ホーム祈るハイメール通信 登録・停止バックナンバー > ハイメール通信No. 192 カルメル山の麓・ハイファにクリスマス・ツリー

ハイメール通信

ハイメール通信No. 192 カルメル山の麓・ハイファにクリスマス・ツリー

カルメル山が鎮火し、町は通常に戻りました。しかし亡くなった43 人は二度と帰らず、美しかったカルメル山も3分の1が焼失してしまいました。今、なぜこんな大きな被害になったのか、調査がすすめられています。

今年大きく傷ついたハイファ市ですが、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教が協力して、町にペットボトルのクリスマス・ツリーをたてました。背後に見えるのはバハイ教寺院のイルミネーションです。どうも主の目には無茶苦茶なハイファ市ですが、ツリーをみていると、この町にも主がまだあわれみをおいてくださっている、そんな小さな希望を感じました。

皆様の教会のクリスマスが、永遠のいのちの希望を輝かせる集会となりますように、心からお祈りいたします。どうかハイファの町の救いのためにもお祈りください。

悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるから。(マタイ5:5)



■ 猛火の傷跡と異常気象

先週、傷跡すさまじいカルメル山へ取材に行ってきました。報告によると焼失したのは3,500 平方キロメートル、山の約3分の1にあたります。火は山の南側を破壊していました。写真の建物がカルメル山頂上にあるハイファ大学、その下の黒色に変わっているラインまで火がせまっていたことになります。手前に写っているのは、直接炎に焼かれなかったものの、その高熱によって乾ききってしまった松の木です。
イスラエルの山林を管理しているKKL の専門家によると、今回の山火事の火は「今まで見たことのない」動きと破壊力だったということです。火災が発生してから真っ先に現場へ到着したのはKKL のミハイルさん他7人のみでした。森林火災の専門家たちですが、猛火は乾いた熱い東風に追われて、一気に四方八方へと広がっていきました。通常はこれほどあちこちに広がっていかないそうです。7人ではまったく太刀打ちできず、火から「撤退」を続けざるを得ませんでした。

炎は山の尾根を下る時には20-30mにもなり、こうなると空中からの消火に頼るしかありません。鎮火寸前に来た大型消火航空機エバーグリーンが来なかったら、火はもっと燃え続けていただろうと言われています。鎮火した現在、真っ黒に焼失した山肌のところどころに不思議に緑の木が残っていました。焼けた所と焼けなかったところがばらばらに隣接しています。焼失した町では、ある家は全焼しているのに、となりはほとんど無事といった奇妙なことも起こっていました。それほど、今回の火炎は非常に妙な動きをしていたということです。(写真:被害の大きかったベイト・オレンの家屋と住民)

犠牲となった40 人の刑務官らが乗ったバスは、山の中腹で立ち往生のまま、焼失しました。目撃者などからの調査によると、なぜかバスは山を下る方向-つまり危険な炎のほうへと向かっていたようです。それを1台のパトカーが追いかけて方向転換させようとしましたが、大きな燃えている木が倒れて道を塞いでしまいました。そのまま動きがとれなくなり、刑務官らを乗せたまま、バスもパトカーも炎に覆われて見えなくなったということです。(写真:バス炎上の現場(下から2枚目)と慰霊の花輪、旗など)
即死の人に加え、重傷の人々が次々に亡くなり、最終的な犠牲者の数は43 人となりました。最年少の犠牲者は16 才の少年で、ボランティアの消防員でした。彼は両親が16年も待ってようやく与えられた一人っ子でした。また犠牲者のほとんどが20 代後半から40 歳くらいの若い世代だったため、小さな子どもたち26 人が父や母を失いました。妊娠中で夫を亡くした妻たちも数人あり、現在心のケアをするチームが様々な支援活動を行っています。
バスを助けようとして追いかけたパトカーには3人のベテランの警察官が乗っていました。彼等は逃げようと思えば逃げられたのに、バスを助けるためにあえて火のなかへ入っていったと言われています。そのうちの一人アフバ・トーマーさんはハイファの警察署長で、イスラエル初の女性署長でした。部下たちに慕われていた人でした。

家を焼け出された人々は、友人、親戚のところ、もしくはホテルに借り住まいをしています。ユダヤ人は相互扶助に熱心な民族です。焼け出された人々の家の掃除や再建にためのボランティア、炊き出し、衣類や食料の差し入れなど、すでに十分となったため、受付を終了しています。

<責任はどこに>

今回失火の原因は、ドルーズの村の14 歳の少年であったことがわかっていますが、少年はすでに父親のもとに帰されました。今課題となっているのは、イスラエルの消防体制の乏しさです。もう前からその状況を把握していながら、何も手だてをしてこなかった内務省シャス党のイシャイ氏をはじめ、ネタニヤフ首相にその責任が問われています。今日、国会で遺族と政府の話し合いがあり、遺族たちは険しい表情で閣僚に怒りをぶつけていました。ネタニヤフ首相は調査委員を立ち上げました。4カ月以内に調査結果が出される事になっています。遺族への補償については、これからの交渉になります。

<主だけがカルメル山を回復させてくださる>

KKLでは、今回は、1年半はなにもせずに山の自然の回復の様子をみることにしています。1995 年にエルサレム近郊で大規模な山火事が起こった後、KKLは相当な研究と投資をもって、植樹をして山を回復させようとしました。ところが植樹したものはまもなく全滅、やがて地面から自然の松が生え始め、その下から松に守られるようにして楠がでてきました。神の手だけが山を回復させることができると彼等は身をもって経験したのです。(写真:熱気ではじけた松の種とKKLスタッフ)

