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ハイメール通信号外 イスラエルの家族たち

日本では15日、終戦記念日を迎えます。戦争ほど愚かで悲しいものはありません。

現在、イスラエル軍は、ヒズボラに最大限のダメージを与えるため、さらに戦闘規模を拡大し、リタニ川以南にヒズボラのゲリラが一人も残らないように戦いを進めています。イスラエルの家族たちは、大切な夫や父、息子たちを送り出しています。子供だけ疎開する家族。ロケット弾で死者を出した家族。家族で脱出しても行き場のない人々。

日本の終戦を思う時、今現在危機に直面しているイスラエルの家族たち、またレバノンの人々がいることを覚えてとりなしましょう。

国際社会は、戦争終結への努力を続けています。レバノン政府は、停戦に向けて緩衝地帯に軍隊派遣する可能性を示唆しています。早期に戦争が終わり、長期的な平穏をもたらす政策がたてられるよう世界の指導者たちを覚えてとりなしましょう。

「もしも主が私たちの味方でなかったなら。」
さあ、イスラエルは言え。
「もしも主が私たちの味方でなかったなら、
人々が私に逆らって立ち上がったとき、
そのとき、彼らは私たちを生きたまま
のみこんだであろう。
…ほむべきかな。主。
主は私たちを彼らの歯のえじきにされなかった。
私たちは仕掛けられたわなから
鳥のように助け出された。
わなは破られ、私たちは助け出された。
私たちの助けは、天地を造られた主の御名にある。」(詩篇124)



■ イスラエル軍の動き

イスラエル軍はリタニ川以南の南レバノン地域(国境から約20Km)を制覇し、そこから発射されているロケット弾、及びミサイルを一掃する戦略を進めています。イスラエルに着弾するロケット弾の70%はこの地域から発射されているとみられています。

現在7000人が戦闘に参加しており、村々に潜むヒズボラのゲリラと戦いながら、国境から10Kmの地点まで北上しています。9日、激しい戦闘で予備役兵15人が死亡(一日の戦死者数としては最多)。34人が負傷しました。

現在イスラエル軍は、「リタニ側以南で走る車両は、すべて爆撃する」との警告のチラシをまいています。現在4万人規模の予備役兵が、国境付近に終結し、大規模な戦闘に備えています。戦闘が始まればリタニ川を越えた所にあるヒズボラの拠点(ハイファやガリラヤ地方を攻撃している)も攻撃対象になります。

イスラエル軍は1週間程度でリタニ川までを制圧できると見ています。制圧後リタニ川以南の一掃をしますが、6週間程度かかるとみています。

ヒズボラ関係者によると、ヒズボラはリタニ川以南の100~130の村にゲリラ兵士を配備しています。リタニ川以北にも同様の配備がなされており、まだ数千人のゲリラが潜んでいるとのことです。ヒズボラのナスララ党首は、イスラエルの動きに対し、ハイファへの攻撃を強化することを宣言。ハイファ在住のアラブ人たちに退去を呼びかけました。

<予備役兵>

イスラエルでは18才から男子は3年、女子は2年兵役に就きます。その後、軍隊に残らない男子は予備役兵として登録され、43~45才まで毎年、最長1カ月徴兵されます。しかし、兵役免除の申請ができますし、配置箇所によっては毎年徴兵されない場合もあります。

今回のような緊急の徴兵の場合は、免除制度はありません。過去の例をみれば緊急徴兵されて免除申請した者はほとんどなかったということです。現在徴兵されている予備役兵は20代後半から30代の若い父親たちです。

46才軍用輸送車運転手 サミーさん サミーさんは軍用輸送車運転手として徴兵され、現在ガザの国境で、兵役についています。兵士や物資を戦場に輸送する任務です。妻と2人の子供がいます。最近物資を届けに北部へ行きました。アッコとナハリヤの間で休んでいたとき、カチューシャ・ロケットがサミーさんから50Mのところに着弾し、あやうく負傷するところでした。
その後、北部の戦場で偶然、兵役についている息子に会いました。メ息子を見たとき本当に心配になりました。息子に「恐れないで男らしくするように」と言いました。人生で一番胸が詰まる思いがした瞬間でした。モサミーさんは、兵役は義務ではなく特権。必要なら兵役が終わっても、必要ならボランティアでも続けたいと語りました。

