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ハイメール通信No. 187 秋の例祭シーズン 和平交渉再開・・再び・・

イスラエルでは9月いっぱい、秋の例祭が続いてやってきます。それと平行して9月2日より、イスラエルとパレスチナ自治政府の直接和平交渉が、ワシントンで2年ぶり再開されます。
この類の交渉時には、和平に反対し妨害しようとする過激派がテロをおこす可能性が高くなります。すでにヘブロンでイスラエル人4人が射殺されました。例祭で人々が油断をしやすい時期、城壁の見張り人として、イスラエルが守られるようにとりなしが必要です。

2006 年の第二次レバノン戦争以来、イスラエル軍内部の改革を効果的に実施したアシュケナジ参謀総長が2月に退任となります。新しく参謀総長となるのはヨアブ・ギャラント氏が予定されています。この他、イスラエル軍の話題をお届けします。

知恵ある者はだれか。
その人はこれらのことを悟るがよい。
悟りある者はだれか。
その人はそれらを知るがよい。
主の道は平らだ。
正しい者はこれを歩み、
そむく者はこれにつまずく。(ホセア14:9)



■ 秋の例祭シーズン

春の例祭は、過越の祭り、種なしパンの祭り、初穂の祭りです。7週の祭り(ペンテコステ)を挟んで、秋に来るのが、新年祭(9月9.10 日)、贖罪日(9月18 日)、そして仮庵の祭り(9月23-30 日)です。

今年はすべて9月に収まっています。新年祭では、家族友人が集まり、新しい年の祝福を祝います。贖罪日では、国民の90%近くが断食をすると言われています。仮庵の祭りでは、多くの家庭が自宅やベランダに実際の仮小屋を作ります。人々は仮小屋の中で、地上では旅人であること、主がイスラエルを導き、守ってくださることを覚えます。
これらの日は国民の祝日となり、海外に旅行に出るイスラエル人も少なくありません。
主が祭りを祝う人々をあわれみ、主が今も彼らを愛し待っておられることに目が開かれる人々がおこされるように祈りましょう。

<祈り>

  1. 今年一年もイスラエルが守られ祝福で満ちあふれるように
  2. 霊的な収穫が与えられる年となるように

■ 危険信号: 9月2日から和平交渉再開

例祭続きの9月ですが、2日、ネタニヤフ首相とアッバス議長が、アメリカの仲介でワシントンにて直接対話を始めました。アッバス議長がネタニヤフ首相に直接あうのは、今回が初めてとなります。和平交渉の際には、それを妨害しようとする過激派がテロを起こす傾向にあります。今回も、すでにヘブロンでテロが発生、イスラエル人4人が射殺されました。

今回の会談では、まず直接対話を開始、継続するということが焦点になっています。そこからどんな結果が出てくるのかということに関してはあまり期待感がありません。2日の首脳会議に続く2回目は、9月14 日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで行われる予定です。

今回、直接対話を継続できるのかどうかは、現在イスラエルが発動している西岸地区での建設凍結10 カ月間という約束を延長するのかどうかにかかっています。現時点では、イスラエル政府は、凍結期間を延長せず、期限の9月26 日以後、建設を再開するもようです。
アッバス議長は、ワシントンから帰国後、イスラエルの建設凍結に関する態度がかわらない限り、二度と和平交渉には出席しないとの発言を行いましたが、アメリカのクリントン国務長官から、「今回が最後のチャンスになるかもしれない。両者は歩み寄りをして対話を続けるべきである」と圧力がかけられています。

<ネタニヤフ首相優勢、パレスチナ側しぶしぶ>

この和平交渉において、最も苦しい立場に立っているのがパレスチナ自治政府(PA)のアッバス議長です。PAのファタハ・スポークスマンによると、ネタニヤフ首相の前のオルメルト首相の時、イスラエルとパレスチナ自治政府の間には、詳細にわたる合意がすでにできあがっていたということです。

