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被災地巡回レポート

私たちをとこしえに導かれる神

TEXT.福島第一聖書バプテスト教会 佐藤将司(まさし)先生

[プロフィール]福島第一原子力発電所から5㎞の所にあった“原発に一番近い教会”副牧師10年目。東日本大震災後4つあったチャペルはすべて閉鎖され、教会員と共に流浪の旅を余儀なくされたが、変わらない神の愛により翌々年福島県いわき市にチャペルが再建された。「生きるのに必要なのは、ただ神さまの愛!」と公言してはばからない。

福島第一聖書バプテスト教会 2014年イースターに教会員と一時帰宅した際の礼拝

東日本大震災の被災地を覚えていつもお祈りいただき、また尊いご支援を本当にありがとうございます。ともすると様々な変化や喪失感に押し潰されそうになり、先の見えない不安や孤独を感じて落ち込みやすい私たちにとって、たくさんの方々が変わることなく私たちを見つめ続け、祈り、寄り添って支えてくださっていることは、大きな慰めであり励ましです。

被災者として

被災者への支援を一生懸命されている方が、「支援する際、どんなことを心掛けていますか?」と質問された時、このように答えられたそうです。「その人が、そっとしておいて欲しそうな時はそっと離れ、助けを必要としている時にはそっと寄り添うようにしています」なんてワガママな…と思われるかもしれませんが、それが私たち被災者の正直な気持ちかもしれません。そっとしておいて欲しい時があり、近付いて助けて欲しい時もあるのです。私はこの方の言葉を聞いて、とてもうれしく感じました。本当に相手への純粋な関心がない限り、そのような支援はできないと思いますし、何よりもそのように被災者に対して考えてくださっていることをうれしく感じたのだと思います。

イスラエルツアーにて北部フードバンクを訪問

今回BFP(ブリッジス・フォー・ピース)の働きを、イスラエルツアー中、北部フードバンクや小学校などを訪ね、見聞きすることができました。自ら隣人になり、愛を淡々と静かに表しておられる姿に、やはり感動を覚えました。イスラエルの歴史にも、また、人々の心にも深く刻まれている多くの悲しみや痛み、不安や孤独感などを、BFPを通して世界中から示されているキリストの愛が優しく覆おうとしている光景は、本当に麗しいものでした。

「愛の反対は無関心である」と言われます。静かな愛と祈りがどれだけ心強くありがたいものであるかを体験させられている者として、私自身もまずはイスラエルに関心を持ち、祈り続ける者となっていきたいと思わされています。

イスラエルの民のように

この原稿を書いている時、私は教会員の新居に行ってきました。そのご夫妻は震災後に住み慣れた故郷から離れざるを得なくなり、悩んだ末、栃木県に中古住宅を購入しました。まさか教会員の多くが一気に、県外にまで散り散りになってしまうなんて想像したこともありませんでした。この時、ご夫妻と離れ離れになってしまう寂しさもありましたが、彼らの幸せを考えるならば、腰を落ち着ける場所もなくゆらゆらして生活する疲れから解放され、ホッとできる場所が与えられたことは、やっぱり喜ばしいことだと思いました。私たちにはそのような場所が必要なのでしょうね。

福島第一原子力発電所の近くに住んでいた私たちにとって、思い出がたくさん詰まっている町や家に住めなくなり、別れを言う暇もなく多くの方々に会えなくなってしまったのは、あの日を境にやってきた突然の出来事でした。そこで生まれ育った人もいれば、そこで竹馬の友を得、仕事に勤しみ、そこで過ごす老後の生活を夢見ていた人たちもいます。それらを失うことは、やはり辛く悲しいことです。

