ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 96 サイレンと防空壕
北部イスラエルに対するロケット攻撃が続いています。ハイファ、アッコ、ティベリヤ、ナザレでも犠牲者が出ました。住民は、サイレンと爆音が鳴り響く中で、防空壕での生活を強いられています。子供たちに限界が来ています。イスラエル空軍は、ベイルート(レバノン)にあるヒズボラ本拠地、ロケット発射地域などを精力的に破壊しています。この戦いが始まってから、イスラエルの犠牲者35人(市民15人、兵士18人)レバノン側の犠牲者は309人となりました。
6月1日に献堂されたばかりのエルサレム・プレイヤータワーでは、300人のクリスチャンが集まり、篤いとりなしが行われました。続けて、とりなしが行われています。私たちも、世界中のクリスチャンたちと心をあわせ、イスラエルと周辺の人々のためにとりなしましょう。
もし、あなたがこのような時に沈黙を守るなら、別の所から、助けと救いがユダヤ人のために起ころう。しかしあなたも、あなたの父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。(エステル4:14)
北部都市へのロケット、及びミサイル攻撃が続いています。イスラエル第三の都市ハイファでは先週、鉄道関係施設に着弾したロケット弾により8人の市民が死亡して以来、一般のアパートなどにも着弾し、犠牲者(市民15人)と負傷者が多数出ています。
ハイファ最大の病院、ランバンホスピタルには、現在ロケット弾からかろうじて守られた負傷者が63人入院しています。救急車、病院は大量のけが人に備えて準備しています。
ロケット弾が検知されると、けたたましいサイレンが鳴りますが、1分以内に着弾するため、あまり役にたちません。サイレンが鳴って母と娘は防空壕に駆け込みましたが、父は(娘の毛布を取りに行っていた?)間に合わず死亡しました。石油関係施設をはじめ、化学工場もあり、破壊された場合の被害の深刻さが懸念されています。
ナザレでは19日、3才と9才の子供たちが、ロケット弾の直撃を受けて死亡しました。2人はイスラエル在住のアラブ人でした。イスラエル北部には、アラブ人が多く住んでいますが、同じアラブ人による今回の犠牲について、複雑な心境を語っています。
ティベリヤはガリラヤ湖畔最大の町。旅行者が必ず訪れるところです。ここにもロケット弾は着弾し、負傷者が出ています。これから夏の旅行シーズンでしたが、ビジネスは停止したままです。
イスラエルでは、家を建てるときには防空壕を併設することになっています。防空壕といっても、塹壕やほら穴ではありません。地下にある小さな部屋で、しばらくは生活が可能なように準備されています。現在、北部住民は、防空壕で生活するよう指示されています。学校は休校。狭い防空壕での避難生活で人々、特に子供たちに限界が来ています。
アッコ(ハイファより車で10分北上したところ)で伝道しているコーヘン師によると、防空壕で毎日サイレンと、時にロケット弾の着弾する爆音を聞いているということです。コーヘン師ら教会スタッフは子供たちをテルアビブ(アッコから南へ2時間)の動物園に1日連れ出しました。今また、防空壕にいます、全員無事です、とコーヘン師。アッコ市では、防空壕の住民に対して、食料配布や、リクレーション・スタッフの派遣をはじめています。(コーヘン師も協力しています。)
北部都市へのロケット攻撃が始まったのは、7月13日でした。12日、レバノン南部のヒズボラ武装組織が、イスラエルへ侵入し駐屯していたイスラエル軍を襲撃して、2人のイスラエル兵を拉致。イスラエル軍が拉致された2人の救出のために反撃したところ、翌日から北部都市への攻撃がはじまりました。(拉致兵士はガザで拉致されたシャリートさんを含め、計3人)
拉致に関しては、ヒズボラのナスララ党首がイスラエルに収監されているパレスチナ人との交換交渉と言いましたが、イスラエル政府はこれを拒否。ヒズボラの本拠地ベイルート、ロケット弾、ミサイルの発射地、ヒズボラへの補給を絶つためにシリアへのハイウエイなどを、昼夜を問わず、現在も空爆しています。
イスラエルはベイルートなどレバノンの一般市民には避難するよう勧告していますが、破壊が大きいため犠牲者は武装兵を含めて309人に上っています。イスラエルは、地上戦の準備を進めていると言われています。
現在、レバノン南部では、イスラエル軍と、ヒズボラとの直接戦闘が始まっており、20日にはイスラエル兵4人が死亡しました。ヒズボラは、テルアビブなどイスラエル中心部をも攻撃できるミサイルを数十発保持していることを明らかにしており、地上戦がはじまれば、それらが使われる可能性もあります。
北部戦闘と平行して、ガザでの戦闘も続いており、ガザ難民キャンプにイスラエル軍が突入したと報告されています。西岸地区ナブルスでも戦闘でイスラエル兵2人が死亡しました。
1982年、レバノン南部にいたPLO(アラファト議長とパレスチナ解放機構)のテロ攻撃に対し、イスラエル軍がベイルートを攻撃、レバノン南部に駐屯してイスラエルへのテロ攻撃を防いでいました。イスラエルは、現地クリスチャン(南レバノン軍:SLA)と協力していました。これに反発したシーア派イスラム教徒が、反イスラエル目的で立ち上がったのがヒズボラです。ヒズボラは、イランのイスラム革命の大きな影響の元で設立されました。従ってイランが設立当初から支援していました。
