ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 86 ハマスどう出る?
1月25日、パレスチナの議会選挙で圧勝したハマス。アッバス議長は、ガザのハマス指導者イスマイル・ハニヤ氏を首相に指名の上、内閣形成を依頼しました。しかし、ハニヤ氏は14日経った今も、まだ受諾の返事をしていません。
ハマス圧勝を受けて、西側諸国がいっせいに支援中止を決めたため、パレスチナ自治政府は経済破綻寸前まで追い込まれました。EUが1億4,400万ドル(172億円)を緊急融資したほか、イランが巨額の支援を申し出ています。混乱の続くパレスチナでは、じわじわとイスラム原理主義が進む傾向にあり、パレスチナ人クリスチャンたちは警戒を強めています。
イスラエルでは3月28日の選挙に向けて、準備が始まっています。誰が次期指導者になるのか、今週も聖霊の導きを願いつつ祈りましょう。
すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。
それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです。(Iテモテ2:1-2)
1月25日、パレスチナの議会選挙で圧勝したハマス。アッバス議長は、ガザのハマス指導者イスマイル・ハニヤ氏を首相に指名の上、内閣形成を依頼しました。しかし、ハニヤ氏は9日経った今も、まだ受諾の返事をしていません。
パレスチナ側の情報によると、アッバス議長は、ハニヤ氏に、イスラエルの存在を認めることを前提に、現在までに国際社会と合意してきた約束事を遵守するよう求めました。ハマスは基本的にはアッバス議長の要求を無視するという基本方針を決めています。しかし、現実問題として、ハマスはアッバス議長にどう返答するか、まだ結論に至っていないようです。
パレスチナ憲法によると、第一党に選ばれたハマスは3週間(2週間の延長も可能)以内に新政府を形成しなければなりません。ハマスは、選挙から3週間ではなく、首相決定から3週間と、独自の認識をしている模様です。(まだ3週間の期限が始まっていないと考えている)
ハマスの政権入りが明白となってから、アメリカ、EUなど西欧諸国が、いっせいにパレスチナ支援政策を中止しました。ハマスはテロ組織に認定されているためです。イスラエルも、パレスチナへの税調整額(月約5,000万ドル返金していた)を凍結しました。
選挙前からすでに経済危機に陥っていたパレスチナ自治政府は、たちまち経済危機に追い込まれました。イスラエルのあるガソリン会社はパレスチナ自治政府から2,200万ドルの不渡りを出されたため、ガソリンの販売を中止しています。
アメリカからの中東特使ウォルフソン氏が調査したところ、パレスチナ自治政府の経済はすでに危機的状況にあり、2週間以内に破産する可能性が指摘されました。職員の給与が払えず、ガスなどの公共事業も滞っています。
緊急事態を受けて、EUは、2月27日、1億4,400万ドル(172億円)を緊急融資しました。ハマスがまだ政権入りしていないことを理由にしています。アメリカもこれを歓迎しました。イスラエルは、いかなる融資もイスラエルを攻撃する武器に変わるとして、融資に強く反発しています。
核問題や、イスラエルに対するあからさまな敵対発言で注目を浴びているイラン。混乱するイラクに変わって、中東における影響力を強化しています。イランは、パレスチナ自治政府に2億5,000万ドルの融資を提示しました。イランは今年4月中旬、首都テヘランにおいて、「反イスラエル・カンファレンス」を計画しています。
アッバス議長は、国際テロ組織アルカイダが、ガザ及び西岸地区に存在する兆候があると発表しました。イスラエルは、昨年のガザ撤退時の混乱に乗じてアルカイダがガザに入ったと指摘していました。自治政府はこれを否定していました。
アッバス議長は、ハマスが時間稼ぎをしているのに乗じて、議長権限を増やす一方、国家治安部隊25,000人(自治政府最大の治安警察で、“パレスチナ軍”に相当する)の統括権を、ハマスに委譲しました。実際は、統括であって、支配権は議長にあるとしています。
イスラエルでは、西岸地区付近の高速道路を走っていた車が射撃される事件が2件続きました。イスラエル人1人が死亡、1人が負傷したほか、エルサレム郊外では男性1人が刺殺されています。ガザや西岸地区では武装勢力とイスラエル軍との紛争が続いています。
ハマスはまだ政権入りしていませんが、ガザを始め「イスラム化」がじわじわと広がってきています。パレスチナ自治政府の拠点がある西岸地区の町ラマラ。人口の10%がクリスチャンです。ハマスが政権をとってから、女性たちが、徐々にかぶり物をし、長袖のブラウスを着るようになってきました。アルコールについては“飲めるうちに飲もう!”と人々の間で言われています。(イスラム政権になると飲めなくなる可能性あり)
町には「預言者を殺す者、十字軍をサポートする者(クリスチャン)はここでは歓迎されない」と書かれたポスターが張られています。
パレスチナ側で、最もクリスチャン人口が多いのはラマラとベツレヘム。クリスチャンの多くは、ギリシャ正教など伝統的クリスチャンで、昔はイスラム教徒とバランスのとれた関係にありました。ハマス新政権が、クリスチャンとの関係をどのように保つのか不透明です。クリスチャンは、イスラム教徒、イスラエルとの敵対に加えて、最近増えてきたイスラエル支持派のクリスチャンたちからも忘れ去られたと感じています。
前回、2月28日を期限に、爆破予告を受けていたガザ・聖書協会ですが、今のところ爆破はされていません。しかし、ブックストアの営業は止まったままです。現地の福音派クリスチャンたちは、不安な日々を送っています。
ガザ・バプテスト教会のマサド師によると、地域における伝道活動は継続しています。アワナ・クラブでは100人の子供たちを導いています。ベツレヘム聖書大学の出張講座では、現在20人の学生が学んでいます。マサド師によると、ガザは無政府状態。この混乱の中で、師の友人夫妻が救われたそうです。
イスラエルでは3月28日の総選挙に向けて、激しい選挙戦が繰り広げられています。度重なるテロを受けて、カディマのオルメルト首相代理は、暴力には「鉄の拳」(テロには厳しい対応をとる政策)との方針を打ち出しています。
しかし、アッバス議長との会話は継続する可能性は示唆しています。パートナーであるリブニ外相は、アッバス議長との会話も否定しており、足並みの乱れが指摘されています。
西岸地区アモナからの強制退去で負傷者が200人を超える混乱だったため、現在、責任問題も進行中です。カディマの獲得議席の予想数は現在120議席中37と、ピーク時(44議席)からは下がってきています。
労働党のアミール・ペレツ党首はアッバス議長と会談を予定。予想議席は19と安定しています。ネタニヤフ氏率いる強行右派のリクードは、ハマス圧勝の影響で、予想議席を15と回復しつつあります。
1月4日に広範囲脳出血で倒れたシャロン首相。昏睡状態のまま現在に至っています。大腸に潰瘍が見つかり、大腸の部分切除術を受けました。シャロン首相は、2月26日、78歳の誕生日を迎えました。イスラエルでは「悲しい誕生日」と報じられました。家族が病院でささやかにお祝いをしました。シャロン首相が入院しているハダッサ病院前には、今も祈る人々の姿がみられています。
ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他
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