ところが、2009 年にイスラエルがガザ地区を大規模攻撃して関係が崩れ、オルメルト首相も汚職疑惑が発覚して失職してしまいました。
新しく首相となったネタニヤフ氏は、防衛中心の政治外交に戻すとして、これまでの合意をすべて白紙に戻すと発表しました。さらに西岸地区の微妙な地域にもユダヤ人家屋の建設許可を出すなど、パレスチナ側の意向に反する政策をとり続けました。そのためここ2年間、両者は断絶状態となっていました。

アメリカのオバマ大統領は、和平交渉を再開するよう圧力をかけてきました。ネタニヤフ首相は、和平交渉再開にむけたジェスチャーとして、西岸地区における建設を10 カ月凍結すると言いました。9月末がこの期限です。現時点ネタニヤフ首相は、凍結延長はしないとの意向です。

この建設凍結ですが、実際は「新しい建設許可を出さない」というだけで、工事中の3000 件については、建設が続いていました。また、パレスチナ人にとっては、肝心の「東エルサレム」について、「正式なイスラエルの領地であり、いわゆる占領地区にはあたらない」として、建設が続けられていました。このため、パレスチナ側は和平交渉再開を拒否し続けてきたのです。

ところが、アメリカは最近になって、イスラエルの動きに何も制限を付けないまま、パレスチナ自治政府のアッバス議長に和平交渉のテーブルにつくよう圧力をかけてきました。ハマスはじめ、パレスチナの諸団体は、このような条件のまま和平交渉を再開することを激しく非難しており、アッバス議長はたいへん厳しい立場に立たされているというわけです。このような会談が行われるときには、反対派による暴力的なテロや衝突が起こることが多いのでとりなしが必要です。

<シナイ半島で地対空ミサイル190 基押収:エジプト警察>

先月、シナイ半島から、エイラットへむけてミサイルが発射されましたが、そのシナイ半島で、28 日、エジプト警察によって地対空ミサイル190 基を押収しました。この他にも、ロケット弾や麻薬50 キロも一緒に押収されています。これらはガザのハマスへ向かっていました。

さらにエジプトは、エジプトとガザの間を結ぶ密輸トンネル数本を破壊しています。エジプトはトンネルを掘られることがないよう、ガザとの国境10 キロにわたり、地下20 メートルに及ぶ鉄板を埋め込む作業をおこなってきました。この鉄板にあたると掘り進めることも、溶かして掘り進めることもできないようになっています。ところが、トンネルはいっこうに減っておらず、今も100 本はあると推測されています。トンネル業者によると、彼らはエジプトが埋めた鉄板よりさらに下、地下35 メートルのところで掘られているということです。

<両方にいる過激反対派>

和平交渉に反対する過激派は、パレスチナ側だけではありません。8月29 日、ユダヤ教政党シャスの霊的指導者ラビ・オバディア・オバディアは、「アッバス議長とその配下たちは、破壊されてしまうべきだ」と公に発言。物議をかもしています。

<祈り>

  1. エジプト警察の働きに感謝。
    あらゆる暴力的な計画が未然に防がれるように。
  2. 交渉にあたるネタニヤフ首相、アッバス議長、オバマ大統領を覚えて。

■ 新参謀総長はヨアブ

ダビデには右腕としてヨアブという将軍がいました。来年2月、現在の将軍ともいえるイスラエル軍参謀総長の役職にヨアブ・ギャラント氏が就任することになりました。現在の参謀総長ガヴィ・アシュケナジ氏は、2006 年の第二次レバノン戦争で明らかになったイスラエル軍の課題を次々に改善、改革を行い、広く国民の支持を受けていました。しかし任期終了にともない、続投をしないことが決まりました。
アシュケナジ参謀総長とバラク国防相の間にはしばしば意見の不一致があったということで、それが原因ではないかとも言われています。

ヨアブ・ギャラント氏は候補にあがっていた5人の中から選ばれました。現在引き継ぎがすすめられています。イスラエルはハマス、ヒズボラ、イラン問題と、いつ戦争が起こってもおかしくない状況にあります。来年2月まで参謀総長を続けるアシュケナジ氏、時期参謀総長のヨアブ・ギャラント氏に主の知恵が与えられるようにとりなしましょう。