隣国シリアも、紛争監視と称して、軍隊をレバノン駐屯させヒズボラを直接的に支援していると言われていました。2000年、SLAの指導者が暗殺され、SLAが弱体化したのを機に、イスラエル軍が突然撤退。昨年には国際世論の批判により、シリア軍も撤退しました。しかし、ヒズボラは、イスラエル軍不在となってから、シリアとイランの支援を受けて、強大な軍事力を持つ組織へと成長していました。
シリアにはハマス武装部門の拠点があります。ガザでの紛争と、北部での紛争が、シリアとイランによって計画的にすすめられていると分析されています。
ヒズボラはアラビア語で「神の党」という意味です。ハマスと同様に武装部門と政治部門に分かれています。政治部門はレバノン政府内に議席を持っている正式な政党の一つとなっています。(128議席中、18席)
武装部門は、設立以来、数々のテロ行為(自爆テロ)を行っています。アメリカ領事館爆破で63人、ベイルートで241人が犠牲となっています。イスラエル、アメリカ、カナダ、イギリスはヒズボラをテロ組織に指定。EUはテロ組織とは断定していません。
「これはレバノンに対する戦いではない。ヒズボラに対する戦いであり、国家の安全を脅かす者への防衛である。レバノンを占領することが目的ではない。」イスラエル政府は繰り返し訴えています。イスラエルはテロ組織との交渉はしないことを決めています。拉致兵士が無事返還され、北部への攻撃が止まるまで、イスラエルは軍事闘争を止めないと表明しています。
しかし、イスラエル側よりはるかに大きな犠牲がレバノン市民の間で発生し、市民が自宅から避難退去して町が崩壊している姿はイスラエルを不利な立場に追い込みつつあります。ヒズボラは戦争を長引かせることが目的ではないかと分析する評論家もあります。
イスラエルの国会議員ラナン・ギシン氏(元シャロン首相顧問)コメント(部分要約)
イスラエルは、2000年にレバノンから撤退し、レバノン政府と国際社会がヒズボラを管理することを期待しました。しかし、なにごとも起こらなかった。イスラエルは自らの手で国家を守らなければなりません。問題はイスラエルとパレスチナの限局した問題ではありません。これは「悪の枢軸」との戦いです。イスラエルは最前線にたち、真っ先にこの問題に直面していますが、まもなく、国際社会が同じ問題に直面することでしょう。
ギシン氏が発言している通り、イランやイスラム諸国では、反イスラエル思想や、デモが再燃しています。V8(先進国首脳会議)では、今の情勢の解決は1.拉致兵士の無事返還 2.イスラエルへの攻撃停止 3.イスラエルの撤退との発表をおこないました。
しかしフランスなどヨーロッパ諸国は、イスラエルは即時撤退すべきだと発言しています。ローマ法王も日曜礼拝のメッセージでイスラエルを避難しました。
建国以来の危機にみまわれていると言われる中、19日、北米から220人の新移民がイスラエルに到着しました。38家族と個人36人、ネコ2匹に犬1匹。アメリカ系、カナダ系のユダヤ人たちで宗教的なユダヤ教徒です。ラビもいます。
北米からの移民を促進するユダヤ人支援組織「ネフェシュ・ベネフェシュ」によると、キャンセルがでてはいるものの、計2000人がこの夏、移住を予定しています。
彼らは自発的にアリヤ(イスラエルへの移住)を決めた人々で、「シオンを建て直すために来た。神が戦えといわれるなら戦う。敵はイスラエルをなくそうしているから、私たちは来ました。イスラエルはなくならない。私たち移民が最大の武器です。」と語っています。
以前にエルサレム・プレイヤー・タワーについて報告したことがあります。6月1日のペンテコステの日に献堂されました。責任者のウエイン・ヒルスデン師は、イスラエルの危機の直前にタワーが完成したタイミングについて、この時のために主が用意されたと語っています。タワーでは、300人が集まり、北に向かってとりなしがなされました。引き続きとりなしが続けられています。
現地の人々は、1500発のロケット弾が着弾して死者が15人というのは、奇跡だと言っています。祈りは用いられています。
イスラエルの北部には多くのメシアニック・ジュー、アラブ人クリスチャンがイエス・キリストを信じて集会を持っています。ナザレ(レオン師)では15人がイエスさまを受け入れたとの報告があります。また、ハイファのアラブ人教会(ダクワ師)では12人がバプテスマを受けました。
ハイファや北部の兄弟姉妹たち、アラブ人の兄弟姉妹たちは、「主がすべてを支配しておられることを信じている」と信仰の確信を語っています。若い兄弟たちで兵役に着いている人も多くいます。ハイファのシシコフ師の息子さんも兵役に行っています。彼らは戦場で同胞に福音を伝えているとのことです。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、アル・ジャジーラなど
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