ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 80 恐怖の自爆テロ:現場にて
12月5日、ネタニヤのショッピングセンターで自爆テロがあり、5人が死亡、3人が重傷を負いました。イスラエル政府は直ちに西岸地区、ガザ国境を閉鎖。西岸地区での大規模な掃討作戦を予定しています。
ガザでは、エジプトとの国境がオープンしたばかりでした。先月、新党カディマ(前進)を結成したシャロン首相、テロ事件を受けて、さらに支持率を伸ばし、イスラエル指導者たちの間に動揺が続いています。
捕らえられて殺されようとする者を救い出し、虐殺されようとする貧困者を救い出せ。(箴言24:11)
*イスラエルでは12月26~2006年1月2日、光の祭りハヌカを8日間祝います。シリアの圧政からイスラエルを解放した、マカビー一家。汚された神殿をきよめ直し、再び聖所のメノラー(ろうそく台)に火がともされました。この時、油は一日分しかなかったのに奇跡的に8日間燃え続けました。
地中海に面した町ネタニヤ。西岸地区との境目から15kmしか離れていないこの町はイスラエルで最も自爆テロの被害が多い町です。12月5日、ネタニヤのショッピング・モールで再び自爆テロがあり、5人が死亡、50人負傷、内3人は重傷です。
休暇中の警備員ニルさんが、赤信号のため、モール前で停車していたところ、モールに近づく怪しい男に気が付きました。後続車が警察だったため、すぐに乗っていた女性警察官ショシさんに通報、ショシさんは、すぐに車を降りて、男に近づきました。ショシさんに気づいた男は、すぐに走り出し、持っていたバッグに手を入れました。「テロリスト! だれかその手をバッグから出して!」追跡しながらショシさんは叫びました。辺りにいた人々は四方八方に走って逃げました。
現場はモールに入るための持ち物検査がなされている場所。その場にいた警備員らは男を捕らえ、人混みから遠ざけようとしました。ショシさんはこの時、テロリストの目をはっきりと見たと証言しています。直後に爆発が起き、轟音が鳴り響きました。
モールの窓は吹き飛び、破壊された建物の破片や、犠牲者の肉片が多量の血とともに周辺の道路に飛び散りました。この時対処に当たった警備員は犠牲になりました。警察は、もし犯人がモールに入っていたら被害はもっと大きかったと語っています。
犯人は23歳、西岸地区のツルカーム出身。ファタハ(PLOの武装組織でアッバス議長に関係する団体)が犯行声明を出しました。犯人の母親は、「息子は小学校を中退し、理解力に欠ける子。何も分からないのに利用された。」と語っています。
イスラエル政府は直ちに西岸地区とガザ地区の検問所を閉鎖。2、3日中には西岸地区に大規模報復攻撃を行う予定です。
15日から開始される予定だったガザ-西岸地区の通路に関する会談も中止されました。
アッバス議長は直ちに反抗への非難声明を出しました。しかし、いつもの通り「自爆テロはパレスチナ人にとって何の益にもならないから」であって、「イスラエル人の市民が犠牲になったから」という非難ではありません。イスラエル側はこの点を非難しています。
パレスチナ自治政府(PA)の情報によれば、PAは、イスラエルとの紛争で犠牲となった「殉教者」家族(2000年以来の犠牲者3,746人と2000年までの1,533家族)へ、月々の手当を支給しています。自爆テロを起こした「殉教者」の遺族には、月々250ドルが支給されます。(パレスチナ側は物価が低いので、これだけあれば食べていけると思われる)自治政府総予算の30%に上ります。
ライス米国務長官の仲介で、イスラエルとPAが合意したことに基づいて、ガザとエジプトの境界であるラファの検問所が11月26日、開放されました。初日は約1,600人のパレスチナ人が混雑の中で出入りしました。ガザから撤退したイスラエルは監視にはつかず、EU(ヨーロッパ連合)が第三者の監視員となっています。ただし、イスラエルは監視カメラを通して通過する人々を監視することができ、不審者があればEUに申し立てることになっています。
「ショックで息が詰まりそうでした。」 監視カメラを見ていたイスラエル警備員は言いました。ハマス創設メンバーの一人を含む指名手配テロリスト(1991年にイスラエルがレバノンへ追放した大物テロリスト)が堂々とラファの国境を越えて、ガザに入って行ったのです。
パレスチナ自治政府の国境警備員も、テロリストと認識していましたが、パレスチナ人であるとの証明書を持っている以上は通過させると言っています。イスラエルは監視のEUとエジプトにも訴えましたが、対処は彼ら次第で、イスラエルは何もできません。境界解放からすでに10~15人のテロリストがガザ入りしたと見られています。
イスラエルは、物流のため、ガザとイスラエルの境界にある町、エレツとカルニを解放していますが、状況が改善されなければ閉鎖することにしています。(ガザ経済に大きな打撃となる)
ガザで福音宣教をしている教会があります。ハナ・マサド師。ガザ出身の牧師で、アメリカで訓練を受け、1999年にガザに帰ってきました。ガザ・バプテスト教会には礼拝に約150人が集っています。内90人は子供や若い世代。さまざまな伝道活動を行っています。クリスチャンたちは、ガザでの食糧支援、医療支援を行うほか、クリスチャン書店を通じても、ガザ住民に福音を述べ伝えています。マサド師は、「ハマスなどからの脅しは日常茶飯事。守られるように祈ってください」とのことです。
先月シャロン首相によって結成された新党「カディマ」。結成以来、元労働党首シモン・ペレス氏はじめ多くの閣僚がカディマに入党し、支持率が上がっています。総選挙は3月ですが、現時点での調査では、120議席のうち、37~39席を取ると予想され、与党になる可能性が示唆されています。
ネタニヤでの自爆テロを受けて、シャロン首相の支持率はさらに上がると見られています。
一方、シャロン首相を失ったリクードは、現在の40議席から9議席にまで下がる見込みです。モファズ国防相、ネタニヤフ氏などリクード党員らは、口々に非難し合うばかりで、混乱が続いています。
右派強行派で有名だったリクード議長ハネグビィ氏も正式にカディマへの移籍を表明し、国民に衝撃を与えています。その他の党は、新党首を迎えた労働党はじめ、議席数は変わっていません。
日本の小泉首相が、年明けにイスラエルを訪問し、シャロン首相、アッバス議長と会談予定。和平に向けて日本に何ができるのかを知ることが目的です。中東を訪問する日本の首相は村山元首相以来(1995年)。国連の常任理事国入りを念頭に置いた動きと見られています。
ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他
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