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ハイメール通信No. 84 不穏な空気~エルサレムの平和のために祈れ~

1月25日、パレスチナ自治政府の議会選挙で、ハマスが過半数をとりました。ハマスは「パレスチナ軍」を結成してイスラエルと戦うことも示唆しています。イランはイスラエルを敵視する発言を続けながら、核開発を進めています。アメリカのブッシュ大統領は、もしイランがイスラエルを攻撃することがあれば、軍事力を行使してもイスラエルを守ると語りました。

イスラエル国内では西岸地区のアモナにある不法入植者と、強制退去させる軍隊との衝突で、200名の負傷者が出る騒ぎとなりました。 この先いったいどうなるのか……ますますエルサレムの平和を祈ることが求められています。

わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います。あなたがたは心を騒がしてはなりません。恐れてはなりません。(ヨハネ14:27)



■ ハマス圧勝:これからのパレスチナは?

1月25日、パレスチナ自治政府の議会選挙が西岸地区各地、ガザ地区で行われました。投票率は70-80%、懸念されていた東エルサレムでの投票率は50%を切り、大きな衝突はありませんでした。パレスチナの議席数は132。うちハマスが70議席をとり、単独与党となりました。

ハマスの勝利は、故アラファト議長時代からのPLO(パレスチナ解放機構)を母体とするパレスチナ自治政府の汚職に、市民が絶望していたためと分析されています。これにより、クレア首相(ファタハ党)率いる現政権はいっせいに辞表を提出。アッバス議長(大統領的な立場なので、所属政党が敗退しても基本的には地位は変わらない)はハマスに内閣形成を委任することになります。

ファタハとハマスはどちらもパレスチナ人の組織ですが、互いに対立している組織です。ガザでは、ハマスの勝利に怒った数千人のファタハ党員が、40年続いたファタハのリーダーシップを敗北させたとして、アッバス議長らを非難し、自治政府議会になだれ込みました。支持基盤を失ったアッバス議長は今後、大変難しい立場に立つことになります。

アッバス議長とハマスは昨年7月以来、直接の会談をもっていません。選挙結果を踏まえて、アッバス議長とハマスの政治部指導者カリード・マーシャルは、今週末にもエジプトで会談するのではないかと見られています。

<アッバス議長、西側へ嘆願>

ハマスは、アメリカ、EUヨーロッパ連合からも公式に「テロ組織」に揚げられている組織です。ハマスが政権を担う見通しとなったため、国際社会は、相次いでパレスチナへの支援停止を表明しました。パレスチナ自治政府は、現在、経済的な困窮に陥っており、職員135,000人に給料を支払えない状況です。

アッバス議長は、この経済的な危機に対処するため、カルテット(アメリカ、EU、UN国連、ロシア)と会談し、3月のイスラエル総選挙まで、「パレスチナの暫定政権」という形で黙認し、支援を続けてくれるように訴えています。ハマスに時間を与え、政権を担う準備をさせるねらいもあると言われています。

時間を稼いで、国際社会からのプレッシャーにより、ハマスが軟化し、ファタハとの連携を提示する可能性も示唆されています。しかし、ハマス主流派は、ファタハとの連携に反対しており、先行きは不透明な状況です。現時点で、ハマスは、「武装解除はしない」、「ハマス憲章にある「打倒イスラエル」を削除することもない」と強気の姿勢を示しています。

パレスチナ軍??

ハマスのカリード・マーシャルは、現在パレスチナ自治政府が運営している治安部隊を自己の傘下に入れて、パレスチナ軍とし、イスラエルとの戦闘を続ける可能性を示唆しています。これに対し、ファタハで治安部隊を指揮してきたダーランは、いかなる場合でも、治安部隊がハマスに取り込まれることはない、と強気の発言をしています。現在、自治政府から、治安部隊に武器が供与され、ハマスに対抗措置をとっているとの報告もあります。

エジプトなど穏健派アラブ諸国は、ハマスが政治組織にふさわしい態度で臨み、平和への歩みをするよう働きかけています。しかし、イラン、レバノンなど中東諸国の他、スエーデン、日本など、パレスチナにおいて民主的な選挙が行われたとして評価している国々もありました。

ガザ地区クリスチャンより

ガザのバプテスト教会は、ガザ地区議会のすぐ隣にあります。ハマスが勝利して、多数のファタハ党員がガザ議会になだれこみ、発砲さわぎが起こったとき、教会では65人(内50人は子供たち)が集会を行っていました。幸い全員無事でした。「ハマスによって、パレスチナがイスラム政権となった場合、これからどうなるのかわからない。でも主が必ず益に変えて下さると信じて祈っています」とハナ牧師は語っています。

イスラエルの反応

イスラエルは、ハマスが政権に加わっている限り、いかなる交渉も行わないことを明確に表明しています。イスラエルは国際社会にハマス政権を認めないように訴えています。しかし、パレスチナ側が武器を捨てて、互いに平和を構築する交渉を望むならば、イスラエルは、交渉に応じる用意があるとシモン・ペレスは、CNNに語っています。

