ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 77 存在を否定される悲しみ
イスラエルではテロが2件発生し、市民計8人が死亡しました。これをうけてイスラエル空軍は、ガザを空爆、イスラム聖戦幹部など、7人が死亡しました。パレスチナ人たちが犠牲者の肉片を振り回して報復を誓う光景も報告され、彼らの暴力性がさらにエスカレートしています。
イランははっきりと「イスラエル抹殺」を表明し、シリアは未だにパレスチナへのテロ支援を続けています。生きる権利すら否定されるイスラエルを覚えて、また憎しみにかられるパレスチナ人たちを覚えてとりなしましょう。
夕、朝、真昼、私は嘆き、うめく。
すると、主は私の声を聞いてくださる。
主は、わたしのたましいを、敵の挑戦から、
平和のうちに贖い出してくださる。
私と争う者が多いから。(詩篇55:17-18)
イスラエルで2件のテロがありました。16日、エルサレム近郊のグシュ・エチオン交差点で、走行中の自家用車が狙撃され、3人のイスラエル人(24歳、21歳、15歳)が死亡しました。犠牲者のアドラーさん(21歳)は3ヶ月前に結婚したばかりでした。この30分後、サマリア地方でも射撃があり、イスラエル人1人が重傷を負いました。
26日、ハデラの最も混雑する市場で自爆テロがありました。5人が死亡、30人以上が負傷、うち5人は重傷です。爆発があまりにも大きかったため、犠牲者の肉片が100メートル先にまで飛び散りました。
ハデラでの自爆テロを行ったのは西岸地区ジェニン在住のパレスチナ人(21歳)。イスラエルに収監されていましたが、殺人には関わっていないとして一ヶ月前に釈放されたばかりでした。自爆テロで死傷者がでたことで、ジェニンでは3000人が町に出て祝いあい、自爆犯の家族には「成功」の祝賀が告げられました。母親は「息子は天国へ行った」と誇らしげに語っています。
これをうけてイスラエルは、ガザのジャバリヤ難民キャンプを空爆、イスラム聖戦幹部を含む7人が死亡しました。パレスチナ人らは、死者の肉片を振り回してイスラエルへの報復を誓い合っています。
ガザ撤退後より、パレスチナ自治警察は15基の自家製ロケットや75の爆発物を押収し、ロケットを発射寸前のテロリストを逮捕するケースも2件ありました。パレスチナ自治政府は、アルアクサ殉教団(PLOファタハに関係する武装組織)を武装解除し、パレスチナ治安部隊に訓練する計画を立てていますが、合意するかどうかは全く不透明である上、ハマスの武装解除には手をつけられない状況です。
来年一月には、パレスチナの議会選挙がおこなわれますが、ハマスの参画は避けられないのが現実です。アメリカのブッシュ大統領が、アッバス議長との会談で、ハマスの議会選参加を抗議しながらも正式に抗議を表明しなかったため、イスラエルも、抗議しつつも直接働きかけることはしない方針です。アッバス議長はシャロン首相との会談に意欲を表明していますが、シャロン首相は、現状のままでは会談はあり得ないと語っています。
イランのアフマディネジャド大統領が「イスラエルは地図から消し去るべき」と発言し、世界を震撼させました。ここ数ヶ月、イランは核開発につながりうる原子力開発を行っており、国際社会からの中止の呼びかけを拒否しているからです。
EU25カ国はイランの意向に懸念を表明、イギリスも、イラン大使を呼び寄せて、自粛を要請しました。イスラエルのペレス首相は、「他国の抹殺を呼びかけることは国連憲章に反する。国連から除名するべきだ」と語りした。しかし国連除名への賛同は得られませんでした。
26日、国連の安全保障理事会は、レバノンで今年2月に起こったハリリ首相暗殺(反体制派)にシリアのアサド大統領の義理の弟とシリア高官、及びレバノンの諜報機関が関わっていたことを正式に報告し、制裁も視野に入れて検討中です。アサド大統領は、容疑を否定しています。
