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ハイメール通信No. 120 緊張高まるシリア国境

シリアとイスラエル双方が国境付近に軍備を配し、戦争の準備(?)が整いつつあります。シリアのアサド大統領はイスラエルに和平交渉を呼びかけていますが、その真意は測りがたく、イスラエルはまだ決断することができていません。危険な状況が続いています。

前回、お知らせしたガザ地区からスデロットへのロケット攻撃がおさまり、住民が家に帰りつつあります。しかし、ガザ地区内部の混乱はかわっておらず、イスラエル軍の掃討作戦は続けられています。

今年6月7日、1967年に勃発した六日戦争からちょうど40年となりました。イスラエル軍がエルサレムを手中におさめ、1900年ぶりにユダヤ人が神殿の丘に戻った戦争です。しかし同時にガザ地区、西岸地区、ゴラン高原といった課題を多く抱える地域がイスラエルの手に課されたときでもありました。イスラエルでは、様々な論議や検証が行われています。

彼らが苦しむときには、いつも主も苦しみ、
ご自身の使いが彼らを救った。
その愛とあわれみによって主は彼らを贖い、
昔からずっと、彼らを背負い、抱いて来られた。(イザヤ63:9)



■ 和平か戦争か?シリアのねらいは何か?

ここしばらくイスラエルとの国境付近に軍を配備し、演習を繰り返しているシリア。軍備を整えながら、バッシャール・アサド大統領は、イスラエルに和平交渉を呼びかけています。言うことと、していることの違いにイスラエルは困惑しています。

シリアとイスラエルは六日戦争以来、直接交渉をしてきませんでした。シリアの要求は、ゴラン高原返還に決まっているからです。7年前に一度和平交渉に及びましたが、双方がゴラン高原をめぐって譲らず、決裂した経験があります。

オルメルト首相はまだ結論を出していませんが、和平交渉に応じることも検討中です。6月8日のYnet ニュースによると、オルメルト首相は、シリアとの和平、並びにシリアがヒズボラやイランとの関係を解消するなら、ゴラン高原を全面返還すると打診した模様です。

左派の中からは賛成意見もありますが、国民の80%以上はゴラン高原返還に反対しています。土地を返還して平和になるという保証はなく、オルメルト首相は自分の首をつなぐために、シリアを巻き込もうとしているなどの批判も出ています。

<緊張高まるシリアとイスラエル>

シリアが国境周辺に軍備を固める一方、6月5日イスラエル軍も国境付近で大規模演習を行いました。「シリアの村を占拠する」という演習です。ペレツ国防相は、「これは演習であり、シリアが誤解しないように」と語っています。シリア・イスラエル双方が、「戦争」というカードをもって相手の出方を眺めているといったところです。

イスラエルの治安当局は、もし戦争が始まるとすれば、アサド大統領がイスラエル軍の実力を過小評価した場合だと指摘しています。お互いの諜報機関が正しい情報を伝えて、指導者が正しい決断をしていくように祈る必要があります。

現在シリアは、イスラエルからの返事がない場合はしかるべき「防衛行動」に出ると言っています。治安当局によるとシリアはヒズボラ、イランと密接な連携をとっています。もし国境を越えた戦争になれば、上記3者が協力し合い、強大な武力になると予想されます。

イランのアフマディネジャド大統領が3日、「イスラエルの滅亡は近い」と公言したことで国防軍は警戒を強めています。アシュケナージ参謀総長は、北部での戦争に備えて国防軍の整備準備をすすめていることを明らかにしています。

「戦争の足音」によってよい面も指摘されています。イスラエル北部の防衛対策が強化され、住民の訓練が進むこと。また、戦争になるかどうかに関わらず、ゴラン高原をめぐって長年冷戦状態にあったシリアの真意、イスラエル政府の方針が明らかになります。

<六日戦争40周年>

緊張が高まっているゴラン高原。1967年6月に勃発した六日戦争でイスラエル領地となりました。六日戦争から40周年を迎えるイスラエルでは、様々な行事や検証が行われています。

六日戦争とは、東南北(西は地中海)を取り囲むアラブ連合軍をイスラエル軍がたった6日で打ち破ったという奇跡的な戦争です。この戦争で、東西に分かれていたエルサレムがイスラエルによって統一され、実に1900年ぶりにユダヤ人が神殿の丘に帰り・ォました。しかし同時にガザ地区、西岸地区もイスラエルの管理するところとなりました。今に続くパレスチナ人との紛争が、六日戦争を境にはっきりと形作られたといえます。

<祈り>

  1. オルメルト首相が、必要な情報を得て、正しい判断ができるように
  2. アサド大統領の心が戦争へと傾かないように
  3. イスラエル国防軍の体制立て直し、戦闘準備が的確になされるように
  4. 指導者と人々の心が主に向かうように

■ スデロット住民帰宅

カッサム・ロケットによる攻撃が続いているスデロット。計約300発が撃ち込まれ死者は2人となりました。昨日も2発撃ち込まれましたが、攻撃の数は少なくなりました。

ロシアの大富豪ガイダマーク氏の投資により、テルアビブに設立されたテント村では、帰宅する人が増えたため、閉鎖されることになりました。スデロットの人々は、それぞれロケット弾の恐怖を訴えながらも、日常生活に戻らなければという必要の中で、帰宅しています。

子どもたちはテント村ではよく眠れていたので、スデロットに帰ることを怖がっています。しかし、両親には住宅ローンなどもあり、仕事に戻らなければならないと言います。高齢者は、アラームが鳴ったり、近くに着弾したりしたときに走ることのできない恐怖を訴えています。これからどうしたらいいのか全くわからないという思いのまま今は帰宅しなければなりません。

アルーツ7のニュース・インタビューによると、人々の多くが支援してくれたガイダマーク氏に感謝しているということです。逆に7年間、ロケット攻撃にさらされているスデロットに対し、何の対策もなく、ガザへ本格的な報復をすることもなかった政府に苦い思いをぶつけています。

イシバ(ユダヤ神学校)の生徒や正統派の人々など1000人がスデロットで2日、週末のスデロットを訪問し、安息日のひとときを持ちました。1000人は恐怖で買い物に行けない住民など、さまざまな必要のためにボランティアとして働きました。

<祈り>

  1. スデロットの住民の命を、主がまもってくださるように
  2. PTSDでショックに陥っている人々、特に子どもたちが希望を持ち続けることができるように
    絶望の中で、主に思いを向けることができるように
  3. 解決への知恵を政府指導者に与えて下さるように

■ 労働党首選速報

労働党は、現在定期の党首選のプロセスに入っています。第一回予備選挙は5月28日に行われ、元首相のエフード・バラク氏が36%とトップになりました。しかし2位についたアヤロン氏は31%と大差はありません。現職労働党首のペレツ氏は22%でした。

次回の選挙は6月12日。バラク氏は、党首になれば、オルメルト政権には残るが、前倒し総選挙にむけて努力する方策を上げています。一方、対抗馬のアヤロン氏は、直ちにオルメルト政権から出ると言っています。国家危機の今、より優れた指導者が立てられるように祈りましょう。

<祈り>

  1. 二大政党のひとつ労働党に、イスラエルにとって必要な人材が選出されるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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