<フロティーラ事件(トルコ人9人死亡)その後>

7月に人道支援物資を乗せてガザへ向かっていた船団とイスラエル海軍が衝突し、トルコ人9人が死亡した件で、イスラエルは、首相、国防相、参謀総長を別々に証言させての検証を行いました。またネタニヤフ首相はバン国連総長による調査団を受け入れることを決め、調査がすすめられています。


■ 落ちこぼれの若者をエリート兵へ

どの国にも、社会になじめない子どもたちはいます。イスラエルでは、素行が悪く、受け入れる学校がない若者を特別に訓練し、将来へのチャンスを与えるという役割を軍が担っています。
北部ガリラヤ地方にハバット・ハショメールという基礎訓練基地があります。ここに「ラッフル・ボーイ」と呼ばれる落ちこぼれの若者たちが毎年1200 人ほど入隊してきます。このプログラムはかつての参謀総長エイタン・ラファエル氏によって始められました。「ラッフル」という名は創始者の「ラファエル」という名を記念しています。

ラッフル・ボーイとは、たとえば夜のバーなどでナイフを取り出し、だれかを半殺しにした若者のことです。4カ月の収監を終えたが、受け入れる学校がなく、行き場を失い、希望も未来も失っているいわば社会から落ちこぼれてしまった青年たちです。ラッフル・ボーイとして入隊する者のほとんどは、通常の義務教育を受けておらず、就学期間は10 年以下です。

彼らは軍隊に入っても、必ず問題を起こします。このような若者は、ほんの1分先のことを考えることができなくなっているといいます。このような課題には必ず根っことなる心の傷が存在します。ある青年は父親が母親を殺害するのを目撃していました。

現在、ハバット・ハショメルを統括するのはラン・カーニー大佐。大佐によると、軍は本来、プロの兵士で構成されるべきで、このような若者たちの救済に用いられる場ではないとの論議もあったということです。しかし残念ながら軍ほど効果的に、落ちこぼれた若者に将来を与えられる施設やプログラムはないとカーニー大佐は語っています。いかに荒れはて、社会から見捨てられた若者でも、軍に受け入れられ、軍服を着、そばに担当のカーニー大佐や係官がいることで、癒しが始まるのです。やがて担当官と心の深い話もできるようになり、どうしようもなかった若者が変えられていきます。

カーニー大佐は彼らに言います。「私は父が軍のエリート、祖父がキブツの創始者だったので(愛国心強い家族に育てられたということ)今の私になった。おまえたちは親の影響でそのようになったのかもしれない。しかし今は自分で自分の道を選べ。過去の影響はもうなくなっている。」

ラッフル・ボーイたちは、通常の兵士の3倍以上、10 週間の基礎訓練を受けます。イスラエル軍の基礎訓練は体力的にも大変厳しいのですが、90%はクリアしているといいます。その後、教育的訓練で国家イスラエルに関する学びをしながら、軍での配置がきまり、そのための特別な訓練も行われます。

彼らが持っている特権の一つが、エリートしか入れないパラシュート部隊司令官からの学び、またその基地での経験です。これはラッフル・ボーイたちにとって大きな栄誉となります。結果、昨年も25 人がパラシュート部隊に入ることができました。またユニークな訓練は、戦死した兵士の墓を訪れ、その遺族とともに時を過ごすというプログラムです。このプログラムを通じて一時はラッフル・ボーイと呼ばれた若者たちが、イスラエルという国家につながっていきます。基礎訓練を無事に終了できた者のうち75%は国が定めた3年間の従軍を最後までやり遂げています。さらにその中から10%は戦闘部隊に進んでいます。

<祈り>

  1. イスラエルにも荒れている青年たちは多数います。
    平和になるとどの国も同じ課題があるのです。
  2. 彼らが主に愛されていることを発見することができるように。

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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