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ハイメール通信No. 82 シャロン首相:脳出血で危篤

2006年明けて1月5日、シャロン首相が脳内出血で危篤となりました。新党『カディマ』を立ち上げたばかりで、次期内閣のメンバーも決まっていません。イスラエルは指導者を失う瀬戸際に立っています。残された政治家たちが、危機的状況にあって主により頼むように。今こそイスラエルのためにとりなしが必要です。

世代交代の進む中東に新たな時代が始まろうとしています。今年も、主の御心を受け取り、的を射た祈りで主に用いていただきましょう。

「まことに主は、ご自分の偉大な御名のために、ご自分の民を捨て去らない。主はあえて、あなたがたをご自分の民とされるからだ。」(Iサムエル12:22)



■ イスラエル総選挙情勢(2006年3月28日予定)

シャロン首相:脳内出血で危篤

1月5日夜、シャロン首相がネゲブの自宅で、胸部症状を訴えて、エルサレムのハダッサ・ヘブライ大学病院に緊急入院しました。検査の結果、脳内に大量の出血があり、緊急手術となりました(2度手術を受け、現在ICUに収容されています)。脳幹にも出血があるとみられ、首相は、意識なく、人工呼吸器につながれた状態です。

命の危険があり、例え生還しても政務に戻ることは不可能とみられています。シャロン首相が担っていた首相としての全権は、とりあえずはオルマート副首相に委ねられました。シャロン首相は、5日、心臓の穴をふさぐカテーテル術を受ける予定でした。オルマート氏はその3時間だけ政務を代行する予定でした。

シャロン首相の急病前に、新しくリクード党首となったネタニヤフ氏は、リクード党員は、全員、連立政権から離脱すると表明していました。空いたポジションには、カディマの党員が入り、次期政権のひな形になると見られていました。

しかし、シャロン首相には閣僚を指名する時間もなく、結局何も決まっていない状況で、現在に至っています。緊急事態を受けて、リクードは急遽政権離脱を撤回しました。国政を維持するためです。

危機的状況を迎え、イスラエルの政治家たちが主により頼むことができるように祈りましょう。

<祈り>

  1. シャロン首相のために、救いのために。
  2. 当座の首相職を担うオルマート氏のために。
    良い後任が早く与えられるように。
  3. イスラエル政府が主に支配され、御心にかなった指導体制が早急にできるように。
  4. 指導者不在中のイスラエルの治安維持のために。

■ パレスチナ自治政府選挙事情(2006年1月25日国会総選挙)

パレスチナ自治政府では、1月25日、評議会(国会)の総選挙が行われます。

パレスチナ自治政府が創設されたのは1993年。現在も、まだ民主主義政治安定化の途上にあります。さまざまな障害から、パレスチナ評議会(国会)は1996年に選出されたまま、まだ一回も選挙が行われていませんでした。今回初めての総選挙となります。

パレスチナ評議会の議席は現在88議席。うち68席をアッバス議長の所属するファタハ党(かつてアラファト議長が所属していたPLOパレスチナ解放機構の主流派)が占めています。

半数の議席は、地方選挙区で決まり、残り半数は比例代表制(得票率によって各政党に議席が分配される)で決められます。今回、ハマスの躍進を抑えるため、議席が、132に増やされました。ハマス以外の議員が議席を獲得しやすくするためです。

課題1.ファタハ(和平推進派) VS ハマス(徹底抗戦派)

<ファタハ>

ファタハはアッバス議長を党首とする与党です。イスラエルとの共存を視野に、和平交渉を進めようとしています。しかし、アッバス議長は、PLO創設(1964年)以来の旧世代。若手リーダーたちが新旧交代を訴えて、分裂寸前となっています。

昨年12月には、マルワン・バルグーティを中心とするファタハの新世代らが「アル・ムスタクワル」(未来)という党名のもとに、独自の選挙名簿を提出しました。(バルグーティは、イスラエルでのテロ活動により服役中ですが、民衆に根強い人気があります。)

