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ハイメール通信No. 73 ガザ撤退:その後……

ガザ入植者の撤退が、懸念されていたイスラエル人同士の大きな衝突もなく1週間で完了しました。兵士に対する心理的影響も最小限だったと報告されています。パレスチナ側の協力もパーフェクトだったとイスラエル政府は評価しています。私たちの祈りが用いられました。現在、イスラエル政府は撤退後の対応に追われています。ベエルシェバではさっそくテロがありました。ガザの治安をめぐるエジプトとの交渉、撤退反対派だったネタニヤフ氏の出馬宣言、撤退者の相次ぐ苦情など、とりなす課題はまだまだ続きます。

主の前に静まり、耐え忍んで主を待て。
おのれの道の栄える者に対して、
悪意を遂げようとする人に対して、
腹を立てるな。(詩篇37:7)



■ 治安問題のこれから

ガザの入植者の撤退が終わり、イスラエル軍はブルドーザーで家屋を破壊する作業を進めています。

予定通り進めばイスラエルの軍施設も9月15日までには撤退を完了すると見られています。

<ガザ撤退がもたらした朗報>

国連の安全保障理事会がイスラエルのガザ撤退をイスラエルにしては「まれなる行為」と受け止め、評価する決議文を出しました。決議文にサインした議長は、日本人で国連人事担当次長を勤める大島賢三さんでした。

ブッシュ大統領は「イスラエルはガザから撤退し、和平への一歩を示した。パレスチナ人も世界に向けてテロと戦う姿勢、平和的に市民を治める姿勢を示さなければならない。」と述べました。

パキスタンのムシャラフ大統領がイスラエルとの国交正常化を申し入れました。イスラエルはこれを歓迎しています。イスラエルは他のアラブ諸国とも同様の国交を歓迎する意向を表明しています。

*ハマスはパキスタンの動きを批判し「パレスチナ人の背後にナイフを刺した。」と批判しました。

<治安問題のこれから>

テロ事件発生!!

ガザではハマスも自治政府も「今日ガザ、明日はエルサレム!」のスローガンのもと、勝利ムードが広がっています。8月28日(日)朝8時30分、すでにベエルシェバで出勤時間を狙った連続自爆テロがありました。2台のバス意が続いて爆破され50人が負傷、自爆犯を止めようとした警備員二人が重症を負って病院に収容されました。イスラム聖戦の25歳の青年が自爆したと犯行声明が出されましたが、ハマスとの見方も否定されていまん。

エジプトに託すガザ国境の治安!?

ガザ撤退後の治安問題で最も懸念されているのは多数のトンネルから武器密輸がなされていたフェイラデルフィ回廊と呼ばれているエジプトとガザの国境付近の警備責任です。

イスラエル政府はイスラエル軍に代わって750人のエジプト兵が国境警備にあたることでエジプトと合意しています。

この件に関して、クネセト(イスラエル国会)では激しい論争の行われました。ガザ撤退に反対していたネタニヤフ氏始め反対派議員らは、エジプトに警備させることはリスクが大きすぎるとして激しく反発しました。

モファズ国防相は、正式に撤退した後で軍隊を配備するのは論理的出ない上、入植地が存在しない状態で、イスラエル兵士らだけをフィラデルフィ付近に配置することは兵士らの命を危険にさらすことに他ならないとして反論しました。

結局賛成53、反対28でイスラエル政府はエジプトとの合意に至りました。カイロでの調印式が終わり次第、4日にもエジプト軍がフィラデルフィ回廊周辺に展開することになります。

エジプトはトンネル経由の武器密輸を完全に阻止すると約束しています。イスラエル政府は入国管理ターミナル(エジプトとガザ間の出入り地点のこと。現在はラファ付近にあり、イスラエル軍が撤退した後にはイスラエルの目の届かない地点となってしまう)をエジプトとガザだけでなく、イスラエルも含めた3者が出入国管理を監視できる地点にまで南下させることを要求していますが、エジプトはそれには同意していません。

