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被災地巡回レポート

『オアシスライフ・ケア』 松田 牧人先生 (宮城県 利府市)

TEXT:入路 久美子

オアシスチャペルは、宮城県利府市で設立80年。地域のニーズに応えるという役割を果たしてきました。震災を期に支援団体「オアシスライフ・ケア」を立ち上げ、「あなたはひとりじゃない」というメッセージを届けています。

変わらない使命

オアシスチャペル
利府キリスト教会
松田牧人先生

教会は、今日(いま)と明日(みらい)と永遠(とこしえ)のニーズに応えるべく、その歴史を刻んできました。神さまに仕え、地域に仕えるという理念と実践を拝見していると、歴史に裏付けされた力強さを感じます。教会が一丸となって祈り、自らを捧げ、ニーズに応えておられるその献身的な姿。「あなたはひとりじゃない。忘れられてはいない」というメッセージに、どれほど多くの人々が励まされたことでしょう。

震災においては、生活物資の供給、慰問コンサート、炊き出しはもとより、ベビーシッター、少年野球チームやサッカーチームへのスポーツ用品のプレゼント、家具に付いたサビを落とすためのグッズに至るまで、きめ細かい支援活動を継続しています。お届けした義援金はこの使命のためにお役立ていただくことになりました。

オアシスとして

オアシスライフ・ケアの活動は、震災3日目から在宅被災されている家庭を一軒一軒訪問し、井戸水をお届けすることから始まりました。それによって、多くの方々がこのオアシスから水を飲み、命をつなぐことができました。まさに預言的ともいえるこの支援が、教会に与えられた最初の活動でした。

現在は、石巻市、仙台市若林地区、そして南三陸町沼田を支援しています。南三陸町へ行くきっかけは、ある議員さんのご紹介でした。5月、その集落を訪れると、驚くべき光景がありました。集落の大半の人々は津波に流され命を失い家も無いという状況の中で、ある初老の男性が中心となり自分たちで井戸を堀り、畑を作り仮設住宅まで建てて共同生活を始めておられたのです。畑は作物が茂り、井戸は断水率99%の南三陸町で多くの人々の助けとなりました。悲しみのどん底、苦しみの境地にありながらも、人々がこのように生き生きとした取り組みをしている鍵は、献身的で知恵深いリーダーの存在であると松田先生は実感されたそうです。

未来に向けて建て上げられる

新品の自転車に乗って嬉しそうなご主人

8月18日にチームと同行させていただき、南三陸町へ行きました。あるご夫妻へ自転車をお渡しするためです。新しく綺麗な色の自転車は丁寧にトラックの荷台から降ろされ引き渡されました。さっそく、嬉しそうにペダルをこぐご主人の姿は、まるで子どもが初めて自転車を与えられたときのような様子。その横で奥様は涙ぐみながら何度もありがとうと言っておられました。「ある避難所では一人一台ずつ自転車が配給されている。でも私たちは自宅避難なのでもらえなかった。これで自由に買い物に行くことができる。」奥さまの止まらない涙は、欲しかった自転車がもらえた嬉しさと、求めても、もらえなかったという心の傷が癒されたしるしだと感じました。神さまはまずは人々の心を回復し、地域を回復しておられます。そのために教会を豊かに用いてくださっています。私たちの役割として、皆様と共にさらに祈り支援を続けていきたいと思います。

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