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ハイメール通信No. 123 二国家共存はありうるか

パレスチナが分裂してから1ヶ月が経ちました。ブッシュ大統領が、今年中にも中東和平国際会議を開くことを提案。二国家共存に向けてますますイスラエルに圧力がかかっています。

イスラエルに来たスーダンからの難民に中に、スーダン以外のアフリカ人も含まれていることがわかりました。イスラエルへの移民者の中に多数の非ユダヤ人が含まれていることに懸念の声が出ています。

イスラエルの国土、イスラエル人のアイデンティティとは何かを、確認する時に来ているようです。今週も主の御手がイスラエルの上にありますように祈りましょう。

しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。(第一ペテロ2:9)



■ 二国家共存に向けた国際会議

<分裂したパレスチナその後>

パレスチナが分裂してから1ヶ月が過ぎました。西岸地区を支配するパレスチナ自治政府のアッバス議長(ファタハ)と、ガザのハマスとの関係は悪化している模様です。

アッバス議長は、18日、国会演説の中で、「ハマスはガザでの”犯罪”で自ら墓穴を掘った」とハマスに対して厳しい発言をしています。また、近い将来、もう一度総選挙を行うとの発言がありました。時期に関しては明らかにしていません。

世界諸国からの資金援助が急増しているアッバス議長側西岸地区に対し、経済の悪化がさらに進んでいます。

ガザからイスラエルへの主な流通経路はカルニ検問所です。この検問所も治安維持上、人道支援物資搬入以外は閉鎖となっています。そのため国連が進めていた建設計画(9300万ドル規模で121000人が雇用)が停止しています。また、先月からガザ地区の工場の70%が生産を停止。68000人が職を失いました。(イスラエルインサイダー調べ)

最新兵器をガザに備蓄するハマス

イスラエル国防軍(IDF)の調べによると、ハマスは最近20トンの爆発物をガザへ搬入させました。また、今までにはなかったような最新鋭の武器が搬入されています。エジプト側国境がざるのように、なんでも通過させているからです。

IDFの調べによると、ハマスは現在までに地対空ミサイル、抗戦車ミサイルなど、誘導型のミサイルも所有しているとみられています。これらの武器はイスラエル軍に対してはまだ使用されたことがないものばかりです。

今のところハマスは、武器を備蓄することに専念しており、すぐにイスラエル軍と対峙する様子はありませんが、両者が衝突するのはそう遠い未来ではないと軍では警戒しています。

*イスラエル軍は現在もガザでのテロリスト掃討作戦を続行していますが、攻撃ではなく、防衛目的であり、国境から2-3キロしか入り込んでいません。ハマスはこれに対し、小規模なテロを繰り返しています。

<ブッシュ大統領:国際会議提案>

アッバス議長率いるパレスチナ自治政府からハマスが分離したことで、世界諸国がアッバス議長側につき、支援をしています。アメリカはすでに1億9000万ドルの支援を決定し、さらに来年度予算にも8600万ドルを計上しています。

ブッシュ大統領は、西岸地区にパレスチナ国家を設立させ、イスラエルとの二国家共存による中東和平を考えています。その目標にむけて、今年中に国際会議を開催することを提案しました。ライス米国務長官が議長となり、イスラエル、パレスチナ自治政府の他、アラブ諸国の参加が呼びかけられています。

ブッシュ大統領は、西岸地区をパレスチナ国家とするため、イスラエルに対して、西岸地区の無認可の入植地を撤去するよう圧力をかけています。

アメリカの提案について、ハアレツ紙では、イスラエルにとっては国の存亡にかかわる重大なことであると強調しています。アメリカにとっては他国のことであっても、イスラエルにとって、西岸地区を分離することは命とりにもなりかねないからです。

<イスラエル政府の対応>

オルメルト首相は、アメリカがアッバス議長を支援することに歓迎の意を表明しています。

また、西岸地区の無認可入植地の撤去のために特別担当大臣にハイム・ラモン氏を任命し、計画をすすめる予定です。(ハイム・ラモン氏は、セクハラで起訴されしばらく政界を遠のいていた元法務大臣)オルメルト首相は、「西岸地区ではなく、ガリラヤ地方やネゲブ地方の開拓を考えよう。」と訴えています。

西欧諸国と共にイスラエルもアッバス議長と自治政府への支援を行っています。250人のファタハ収監者のリストが国会を通過。20日、計255人が釈放されました。収監者の釈放については、拉致兵士家族などから強い反対が出ていました。拉致兵士返還の約束もなしに、250人も釈放すれば、次回兵士返還の交渉の時、さらに多くの釈放が求められる可能性があるからです。

さらに、イスラエルは指名手配になっているファタハのテロリスト178人をリストからはずしました。異例のことです。

また、元PLO(パレスチナ解放戦線)メンバーで、イスラエルから追放され、入国を禁止されていた大物たちがいます。イスラエルは彼らがアッバス議長との会議のために西岸地区へ入国する許可を出しました。入国を許可された者の一人ナエフ・ハワトマは1974年、イスラエル北部の町マアロットで登校中の子どもたち22人を殺害した犯人です。

<オルメルト首相の進退について>

昨年のレバノン戦争の責任問題で、オルメルト首相に厳しい中間調査報告を出していたヴィノグラード委員会は、この夏にも出される予定の最終報告を延期することを発表しました。最終報告は、関係する個人には重大な結果を招くことになるので、本人には発表前には通達されることになっています。

