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ハイメール通信No. 122 イスラエルの将来を決める首相の決断

ハマスがガザを制圧し、事実上分裂したパレスチナ自治政府。オルメルト首相は西岸地区ファタハのアッバス議長を全面的に支持する方策を実行しつつあります。イギリス首相職を退任したトニー・ブレア氏が、国際社会を代表する中東特使としてエルサレムに駐在することが決まりました。

昨年の第二次レバノン戦争から1年。遺族は悲しみにうちひしがれています。幸い、ハマスに拉致されたシャリートさんが負傷しながらも生存している事がわかりました。

イスラエル国防軍は、ガザ地区、西岸地区のテロリスト摘発のために、激しい掃討作戦を続けています。イスラエル兵にも負傷者が出ています。この夏、イスラエルのメシアニック・ジューの青年たちが集まりキャンプの時を持ちます。兵士として命をささげる青年たちにリバイバルが来るように祈りましょう。

ほめたたえよ。イスラエルの神である主を。
主はその民を顧みて、贖いをなし、
救いの角を、われらのために、
しもべダビデの家に立てられた。
古くから、その聖なる預言者たちの口を通して、主が話してくださったとおりに。
この救いはわれらの敵からの、
すべてわれらを憎む者の手からの救いである。(ルカの福音書1:68-71)



■ ガザのハマスその後

6月13日にガザを制圧したハマスですが、他にもいろいろな組織が混在しているため不安定な状態が続いています。ハマスとは別組織の『イスラム聖戦』は、イスラエルへのロケット攻撃を続けています。 これに対し、27日、イスラエル空軍がイスラム聖戦とみられる幹部の車をミサイルで爆破。関連する戦闘でパレスチナ人12人(一般市民1人、子ども1人含む)が死亡。

市民が犠牲になったのを受けてハマスもイスラエルへロケット弾による攻撃。少なくとも3発がネゲブ地方に着弾しました。けが人はありません。この攻撃はハマス政治部門の意に反しており、ハマス内部に混乱があったと報じられています。この攻撃を受けてイスラエルは5日、再びガザへの攻撃を行い、パレスチナ人11人が死亡しました。このうち8人はハマス戦闘員でした。

ガザの通りでは、パレスチナ自治政府(PA)治安警察の「ブルー」のユニフォームを着た兵士らがパトロールに出ています。彼らはアッバス議長の指示で動いているのではなく、PA警察でありながらハマスに寝返った人々です。また、同じくPA治安部隊の制服を着た150人がエジプト国境(フィラデルフィ回廊)に沿って警備にあたっていますが、同じくハマスに寝返った人々です。彼らの立場ははっきりしませんが、ガザ内部の勢力関係が非常に複雑になっていると言えます。

*EUヨーロッパA合がラファの検問所(ガザとエジプト国境)の監視に当たっていましたが、ハマスのガザ制圧以降、任務に戻る予定はたっていません。ハマスは、「国連軍も含め、外国から来る部隊はすべて占領軍とみなし戦う」と、国連軍の受け入れも断る意向を示しています。

6日、ガザで今年3月に拉致されていたイギリスBBCのジャーナリストアラン・ジョンストン氏が解放されました。ジョンストンさんは「イスラム軍隊」と呼ばれる組織に拉致されていました。ハマスが交渉して解放させたと言われています。ハマスはこの件からガザに秩序が戻っている証拠だと主張しています。今回の人質解放で、イスラエルでは拉致兵士シャリートさんの解放への期待が高まっています。

<ハマスとPA、関係増悪>

ガザを制圧して後、ハマスの元首相のハニエ氏は、PAのアッバス議長に会談を申し入れましたが、アッバス議長は聞き入れませんでした。逆にアッバス議長がガザ内部の治安維持のために部隊派遣を申し入れましたが、ハマスのハニエ氏は受け入れませんでした。ハマス、ファタハ、それぞれの「国営放送」では互いの悪口を言い合っている模様です。

国際社会の支援を受けて、PAのファヤド首相は、17ヶ月、支払われていなかったPA職員への給与を支給しました。しかし、ハマスへ寝返ったガザのPA職員へは給与は支払われませんでした。ハマスはファヤド首相の今回の方策に対して、関係を悪化させるものとして批判しています。


