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ハイメール通信No. 110 証人喚問

昨年夏のレバノン戦争を検証するウィノグラード委員会で証人喚問が行われています。ハルーツ参謀総長、ペレツ国防相、最後にオルメルト首相が、それぞれ7時間に及ぶ証人喚問に立ちました。結果により、指導者交代の可能性もあります。

イスラエル最南端のリゾート地エイラットで自爆テロがあり、イスラエル人3人が死亡しました。ヒズボラの活動やイランの脅威も深刻化を増しています。イスラエル政府、防衛体制が早く整うように、それまで主の守りがあるようにとりなしましょう。

パレスチナ自治政府とハマスの紛争が激化しています。パレスチナ側では、今年に入ってからすでに30人が死亡しています。混乱を極めるパレスチナ人たちを主があわれんでくださるようにもとりなしましょう。

主よ。あなたがもし、不義に目を留められるなら、
主よ、だれが御前に立ちえましょう。
しかし、あなたが赦してくださるからこそ
あなたは人に恐れられます。(詩篇130:3-4)



■ 証人喚問・揺れるイスラエル指導部

2006年9月、レバノン戦争の教訓を生かす目的でウィノグラード委員会が発足しました。発足させたのはオルメルト首相。150人の死者(レバノン人死者を入れると1200人)を出したこの戦争では、様々な不備が指摘され、原因究明が必要となったためです。

① 北部被害地域100万人の食料や交通機関の確保が不足していた。戦争中シェルター生活を強いられた住民に政府は食料など十分に供給しなかったため、住民は福祉団体などの活動に頼らなければならなかった。

② 前線兵士へ武器補給や訓練が不足していた。食糧補給も不足した。特に、ヒズボラの携帯式対戦車砲に対処できていなかったことによる戦死者が多かった。

その他、拉致された2人の兵士奪還のためにフルスケールの戦争へ突入することが妥当であったのか、また国連が停戦決議を出した後に予備役兵数万人を投入した決断が正しかったのかなどが検証されます。

すでに辞任が決まっているハルーツ参謀総長も、7時間以上に及ぶ証人喚問を受けました。ハルーツ氏は空軍に40年間従軍してきました。空軍出身の参謀総長として地上軍の使い方に不備があったのではないかと喚問されました。ハルーツ氏は予備役兵数万人の投入時期が遅れた失敗を認めました。

<次期参謀総長選出>

ハルーツ参謀総長の辞任に伴い、新しい参謀総長の人選が行われていましたが、ペレツ国防相推薦によるガビ・アシュケナージ国防相次官に内定しています。オルメルト首相推薦のカプリンスキー現副参謀総長は推薦を辞退しました。カプリンスキー氏は副参謀総長として現職にとどまります。アシュケナージ氏の正式な就任はウィノグラード委員会の決定の後になります。アシュケナージ氏は、新しい戦局に直面しながらも、国防軍組織の粛正と再編成という難しい仕事を委ねられることになります。

ペレツ国防相も同様の喚問を受けましたが、決断は間違っていたとは思わないので辞職する意志はないと言っています。ただしウィノグラード委員会が辞職をすすめるならば、その判決に従うと語っています。

<オルメルト首相も7時間に及ぶ証人喚問>

① 7月12日開戦を決断するにあたってどのような情報を得ていたのか。
また開戦にあたって国防相、参謀総長とどのようにリーダーシップと決定権を分担していたのか

② 戦争の目的が一定していなかったのではないか。

③ 国連で停戦合意がなされた後に大軍の地上軍を投入したのはなぜか。

答弁の詳細は3月中旬まで公開されないことになっていますが、今までのインタビュー等によると、戦争の成果に関する首相の見解は次の通りです。

① 結果的にイスラエルと南レバノンの間に国連軍とレバノン軍が展開することとなり、ヒズボラと政治的な距離をあけることができた。

② 戦争の目的はロケットの発射台をすべて破壊することではなかった。ヒズボラとの政治的な距離をおくことであり、それは達成された。(①の見解による)

③ 7月12日の開戦は、閣僚全員一致のもとで決定された。決定には軍関係のベテランの合意もあった。正しい決断であったと信じている。

④ 停戦後に地上軍を投入した目的は、国際世論の流れをイスラエルに好意的になるよう変えることだった。地上軍の投入によって(停戦決議)の文面がイスラエルに好意的となった。
(あえて徹底抗戦の姿勢を見せることで、イスラエルにとってのヒズボラの脅威を強調できたと思われる)

