ハイメール通信No.866 「パレスチナ国家」について
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ハイメール通信No.866 2024.5.29
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「パレスチナ国家」について
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5月22日、スペイン、ノルウェー、アイルランドがパレスチナ国家を承認すると発表しました。世界の約140カ国が既にパレスチナを国として認めています。しかし、10月7日のテロ以降にパレスチナを国家承認するのは、テロに報酬を与えるようなもので、事実、ハマスはこれを歓迎しています。これに先立つ5月10日には国連総会で、パレスチナが国家として国連に加盟することが賛成多数で可決されました。世界中でイスラエルに対する戦争非難とパレスチナ擁護の訴えが高まる中で、この動きは今後さらに加速していくと思われます。
そもそもパレスチナ人の国が無いことが問題だとして、国際社会はイスラエルにその責任を問うています。しかし実際には、イスラエル・パレスチナ二国家案を拒否してパレスチナ建国の機会をつぶしてきたのは、アラブ側、パレスチナ側なのです。
最初の二国家案は1947年。当時イギリス委任統治領だった土地を「ユダヤ人国家」と「アラブ人国家」に分ける、国連のパレスチナ分割案でした。ユダヤ人が購入して開拓した土地を基に線引きされました。ユダヤ人側はこれを受諾、しかしアラブ人側と周辺諸国は拒否して第一次中東戦争を始めました。結果、イスラエル国家は誕生しましたが、アラブ人国家の土地はエジプトとヨルダンが占領し、国は誕生しませんでした。その後もイスラエルとの共存を望まないアラブ側の試みは第四次中東戦争まで続き、この間、和平交渉はありませんでした。これはアラブ側による二国家案の拒否に他なりません。
その後、中東和平が段階的に実現し、90年代には二国家を前提としたパレスチナ自治政府と自治区が誕生しました。しかし、2000年、ほぼパレスチナ側の要望に沿ったキャンプ・デービッド合意を、アラファト議長(当時)が拒否。その直後、第二次インティファーダ(対イスラエル武装闘争)が始まり、自爆テロの嵐がイスラエル中に吹き荒れました。当時、ハマスと並んでテロを競っていたのは、自治政府の中核組織であるPLO内の最大派閥、ファタハでした。自治政府は、学校で子どもたちに憎悪教育を施して「殉教」を称賛し、テロリストの遺族には報奨金を出しており、それは今も続いています。残念ながら、これが和平のパートナー、自治政府の実態なのです。
2005年、イスラエルはガザ地区から完全撤退して、その後の和平交渉に期待しました。しかしその結果得たものは、ガザを実効支配するに至ったハマスによる相次ぐロケット弾攻撃、数度の軍事衝突、そして10月7日の大規模テロなのです。ハマスは、このテロを何度も繰り返すと公言しており、自治政府もまた、このテロを公式に非難していません。
パレスチナ側がイスラエルを滅ぼすことを目指し続ける限り平和は訪れません。二国家共存の実現のためには、イスラエルとの共存と真にパレスチナ人の幸せを願う指導者が必要なのです。私たちには政治的解決の行方は分かりませんが、イスラエルを滅ぼそうと働く暗闇の力があることは知っています。そして、その力に縛られている人々のたましいの救いのために祈ることはできます。戦いは激しさを増していますが、命の祈りを捧げていきましょう。
「悪を離れて 善を行い 平和を求め それを追い続けよ」(詩34:14)
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