ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 87 総選挙まで14日
イスラエルの総選挙が2週間後となりました。各党とも連立を模索する動きが始まっています。現政権を担うオルメルト首相代行とカディマは、ハマスの政権入りを視野に、「一方的分離政策」(パレスチナ側との合意なしに、一方的に2国家に分離しようとする政策)を進め、論議を呼んでいます。
14日、イスラエル軍はエリコの刑務所を包囲し、収監されていたサアダト(イスラエルのゼエビ故観光相暗殺の主犯であり、数々の自爆テロ首謀者)と6人のテロリストを逮捕しました。これに対し、ガザでは、外国人誘拐及びイギリス領事館事務所が襲撃されるなど、激しいデモ行動が起きました。現在、イスラエル国内では、テロ危険度レベル3(国家非常事態の一段階下)を発令し、警戒にあたっています。
神によって、私たちは力ある働きをします。
神こそ、私たちの敵を踏みつけられる方です。(詩篇60:12)
(アダルの月(今年は3月)の14日、15日、イスラエルではプリム(エステルの祭り)が祝われました。)
イスラエル国会の総選挙が14日後となりました。今回の選挙は、「イスラエルの領土とは何か」が焦点になる重要な選挙です。
カディマ党のオルメルト首相代行は、シャロン首相が、進めていた「一方的分離政策」を加速させ、4年後には国境線のある2国家に分離する方針を明らかにしました。建設中の分離壁は今年中に完成させる予定です。この目標を達成するためには、西岸地区に現存する入植地から数千~万人を撤退させなければなりません。アリエルなどの大きい入植地は残します。
一方、エルサレム近郊のマアレ・アドミームに隣接するE1エリアと呼ばれる部分には、入植者用に1,000家屋を新たに増築し、エルサレムとの連絡道を建設する計画です。カディマが政権を取った場合、これらの政策が実行され、イスラエル国家の領土が策定されていくことになります。
オルメルト氏は、シャロン首相の掲げていた国家治安、テロ対策を第一義に掲げています。ハマスが3点(1.武装解除 2.イスラエルの存在を認める 3.これまでに成立しているイスラエルーパレスチナ自治政府間の合意を継続実行する)を認めないかぎり、ハマス主導のパレスチナ自治政府との交渉はしない方針を明らかにしています。(予想獲得議席:37)
カディマを追っているのは、ペレツ氏率いる労働党。ペレツ氏は、ラビン故首相のオスロ合意を受け継ぎ、相手がハマスであっても、和平交渉を行う方針です。社会保障の改善を目指します。(予想獲得議席:19)
次にリクード。ネタニヤフ氏は、右派としての特色を強め、ハマスが政権入りする限り、2国家設立をめざすロードマップ案はありえないと表明しています。(予想獲得議席数:17)
3月14日、イスラエル軍は、オルメルト首相代行、並びにモファズ国防相の指示により、エリコ刑務所(パレスチナ自治政府運営)を包囲。収監されている6名のテロリストの引き渡しを要求しました。6名の中には、2002年にゼエビ故イスラエル観光相を暗殺したテロ組織「PFLP」のメンバー、サアダトが含まれていました。
サアダト始め6名のテロリストは、イスラエルで多数の市民を殺害した犯人たちです。イスラエル政府はサアダトらの身柄引き渡しを要求していました。パレスチナ側が引き渡しに応じなかったため、サアダトらは、イギリスとアメリカの監視下でエリコ刑務所に、終身刑に服することになっていました。
ところが先月、イスラエルとの合意に反してサアダトらが刑務所を出る可能性が出てきました。監視団を派遣しているイギリスとアメリカは、刑務所の治安体制が不十分であると指摘。監視団の安全が確保できないとして、一時監視団を引き揚げることをパレスチナ自治政府に通告していました。実際に監視団はひきあげてしまい、サアダトらの出獄を抑止できない危険な状態となりました。イスラエルは、サアダトらを確実に拘束するため、 今回の非常手段に出たものと思われます。
エリコ刑務所には200人が収監されていました。イスラエル軍の呼び掛けに応じて、44人がまず投降。サアダトらは抵抗していましたが、イスラエル軍がブルドーザーで刑務所の破壊に取り掛かったため、サアダトと5人の指名テロリストも約10時間後に投降、イスラエルの刑務所へ連行されました。この作戦での銃撃戦でパレスチナ警察官ら2名が犠牲になりました。今後、イスラエルにおいてサアダトらの裁判が行われます。
エリコでの事件に強く反発したPFLPや他のパレスチナ系武装勢力は、イギリス領事事務所を襲撃放火、外国人ら10人を誘拐しました(7人はその後無事釈放されています)。ガザでは、300人もの武装戦士らが、抗議の叫びをあげ、イギリスのカルチャーセンターや、アメリカなど外国の支援団体のオフィスを襲撃しました。ガザ在住の外国人たちは、パレスチナ自治政府の治安部隊本部に避難しています。
エリコ事件を受けて、イスラエル国内の刑務所では、厳戒態勢をとっています。収監されているパレスチナ人の間に暴動が懸念されます。報復テロも予想されるため、イスラエル政府は、テロ危険度3(国家厳戒態勢の一段階下)を発令し、警戒にあたっています。来月には過越の祭り(大型連休)が始まりますが、エジプト、ヨルダンを訪問するイスラエル人をねらったテロがすでに警告されています。
ハマスは、次期政府をハマスの単独政府ではなく、他のパレスチナ団体も加わる複数政党の政権にしたいと考えています。現在までに、ファタハ(アッバス議長所属の党)や、他のパレスチナ系団体と対話していますが、まだ合意に至らず、政府を形成することができていません。ファタハは、ハマスがイスラエル打倒の意志を変えない限り、新政府の連立に加わらないことを明確にしています。ハマスは今月中に組閣を提示しなければなりません。
アメリカの法律は、政府高官がテロ組織と認定されているハマスを経済支援したり、直接対話をもつことを禁じています。アメリカはファタハに、ハマスとの連立になれば、アメリカは自治政府を支援できないと圧力を掛けています。しかし、パレスチナ自治政府の経済はほぼ破綻状況にあり、なんらかの形で支援がなされなければ、パレスチナ人たちが更に暴徒化することが懸念されています。
ガリラヤのカナは、イエスが婚礼の時に、水をワインに変えた奇跡で有名な村です。カナで、新しい考古学的発見がありました。見つかったのは、イエスの時代より千年近く前のソロモン時代、南北分裂時代にカナにあった城壁の一部などです。カナは9世紀にいったん破壊され、廃墟となりましたが、1世紀初頭にユダヤ人たちが再び住むようになりました。再生したカナの遺跡はこれまでにも見つかっており、新約聖書の記述と合致しています。今回も、1世紀後半のものとみられる壷が見つかっています。
ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他
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