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ハイメール通信No. 71 目標:負傷者0!

撤退が10日後に迫ってきました。反対派が大規模なデモをスデロットで行う中、ガザの入植地では引越しを始める人々も出てきました。政府は撤退者に最後通告をしています。

パレスチナ側では、パレスチナ自治政府とハマスそれぞれが、イスラエル撤退に関する祝賀行事を準備し、互いにガザにおける権力を競い合っています。大詰めを迎えた現地の様子をお伝えします。

あなたの道を主にゆだねよ。
主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。(詩篇37:5)



■ シャロン首相が最後通告:撤退対象者たちの動き

シャロン首相によると、撤退対象になっている家族のうち、半数以上にあたる900家族が、現在までに撤退者補償機関「セラ」に補助申請を済ませました。(撤退に同意したということ)。

「セラ」に申し出た家族は、準備金として、その場で5万シェケル(約125万円)を受け取っています。

撤退者世帯には、引越し用にそれぞれコンテナが二つ与えられます。一つは一時的に荷物を倉庫に保管するもののために、もう一つは、撤退後すぐに使うもののためです。

政府はコンテナを2500個準備していますが、500個追加することになりました。先週、撤退者のために新しく作られたニツァニム地区の仮設住宅に、最初の入居者が入りました。8月15日までに撤退する人には様々な特典がありますが、撤退期限を48時間以上超えて撤退する人には特典は補償されません。

シャロン首相は今も、入植地に残っている人々に次のように呼び掛けています。「もう2週間しかありません。1日も早く撤退してください。時間を無駄にしてはなりません。撤退案がキャンセルになるというような幻想に支配されず、直ちに「セラ」に申し出てください。」

来週からトラックはグシュ・カティーフに入れなくなる??

補償機関「セラ」の責任者・バシ氏は、来週12日からはトラックがグシュ・カティーフに出入りできなくなることを入植者たちに警告しました。トラックが出入りできないということは、家具類などを一切持ち出せなくなるということです。また警察やイスラエル軍に強制退去させられた場合、後で持ち物を回収してもらうことは不可能です。

バシ氏は次のように語っています。「入植者たちは感情的にも大変苦しいところに立っています。私たちはなんとか力になりたいのです。」

しかし実際は、予想以上に多くの入植者が、撤退後の生活は自分自身で責任を持つとして、補償機関を利用しませんでした。中には補償金を申請しないばかりか、2・3日後にどこで住むのか考えもしない人々もいるとバシ氏は懸念を語っています。

バシ氏は、8月15日が過ぎてから、48時間以内に撤退してくる人があふれかえるのではないか、と予想しています。バシ氏は、撤退成功の条件は負傷者0であることだと語りました。

グリーンハウスを撤去する農業従事者

グシュ・カティーフの400ヘクタールの土地に、グリーンハウス(ビニールハウス)を建てて野菜を栽培していた約170世帯が、今年の種まきを断念し、ビニールハウスの撤去作業を行っています。

国際的な仲介団体が、入植者たちからビニールハウスを買い取り、パレスチナ人に引き渡す運動をしていましたが、入植者たちは長引く交渉に耐えかねて撤去に踏み切りました。また苦労して建て上げたビニールハウスを、パレスチナ人たちに使わせることを承服しかねる人もいます。

ベン・ハモさんのビニールハウス農場は、近代的な管理の下、オフィスのコンピューターから水遣りが可能です。かつてパレスチナ人の労働者も多く雇用していました。

ベン・ハモさんは次のように語っています。「一緒に働いたパレスチナ人たちがビニールハウスを使ってくれるなら、喜んで撤去せずに残して行きます。しかし、ハマスの兵士たちには使わせたくありません。」

ベンさんは、農場だけでなく、オフィスも破壊していくつもりです。「築き上げてきたものが壊れていくのを見るのは、心が引き裂かれる思いです。」とベンさんは語ります。

*農業の専門家は、農業従事者たちを種撒きの時期に撤退させるということについて、政府の計画ミスだったと指摘しています。種まき時期を逃したため、撤退した農業従事者たちは、どこへ行っても、今年は収獲がないということになります。

集団自殺を計画する少年たち

グシュ・カティーフのサーファー(16-21才の少年ら)のグループが、撤退日に、海へ出て集団自殺する計画を立てていたことが明らかになりました。

地域の治安関係責任者が少年たちとコンタクトをとったところ、精神的にかなり落ち込んでおり、深刻な事態だと語っています。

入植地では30年以上暮らしてきた大人たちが、撤退を前にこれからどこで、どうしたらいいのか分からないと混乱していますが、そこで生まれ育った思春期の少年たちの混乱と苦しみは、さらに複雑なものになっています。治安関係者は、少年たちを一人ひとり訪問し、実際に計画を実行しないように全力を尽くす、と語っています。

移民から移住へ:インド系ユダヤ人「マナセ族」

ガザには1989年以降、イスラエルに来た多くの移民が住んでいます。最大は旧ソ連からの220人、続いてインドの146人、フランス144人、アメリカ25人となっています。政府は彼らのためにホットラインを設けて対処にあたっています。

インド系のユダヤ人は、失われた10部族の一つ「マナセ」の末裔だと信じている人々です。ガザに住んでいたインド系の30人が、聖書的にマナセの領地だったガリラヤ湖付近に移住する希望を申請しています。