<予備役兵を襲ったロケット弾 12人死亡>

6日、北部キリアット・シモナ郊外のキブツにロケット弾が連続して着弾し、集まっていた予備役兵を直撃、12人が死亡しました。同日、ハイファでもロケット弾でビルが倒壊し、3人が死亡しています。

*カチューシャ・ロケットには大量の小さな金属片が入っており、着弾と同時に四方八方へ飛び散ります。非常に高い殺傷能力があります。

<祈り>

  1. 万軍の主がイスラエル軍とともにいてくださり、全てを導いてくださるように。
    一般市民が完全に避難し、巻き添えにならないように。
  2. イスラエルの指導者、戦場の司令官たちの洞察力と知恵のために。
  3. 大事な兵士ひとりひとりの命が守られるように。

■ イスラエルの家族たち

北部で24時間ロケット攻撃を受けている町キリアット・シモナ。バスによる輸送で住民の脱出避難が勧められています。バスに乗りかけてはサイレンが鳴って何度もシェルターへ駆け戻りました。北部では避難する際に連れていけなかったペットが取り残され飢餓状態になっているものもいます。

先週5名の死者を出したアッコでは、500名が集う葬儀が悲しみの中で行われました。出席した人は、そこにいる人々の表情にイスラエルの歴史を見たようだったと語っています。やっと困難を乗り越えたにもかかわらず、今また不条理な死に向かい合っているのです。

苦悩の表情には「いつまで続くのだろう。いつまでユダヤ人は絶滅の対象にされるのだろうか」という無言の叫びがあったといいます。アッコでは危機を前に、ユダヤ人もアラブ人も、正統派もメシアニック・ジューもともに助け合って貧しい人々に支援がなされているということです。

<ハイファ在住のC医師より>

ハイファでは、もし会社が自宅の近くにあるならば(シェルター完備が条件)、できうる限り仕事に行っています。C医師はハイファ郊外の医療クリニックで通常の診察を行っていますが、サイレンがなるとすぐにシェルターに駆け込んでいます。店は少し開いていて、必要なものを買っています。

ハイファの総合病院であるランバンホスピタルでは、心臓外科、がん病棟を戦争負傷者のために特別病棟として開放し、治療にあたっています。市民だけでなく、レバノンの戦場からも負傷兵が来ます。

怪我人が多くスタッフは大変ハードなシフトで働いています。病人もスタッフも、サイレンが鳴っても逃げることができません。また病院に通勤することがすでにリスクになっています。

(新聞より)イスラエルの救急隊「マーゲン・ダビッド・アドンMDA」では、移動式ICU車を8台新しく導入しました。

<子供サマーキャンプ疎開>

ジューイッシュ・エージェンシー(ユダヤ機関)では、2万人の子供たちをイスラエルの安全な場所、中央付近に疎開させました。彼らは毎日両親に電話することができます。(1週間単位(350ドル)で滞在を更新)同時に北部のシェルターに1000台のエアコンとテレビを贈呈しました。また爆撃で電気が止まった際に使えるような発電システムを導入しました。

ユダヤ機関イスラエル局長は次のように語っています。「戦争が始まって3週間以上になります。私たちは戦争をしたくない。ほしいのは平和です。しかし、兵士が拉致され、私たちの頭の上にロケット弾がきます。対処しなければなりません。相手方に被害が出ることは私たちも望んでいません。しかし、私たちにはしなければならないことがあるのです。

北部のシェルターは悲惨です。暑くて、とても1カ月もすごせるところではありません。外へ行けば命を落とすリスクが大変高く、シェルターから出られません。しかし、今人々はリスクを覚悟で外へ行ってしまっています。耐えられないのです。私たちが送ったエアコンやテレビで人々が外へ行かなくなりました。」

<北部を脱出した人々>

ヤンコ一さん一家が北部ツファットからエルサレムへ避難して早3週間になります。今、父親のメイールさんは家族の宿泊先をさがさなければなりません。戦争が始まって3日後、ツファットを襲ったカチューシャ・ロケットは、ヤンコーさん一家の祖父母の家を直撃し破壊してしまいました。

エルサレムに到着したとき、まずキング・ソロモン・ホテルに泊まりました。それからパールホテル。一晩無料で泊めてくれました。それから割引のあった死海のホテルへ行きました。それからエイラットまで下りました。またエルサレムのホテルへもどり、ペータ・ハティクバのホスト・ファミリー(現在ボランティアで被災者家族を受け入れる家族があります)へ行き、その後は車の中で眠りました。

