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ハイメール通信No. 189 イスラエルは誰の国か

イスラエルは、西岸地区での建築を再開したのに引き続き先週、東エルサレムに新たに240 軒のユダヤ人家屋建設許可を出しました。パレスチナ自治政府との和平交渉は、頓挫しています。(写真:現ネタニヤフ政府閣僚他)
イスラエル政府は、すべてのイスラエル在住の非ユダヤ系市民が国籍をとろうとする場合には、「ユダヤ国家イスラエルに忠誠を誓う」ことを条件に盛り込む法律を可決しました。イスラエル国籍のアラブ人や、正統派以外のユダヤ人、世俗派もこれに反発しています。
イランのアフマディネジャド大統領が、レバノンを訪問、イスラエルからほんの数キロ先にまで迫ったと話題になりました。

次のことが、後の時代のために書きしるされ、
新しく造られる民が
主を賛美しますように。
主はその聖なるいと高き所から見おろし、
天から地の上に目を注がれました。
捕らわれ人のうめきを聞き、
死に定められた者を解き放つために。
人々が、主の名をシオンで語り、
エルサレムで主を賛美するために。
また、国々の民や、王国が共に集められるとき、
主に仕えるために。(詩篇102:18-22)



■ イスラエルはユダヤ国家

9月末、イスラエル政府は、西岸地区でのユダヤ人住居建設の再開にふみきりました。これに引き続き、先週、パレスチナ国家樹立の際には、パレスチナ領土になるかもしれない地域にも新たに240 軒の建築許可を出しました。パレスチナ自治政府のアッバス議長は、イスラエルが、これらの地域での建設をやめない限り、和平交渉には戻らないことを決めました。中東和平は、これにより頓挫したことになります。
なぜイスラエルはこれほどまでに家屋の建設にこだわるのか。イスラエルは今、イスラエルが「ユダヤ人のための国家」であること、エルサレムはその首都であるとして、その主権を内外に訴えているのです。アッバス議長は「我々は1993 年に『イスラエル』の存在を認めたが、『ユダヤ国家イスラエル』を認めたのではない。」と語っています。

<ユダヤ国家イスラエルに忠誠を誓う???>

イスラエル政府は、17 日、すべての新移民に対して、「ユダヤ国家イスラエル」に忠誠を使うことを義務づける法案を可決しました。これに対し、様々な論議が持ち上がっています。
一つは、イスラエル在住のアラブ人をはじめとする非ユダヤ系市民はどうするのかという問題です。彼らにとっては「イスラエルに忠誠を誓う」ことは問題ないのですが、「ユダヤ国家イスラエルに忠誠を誓う」では微妙に、自分たちの立場が二級市民的になってしまうのです。イスラエルが民主国家ならば、いろいろな人種がそれぞれの立場を守りながら国に忠誠を誓うべきだと彼らは訴えています。

また「ユダヤ国家イスラエル」という語彙の中で、誰をさして「ユダヤ人」というのかという定義の問題も残ります。現在、イスラエルの内務省は、正統派によって「ユダヤ人」と認められた人だけを「ユダヤ人」」として認めています。これは、将来的には正統派以外のユダヤ人、たとえば、「保守派」であればすでにユダヤ人とは認められなくなるということになります。現在、イスラエルには保守派の他に世俗派、またイスラエル人と結婚した外国人、その子どもなど、ありとあらゆる人々が混在しており、今のままで行くと、それらの人々は皆イスラエルの国籍を剥奪される可能性すら否定できなくなっているのです。
世俗派の多いテルアビブでは、左派を中心に数千人がこの法案に反対するデモを行いました。また、アメリカの改革派ユダヤ教徒のラビたちも、揃ってこの法案を非難する声明を出しました。

<苦肉の妥協案>

ネタニヤフ首相は、17日、この法案について「ユダヤ国家かつ民主国家イスラエルに忠誠を誓う」という妥協バージョンに書き換える案を出していたことがわかりました。しかし、これでは、何もかも含んでしまうということで、新たな論議を呼ぶことになっています。

<複雑な立場のイスラエル在住アラブ人>

イスラエル市民権を持つアラブ人たちは、西岸地区のアラブ人よりも恵まれた環境にあるのは確かです。民主国家イスラエルは彼らに、他のユダヤ人 市民と同じ権利を補償しているからです。しかし差別という壁はぬぐい切れていません。イスラエルで人気のヒップホップグループ「DAM」は、メインボーカルがイスラエル市民であるアラブ人で、バンドメンバーはユダヤ人です。
国内でも人気がありますが、どのレコード会社も彼らと契約を結ぼうとしません。彼らは今、海外の会社に向かうことを検討しています。しかし、海外でも状況はきびしく、彼らがヨルダンでの演奏に招かれたときには、ユダヤ人のバンドメンバーの入国は拒否されました。「DAM」は、「自分たちの音楽活動は、政治的でないように願っているが、国籍などの立場上、政治からは逃れられない」と語っています。

<それでもイスラエルはユダヤ人の作った国>

今回の政策には賛同者も多くいます。もともとイスラエルはユダヤ人が同胞の多くの犠牲を払って勝ち取った国です。また、イスラエルは、ホロコーストのような悲劇を繰り返すまいとして建国されたのです。右派や、クリスチャンシオニストたちも、イスラエルは「ユダヤ国家イスラエル」だと今さら言わなくても当然のことだと反論しています。