<祈り>

  1. 撤退の期間、イスラエルがテロ、及び内乱から守られるように。
  2. 撤退を決めた人々に備えと希望、支えが与えられるように。
  3. 集団自殺を考えている若者たちが守られ、主を見上げるように。

■ グシュ・カティーフへ侵入せよ!:デモ隊の動き

8月2日夜、ガザ撤退に反対する2万人以上の人々が、イスラエル領内でガザに近い町・スデロットに集結し、ラリーを行いました。

スデロットは、カッサム・ロケットの攻撃を多々受けている町です。また、シャロン首相の自宅(牧場)にも近い所にあります。

イスラエルの治安当局は、ロケット弾がデモ隊にあたって負傷者が出たり、シャロン首相の身の安全も危険であるとしてデモを許可しませんでしたが、イスラエル中からバスをつらねて次々と到着するデモを止めることはできませんでした。15,000人の治安部隊がラリーの護衛につきました。

デモをねらったカッサム・ロケットでパレスチナ少年(3歳)死亡

デモをねらってパレスチナ側から発射された3発のカッサム・ロケットが、誤ってパレスチナ人の村に落下、パレスチナ人の3歳の少年が死亡、4歳から11歳の子供4人を含む9人が負傷しました。ハマスもイスラム聖戦も容疑を否認しています。

デモ隊の一部は、ラリーの後、オファキームまで行進し、そこで一夜を明かしました。ガザと西岸地区の入植者を代表する組織「イェシャ評議会」は、警察との暴力は避けることとしながらも、数千人の反対派の青年たちにグシュ・カティーフ入りを果たすよう指示しました。イスラエルの治安当局は、18,000人の兵士、12,000人の警察官を配置し、ガザに誰も入り込まないよう警護しています。

8月3日、オファキームからガザに向けて1万人以上がデモ行進をし、警察に阻まれて進めなくなると、そのまま道路に座り込みました。その夜、ガザ入りを強行しようとした者は1,300人にのぼり、150人の活動家が逮捕されました。夜間にガザ入りしようとした人は、パレスチナ人テロリストと見分けが付かず、イスラエル軍にあやうく射殺されそうになった人もいました。

緊急事態発生!!

イスラエル北部ハイファ近郊のシャファラン(ドルーズ族でイスラエル市民権をもつアラブ人の町)で、8月4日、ユダヤ人過激派「カハ」所属のエデン(19歳)が、イスラエル軍服のままバス165番(一般のバス)内部で乱射し、乗客のアラブ人4人(イスラム教徒2人、クリスチャン2人)を射殺しました。

直後にシャファランの住民が群集となってバスを取り囲み、犯人をリンチ、死亡させました。警察はエデンを助けようとしましたが、群集に阻まれてバスに近づくことができませんでした。エデンは精神的に不安定で軍からAWOL(無断除隊:いわゆる脱走兵のような状態)に認定されていました。

この件がガザ撤退に影響することはないとシャロン首相は明言していますが、ユダヤ人の過激派もガザ撤退反対をとなえており、今後の動きが懸念されます。

*シャファランには孤児たちを世話している福音的なアラブ人クリスチャンたちがいます。彼らはちょうど夏のキャンプに出かけていて無事でした。バスの乗客の一人で奇跡的に生き延びた女性はイエスを信じた後に世の生活にもどって、ひどい生活をしていた人でした。このことを通して主に立ち返りました!

<祈り>

  1. ユダヤ人同士の衝突が起こらないように。
  2. 過激な行動をするユダヤ人が出てこないように。
  3. 撤退従事者の心が守られるように。

■ パレスチナ側の動き

撤退期間中は、パレスチナ自治政府は平穏を守って協力することで同意しています。ハマス、イスラム聖戦はそれぞれの立場で「休戦」を宣言し、歩調の乱れが目立ってきています。

パレスチナ側の調査では、イスラエルのガザ撤退について、パレスチナ人の77%が「テロ攻撃によってイスラエルを退却させた」「イスラエルに勝利した」との見方をしています。そこで「誰がメ勝利モさせたのか」で競合が始まっています。この勝利宣言合戦で勝利する者が、ガザで有力者になると見られています。

アッバス議長率いるパレスチナ自治政府は、170万ドルの予算で、何千枚もの国旗、マグカップ、車用バンパー・ステッカーやポスターなどを作製しています。それらには「今日ガザ、明日西岸地区、そしてエルサレム」というスローガンが書かれています。

キャンペーン協力者12、8000人にはTシャツ(パレスチナの旗か、故アラファト議長の写真付きTシャツとジーンズ1本が支給されています。「勝利」は一部の団体によるのではなく、パレスチナ人全体のものだと主張しています。

一方ハマスは、勝利の軍事パレードを計画中。現在ハマスの支持者たちは何千枚ものハマス軍服を作製中です。

パレスチナ人の中には、「勝利」と考える反面、ガザはあまりにもみじめな場所なので「イスラエルに見捨てられた」と感じている人もあるようです。

<祈り>

  1. ガザを導く、良い指導者が与えられるように。
  2. ガザが平和の地となるように。
  3. この機会に、パレスチナ人に福音が伝えられるように。

ニュース情報源:ハアレツ、エルサレムポスト、イスラエル政府プレスセンター、イスラエルインサイダー、イスラエル外務省HP他

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