その後、ハデラの妹のところへ行きましたが、その日ハデラにミサイルが撃ち込まれました。子供たちはフラッシュバックでおびえてしまい、エルサレムへ戻らざるを得ませんでした。昨夜はアリエル・ホテルに泊まりましたが、今夜の宿泊先は決まっていません・・・。

ヤンコーさん一家が使った費用はこれまでに18,000シェケル(約45万円)。これ以上使えないのが現状ですが、ツファットに帰るわけにはいきません。ヤンコーさんたちは自力で北部を脱出し「戦争休暇」を強いられている家族です。様々な寄付によって持ちこたえています。彼らは政府にささえられているわけではないので、そうとわかるとホテルは彼らを追い出す傾向にあります。それでいろいろなところを点々とすることになるのです。

「子供たちはツファットには帰りたくないと泣きます。貧しい物乞いみたいで、精神的に疲れてしまいました・・・」 このようにイスラエル中を流浪する難民家族が何千組もさまよっています。

<自殺未遂>

8月3日、エルサレムのキングス・ホテルでは、出て行くように言われた客が自殺脅迫をしました。彼女はキリアット・シモナから避難してきた60人のうちの一人でした。一行は「ベアッド」という旅行会社が個人的に献金を集めて連れてきていました。ホテルを出るように言われ、60人が騒ぎだし、警察が出動する騒ぎとなりました。死海のホテルで4日間を与えられ、いったんは死海へ移動したものの、その期間が終わってしまえば同じことのくりかえしです。

<学校寄宿舎へ避難>

全国にある84の学校や寄宿舎が、約8000人の被災者を収容しています。北部からは毎日、新たに避難したいという人からの連絡があります。もうすぐ夏休みが終わり、子供たちが帰ってくる予定ですが、被災者が帰宅できるめどは立っていません。

教育相は、新学期の開始を1週間延期することにしています。

<祈り>

  1. 現在北部にとどまっている人々の安全と支えのために。
  2. ランバン・ホスピタルにいる人々を覚えて。
  3. トラウマを負っている多くの子供たち、被災者たちの支えと備えのために。
  4. 行政に知恵が与えられ、被災者の救済システムが早急に整えられるように。

■ 終戦へのこころみ

多数の死者が出るに及んで、国連では早期停戦に向けた努力が続けられています。国連安全保障理事会では継続した停戦までのガイドライン決議案を採択しました。

  1. 拉致されたイスラエル兵たちの無条件返還。
  2. レバノンからイスラエルへ向けたロケット弾、ミサイルなどによる敵対行為を即時停止する。
  3. 安全保障理事会の採択1559(ヒズボラの武装解除を含む)の完全実施。
  4. レバノン軍と平行して多国籍軍を南レバノンに派遣する。
  5. ヒズボラが軍事力を再構築しないよう、シリアとイランからの武器供与をさしとめる。

これに対し、ヒズボラとレバノンは、イスラエルのみが有利だと反発しています。レバノン政府は南レバノンに6万人の軍隊を派遣すると表明しています(6万のほとんどすべては歩兵であり、訓練は受けていません。武器もなく力量は不明)。多国籍軍については、アメリカは参加しないことを表明しており、構成に手間取っているもようです。

イスラエルの専門家は次のように解説しています。イスラエルは今世界の動きを注意深く見ています。国連とレバノン軍が継続した平穏を南レバノンで実現する力があるのかどうかです。以前の国連平和維持軍は実質何もしていませんでした。イスラエルが望むのは継続した平和です。

国際社会の停戦への試みがどこまで実効性のあるものなのか、もし停戦になるなら、それまでにイスラエルがどこまでヒズボラを封印することができるかが将来の平和に影響します。

<祈り>

  1. 戦争が最善の形で早期終結し、継続した平和が生み出されるように。
  2. アメリカ、EUなど世界の列強指導者に知恵が与えられるように。
  3. シリア、イランが戦闘に参入しないように。
    *イスラエル軍が遭遇したヒズボラ・ゲリラの中にイラン革命軍兵士がいたとイスラエルのシャンネル10が報告しています。

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、アル・ジャジーラなど

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