ホーム祈るハイメール通信 登録・停止バックナンバー > ハイメール通信No. 191 No Way Out

ハイメール通信

ハイメール通信No. 191 No Way Out

混迷が続くパレスチナ自治政府との和平交渉。ネタニヤフ首相は、アメリカの提案に応じて、西岸地区、エルサレム周辺の建設を再び3カ月間凍結すると発表しました。その先については誰にも何も見えていません。

アフリカからの難民が今年に入ってから急激に増えています。最近では月に1300-1500 人におよび、すでに34,566 人がイスラエルへの亡命を申請しているということです。ネタニヤフ首相は、国境に不法入国を防ぐフェンスを設置するとともに、すでに来ている難民のためのセンターを設立することを決めました。

今年のイスラエルの水不足は、建国以来の深刻さと言われています。雨期に入ってからまだ一回も雨が降っていません。ガリラヤ湖の水位は危険レベルをすでに1メートルも下回り、下がり続けています。このままいくと地下水路を通じて海水や工業によって汚染された水が流れ込み、ガリラヤ湖が破壊される危険性があります。

イスラエルでは、12 月2日から9日までハヌカ(奇跡の光の祭り)が行われます。
これは、シリアの圧政からマカビー一家が勝利を勝ち取ったことを記念します。この時のように主が彼等をあわれみ、再び主の救いで不可能から脱出させてくださるように祈りましょう。

あなたがたの中に知恵の欠けた人がいるなら、その人は、だれにでも惜しげなく、とがめることなくお与えになる神に願いなさい。そうすればきっと与えられます。(ヤコブの手紙1:5)



■ 建設凍結 あと3カ月・・・その後は?

昨年末、ネタニヤフ首相は、西岸地区でのユダヤ人住居建設を10 カ月間凍結することに同意。イスラエルとパレスチナ自治政府の直接対話が始まりました。しかし10 カ月後の今年9月、両者は何の結果も見いだせないまま、期限切れを迎えました。西岸地区での建設は直ちに再開され、アッバス議長も直ちに交渉のテーブルを去りました。

何とか両者を交渉のテーブルに戻したいアメリカは、11 月、ネタニヤフ首相にあと3カ月間の凍結を要請しました。その見返りとして、アメリカは戦闘機F35 を20 機と、国連でイスラエル非難決議案が出された場合には、拒否権を必ず発動するとの条件を出しました。これはイスラエルにとっては断れないほどの好条件です。ネタニヤフ首相は、西岸地区住民をはじめ、国会右派勢力、また自らのリクード党内からの激しい反対を受けながらも、アメリカの提案に同意しました。西岸地区の住民らはデモを行って抗議しています。
3カ月間凍結の目的は、前回の10カ月の時とほぼ同じですが、今回は、3カ月が終わった後、再度凍結を延長することはないと明示されています。

<パレスチナ側の反応>

このアメリカの動きについて、パレスチナ自治政府はなんのコメントも出していません。
アッバス議長の和平交渉再開の条件は、エルサレム周辺を含む西岸地区全域におけるユダヤ人住居の建設を即時全面停止することです。今のところ、そこから譲歩する動きはありません。
パレスチナ自治政府が将来のパレスチナと目する地域に住んでいるユダヤ人は、現時点で西岸地区の150 のコミュニティーに32 万人、エルサレム周辺地域には、30 万人が居住しています。実際のところ、これらの人々を撤退させるのは不可能なことで、たとえ和平交渉が再開されたとしても3カ月の後になんらかの結論が出るとは考えられません。

<あるアメリカからの反応>  http://www.jerusalemonline.com/specials20.asp

ニューヨークタイムスの著名なジャーナリストのトーマス・フリードマン氏は、これらの動きについてするどく批判し、今のアメリカ国民の心は、昔ほどイスラエルに好意的ではないと、次のように強い口調で語っています。
「イスラエルが建国したころや六日戦争の頃は、アメリカ人はイスラエルの勝利に興奮したものだった。しかし、今やアメリカの経済は1920 年代以来の危機的な状況にあり、イスラエルを助けるどころではなくなってきている。今、アメリカは最大の努力をしている。和平への最後のチャンスの時だ。そのチャンスを逃そうというのか。いい加減に同じ事の繰り返しはやめてほしい。」

<イスラエル国内では・・・>

イスラエルが建設にこだわる理由は、それがそのままそれらの地域におけるイスラエルの主権、ひいてはイスラエル自身のユダヤ国家としてのアイデンティテイにつながることだからです。
反対派は、もし今回の3カ月間建設凍結を譲歩して受け入れた場合、次にその期間が終わったときには、国際社会からの圧力で、もはや建設を再開できなくなると懸念しています。それはやがて西岸地区、エルサレムからの撤退への一歩となり、ユダヤ人が再び国を失うことにつながっていくというのです。