いずれにしてもイスラエルは来週、エジプト、ガザ、イスラエルの3者が存在し得る地点のカレン・シャロームに入国管理ターミナルを独自に建設する予定です。イスラエルはエジプトからガザへ入国する者は全員このカレン・シャロームを通過させたい考えです。

<シャロン首相に対抗馬>

シャロン首相の政策に真っ向から反対するネタニヤフ氏(元首相、最近ガザ撤退政策に反対して大蔵相を辞任していた)がリクード党首(=イスラエル首相)に立候補することを表明しました。

ネタニヤフ氏は次のように語り、シャロン首相の分離政策に歯止めをかけたい意向を表明しています。

「ガザからの撤退をパレスチナ人たちはエルサレム奪回の第一歩だと認識している。……イスラエルはただ与え、パレスチナ人ばかりが受ける側になっている。」

時期リクードの党首選は2006年11月の予定ではありますが、シャロン政権が揺らいでいることから、リクードの中央委員会では前倒し選挙を9月に行うことも考えられています。ネタニヤフ陣営は、リクードはリクードらしく右派の方針を貫くこと、また重要な問題は国民投票を行う(シャロン首相はガザ撤退の国民投票を行わなかった)ことを公約にしています。

一方シャロン首相はネタニヤフ氏が首相であった96-99年の政策を批判し、ネタニヤフ氏はパニックになりやすく、早まった決断をする傾向にあるため、イスラエルの首相には不適格だと痛烈に批判しました。シャロン首相はイスラエルのように複雑で困難な問題を抱える国の指導者には、秀でた判断力と鉄の神経が必要だと語っています。

<祈り>

  1. イスラエル政府指導者が一致して前進できるように。
  2. ガザでの過激派の働きが封じ込められるように。(治安交渉が主にまもり導かれるように)
  3. イスラエル全土がテロからまもられるように。

■ 撤退家族のその後

ガザから撤退した家族と政府の撤退者補償機関(「セラ」・総責任ヨナタン・バシ氏)の間で交渉が続いています。撤退者のたどる道は3段階に別れています。

(1)ホテル:2ヶ月を上限

(2)仮設住宅(トレイラー・ハウスかプレハブの仮設住宅):地域ごとにグループで移住を希望している家族たちで、政府が新しく建設中のニツアニム地区か南部ネゲブ地方のモシャブに移住を希望している家族たちを対象とする。家屋が完成するまで2年が見込まれている

(3)定住できる家屋:ハアレツ紙の調べでは定住を前提とした家屋に入ったのは現時点では13家族のみ。その他独自で家を探している者もあります。

48時間を過ぎてから撤退した人々は現在ホテルに住んでいます。次のステップとして、アシュケロンのアパートに引っ越すことになっています。賃貸料を出すのは政府ですが、これらのアパートを買い上げる方が安いかどうか検討中です。撤退者たちが定住してもよいという意向を示しているからです。イスラエル政府は撤退反対者で、撤退日の数週間前にガザ地区へ移住した人々についても、ホテルに滞在する許可を出しました。

撤退家族の中には、まだ政府に援助の申し入れをしていないものもあります。彼らの中にはアピールのためにテル・アビブでテントに住む人々もありました。「セラ」の責任者バシ氏は政府はできるだけの準備をしているのに申請をしないことが問題だと語っています。

<ガザからオリーブ山へ:墓地の引越し>

ガザ地区の墓地に埋葬されていた19人のうち、15人の遺体が救急車に乗せられてエルサレムに移送され、オリーブ山に再埋葬されました。その他の4人の遺体は他のイスラエル領内に埋葬されました。家族にとっては愛する人を再び葬る悲痛な埋葬の時となりました。

<シナゴーグの建物>

イスラエルのユダヤ教チーフ・ラビは旧ガザ地区入植地のシナゴーグの建物について、パレスチナ人と協議し、温存することを希望していました。破壊されるシナゴーグの映像が世界に流れると他の場所でもシナゴーグが襲われる懸念があったからです。しかし政府は温存移転された一部の建物を除き、ガザ入植地のすべてを破壊していく方針を変えていません。

