み、今は自分のベストを尽くすことで応えようと、本当に頑張っている子どもたち。「僕、将来○○になれるかな…」とつぶやく時、先生は必ずこう応えます。「もちろん。夢は大きく持ちなさい。頑張れば何だってできるから。」

ここに、二人の子どもが支援を受けているシングルマザーの感謝の声があります。

「私は皆様がどなたかを存じ上げませんが、皆様は私の天使です。校長先生から伺いました。あなたはユダヤ人ではないのに、私たちの子どもたちを愛してくれるクリスチャンの友なのだと。私の子を慈しんでくださって本当にありがとうございます。神様がどうかあなたを祝福してくださいますように。」

こんなにもクリスチャンを慕うほどに心を触れられたユダヤ人が、歴史を振り返る時、いったいどれだけいたことでしょう。何という素晴らしいプログラムを神さまは私たちに与えてくださったことでしょう。

「あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。」(マタイ25:40)

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