■ 危ない!?イスラエルの対応

ハマスとPAが分裂したのを受けて、西側諸国はいっせいにPAへの支援を始めました。その結果のひとつが上記、PA職員への給与の支払いです。イスラエルも保留にしていた税還付金をPA政府に返還しました。また、PAの対ハマス力を増強するため、武器の供与も行っています。

さらに、イスラエルに収監中のファタハ系のテロリスト250人の釈放を約束しました。ファタハに戦闘可能人員を増して、ハマスに対抗させるためです。しかし、釈放の対称となる250人は、「直接イスラエル人の殺害に関わらなかった者(政治犯のたぐい)」とされています。政治犯として収監されたような者は戦闘要員になりにくく、釈放しても意味がないと指摘されています。また実際は、収監者の中から「直接テロ」に関わらなかった250人を探すこと自体難しいようです。

アッバス議長が要求しているのはマルワン・バルグーティの釈放です。バルグーティはファタハの大物テロリストで、大勢のイスラエル人の命を奪いました。パレスチナ人に根強い人気があり、影響力と求心力があります。この件についてイスラエルはまだ承諾していません。

6日のニュースによると、イスラエル政府はまず、ヨルダン人テロリスト4人の釈放を実施しました。4人は1990年にイスラエル兵2名を殺害した犯人です。加えて6日、オルメルト首相は西岸地区内の道路封鎖を解除し、パレスチナ人の往来をしやすくすることを決めました。さらにオルメルト首相は2000年以降に設立された入植地の撤退を早ければこの夏にも実行することを検討しています。イスラエルとPAは今後治安問題について本格的な協議を始めると発表しました。

これら寛大すぎるとも思えるオルメルト首相の処置の背後には、カルテット(国連、EU,アメリカ、ロシア)からの強い圧力があると見られています。カルテットの和平案(二国家共存案:国をイスラエルとパレスチナの2つに分けること)に協力すれば、“ごほうび”があると、パレスチナ市民に示そうとしているのです。そのためにイスラエルに圧力がかかっていると考えられています。

カルテットは、ハマスとPAが分裂したことを好機ととらえ、二国家共存案の構想をおし進めようとしています。その実現にむけて7月、元イギリス首相のトニー・ブレア氏を中東特使としてエルサレムに派遣することを決めました。ブレア氏はエルサレムにオフィスを持つことになります。

<イスラエル国内の懸念の声>

テロに詳しい元首相のネタニヤフ氏はじめ、イスラエルの治安関係者はオルメルト首相の対処について強い懸念と反対を示しています。武器を供与してテロリストを釈放する方策は、かつてラビン首相がアラファト議長に対して行った政策によく似ています。その結果、イスラエル国内では市民をねらったテロが増え、結局イスラエルは防護壁を設立せざるを得ない状況になりました。

また、イスラエルが土地を譲って撤退したあとによい結果が得られたことがありません。南レバノンからの撤退で昨年の第二次レバノン戦争、ガザ地区からの撤退が今のような混乱と南イスラエル地方へのロケット攻撃につながりました。もしイスラエルが西岸地区から撤退した後、ハマスが勢力をのばして西岸地区をも制圧することになれば、イスラエルにとっては致命的なこととなります。

<ハマスの西岸地区での動き>

イスラエルのテロ専門治安期間シン・ベトは、ハマスがすでに神殿の丘を支配する計画を実行していると発表しました。調査によると、ここ数年、ハマスはエルサレムでの慈善活動に多額の資金を投資しています。東エルサレムにイスラム学校を建てたり、祭りをしたり、善良な活動を通じてハマスが純粋な宗教団体であると人々に印象づけています。

神殿の丘の管理をするのはイスラム教の国際機関ワクフ(主にヨルダンのワクフ)ですが、神殿の丘のトイレを整備し、ソロモンの回廊下にあるイスラムの祈祷ホールを拡蛯キる資金をだしたのもハマスです。ハマスは神殿の丘で働く説教者やツアーガイド、コーラン勉強会を実施するスタッフの中にハマスのメンバーを増やそうとしています。