今年2月、ハリリ首相が暗殺されたことを受けて、レバノンでは、レバノンへの内政干渉してきたシリアが暗殺に関与しているとして反シリアデモが起こりました。シリアは、国際的圧力を受けて、30年間駐留し続けた軍隊を撤退させました。その後建てられた新体制のもとで、シリアのテロ組織関与が公に捜査できる環境が生まれてきていました。レバノン軍は、10月7日、シリアに本部を置くパレスチナ武装組織(南レバノン、イスラエルとの国境付近)の掃討作戦も行っています。
しかし国連は、新体制になった後も、引き続きレバノンがシリアから来る武器やテロリストの通過国であることに変化はないと報告しています。行き先はパレスチナ武装組織。レバノンのセニオラ首相と、パレスチナ自治政府のアッバス議長は、海外から支援を受けて南レバノンに本拠地を置いているヒズボラなどの動きは阻止しきれないことに強い懸念を表明しています。
ガザでは主導権をめぐって混乱が続いています。あるイスラム武装組織が西岸地区に住むハマスの戦士3人を誘拐しました。ハマスが法律を無視していることに抗議するものでした。パレスチナ自治政府に関係する武装組織ファタハはこの事件との関連を否定していますが、政治的に自治政府が打ち出している法律に従うことをアピールするための事件だとの見方もあります。アッバス議長とシャロン首相は今週、会談をもつ予定でしたが、成果が見込めないとして、時期を延期しました。
国連ではアメリカとフランスがシリアに対する経済制裁を主張するかたわら、ロシアは断固反対の立場をとっています。
インターナショナル・クリスチャンエンバシー(ICEJ―イスラエル支援団体では最年長)が毎年開催する仮庵の祭り。今年も世界諸国から5000人のクリスチャンが集まりました。集会はエルサレム旧市街の横にあるイスラエル最大の野外ステージ「スルタン’ズ・プール」。花火が上げられ盛大な祝賀が催されました。
今年はガザから撤退した人々150人を招いて、エルサレムの休日を楽しんでもらうとともに、クリスチャンたちが仮庵を踊りながら祝っている集会にも参加してもらいました。ICEJは、今年の仮庵の記念としてアシュケロンに治療用のプールを建設贈呈しています。
イスラエル有力紙「エルサレム・ポスト」ではICEJとの共同編集で来年初頭より、クリスチャン向けエルサレム・ポストを発行する予定です。ポストによると“キリスト教原理主義者”たちとイスラエルの関係が深まっているのをうけて、北アメリカでの読者を増やしたい考えです。
編集長のホロビッツ氏は、「イスラエルでは、イスラエル人を改宗させてはならないという法律がありますが、ICEJは、そのルールを守っています。」と語っています。イスラエル国内では、ロシア系移民者向けの新聞の必要性が叫ばれる中で、海外向けの新聞が先に企画されたため、経済的なねらいがあると言われています。
カトリック界でもユダヤ人との和解が進められています。ポープ・ベネディクト14世が、カトリック界が正式に発布した、反ユダヤ主義と迫害の責任を認めた文書「ノストラ・アエタテ」の40年周年を記念する式典を行いました。ユダヤ人とのさらなる関係改善をめざしています。
しかし、ユダヤ人でカトリックに改宗した枢機卿が一人式典に参加していることがわかったため、招かれていたローマのチーフ・ラビ及び、ヨーロッパのラビたちは出席をボイコットしました。チーフ・ラビは、「欠席するのは、カトリック界に抗議しているのではありません。式典の意義をもう一度よく考えて頂きたいからです」と語った。(ユダヤ人にとっては、キリスト教への改宗こそが最も恐れる反ユダヤ行為であるから)
戦後カトリックとイスラエルの橋渡しを行い、「ノストラ・アエタテ」発行にも貢献した、ラビ・ローゼンはこの式典の中で、「かつて呪われ、流浪と迫害を受けて当然と考えられていた民が、今は、神の人類に対する計画を担う者として、神に愛されている民と認められるようになりました。」と語り、「ノストラ…」文書が果たした役割を大きく評価しました。
ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP、CNN、NYタイムス 他
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