ハマス勝利の後もカディマの支持率は43議席と変わっていません。労働党が21議席、リクードが13議席に下がりました。

*パット・ロバートソン師ら、アメリカを中心とする福音派クリスチャンのリーダーたち(BFPのレベッカ・ブリマー師も含む)が、ハマスに対し、「私たちはイスラエルと共通の敵をもつことになった」と公に表明しています。イスラエル・パレスチナに住む現地のクリスチャンたちが守られるよう祈りましょう。

<祈り>

  1. 一般のパレスチナ人、特にクリスチャンたちが守られるように。(ガザ・バプテスト教会、ベツレヘム聖書大学、ベツレヘム・エマヌエル教会など)
  2. 貧しい一般の人々に十分な食料が行き渡るように。
  3. パレスチナの新政権が、和平交渉可能な政権となるよう。
  4. 混乱と、怒り、暴力、党派心、絶望の中に、主の平安が与えられるように。

■ イランの核開発とイスラエル

イランの核開発をめぐって緊張が高まっています。イランは2003年までの18年間、核開発をしていながら、IAEA(国際原子力機関)に報告していませんでした。その後もIAEAからの報告要請にたびたび遅れるなどして、核兵器開発の可能性を指摘されていました。

イランは、原子力の平和的利用のための開発だと主張していますが、疑いはぬぐい切れていません。実際、「隣国のパキスタンやインドは核兵器を持っている。なぜイランは保有できないのか!?」という声も市民の間から出ています。

1月29日、IAEAのエルバラダイ事務局長は、イランと核開発の部分的な停止について交渉を重ね、合意に達しました。今後の方策は、イランが約束を守るかどうかにかかっています。約束を遵守しない場合は、制裁措置も視野に入れて、国連安全保障理事会へこの問題が持ち込まれる可能性が高くなりました。

イスラエルを巡る危険な動向

イラン:「ホロコーストを再現し、イスラエルを破滅させる」

イランのアフマディネジャド大統領は、就任以来、「イスラエルを地図上から消し去れ」などと、イスラエルを敵視する発言を公然と行ってきました。大統領は次のように公に発言しました。

「ここに一人の人間(自分を指している)がいることを、私は懸念している。第一に、彼は、ホロコーストを再現しようとしている。第二に、彼は、イスラエルを破滅させることを決意している。」

ブッシュ大統領:「軍事力を行使してもイスラエルを守る」

アフマディネジャド大統領の発言を受けて、アメリカの大統領は次のように反論しました。

「イスラエルとアメリカの関係は深い。もし、必要ならば、アメリカは軍事力を用いてでもイスラエルを援護する。従って、(イランの)このような発言に憂慮している。アメリカだけでなく、世界諸国にとって憂慮すべき事態だ。」

イスラエルは、イランの核開発については、早くからアメリカに警鐘を鳴らしてきました。かつてイスラエルは、イラクの核開発工場を早期に破壊し、危機を免れた経験があります。イランの場合も、イスラエルが同様の戦略を行使するのではないかと言われつつ現在に至っています。

<祈り>

  1. イスラエルを敵視するイラン大統領の策略がすべて失敗に終わるように。
  2. 主がすべてのリーダーを支配してくださり、戦争にならないように。

■ イスラエル:アモナからの強制退去で200人が負傷

ヘブロンについで、アモナにおいても不法入植者の強制退去、及び家屋9件の破壊が実行されました。不法入植者とは、西岸地区の中で、政府の許可がない地域に家を建てて住んでいるイスラエル人のこと。イスラエル政府からは、1月31日までに退去するよう警告が出ていました。

2月1日、数千人のイスラエル軍、警察が動員され、退去に反対する住民3,000人(多くが10代の若者)と衝突しました。ガザ撤退の時とは違い、住民は、石や鉄片を投げ、兵士も手当たり次第住民に手を出すなど、イスラエル人同士の激しい暴力で、200人が負傷、2人(一人は15歳)が重症を負いました。

反対者の中には、ベニー・ベイロン氏など右派国会議員も3人おり、負傷しています。イスラエル人同士が、暴力的に衝突するシーンはテレビで報道され、国民にショックを与えました。まだ撤去すべき不法入植地は2、3カ所残っています。

イスラエルのカツァブ大統領は、事態を憂慮し、国会の中に、調査委員会の設置を労働党に命じました。

<祈り>

  1. 衝突で重症を負った少年の回復のために。
  2. 心に傷を負った人々を主が顧みてくださるように。
  3. 今後の対策を立てる政府指導者に知恵が与えられるように。

<シャロン首相近況>

シャロン首相の容態に変化はありません。脳の出血は止まり、脳浮腫も軽減しましたが、意識は戻っていません。病院は、胃チューブによる経管栄養を始めました。

<ホロコースト記念日>

国連では1月27日、第一回目のホロコースト記念式典がもたれました。

ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他

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