*オルメルト首相は、この他にも、国営銀行民営化の時の収賄疑惑についても喚問を受けています。

<カツァブ大統領3ヶ月の休職>

カツァブ現大統領に対して、複数の女性職員がセクハラとレイプの被害を訴えていた問題で、1月、国家弁護士のマズーズ氏は、大統領が有罪であるとの見方を発表しました。大統領は3ヶ月間、辞職せず休職することになりました。大統領は強く無実を訴えていますが、マズーズ氏が正式に辞職を勧告する場合は、その決定に従うと語りました。

記者会見で大統領は、「これはすべて政治的反対者による策略であり、自分も家族も耐え難く、また回復不能な名誉毀損を受けた」と感情的に訴えまた。

大統領が休職中は、ダリア・イッツイク氏が女性では初めて大統領代行を勤めます。次期大統領候補には、シモン・ペレス氏などが候補に上げられています。

同じくセクハラ容疑で退職に追い込まれていたラモン元法務相が正式に有罪とされ、逮捕されました。ラモン氏はセクハラではなく同意の上での行為だったと主張しています。

<祈り>

  1. 主の前に立つことのできる指導者政府を与えて下さるように
  2. 国防軍組織の指示系統などの改革が早く効果的に進むように

* イスラエルの指導者であることがいかに難しいことかを覚え、これからも指導者たちのためにとりなし続けましょう


■ パレスチナ内戦とエイラット自爆テロ

昨年末、アッバス議長がハマス内閣を解散、前倒し選挙の方針を打ち出してからファタハ(アッバス議長所属)とハマスの暴力的な紛争が激しくなってきています。1月26日、ガザと西岸地区における銃撃戦で11人が死亡、続く4日間の銃撃戦で計29人が死亡しました。昨年末からすでに50人が死亡したことになります。ナブルスの市職員など互いに拉致されたメンバーは50人。

アッバス議長とハニヤ首相は暴力を止めるため、29日3pm停戦に合意し、パレスチナ自治警察官を除いて互いの武装組織を帰宅させました。停戦合意に続いて捕虜交換の交渉が始まっていました。
しかし2月1日、ファタハがガザのイスラム大学に武力侵攻。プロペラつき手榴弾1400発、1000基のカッサムロケットを押収しました。ガザのイスラム大学はハマスの精神的指導者の故アフマド・ヤシン師が創設した大学で、ハマス幹部の多くを排出しており、精神的な打撃をハマスの与える目的があるとみられています。

イスラエルのニュース源アルーツ7によると、ファタハが大学へ侵攻したとき、イラン人武器専門家7人を逮捕しています。うち一人はイラン革命部隊の司令官でしたファタハはハマスの政府関係事務所をも占拠しました。

これを受けて、ハマスがファタハの運搬している救援物資(テントや医療物資)のトラック隊を襲撃。6人が死亡しました。物資はアメリカがアッバス議長に約束した救援物資でした。ハマスは緊張が続く中で、アッバス議長側に支援するアメリカは、ハマスを挑発していると避難しました。

これで停戦の合意は3日で終わったことになります。アッバス議長は、もしハマスと一致した内閣ができなければ3週間以内に、大統領の権限で、前倒し選挙を発令すると宣言しています。

<エイラットのベーカリーで自爆テロ。イスラエル人3人死亡>

1月30日、イスラエル最南端のリゾートの町エイラットで、自爆テロがありました。毎年25万人のイスラエル人が休暇に訪れるところです。自爆テロは今回が初めてで、住民はショックを受けています。イスラエルでは昨年4月のテルアビブ以来の自爆テロでした。犯人はイスラム聖戦に所属する21歳の青年。ヨルダンから密入国していました。

犯人は朝9時40分、閑静な住宅街のベーカリーに爆弾の入ったバッグを持って入りこんでいました。犠牲になったのはハイム・エル-マラキさん(32)、マイケル・ベン・サドンさん(27)。二人とも妻と小さな子供たちがいる父親でした。イスラエル・サモリアさん(25)はペルーからの移民者でした。イスラエルは、自治政府との停戦実行中であるため、今のところ報復攻撃は行われていません。

<祈り>

  1. エイラットにはまだ自爆テロリストが侵入している可能性があると警察は警戒しています。
    すべての企てが未然に失敗に終わるように
  2. 大切な夫、父親を亡くした二組の母子を覚えて。
    サモリアさんの家族を覚えて。
  3. パレスチナ一般市民を哀れみ、混乱を静めてくださるように

