ホーム支援するエズラ作戦プロジェクトレポートバックナンバー > ウクライナのユダヤ人がイスラエルに帰還しています

プロジェクトレポート

ウクライナのユダヤ人がイスラエルに帰還しています

TEXT.レベッカ・J・ブリマー(BFP国際会長)

ウクライナ内戦に伴い、ウクライナから多くのユダヤ人が救出されています。なんと、その70%がBFP(ブリッジス・フォー・ピース)の支援を通して帰還を実現しています!今月はその感謝と現状をレポートします。

キエフにたどり着いたヤロビイ一家と救出作戦のスタッフ(右)

ヤロビイ一家

ウクライナでの紛争が、ユダヤ人を窮地に追い込んでいます。ロシアとの国境に近い地域では、現在1200人のユダヤ人が家を離れ、ウクライナ国内で難民として生活しています。これを受け、BFPの救出作戦チームは、できる限り多くのユダヤ人を、救出できるうちに救出しようと、必死で働いています。

トリク&カトヤ・ヤロビイ夫妻とその二人の息子は、最近BFPの救出作戦によって、イスラエルに帰還しました。他の多くのユダヤ人同様、彼らもイスラエルへ行くかどうかを悩みに悩み抜きました。もし紛争が止むなら、ウクライナに留まりたいと願ったからです。しかしその夢はもろくも崩れてしまいました。紛争によってまず電気が切れ、次に水道が止まりました。最終的には携帯電話すらつながらなくなりました。それでも夫妻は、この切羽詰まった悪夢が、いつか遠い記憶に変わることを期待していました。しかし、日常的に空爆を経験するようになり、ヤロビイ夫妻はついにウクライナの地を離れ、彼らの子どもたちの未来のために、イスラエルへ帰還することを決断しました。夫妻の決断は、あやうく遅すぎるということになりかねませんでした。

ヤロビイ一家にとって、出国への道のりは険しいものでした。戦火の中ですべての幹線道路や線路が爆破されてしまったため、公共交通機関がすべて止まっていました。一家は、それぞれ一つずつのバッグを持ち、徒歩で逃げ出しました。もちろん最低限、生存を保証する分の食べ物と飲み物しか持つことはできません。

救出作戦スタッフによると、彼らは、出発地から首都キエフ(ビザ取得のため)まで900㎞の道のりを歩いてきたそうです。それは実に東京から九州までの距離です。私たちは一家にこぢんまりした部屋と食事を提供し、出国手続きをしました。18日後、ヤロビイ一家の準備が整い、スタッフは大きな喜びを持って、一家を空港まで送りました。その道中、スタッフは一家の四つのバッグを見て、「おもちゃは持ってこられましたか」と尋ねました。「それぞれの息子の特別お気に入りのクマと犬のぬいぐるみを、一つずつ、それだけは何とか持ってくることができました」とのこと。聞けば、出発時にはすっかりおもちゃのことは忘れていたのですが、家からだいぶ離れた時、母親が「おもちゃ」の存在に気付いたのだそうです。母の愛を持って、カトヤは来た道を引き返し、ぬいぐるみを取りに行く決意をしました。彼女自身の命が危険にさらされても、そのぬいぐるみは、息子たちがウクライナの家で生活していたころの唯一の思い出になると知っていたからです。

このヤロビイ一家は、それでも幸運です。皆様のお蔭で、彼らは今やイスラエルに到着し、新たな生活を始めることができました。どうぞ、一家の就職、語学習得、そして新生活への適応がスムーズに進むよう、さらにお祈りください。

ウクライナからのユダヤ人救出

今年4月、オデッサで見られた落書き「ユダヤ人に死を!」

ウクライナ紛争開始以来、BFPは1756人のユダヤ人を救出しました。うち多くのユダヤ人が激戦区から逃れてきた人々です。1756人一人ひとりに、それぞれのストーリーがありますが、全員、ヤロビイ一家のようにほんの身の回りの持ち物しか持っていません。スーツケースは一人当たり20キロが最大積載量だからです。全員、ウクライナに家を残しています。家具も家電も、文字どおりすべてを置き、イスラエルで新生活を始めなければなりません。また、内戦から逃げてきたにもかかわらず、彼らの多くは、イスラエルとハマスの軍事作戦のただ中で、イスラエルに帰還しなければなりませんでした。より良い未来を求めて到着した彼らの故郷は、同じく、戦火の中にあったのです。戦火を次々と通り、トラウマを受けている人も多くいます。

BFPは、ウクライナからユダヤ人を救出するにあたり、「エズラ基金」および「ユダヤ機関」という団体と連携しています。ユダヤ機関のトップである、ナタン・シャランスキー氏は、ウクライナからの帰還者、それも紛争激しい地域の出身です。そういった経緯からも、彼の同胞を救うために、心を砕いています。「今日、我々はウクライナの地において神聖な使命を果たしています。彼らがどこにいようと、ユダヤ人に安全を保障する、この働きは続けられなければならず、今後何が起ころうとも、我々はこの使命を全うします。」(シャランスキー氏談)。

私たちはこのような時代のために創造された

以前にも何度か書かせていただいていますが、私が繰り返し思うことがあります。それは、神さまは、私たちをどんな時代に生まれさせることも、おできになったはず、ということです。しかし、神さまは、私たちをあえて、今の時代に生み出されました。神は私たち一人ひとりにご計画をお持ちです。今は、第二次世界大戦以来、もっとも反ユダヤ主義が高まっている時代です。ユダヤ人は多くの地域で、危険にさらされています。私は、主が、現代の教会を、ユダヤ人の帰還という聖書預言の成就のために召しておられると信じています。救出作戦へのすべてのご支援に、心から感謝を申し上げます。私たちは、共に、ユダヤ人の命を救っています。

世界ユダヤ議会によれば、なおも27万5千人のユダヤ人がウクライナに残っています。ウクライナ在住ユダヤ人の生活は脅かされ、早く逃げた方が良いことに気付く人が日に日に増えています。ユダヤ人救出が進むよう、続けて皆様のお祈りのご支援を切にお願いいたします。

ウクライナからの新移民は
わずかな荷物だけを持って到着します

イスラエルにたどり着いたユダヤ人をBFPは温かいウェルカムギフトで迎えます。そのたびに、それぞれの逃げてきた状況と、胸のつぶされるようなストーリーをお聞きします。多くのユダヤ人が、文字どおり家の中に幽閉されたような状態です。その中から、個人で運び切ることのできるわずかな荷物だけを持って逃げ出しています。BFPはこのような方々の、心もとない日々を続けてお支えしたいと願っています。

ユダヤ人の祖国帰還が継続して続けられるよう、次の祈りの課題を覚えてください。

  1. 『救出作戦プロジェクト』を通して、さらにユダヤ人の帰還を助けることができるように。
  2. 到着したユダヤ人を、新移民ウェルカムギフトで迎え、彼らの不安を解消することができるように。
  3. 帰還したユダヤ人を『里親プログラム』で1年間支え、困難な日々を継続して支えることができるように。

私は三つのことを祈っています。私たちに、この働きを継続できる勇気が与えられるように。資源が与えられるように。そして、さらに多くのユダヤ人を危険の中から救い出すため、時間が引き延ばされるように。ぜひ、皆さまにも心を合わせてお祈りいただけたら幸いです。

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.