この1年かけてシン・ベトが逮捕したハマス・メンバーは11人にのぼり、そのうち10人はイスラエルの国籍をもっていました。シン・ベトはテロを未然に防ぐだけでなく、エルサレムのハマス本部に資金が流れないよう捜査と関係者の逮捕を続けています。

<イスラエル軍の戦闘終わらず>

政治的な動きが急速に進められている中で、イスラエル国防軍(IDF)とテロリストとの戦いは激しさを増しています。6月末にガザでパレスチナ人12人が死亡したのに続き、5日にもパレスチナ人戦闘員8人を含む11人が死亡しました。イスラエル軍は、これは防衛であって攻撃ではないと主張しています。

ガザだけではありません。西岸地区でも同様の活動が続いています。1日、西岸地区でもパレスチナ人戦闘員計7人が、イスラエル空軍の攻撃によって死亡。13人が逮捕されています。逮捕者が出た地域は、ヘブロンで6人、ベツレヘム地域で4人、ジェニンが1人です。このうち3人がハマス、残りはイスラム聖戦メンバーでした。

<祈り>

  1. オルメルト首相が様々なプレッシャーの中で決断をしています。
    真実を見抜く目が与えられ、イスラエルに益となる決断をするように。
  2. ハマスの勢いがとどめられるように
  3. イスラエルの安全を守るシン・ベトのような治安関係機関や諜報機関の働きが用いられるように
  4. ガザや西岸地区にいるイスラエル兵たちの守りのために

■ 第二次レバノン戦争から1年 ~拉致兵士シャリートさんからのメッセージ~

昨年の第二次レバノン戦争からちょうど1年となりました。エルサレムのヘルツェルの丘では犠牲者(イスラエル兵119人、市民42人の計162人)を悼み、記念式典が行われました。出席した政府関係者は、アシュケナージ参謀総長、ハルーツ前参謀総長、バラク国防相、ペレツ前国防相、リクードのネタニヤフ党首、大統領補佐のダリア・イッツィク氏などです。オルメルト首相は「治安上の理由」から出席せず、遺族からの激しい非難をあびました。

イッツィク氏は「この戦争はイスラエルにとって悲しいものでした。戦いに引き込まれてしまいました。失敗もありました。今私たちは袖をまくってその後始末をしなければなりません。」と語りました。またヒズボラの指導者に向けて、拉致されたままになっているゴールドワッサーさんとレゲブさんの返還を訴えました。

遺族らは、愛する人を失ったのに、あたかもなにもなかったかのように社会が動いていることにとまどいを感じています。「私にとっては本当に大切な人だった。どうして彼がいなくなったのかまだわからない(納得できない)」戦闘に参加した20才の兵士は、戦争第1日目に友人を失いました。「1日目にすでにこれが戦争だとわかりました。突然自分自身の死と友人の死が怖くなりました。1年たちましたが、なにがおこったのかまだよく把握できません。どのように人生を楽しんだらいいのかわからなくなりました。」

<シャリートさんからのメッセージ>

昨年のレバノン戦争に先立ちガザで拉致されたシャリートさんからと思われるメッセージが届きました。シャリートさんは生きています。しかし、医療的な補助が必要であると訴えています。メッセージを受け取った父親は「シャロン首相なら困難な人質の交換の効果的な方法を知っていたと思う。政府は早く交渉し息子の返還を実現させてほしい」と語りました。

ガザで拉致されていたBBCの記者ジョンストンさんが解放されたことで、シャリートさんの返還も近いのではないかとイスラエルでは期待が高まっています。

<祈り>

  1. シャリートさん健康が支えられるように。
    返還交渉を続ける政府担当者に知恵と主の導きがあるように
  2. レバノン戦争で家族や友人を失った人々が再び立ち上がる希望を与えられるように

■ 夏の青年キャンプ

皆様の教会でも夏はキャンプの季節。イスラエルでもメシアニック・ジューの青年たちが7月、キャンプを行います。主がすべての計画と準備を祝福してくださいますように。イスラエルと日本の青年たちの霊の目が開かれるように。リバイバルをひっぱっていく若者たちがおこされるように祈りましょう。

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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