プロジェクトレポート

命を保つ源である食物

文:ピーター・ファスト(BFP CEO)

戦争や内戦、迫害などで母国を追われたユダヤ人が、
イスラエルに続々と帰還してきています。
彼らの命を保つ上で欠かせない支援の一つが、食料支援です。
慣れない国で不安を覚える方々が安心して生活再建に取り組めるよう、
BFPは支援を続けています。

Photo by Daniel Kirchhevel/bridgesforpeace

かつて私は、BFP(ブリッジス・フォー・ピース)で大工ボランティアをしていたことがあります。その時に訪ねたのが、モルデカイさんというユダヤ人男性のお宅でした。アパートは老朽化が進み、壁には黒カビが生え、古いけれども頑丈そうな家具が数点、室内に置かれていました。

モルデカイさんが家族と共にイランから逃れてきたのは、1979年のことです。その年、イランではイスラム革命が起こり、各地で暴動が起きた末にアヤトラ(イスラム教シーア派で高位聖職者に与えられる称号)が政権を握りました。

こうした事態を受け、モルデカイさん一家はイランを後にすることを決めます。しかし、兄弟2人は旅の途中で殺されてしまい、無事イスラエルにたどり着いたのは自分を含め母と弟の3人だけでした。

自らの経験を語るモルデカイさんの頬には、とめどなく涙が流れていました。それから天に向けて両手を上げると、二つのことを神に感謝しました。一つは、神が自分の命を守ってくださり、残された家族と共にイスラエルの地に立たせてくださったこと。もう一つは、BFPのクリスチャンたちが自宅にペンキを塗ってきれいにし、生活に必要不可欠な食料を持ってきたことです。

時に涙し、時に私たちと肩を抱き合いながら、現状を説明してくださったモルデカイさん。母親は体が弱くなり、介護を必要とするようになったため、モルデカイさんはフルタイムで働くことができなくなったそうです。当然ながら家族2人を養うのに十分な食料はありません。そんな自分たち家族を、まさかクリスチャンが養ってくれるとは夢にも思っていなかったそうです。モルデカイさんにとって、このような愛は「神の奇跡」でした。

増え続ける避難民

早いものであれから10年以上の月日がたちます。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した後、ウクライナとロシアにいる何万人ものユダヤ人がイスラエルへ逃れてきました。避難民の多くは今、私たちの助けを最大限必要としています。中でも最優先事項が、毎日の食事です。

Photo by Michio Nagata/bridgesforpeace

幼い子ども2人を抱えた、あるロシア系ユダヤ人家族がいます。彼らは戦争ですべてを失い、イスラエルで新生活を始めた時の苦悩を語ってくれました。命からがらロシアを脱出しイスラエルに到着した時、彼らは生活するのに必要な書類を手にしていませんでした。そのため、アパートを借りる際にも、家族を養うための職探しの際にも大変な困難に直面したそうです。親切なイスラエル人たちが可能な限り手を差し伸べてくれたものの、日々の食事を手に入れる手段は見つかりませんでした。

その後、必要な書類が無くてもアパートを貸してくれる大家さんが見つかり、一家はイスラエル北部のカーミエル市に落ち着きます。ただし、最初の月の家賃は現金で支払う必要があり、何としても住まいを得たかった一家は、絶望的な思いで全財産をつぎ込みました。その結果、就職先の当てもないまま、食料を買う資金も底を突くことになります。

彼らの窮状を知り、BFPはすぐに食料やその他必要な物品をお渡ししました。一家を覆っていた絶望の闇に、希望の光がともった瞬間でした。一瞬にして、このご家族は絶望から神の愛を体験したのです。それが可能になったのは、ひとえに世界中のクリスチャンが熱心に愛を示してくださったおかげです。現在、このロシア系ユダヤ人のご家族は、無事に仕事を見つけ、所得も得、将来設計に必要なヘブライ語の学習に取り組んでいます。彼らは、人生で最も暗い時期にクリスチャンから手を差し伸べられたことを決して忘れないでしょう。

戦争から逃れてきた避難民や貧困の連鎖に陥っているイスラエル人に、神の愛と希望を表したい――。そんな思いから世界中のクリスチャンが、BFPを通じて破れ口に立ってくださっています。そのような話は枚挙にいとまがありません。神は世界中の信仰者の心を動かし、行動を起こさせ、命を救う源である食料を提供してこられました。

世界では、十分な食事が取れず、空腹に耐えながら学校に行く子どもたちがいます。幼いわが子のために食べ物と洋服のどちらを買おうかと、二者択一を迫られている親御さんの話も耳にします。しかし、イスラエルの人々は、そのような深刻な選択をせずに済みます。それは、皆さんのような素晴らしいクリスチャンが愛を示し、支援をしてくださっているおかげです。

BFPでは、毎月2万4千人以上の方々に食料を提供しています。皆さんのご協力なくして、支援を継続することはできません。皆さんのご支援と祈りがあってこそ、私たちは生活困窮者を支援し、食料を提供することが許されています。BFPの「食料支援」へのご支援は、イスラエルにいる貧しい方々や困難な方々を支え、次世代が繁栄できるよう、しっかりとした土台を築くことにつながります。クリスチャンが示す神の愛で人々を包み、尊厳を与える働きです。皆さんは、この国を強固にするため、神の預言的行動に協力しておられるのです。

「食料支援」へのご支援方法は、下記バナーよりリンク先をご覧ください。

※ 銀行口座への送金の際は、必ずご連絡をお願いいたします。

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