<リーバーマン外相、静かな人気?>

前回、リーバーマン外相が、国連で政府と見解を異なる発言をしたことをお伝えしました。リーバーマン外相発言の骨子は「パレスチナ人とはこの先、どこまでいっても和平などありえない。」というものでした。それなら、いっそイスラエルを「ユダヤ国家」にするために、アラブ人を西岸地区に移そうというのです。
この意見は、過激で危険な発想ではありますが、現状を正面から捉えているようでもあり、本心ではこれに同意するものも少なくありません。その証拠に彼の所属する「イスラエル我が家党」は議席数も多く、支持率は安定しています。
過半数を持っていないネタニヤフ政権は、リーバーマン外相となんとしても折り合いをつけなければなりません。今回の忠誠の件、エルサレムでの建築再開の件などは、リーバーマン外相が提案したものです。ネタニヤフ首相は、イスラエル我が家の意見をとりあげざるを得なかったのではないかと分析する評論家もあります。アッバス議長は、ネタニヤフ首相が、建設保留について「自分の一存で動かせない」と言っていたと語っています。


■ アフマディネジャド大統領大接近

14 日、イランのアフマディネジャド大統領が、レバノンを公式訪問しました。
大統領は改めて、両国は共にシオニスト(イスラエル)とその支持者たちと戦わなければならないと訴えました。ヒズボラは、南レバノンのイスラエル国境に近い町ビント・ジャビルに大統領を招いて、集会を開きました。アフマディネジャド大統領がこれまでで最も物理的にイスラエルに接近したことになります。
大統領はそこで、反イスラエル抵抗運動をしている者たちをヒーローと呼び、歓声をあびました(南レバノンでは、17 日、2006 年の戦争以来隠されていたとみられる300Kg近い爆発物が発見されています)。
レバノン政府自体は、イランとの盟約を拒否していますが、実際にはレバノンはイランに経済的に依存しています。今回のイランの大統領公式訪問は、レバノンがいよいよイランに支配されていることを象徴するような出来事になりました。アフマディネジャド大統領は「シオニスト(イスラエル)はすぐに地獄へ行く。彼らを支援するものも同じ道をたどるだろう」語りました。イスラエルが誰の国なのかの定義づけにやっきになっているのをよそに、皮肉にもイランの大統領が最も明確にイスラエルが誰の国なのかを知っているようです。


■ ガザ地区でシャリート兵士返還交渉再開

17 日、イスラエル空軍がガザ地区を空爆し、ハマスの要人が死亡しました。ネゲブ地方へのロケット攻撃準備していたところでした。このようにガザとイスラエル軍の紛争は相変わらず続いています。そうした中、ハマスに拉致されているシャリート兵士の返還をめぐって交渉が再開されたとのニュースが入ってきました。
仲介はドイツです。シャリート兵士が拉致されてからはや4年になりますが、返還の条件にハマスがバルグーティをはじめ凶悪なテロリストの返還を求めているため、交渉が前に進みません。家族としては、今度こそどんな条件も飲んで息子をとりかえしてほしいと訴えていますが、政府としては難しい決断となります。ネタニヤフ首相は、国家防衛重視派なので、家族には厳しい状況と言えます。


■ 経済関連の話題

<ダビデの星があるダイアモンド> http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/140115

自然のままでダビデの星をもつダイアモンドが発見されていたことがユーチューブに発表されました。売れば相当な額になると思われますが、持ち主はこれをユダヤ教ラビに寄贈したということです。

<宝くじ、2カ月前とまったく同じ当たり番号>

イスラエルでは簡易の宝くじを買うことができます。今週のあたりくじは、13,14,26,33,36 でキー番号は2でした。今回当たった人は3人で400 万シェケル(約1億円)を獲得しました。ところが、不思議なことに2カ月前の宝くじの当たり番号がこれとほぼ同じであったことがわかりました。そのときのあたりは、ちょうど逆さまの36,33,26,14,13 キー番号は1。八百長がなかったことは調査でわかっています。このようなことは1万年に一回あるかどうかの確率ということです。

<イスラエルにはスタバがない!?>

世界中で人気のスターバックスですが、イスラエルにはありません。イスラエルのスタバ的存在は「アロマ」と呼ばれるコーヒーショップです。イスラエル全国に展開しています。最近、アロマはニューヨークに支店を出し始め、人気となっています。アメリカに進出したイスラエルの食品ビジネスは「アロマ」の他、イスラエル製高級チョコレートの「バーナード」。さらに今月から、ファラフェルの「バリブラ」がニューヨーク入りします。

<ネゲブ砂漠の開拓奨励>

現在、イスラエルでは、人口の増加に伴い、墓地が不足するなど、土地不足になりつつあります。政府は、ネゲブ砂漠やアラバ地方に農家が開拓にでるよう、奨励する政策を行っています。1年に100 家族、10 年間、開拓に送り出す予定です。申請にパスした農家は、11 エーカーの土地、水など様々な支援を政府から受けることになります。2008 年から2010 年までにすでに44 家族が開拓に出ました。同地方で以前から開拓に当たっている農家は、新しくくる者たちに十分分けるだけの水がないなどと、反対意見もでる一方で、人が増えれば、それだけ政府の支援も増えるはずとの前向きな意見もあります。

<祈り>

  1. ネタニヤフ首相と政府閣僚を覚えて
  2. アラブ人との暴力的な紛争を未然に防いでくださるように
  3. イスラエルの経済を祝福してくださるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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