人がいなくなり、荒れ果てていくチャペル

しかし、それらの体験を通して、聖書の世界がグッと近付いたのも事実です。ノアの家族が箱舟に乗せられ守られたように、私たちも神さまが用意してくださった箱舟に乗せられるかのようにして今日まで生かされてきました。神さまが海を真っ二つに分け、道を開き、イスラエルの人々を導いてくださったように、私たちも神さまが開き、示し続けてくださった道を歩みながら、今日まで導かれてきました。昔イスラエルの人々が、突然住み慣れた町や家を追われ、旅をしながら数々の別れを経、見ず知らずの場所に連れて行かれた時、どんなに不安で悲しかったことか。どんどん荒れ果てていく故郷のニュースを聞き、その様子を思い浮かべる時に、どんなに心が痛んだことか。それまでとは違った思いを抱きながら、聖書の世界が自分自身の世界に変わっていくことを感じました。

イスラエルに導かれて

今回イスラエルツアーへの参加が決まった時、BFPスタッフの方から「イスラエルは、『神さまからの招待状』を受け取った人が足を踏み入れられる」と聞きました。神さまは、なぜ私を招待してくださったのでしょうか。帰る所を失い、真っ暗闇の中を全力疾走で走り続けなければならなかったような非日常の生活や牧会の中で、疲れを覚えていた私を、神さまは心の故郷であるイスラエルに帰る機会を与えてくださったのでしょうか。

イスラエルツアーへの出発日、その日のデボーションの箇所にこのように書いてありました。「シオンを巡り、その回りを歩け。そのやぐらを数えよ。その城壁に心を留めよ。その宮殿を巡り歩け。後の時代に語り伝えるために。この方こそまさしく神。世々限りなくわれらの神であられる。神は私たちをとこしえに導かれる。」(詩48:12-14)

神さまの招きを感じながらイスラエルを巡り歩きました。いっぱい見て、聞いて、触って、巡り歩きました。イエスさまが確かに人として生まれ、歩まれた場所。落ち込み、悲しみの中に置かれていた人々を励ましてくださった場所。迷いや葛藤の中で疲れていた人々を導かれた場所。訪れるそれぞれの場所で、確かに神さまは私を癒やし、私に語り掛けてくださいました。

また、歴史の中に刻まれているイスラエルの悲しみや痛みを心に留めました。ホロコースト博物館に展示されている写真や文章、遺留品の数々を見た時に、涙が止まりませんでした。故郷を追われ、行き先も分からぬまま流浪の旅をし、被災者として生きることに気を使いながら歩んでいる経験が重なったのでしょうか。イスラエルの人々の悲しみとは比べ物になりませんが…。

しかし、今回のツアーで確かに感じました。どんなに辛く悲しい出来事も、どんなに長い流浪の旅路も、神さまの愛からイスラエルを、そして私たちを引き離すことはできないのだということ。イスラエルの歴史にも、国のあちらこちらにも、神さまの大きな愛と決して変わることのない真実な姿が確かに表されているのを見て、大きな励ましと慰めをいただいたのでした。

イスラエルを巡り歩いて

先程の詩篇の告白は私自身の告白です。この告白を後の時代に、そしてまだ神さまを知らない多くの人々に語り伝える者となるために、神さまは私をイスラエルに招待し、巡り歩くようにと導いてくださったのです。

被災地には確かな希望が必要です。先が見えない不安の中に置かれ続けている方々に、まことの光が必要です。みんなギリギリのところを生きてきました。さまざまなあつれきの中を何とか前を向いて歩もうとしています。日常を取り戻したいと願っています。そんな被災者のためにどうぞ続けてお祈りください。被災地に置かれている教会が世の光として輝き続けていけるように、教会の疲れが癒やされて神さまの栄光を現し続けていけるようにお祈りください。そっと寄り添ってくださる皆様の愛に心から感謝しつつ。

被災地は今なお祈りが必要です。多くの自然災害によって、被災地があちこちにある状況となっています。「私たちは被災地のための祈りを止めない」という合言葉の下、愛する日本のために共に祈りを積んでいきたいと思います。

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