しかし、ヴィノグラード委員会とは別に、18日、イスラエルの政治を監視するオンブズマンが、オルメルト首相、ハルーツ元参謀総長、ペレツ元国防相に対する厳しい評価を国会に提出しました。

主な結果は、戦時下の北部住民の防衛対策が著しく不足していたという点です。開戦時、首相ら指導者たちは、最前線の戦闘のみを考え、住民への被害を予想し対策をとることをしていませんでした。

住民への被害、特に高齢者への対策がなされていなかったことが指摘されています。シェルターのほとんどが短期対応型で、1ヶ月もの居住には適していませんでした。オンブズマンの報告は、オルメルト政権にとどまらず、代々の政権が本土防衛に力をそそいでこなかった責任を指摘しています。

<シリアの動き>

シリアとイスラエルは、ゴラン高原を巡って対立していますが、シリアのバッシャール・アサド大統領が、イスラエルと第三者を通して対話をもつことを明らかにしました。

互いの高官が第三国で、別々のホテルにいるところを第三者がとりなすという形をとります。しかし、シリア側は、イスラエルがゴラン高原を返還すると約束することを前提とすると言っており、結局、対話によって結論はでないことが予想されます。

<祈り>

  1. 国際会議、西岸地区撤退に関して、主のみこころだけがなるように
  2. 現在の主要3ポスト、オルメルト首相、バラク国防相、アシュケナージ参謀総長のチームワークと知恵の中でイスラエルの防衛対策を確立できるように
  3. ハマスの武器蓄積が妨害されるように
  4. 拉致兵士、戦場にいる兵士たちを覚えて

■ イスラエルの中にいる非ユダヤ人

先週内務相に就任したメイール・シェートリット氏が、イスラエルに非ユダヤ人が増えてきていることを指摘。「そろそろユダヤ人だけがイスラエルへ移住できるようにすべき時が来ている」と語りました。

シェートリット氏の調査によると、旧ソ連からの移住者の70%はユダヤ人ではないということです。エチオピアからの移住者の中にも非ユダヤ人がいます。イスラエル国内には数千人のパレスチナ人が違法にイスラエルにいます。

最近スーダンから来た数千人の「難民」のうち、本当にスーダンの内戦で難民になったものはわずかだとシェートリット氏は語っています。(イスラエルはエジプトに経由でイスラエルに保護を求めている難民の一部を保護しています。)

シェートリット氏は、ユダヤ人は2000年もの流浪の果てにようやくイスラエルに帰還したのであり、この国はユダヤ人の国として建てられたことを強調。このまま制限なく移住者を受け入れ続けるならば、やがてイスラエルがユダヤ人の国でなくなると懸念を語っています。

シェートリット氏は、イスラエルの市民となる者は、この国と運命を共にし、この国で子どもを育てていくものであること、また犯罪者でないことを条件にあげています。ユダヤ人であり、シオニストであることが最も重要な点であり、経済的なことが拒絶の理由にはしないと語っています。

同氏は、市民権のためのテストや、市民になるときの国家への宣誓などを検討中です。

<祈り>

  1. ユダヤ人の国イスラエルが守られるように
  2. BFPなどボランティアで働くスタッフに続けてビザが降りるように

■ シモン・ペレス新大統領就任

女性問題で退任したカツァブ氏に代わって、シモン・ペレス氏が15日、第9代イスラエル大統領に就任しました。

ペレス氏は1923年ポーランド生まれの84才。ベン・グリオン、アリエル・シャロンらとともにイスラエルの建国を支えた政治家で50年以上のキャリアを持っています。イスラエルの建国と存続を支えた最後の長老です。

ペレツ氏は、1934年、11歳の時に両親と共にイギリス委任統治下のイスラエルへ移住。キブツの開拓者として働きました。建国前の1947年、24才でハガナ(現在のイスラエル国防軍)に入り、武器の調達と兵士の徴用を担当しました。1953年には29才で国防相代理となり、後に最年少の国防相に任命されました。

1959年、労働党の前身であるマパイ党員として国会入り。その後、移民相や国土交通省など様々なポジションを経験。労働党首として1984-1986年、1995-1996年に短期の首相職も務めました。1994年、故ラビン首相、故アラファト議長とともにノーベル平和賞を受賞しています。

ソニア夫人と二人の息子、娘の3人の子どもがあります。

イスラエルの大統領は日本の天皇と同じような国の象徴としての公務につきます。長年、政治家であったペレス氏がそのポジションに満足するだろうかとささやかれています。

<祈り>

  1. ペレス氏が大統領としてよい働きができるように
  2. 長年の功績を主が認めて下さり、一番大切な救いを得させて下さるように

■ 義務教育延長

イスラエルの義務教育が16才までから18才までに延長されました。(日本と同じになった)中央統計局によると、落ちこぼれは年間3万人、そのほとんどが10年生以上の生徒です。(日本の中・高校生にあたる)

落ちこぼれるのはユダヤ人の生徒で全体の4.7%、アラブ人で8.3%、ドルーズ族では9.8%となっています。

義務教育2年延長を実施するために年間7億7000万シェケル必要になります。逆に大学教育では学費の値上げが検討されており、学生の反対デモがおこっています。

<祈り>

  1. これからの人材を育てる教育が主に祝福されるように
  2. 学校でもイスラエルの神を覚える教育が継続していくように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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