<イスラエル人同士の憎しみと壁>

ガザ撤退にはヤッシャ評議会(ガザ・西岸地区入植者評議会)をはじめ、ラビと宗教的なユダヤ人たちの多くが反対していました。ガザ撤退が実際に行われてしまった今、彼らは次にどうするかを検討中です。

できることに一つはシャロン首相を辞任に追い込むこと。政治家やマスコミの一人ひとりに分離案は撤退家族だけではなく、ユダヤ教そのものへの挑戦であることを説得することです。この運動の目的は、世俗的なユダヤ人にユダヤ人としての自覚をたかめてもらうということです。

しかしその傾向からか、イスラエル在住アラブ人との関係に水をさす事件が再び起こりました。先月イスラエル北部のハイファ近郊にあるアラブ人村シャファランで4人のイスラエル系アラブ人がユダヤ人青年に射殺された事件がありました。今回もシャファランに近いイスラエル北部のメロン山で起こりました。

宗教派の人々がメロン山でドルーズ(イスラムの一派だがイスラエルと良い関係にありイスラエルの市民権をもっているアラブ人)の男性に暴力をふるい、村人たちと乱闘騒ぎになりました。イスラエル北部ではイスラエル人とアラブ人の不信感が広がってきています。

ラビ・イスラエル・ローゼン師は次のように書きました。「問題の核心は信仰に基づく愛国主義と、リベラルな民主主義の対立、永遠に価値を見出す立場と、短期的解決に価値を見出す立場の戦いがさらに深まり苦々しくなってきたということです。」

<祈り>

  1. イスラエル人同士の不信、分裂、憎しみが生まれつつあります。
    撤退家族、反対者らが祖国に対して憎しみを募らせないように
    イスラエル人同士の争いや暴力事件がおこらないように。
  2. 「セラ」と交渉している人々に解決が与えられ、撤退家族が早く新しい生活を始められるように。

*9月1日は新学期が始まりました。行く学校さえも定まっていない撤退者の子供たち学生たち(全体の11%)を覚えてとりなしましょう。


■ 世界の大惨事に祈る

<アメリカ「ハリケーン・カテリーナ」数千人が死亡?>

アメリカミシシッピ州などを襲った超大型ハリケーン「カテリーナ」は過去120年で最悪ものとなりました。死傷者の数はまだ発表されていませんが、壊滅的な被害を受けたニューオリンズの市長は数千人に上ると話しています。まだ片付けられていない遺体も多く残されています。

一時スーパードームに非難していた2万5000人が、環境の悪さから慢性疾患などの蔓延が懸念されているため、テキサス州のアストロドームに移されることになりました。500台のバスで移動します。

被災者は「ここから出て他の州に出て行くなんて考えられない。家は流されてしまった。」と途方にくれています。現在、ニューオリンズは無政府状態となっており大変危険な状態です。軍が派遣されて治安維持を図っています。

イスラエルは医療スタッフの派遣と救援物資を届けることを申し入れています。

<祈り>

  1. 家を追われた人々の上に主のあわれみがあるように。
  2. 被災地に残された人々の上に主の守りとあわれみがあるように。
  3. 離れ離れの家族、子供たちを覚えて。

<イラク「シーア派市民将棋倒しで965人人死亡」>

バグダッドで31日、宗教行事に参加していたシーア派イスラム教徒の群集が、テロへの恐怖からパニックとなり将棋倒しになったり橋からチグリス川へ飛び降りるなどで、現在までに965人が死亡、465人の負傷が確認されています。死者に数はまだ増える恐れがあります。死者の多くが小さな子供たちであったと伝えられています。

<祈り>

  1. 混乱を極めるイラク情勢に主が介入してくださるように。
  2. 家族を失っている被害者、離れ離れになっている家族をとりなしましょう。子供たちを覚えて。
  3. 一日も早く安定した国になるように。

ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP他

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