■ 危険なイランの終末論(エルサレム・ポスト/バーナード・ルイス教授インタビューより)

イランの核開発がすすみ、アフマディネジャド大統領の反イスラエル発言もエスカレートしつつあります。プリンストン大学教授でイスラム、中東、特にオスマントルコに関する大家であるバーナード・ルイス博士(91)がイランについて下記のように語りました。

<イランの核兵器について>

イランの周囲をみなさい。北はロシア、東は中国、南はパキスタン、西はイスラエルと皆核兵器を保有している。イランに「核を持つな。」と言うことはできません。問題はイランが核兵器をもつことではなく、それを管理する政府が問題なのです。核を使うかどうかは、イランの政府内の力関係によります。

普通は核を使えば核の報復を受けるので、抑止力が働きます。しかし、イラン政府の中には、イスラムの終末論を信じる人がいます。イスラムの終末論によれば、メシアが来る前に戦争がある。その時の戦争で多くの国民を死に追いやることはよいことと信じているのです。彼等を天国へ送ることになる(殉教)からです。このような人には核は抑止力ではなく、逆に促進力になってしまいます。

<イランはイスラエルや西側から核施設を攻撃されるとは思っていないのですか?>

イランは攻撃されるとは思っていません。イラン人たちは、西側のような民主政治を経験したことがありません。議会で話し合ったりする姿は弱さにしか見えないのです。私はイランは、アメリカやイスラエルの力を低く見積もっていると思います。ですから、イランは手段を選ばず、自分の思ったように行動しているのです。

これはイスラムの伝統から来る態度ではありません。初期のイスラムの組織政府はもっとオープンでした。互いに話し合い、抑制しあっていました。今のようになったのは、文明化がすすんで国家が強くなってからです。また、中東諸国が形成され始めた1900年代、中東の半分(イランを含む)はドイツに支配されていました。ドイツがイラクに進出して結成されたのがバース党です。(故フセイン国王)バース党はアラブやイスラムにルーツがありません。バース党はナチから来ているのです。ドイツが去ると、次にロシアが来ました。中東はすぐロシアの色に染まっていきました。

<世界に広がっているイスラム>

ヨーロッパはイスラム化してきています。やがて「イスラム化したヨーロッパか、ヨーロッパ化されたイスラムか」という時代が来ます。

以前イスラエルのカンファレンスで会ったドイツ人の記者と話しました。彼は、ドイツ人たちの自意識が下がっており、イスラム教徒たちとよい関係をつくることに熱心でした。イスラム化は確かに進んでいます。ヨーロッパのユダヤ人たちの将来は悲観的です。

私が懸念するのは、イスラムのひろがりとともに、今イランに見られるような「終末論ムード」がヨーロッパに広がっていくことです。ユダヤ人にはなじみのことですが、メシアは来ます。終末にはゴグマゴグの戦い・・・などいろいろなことがあり、最後の戦いがあって勝利が来ます。

イスラムは一般にこのプロセスを早めることができると考えているのです。戦いを起こせばいいのです。アフマディネジャド大統領が口にしている過激な言葉(イスラエルを消し去ってしまえ等)は、本心から言っているのであり、将来必ず実行する気です。だから彼は危険なのです。

今のアラブ諸国はイランから発生したシーア派運動(イスラム原理主義)が広がっていくのを恐れています。すでにイランからシリア、レバノン、アフガニスタン・・と広がっています。湾岸諸国にもシーア派の国があります。

レバノン戦争の時は、多くの国が、シーア派組織ヒズボラと戦うイスラエルを静かに支持する側に回っていました。中東では今はイスラエルを敵視しないことの方が得策であることが理解されつつあります。たとえば、イスラエルと和平を結んだエジプトが本当に恐れていたのは、国内に広がりつつあった共産主義を牽制するためでした。(イスラエルを引き込むことで完全な共産化はさけられる)

<イスラエルはイランから身を守るためにどうしたらいいのですか?>

今の政権が崩壊するように働きかけることです。幸い、イラン国民は今のアフマディネジャド政権によい思いを持っていません。昨年のレバノン戦争に無理矢理かかわりをもたせられたと感じています。

また大統領の過激発言や核問題で、国際社会の悪評をかっていること、宗教派が大学教育にまで入り込んできていることなどを国民の不信がつのりはじめていますイラン政府を倒せるのはイラン人です。

<祈り>

  1. イラン人自身で、現政権から平和を求める政府に変えていけるように
  2. ヨーロッパのイスラムの勢いを止めて下さるように。
    教会が強められるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

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