しかし、このプロセスには繊細な経過の管理が必要になります。現在、多数のイスラエル人が鎮火したカルメル山に来て悲しみを共有しているのですが、そういった人々の靴についている様々な菌や種などが、自然の回復を妨げるのです。それを予防するためには、入山制限をしなければならず、課題となっています。また、JNF(ユダヤ国家基金)は植樹運動を展開したいらしく、今論議となっています。
KKLの人から興味深い話を聞きました。イスラエルが建国する前のカルメル山はわずかな緑があるだけでした。移住してきたユダヤ人は、建国する前からカルメル山に、まず速やかに成長する松を植えました、すると、その松によって地面が息を吹き返し、眠っていた楠やいろいろな植物が芽を吹き出して今のような美しい自然のカルメル山の森林ができあがったということです。種たちはずっとこの地にあったのですが、ユダヤ人が帰ってくるまで地中深く眠っていたのです。聖書がいう通りです。

<黙示録時代の異常気象はこうなる!?>

炎の動きが異常であったことに加え、その後のイスラエルの気象も激しさを極めました。出火から77 時間後、9カ月も全く雨がなかったのに恵みの雨が降ったことはメールでお伝えした通りです。ところがその次ぎの週末には、大変な暴風雨がイスラエル全国を襲い、たった1日で2カ月分の雨が降りました。イスラエルでは例年「春一番」ならぬ「冬一番」というのがあって、今年はそれが2カ月も遅れた上に暴力的なほどに激しい暴風雨として訪れました。ニュースによると、風速は120m/時を記録、たった1日の雨量が例年の2ヶ月分で、一気に帳尻を合わせた形です。

この暴風雨は実に丸2日続き、ハイファの道路は、異常乾燥から一変して洪水状態となり、木々が倒れて車がつぶれるなどの被害が出ました。特に被害が大きかったのはテル・アビブのビーチで、暴風と高波で、ビーチ沿いにあった結婚式場などの施設が破壊されました。この嵐、日本の嵐と違って、雨が来たと思ったら、たった数分で急に雨も風もやみ、またしばらくするとばーっと降る、その合間にちょっとだけ太陽が顔を出します。よくみると雨雲の隙間から太陽と雨雲の上に広がる青空が見えるのです(写真)。あれ?と思っているとまた急に風が吹いて雨がばーっと来る。まるで雨雲と太陽が戦っているかのような忙しい、本当にジェットコースターのような嵐でした。黙示録の時代、サタンの支配の元、荒れ狂う地上を見守る主を思わされました。
嵐がやんだ今は、寒気が訪れ、山火事前には28 度もあった気温が急に12 度にまで下がり半袖からいきなりファー付きのコートを着る日々となりました。ヘルモン山では、待望の大雪となり、スキーが解禁となりました。住民は喜びながらも対処に追われています。ところで気になるガリラヤ湖の水位ですが、約7センチ上昇、まだ危険下限から2m以上下回っていますが、今も水位は上がり続けています。


■ スーダン人150 人送還

アフリカ難民が、イスラエルに流入していますが、11、1900 人を突破しました。ネタニヤフ政権は、イスラエルの民族図を変えてしまう危機にあるとして、一人500 ドルを支給して祖国に帰る者を募りました。つまり、強制送還ではなく、自主帰還ということになります。これに150 人が応じましたが、直前になって帰還を思い直した者もいます。スーダンの内政状態は非常に悪く、帰ったら殺される可能性もあります。最も危険なダルフールには誰も送還されていません。


■ 和平交渉「正式」に頓挫

前回、ネタニヤフ首相が多数の戦闘機と引き替えに3カ月の、西岸・エルサレム周辺の建設を凍結するとお伝えしましたが、その実現はありませんでした。国会が承認しなかったためです。アメリカは、正式に、イスラエルとパレスチナの和平交渉への努力は頓挫したと発表しました。
ではここからどこへ向かうのか。パレスチナ自治政府は、イスラエルが認めなくても独立宣言をするのではないかと言われています。それを認証する国々も出てきています。しかし、パレスチナ国家を、現実的に建設しようとしている自治政府のファイヤド首相は「私たちが望むのは国の設立であって、単独の独立宣言は、パレスチナにとって得策ではない」と語っており、まだどちらにむいているのかはわかりかねる状況です。
政治的な頓挫とは逆に、イスラエルのハイテク産業は、西岸地区のエンジニアを雇用するアウトソーシングが人気になっているとの報告があります。これらの会社では、ヨーロッパの人材も雇用していますが、パレスチナ人の方が、同じレベルでより安く雇用できる上、時差がなく、働きを共有しやすいということです。インドなどアジア人の技術者はさらに安く雇用できますが、パレスチナ人の方が、距離的に近いので連絡がとりやすく、信用もあるということです。「政治とは関係なく、ただビジネスとして成り立つことを考えている」と関係者は語っています。


■ レバノン山中で、イスラエルの監視装置みつかる

レバノンの山中でベイルートを監視していたとみられるスパイ機器が発見されました。そこにヘブル語の文字が書かれていたことから、イスラエル製とみられています。レバノンは、イスラエルがレバノン国内にいるスパイと連絡をとるために設置したものだと訴え、国連にイスラエルが決議1701(第二次レバノン戦争後の決議)に違反していると苦情を提出する構えです。イスラエルからのコメントはありません。

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.