ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 70 危機に立つ指導者たち
ガザ撤退予定日まで4週間を切りました。先週からアッバス議長の意向に反してハマスがイスラエルに対するテロ攻撃をエスカレートさせています。イスラエルでも、世論の撤退反対派が逆転して過半数を占めるようになりました。大規模なデモが行われ、ガザへの入り口を閉鎖している国境警察隊を突破してガザ入りを果たした者もいます。
イスラエル、パレスチナ双方の指導者たちが、危機的状況に直面しています。主がすべてを支配し、大きな戦いに発展しないようにとりなしましょう。
あなたの兄弟の日、その災難の日を、
あなたはただ、ながめているな。
ユダの子らの滅びの日に、
彼らのことで喜ぶな。
その苦難の日に大口を開くな。(オバデヤ:12)
パレスチナ自治政府(PA)のアッバス議長はイスラエル政府に対して、円滑なガザ撤退に協力すると約束しています。
しかしハマスとイスラム聖戦はイスラエルに対するテロ攻撃を激化させ、同時にPA警察に対する攻撃も行いました。ガザにおいてPAの影響力は弱いということが明らかになりつつあります。
前回、ハマスがPAの閣僚入りに対する招きを断ったことをお伝えしました。両者の対立が深刻化しています。
ガザ地区北部(パレスチナ人側)で11,12日、PA警備関係のシャバク氏とその部下たちが、ハマス戦士らと交戦し、パレスチナ人2人が死亡、25人が負傷しました。
12日夜間、ハマスとPAは急遽、停戦に合意したと発表していました。しかし発表のわずか2時間後、ハマスがシャバク氏自宅とファタハ(PA主流派)のオフィスを襲撃。警察官3人とハマス4人が負傷しました。
パレスチナのラジオ放送によると、少なくとも4つのPA警察署が襲撃され、パレスチナ・テレビによるとパトカー2台が爆破されました。これに対し、15日、PAは「国家危機」を宣言しました。
アッバス議長が「イスラエルに対するロケット攻撃はパレスチナ人の益にならない」と非難したことに対して、ハマス指導者のゾハルは、「ロケット攻撃こそがイスラエルに撤退を決意させた。ロケット攻撃がパレスチナ人の益になるということは歴史が証明している」とコメントしました。ゾハルは選挙によるリーダーシップの確立を要求しています。(この場合ハマスが有力になる)
ハマスは、現在パレスチナ人の権威として立てられているPAのアッバス議長をパレスチナ人の指導者とは認めていません。イスラエル撤退後はエジプトが治安維持に協力することになっていますが、ハマスは独自にエジプトと会談をもつなどしています。
アッバス議長の政策に真っ向から反対するようなイスラエルへの攻撃は、ガザのハマスやイスラム聖戦に対して、PAが影響力を持たないことを露呈することとなりました。
ダーラン氏は、イスラエル有力紙ハアレツに対し、ガザ地区においては、ハマスがPAより有力であることを認めました。
「シャロン首相やアメリカが過去4年かけてもできなかったテロリストの完全武装解除をアッバス議長が半年で実現することを期待するほうがおかしい。ハマスはPAに対して軍事攻撃を行った。シャロン首相はガザ撤退によってPAを弱体化させようとしているのだ。」とハマスだけでなく、シャロン首相をも非難しました。
7月13日午後6時半、多くの人々でにぎわうネタニヤの横断歩道で18歳のパレスチナ人少年が自爆しました。イスラエル人5人が死亡、90人が負傷しています。重傷者の中には3歳の子供とその母親、祖母がありました。祖母は病院で亡くなりました。(ネタニヤでは2001年に同じ場所で5人死亡、100人が負傷しています。)イスラム聖戦が犯行声明を出しました。
17日から18日正午にかけて32発の迫撃砲がガザのユダヤ人入植地グシュ・カチーフとネゲブ西部のユダヤ人町スデロットに打ち込まれ、グシュ・カチーフの女性(31)が1人死亡、多数が負傷しています。
イスラエル軍の対応
パレスチナ側からの攻撃が急増しているため、イスラエル軍はいつでも侵攻できるように準備をすすめています。今のところ主に空軍による過激派幹部を狙った攻撃だけが行われています。イスラエル空軍は16日、ハマス幹部4人とカッサムロケットを山積した車両を空軍によるピンポイント攻撃で、爆破しました。
17日朝には、指名手配中のハマステロリスト・シアン(31)― 数々のテロ攻撃でイスラエル人を多数殺した犯人 ― をイスラエル軍が殺害しています。この他にも指名手配中の凶悪なハマス・テロリスト(イスラエル人殺害経験者)3人の逮捕を試みましたが反撃したため殺害に至っています。
*アメリカのライス国務長官が21日、円滑なガザ撤退を双方に促すため急遽イスラエルとPAを再訪問しました。
8月15日の撤退を前に、イスラエル国内の世論は撤退に反対と答える人が50%以上を超えて、逆転しました。反対派の大規模ラリー計画に対してシャロン首相は13日、入植地住民以外のガザへの立ち入りとデモ活動を禁止しました。違反者は犯罪者として逮捕されることになります。
しかし18日、反対派らは予定通り、全国からバスに乗ってクファル・マイモン(入植地から12マイル(約19KM))の町に続々と集結しはじめました。デモの警戒に当たる警察官や兵士は約20000人。政府側が阻止しようとしたバスは400台に登るとの報告もあります。
20日になるとグシュ・カチーフから歩いて来た数千人も合流、デモの人数は一時3-4万人に達しました。夕方には元チーフラビのシャピーラ氏が到着し、祈りがささげられました。やむなく軍は彼らが、クファル・マイモンにとどまることを許可しましたが、グシュ・カチーフへのデモ行進は許可されませんでした。
しかしながら、ガザへの通路が閉鎖された13日から今日までに、治安部隊を突破してグシュ・カチーフ入りを果たした者は600人に上るといわれています。クファル・マイモンに座り込んでいたデモ隊は除所に帰宅し、現在200人余りが残っているだけとなりました。来週もデモ活動を行うことを誓い合っています。
政府は国会でガザからの撤退延期について審議しましたが、圧倒的多数で延期はしないことが決定しました。
*シャロン首相は毎日12人のボディガードに守られて移動しています。
ガザ地区(パレスチナ側)には現在2000人の福音的なクリスチャンたちが起こされていると報告されています。彼らの安全が守られると同時に、福音を大胆に述べ伝えられるように祈りましょう。自爆テロリストやハマス戦士が救われて、憎しみや扇動、暴力から解放されるように祈りましょう。
イスラエル側では、テロと戦う兵士たち、ガザ撤退の任務を受ける兵士たちの中にイエスを信じる兄弟たちも含まれています。彼らの心身が守られるように祈りましょう。
ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP他
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