これではハマスに対抗できないため、緊急に両者が歩み寄りました。新世代を多く取り入れた選挙名簿でなんとか分裂が避けられたようです。

<ハマス>

一方、ハマスは躍進しています。ハマスはイスラム原理主義を擁し、自爆テロを奨励しています。創設以来、打倒イスラエルを目的に掲げており、イスラエルとの共存には断固拒否を表明しています。過激派である反面、福祉活動を行い、貧しい民衆の間に支持層を持っています。ガザなどの地方選挙で躍進を続けています。イスラエルをはじめ、アメリカ、EU(ヨーロッパ連合)、ロシア、UN(国連)は、イスラエルとの共存を望まないハマスが議会入りすることに強い懸念を表明しています。

ファタハが分裂した場合、ハマスがパレスチナ自治政府の主導権を握ることとなり、和平は50年後退すると言われています。現時点の世論調査では、ファタハが43%、ハマスが25%となっています。

課題2.選挙中の治安

今回の選挙では、西岸地区、ガザ地区、東エルサレムで投票が行われることになっています。昨年12月、イスラエルは東エルサレムでの投票は受け入れられないと表明しました。

東エルサレムの住民はほとんどがパレスチナ人です。しかし、1967年以来、エルサレムは東側も西側(ユダヤ人居住区)も統一されたイスラエルの領地であり、イスラエルの首都と定められています。従って、東エルサレムは、パレスチナ自治政府の管轄外地域にあたります。

また、ハマスが立候補していることで、イラクのように、選挙をめぐるテロも懸念されています。イスラエルは、エルサレムでの投票を決行するならば、道路封鎖などを行うと表明しました。アッバス議長は、エルサレムでの投票ができないならば、選挙を延期することも提示していました。

しかし、アメリカのブッシュ大統領が、イスラエルの訴えを認めず、予定通り、選挙を行うことを支持すると表明したため、選挙は東エルサレムでも行われる可能性が高くなりました。

選挙運動開始

パレスチナ側では、3日、選挙運動が解禁されました。東エルサレムでの投票問題が解決しないまま、候補者たちはエルサレム旧市街ダマスカス門前で、選挙運動を展開しました。この日、イスラエル警察との衝突で7人が逮捕されています。

混乱するガザ

ガザでは、武装勢力が、外国人を誘拐し、収監されている同胞を解放するよう要求したり、解放しない場合は選挙妨害を予告するなど、混乱と無秩序が続いています。ガザとエジプトの国境では、無秩序に出入りがなされており、止めようとしたエジプト軍とパレスチナ武装勢力との衝突で、エジプト兵2人が死亡しています。ガザ北部からはイスラエルへ向けたロケット攻撃が相次ぎ、イスラエル空軍が通路6本を空爆で破壊しました。

<祈り>

  1. ハマスが議席を伸ばさないように。
    不正があれば明るみにでるように。
  2. 選挙運動、選挙当日の治安維持。
  3. ガザ、西岸地区、東エルサレムの一般のパレスチナ人、クリスチャンたちを覚えて。

■ 2005年テロ統計分析

2005年、イスラエルに対する実際的なテロ攻撃は2,990回でした。犠牲者は45人で2004年の117人からすると著しい減少といえます。そのうち、自爆テロは7回、死者は23人でした。2004年の15回、55人からすると、半数に減少しています。自爆テロ犯が未遂に逮捕されたケースは160件に上ります。

注目すべき点は、ガザでのテロ活動の減少です。2004年は2,637件でしたが、2005年は1,205件でした。ただし、テロ組織の活動拠点が、ガザから西岸地区へ移動しただけで、西岸地区(ユダヤ・サマリヤ地方)では、ロケット攻撃拠点などの新しい軍事施設が8つも検挙されました。そのうち4つはハマスの手によるものでした。

2005年、エジプトからガザへ武器大量密輸

2005年9月、イスラエルがガザからの撤退を完了してから、武装組織が、自由に武器をエジプトから運び込んでいます。少なくとも200基の対戦車ロケット砲台、対戦車ロケット砲350発分,地対空ロケット砲(戦闘機やヘリコプターを地上から撃墜する武器)もガザに入り込んだとみられています。

テロ回数は減ったものの、カッサムロケットなどロケット弾による攻撃は増えていることからも、武器流入の事実が伺えます。イスラエルは、武器が西岸地区へ移動しないよう警戒を強めています。モファズ国防相は、エジプトが管理体制を強めないならば、イスラエルが介入せざるをえないと牽制しています。

<祈り>

  1. ガザから西岸地区への武器テロリストの移動が起こらないように。
  2. 2006年も市民、最前線に立つ兵士らが守られるように。

ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他

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