<撤退に関する国民投票案可決>

イスラエルでは住民の撤退ということがあり得ます。2005 年には、シャロン首相の指導の元、ガザ地区から住民が撤退させられました。しかし、それは国民に非常な痛みを与えるものであり、結果的にガザからの撤退が良かったのかどうかは未だに疑問となっています。

もし将来、ゴラン高原などどこかで撤退と言うことがあり得る場合、首相とその与党の判断だけで決めるべきでないとイスラエル政府は考えています。ネタニヤフ首相は、今後仮に撤退という危機に直面した場合、その是非を最終的には国民投票で決めるという決議案を提出、賛成65、反対35 で可決されました。

これによると、もし国会議員の3分の2が撤退に賛成した場合(議員80 人以上)は、国民投票は行わなくてもよいのですが、きわどい結果の場合は国民投票で国の一大事が決められることになります。最大野党のカディマ党首リブニ氏は、「首相の弱腰」と批判する他、国民投票になれば、逆にヒズボラなどはそれをイスラエル攻撃の口実に使うのではとも言われています。

* 5年たってようやく立ち上がる旧ガザ地区住民たち

2005 年にガザ地区を強制的に撤退させられたガザ地区住民。その多くはまだ生活再建のめどがたっていないものの、一部の住民はイスラエル国内で再出発を始めています。報道によると、この度、かつてガザ地区にあった二つの地名がイスラエル国内に復活したということです。そのひとつが「ガネイ・タル」。

リーダーのモティさんは、家族と共に撤退し、苦しい試行錯誤の後、かつてガザ地区で行っていた観葉植物栽培の農業を再開、同じ地区に住んでいた仲間たちもモティさんのところに集まり、イスラエル国内に以前と同じ「ガネイ・タル」の名で町を再建しました。(参照:リバイバルジャパン9月1日号)


■ アフリカ難民をどうする?

流入を続けるアフリカ難民の話題が続いています。アルーツ7紙によると、今年に入ってからだけでも34,566人(最近では1月に1300-1500 人)がエジプト方面から不法に入国し、イスラエルに亡命を要請しているということです。ダルフール(スーダン)など国内情勢が非常に危険な国から来た難民に関しては、国元へ帰すことができません。

すでにイスラエルに入国した人々は、主にテルアビブ南部の旧バスステーション地域に捨てられるようにして住んでいます。そこは殺人や麻薬売買など凶悪な犯罪の巣窟となり、もはや夜外出できないほどに危険な地域となりました。この周辺に住む住民らを中心にアフリカ難民への対処が叫ばれています。

先週、ネタニヤフ首相は、不法入国予防のフェンス設置に引き続き、すでに入国している難民1万人を収容する難民センター(収容所)をネゲブ地方に設立する案を国会に提出、28 日に可決されました。これから6ヶ月以内にセンターが設立されることになります。

しかし、ネゲブの現地住民たちは、難民との共存には危険が高まるとして反対しています。またこの難民センターは、刑務所の管轄で運営されることになっていますが、その統括であるアハロノビッツ氏は、「このような難民(犯罪者でない一般人)に対処する技術も準備も何も持ち合わせていないので、急に言われても運営は不可能」との陳情書を首相に提出していました。また、ユダヤ人は自らも長く難民キャンプに収容されていた痛みを持っているため、「難民収容所」を国内に設立することへの嫌悪感も指摘されています。


■ ペテロの魚が食べられなくなる!? ガリラヤ湖水位危険レベルよりさらに1メートルも下

ここ4年ほどイスラエルでは降雨量が極端に少なく、ガリラヤ湖、死海の水位が下がる一方となり、建国以来の危機的状況となっています。

ガリラヤ湖は海抜マイナス213 メートルと低い位置にあるため、水位が下がると、地下水路を通じて海水や沿岸工業地帯で汚染された水が流れ込む危険性があります。その下限として定められたのが「危険水位」です。現在、ガリラヤ湖では、危険水位からさらに1メートル近くも下がってしまい、例年よりも暖かい気候で水の蒸発もあいまって、水位は1日5ミリのペースで下がっています。2012 年は貯水が全くない状態でのスタートになりそうだということです。

またヨルダン川を通じてガリラヤ湖からの水を受ける死海では、このまま何も対処しないでいると、50 年後には下の海は完全になくなり、上の海も今の3分の1程に干上がってしまうと予想するデータもあります。

イスラエルの水源は、ガリラヤ湖と二つの地下水、あとは世界最高とも評される技術による水のリサイクルと海水の精製です。しかし人口が増え続け、イスラエルが農業を開拓し続けたため、水のデマンドは上がる一方です。危機的とわかっていても政府が抜本的な対策をとってこなかったため、専門家からは「もう元へはもどらない」と言われるほど水位が下がっています。ある筋によると、ペテロの魚と呼ばれる魚を絶滅から守るため、来年早々にもその捕獲が制限されるようになると伝えています。

