プロジェクトレポート

言葉では言い表せない思い

昨年秋に、ブリッジス・フォー・ピースのCEOに就任しましたレベッカ・ブリマーより、フードバンクでの活動について報告させていただきます。

ゴルダさんとソーニャさん

「愛してる!!愛してるわ!!ありがとう、ベッキー!!」

私がある日、フードバンクで出会った一人の女性。彼女は、瞳を輝かせながら、私にこう言ってくれました。そして、私の両ほほに唇を寄せ、たくさんの思いがこもったキスを贈ってくれました。

このゴルダさん(ヘブライ語で黄金の意)は、旧ソビエト連邦(ロシア)の出身です。皆様の祈りとご支援により、BFPを通して食料を受け取っています。

ゴルダさんが語ってくれた生い立ち――それは、私の心を強く打つものでした。ロシアで暮らしていた時のこと、家族に悲しい出来事が起こりました。弟とその奥さんが、テロ事件に巻き込まれ、命を落としてしまったのです。

深い嘆きにくれる中、ゴルダさんは残された4人の子供たちを引き取りました。育ち盛りの子どもたち、それも4人も、あの経済難のロシアで育てることはほとんど不可能です。しかも女性一人で……そんな中、ゴルダさんは、家族全員でイスラエルへ帰還することを決断しました。

ゴルダさん自身は、身長150cmもない、小柄な女性です。しかし、愛を注いで育てている息子たちは、身長180cm以上に成長しています。「食べる分だけ、すくすく育っています……はっきり言って、BFPから受け取る食料がなかったら、あの子たちをどう養っていけばいいのか、生き延びることができるかどうかさえ分かりません。」――そう、ユーモアを込めて語りました。

やはりBFPから支援を受けているソーニャという女性から、彼女の思いのたけを書き綴った手紙を受け取りました。彼女はフランスから帰ってきたユダヤ人です。

「あなたがたは、私が本当に助けを必要としている時に、助けを送ってくれました。あなたがくださったのは、袋いっぱいの食料だけではなかった――そう、他にもあったのです。

それは、希望であり、慰めであり……そして愛でした。

本当に、ありがとう。多くの困難があり大変だと思いますが、この働きを続けてくださっている皆様の情熱と思い、本当に、ありがとう。イスラエルの国すべての人々のために、特に、苦しみの中にある人々を覚えて、捧げてくださる皆様の愛、本当にありがとうございます!!」

ことばの限界、BFPの限界

ゴルダさんも、ソーニャさんも、皆様のご支援によって、毎月食料を受け取り、やっと生きていくことができる、2万5千以上の人々の一部です。皆様へ向けて、このお手紙を書きながら、彼女たちの輝く笑顔を思い出しています。実際にフードバンクの支援を受けているイスラエル人と会い――彼らが示してくれた感謝の思いに満ちたあの抱擁とぬくもり……あのすばらしい笑顔を、愛を注いでくださっている皆様に、実際にお見せすることができればと、強く願います。そして、彼らが皆様に直接、「ありがとう」の一言をお届けすることができれば!!??心からそう思わずにはいられません。

デスクに座りながら、私は主の前に頭を垂れ、静まる時をもちました。「神さま。どうやったら世界中にフードバンクの働きの現実を、私たちの使命を、お伝えすることができるでしょう?」

言葉は限られたものです。イスラエルの人々の愛、感謝、笑顔、ぬくもり。子供たちの幸せに満ちた表情――とても表し切れません。

そしてBFPの現場も限界にぶち当たっています。「助けてください!」――と叫ぶ人々の訴えのすべてに、応えることができない、その現実に、フードバンクの現場スタッフは、日々打ちのめされ、心に深い嘆きを覚えています。

フードバンクの扉を叩く移民の人々の、不安に満ちたあの瞳。イスラエルへ来て数週間、あるいは一年という中で、新しい言葉であるヘブライ語との格闘。今月も子供たちを食べさせられるかどうかの恐怖。言葉も時間も体力も、限界がある中での就職活動――その苦境は、言葉では、とても表しきれません。

イスラエルの全人口の4分の1にあたる人々が、明日、十分な食べ物があるかどうか分からない状態の中を生きています。子供たちの4人に1人が、ひもじさを味わっています。しかしこうした数字では、人々が現実に置かれている苦しみを本当に表すことができません。

日本でもアメリカでも登校拒否が深刻化していますが、イスラエルでは、子供たちが貧しさのあまり衣類もろくに揃えられず、勉強に必要な教科書を買うお金もないために、学校へ行くことができないのです。

フードバンクが助けた、サラさんというイスラエル人女性。彼女はテロ事件に巻き込まれ、大やけどを負いました。そのやけどの傷口から雑菌が入り、それが災いしてガンを発病しました。仕事ができなくなり、収入の道が絶たれた彼女は、ホームレスとして路頭に迷う寸前でした。

しかしそこに、皆様の手が差し伸べられました。皆様がいてくださったからこそ、サラは路上の人にならずにすんだのです。それは飢えだけはない――サラという一人の人間の尊厳、そして人生が守られたのです。それは確かに、ソーニャさんが手紙に書いていた通り、皆様が与えてくださった希望であり、愛であり、慰めでした。

イスラエルのBFPスタッフの間で、祈り会がもたれています。フードバンクのマネージャー、ピーター・マライスは、毎回のように、食料のために割ける予算が増えるようにと、祈りの課題を提出します。必死の顔をしてフードバンクの扉を叩く人々の姿を見、支援の要請をしてくるさまざまな団体からの電話に対応する彼は、その多くに対し「ごめんなさい」と言わなければならない、どうしようもないジレンマと心の痛みを、毎日のように通過しています。

ピーターに代表されるBFPの外国人スタッフの多くが、故郷に家族や友人、愛する教会の仲間や仕事を残し、ただ、主の民に仕えるという使命を背負って、イスラエルの地で全身全霊をかけて戦っています。イスラエルの痛みは、すべてを捧げきった、そんな彼ら自身の痛みでもあるのです。

限界を超えられるのは、神だけです。岩をも貫いて不可能を可能に変えるのは、祈りの力です。天の御蔵を開いて、BFPの腕を、主が引き伸ばしてくださるように。「助けて!!」と駆け込んでくる人々を、すべて抱きしめてあげることができるように。

フードバンクの発するメッセージが、聖霊の御力によって、全世界に届きますように。そしてどうか、引き続きイスラエルに愛のご支援をお送りくださいますよう、心からお願い申し上げます。

皆様へ、心からの愛と、祈りと、感謝を込めて、エルサレムの地よりシャローム!!

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