先々週から、チーフラビが「断食して悔い改め、主に雨を降らせてくださるように祈れ」と、全国に呼びかけています。ラビたちはガリラヤ湖上で祈ったり、気球船に乗って空から祈ったとも伝えられています。もちろん、嘆きの壁でも祈られています。しかし、一般庶民は相変わらず事が起こるまではなんの意識もせずに水を使っているようです。


■ イスラム勢力拡大: ユダヤ・クリスチャン対イスラムの動き

<レバノンの動き>

レバノンでは、ガザがハマスに選挙されたように、いつヒズボラに全面的に占領されてもおかしくない状況が続いています。もしそうなった場合、ヒズボラがレバノンからイスラエルを攻撃、再び戦争になる可能性も否定できません。
レバノンには先週、トルコのエルドアン首相が訪問し、もしレバノンとイスラエルが戦争をするようなことがあれば、トルコはレバノンに加勢すると伝えています。今週、レバノンのハリリ首相はイランを訪問、シリアに続いてイランにもヒズボラとの関係安定のための協力を求めました。

<イランの動き>

イランは今週、国内では初めてとなるブシャラの原子力発電所の稼働に至りました。この施設が直接核兵器開発に関わっているとは考えられていませんが、イランの原子力技術が着実に進歩していることは確かです。

またイランでは、自家製の地対空ミサイルs300(現時点で世界最高の精度を持つミサイル)のテストも終え、イスラエルの奇襲に備えている模様です。
またイランがアフリカで活発に活動していることもあきらかになってきました。先月、ナイジェリアでイランから密輸されたと見られる大量の武器が押収されました。行き先はガンビアと推測されています。ガンビアはイランから多額の資金援助を受けていましたが、先週、突然それを断り、イランの在ガンビア外交官を送還したということです。イランはアフリカ大陸でも活発に活動しています。

ウイキリークスによると・・・

最近話題になっている内部告発サイト、ウイキリークス。これによると、北朝鮮がイランに売却したミサイルによってイランは今やベルリンやモスクワも攻撃できる態勢にあるということです。また、アラブ諸国が通常の態度とは違って、実はイランに対する恐れを持っていることも明らかになりました。イスラエルはこれまで訴えてきたことの裏付けであると訴えています。

<新モサド(イスラエル諜報機関)長官>

対イラン政策など様々な情報を集め、首相に伝えると共に、見えないところで影の働きをする「モサド」。新しい長官にタミル・パルド氏が選ばれました。パルド氏は自身も諜報部員として長く働いてきたベテランです。首相の決断や国の存続にかかわる闇の仕事をするモサド、新長官を覚えてとりなしましょう。

<中東でクリスチャンの迫害悪化傾向>

「エピセンター」で著名なジャーナリスト、ヨエル・ローゼンバーグ氏によると、イラクではキリスト教会で爆弾テロがあり、58 人が死亡したのに続き、同氏の知り合いのエルサレムにあるアラブ人教会も爆弾を投げ入れられたということです。この件についてメディアは全く報じなかったと報告しています。

パキスタンでは、7月に2人のキリスト教牧師がモハンマド(イスラム教祖)を侮辱したとして殺害されました。その後もクリスチャンの母親がイスラム教への侮辱罪で死刑を言い渡されるなどの迫害が続いています。先週、エジプトでコプト教とよばれるキリスト教の一派とエジプト軍の衝突があり156 人が逮捕されました。

世界でイスラム勢力がユダヤ、クリスチャン界に対して攻撃的になってきていることを私たちは知っておく必要があります。これらの脅威に対し、どう祈ったらよいのか、それは聖霊の導きによらなければなりません。今月もハイナイトの上に主の豊かなお導きがありますようにお祈り致します。

<祈り>

  1. イスラエルの不可能をすべて知っておられる主があわれみをもって一つ一つ導いてくださるように。
    ネタニヤフ首相、イスラエル軍参謀総長に常に正確な情報がよせられ、明確な判断ができるよう
  2. アフリカ難民対策において知恵が与えられるように。
    難民を受け入れるイスラエルを物質的にも祝福してくださるように。
    逃れてきたアフリカの人々を覚えて 特に子どもたちを覚えて
  3. 雨を与えてください。
    ハヌカを迎えるイスラエル人に主を恐れ、主に立ち返る思いと真の悔い改めを与えてくださるよう。
  4. イスラム原理主義勢力の台頭を覚えて。
    イスラム諸国にいるクリスチャンを覚えて

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.