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ハイメール通信No. 185 暑い夏・神殿崩壊を思う

7月20 日は神殿崩壊記念日でした。
正統派ユダヤ教徒たちは、この日に備えて「喪」に服しました。
嘆きの壁に関する話題をお届けします。

イスラエル軍が、南レバノンで展開しているヒズボラの軍事施設の航空写真等を世界のメディアに公開しました。
情報戦に先手をうったものと見られていますが、ヒズボラは、イスラエルは戦争に備えていると非難しました。

リビアのカダフィ大佐の息子がギリシャを経由してガザへ支援船を派遣。エジプトの港を経由してガザへ陸路で支援物資を運んでいます。
さらに建設物資とそのための資金を送ることについてイスラエルと合意に至ったと発表しました。

ネタニヤフ首相がオバマ大統領を訪問。
アメリカのイスラエルに対する理解とサポートを確認しました。

今年も神殿崩壊記念日を迎えたイスラエル人たちが、本当に主に立ち返ることができるよう祈りましょう。

「イスラエルよ。もし帰るのなら、
──【主】の御告げ──
わたしのところに帰って来い。
もし、あなたが忌むべき物を
わたしの前から除くなら、
あなたは迷うことはない。
あなたが真実と公義と正義とによって
『【主】は生きておられる』と誓うなら、
国々は主によって互いに祝福し合い、
主によって誇り合う。」(エレミヤ4:1-2)



■ 神殿崩壊記念日: 嘆きの壁の話題

今年の神殿崩壊記念日は、7月20 日でした。正統派ユダヤ教徒の間では、ソロモンが建てた第一神殿、ヘロデが建てた第二神殿共に、ユダヤ暦においては同じ日に破壊されたと信じています。従って、この日、正統派ユダヤ教徒らは断食し、いわば“衣を裂いて荒布を着る”状態になって、主に対して悔い改めを行います。彼らはこの日、嘆きの壁に行って文字通り「嘆き」ながら、祈りを捧げました。

<バル・ミツバ(成人式)を嘆きの壁で>

5月、アメリカのホワイトハウス長官で、ユダヤ人のラフム・エマニュエル氏が、息子のバルミツバを嘆きの壁広場で行いました。以来、ディアスポラ(イスラエル以外に住むユダヤ人)の間で、家族、親戚、友人などをエルサレムに嘆きの壁に招いて、息子たちのバルミツバを行うという“ツアー”が人気となっています。

嘆きの壁を担当するラビによると、この夏200-300 人の少年が嘆きの壁でバルミツバを受けると予想されていますが、その多くが海外在住のユダヤ人だということです。(写真:中央の男の子)

イスラエルの外で生まれるユダヤ人の子どもたちは、ユダヤ人としての自覚を持ちにくいため、幼いころから家庭やシナゴグにおいてユダヤ教育が行われています。嘆きの壁でのバルミツバはユダヤ教育の仕上げとして行われます。

このようなバルミツバは、日本でいえばハワイやオーストラリアで結婚式をあげるのに似ています。招かれた人々はバルミツバの後、イスラエル国内を旅行し、10 日から2週間滞在するようです。
最も多いのはアメリカに住む保守派、改革派の中流家庭の人々で、彼らが使う費用は250 万円~400 万円。

ニューヨークなどに住む裕福な家庭で、さらに伝統的ユダヤ人家庭の場合、100 人から200 人のゲストを招くため、1000 万円以上をかけるということです。(写真:嘆きの壁・女性のセクションから男性セクションで行われている息子のバルミツバを見守る母親と女性の家族たち)

<嘆きの壁女性セクションに、トーラーを持ち込んだ女性指導者が逮捕>

嘆きの壁は、約3分の2が男性のためのセクション、3分の1が女性のセクションとなっています。男性のセクションでは、上記バルミツバが行われたり、各種祭りの時期には、男性たちがトーラーを抱えて輪になってダンスしたりするので、広く場所がとられています。
嘆きの壁で祈るのは多くが正統派ユダヤ教徒ですが、彼らの慣習によると、女性が直接トーラー読むことは許されていません。

ところが先日、「嘆きの壁の女性たち」というユダヤ教の祈り会グループがトーラーの巻物を抱えて女性セクションに入りました。すぐに騒動となり、警察が来てリーダーのアナット・ホフマンを逮捕しました。このグループは、以前よりキッパやタリート(祈りのショール)といった正統派では男性のみが着用するものを女性が嘆きの壁で着用し、正統派たちに著しい不快感を与えていました。警察は、このグループに、正統派の目にふれないロビンソンアーチ付近の壁で活動するよう指導していました。


■ ヒズボラの軍事拠点公開

イスラエル軍が、南レバノンの160 の村々に展開するヒズボラの軍事拠点に関する情報を世界のメディアに発表しました。情報は、上空からの衛星写真やビデオ、CGによるプレゼンテーションの形で行われました。イスラエル軍の調べによると、ヒズボラは現在4万発の近距離中距離ミサイルの他、シリアから運び込まれたM600 長距ミサイルも保有しています。

もし戦争になった場合、1日に800 発のミサイルがイスラエルに撃ち込まれると予想されています。現在南レバノン地域には、ヒズボラのゲリラ戦闘員20,000 人が3つに分かれて展開しているということです。うち5,000 人がさらに20-100 人のグループに分かれて南レバノンの村々に駐留しており、イスラエルとの地上戦に備えていると考えられています。国境から約4キロの地点にある村を例にすると、学校や市民のための施設から50 メートル以内の地点にミサイル発射地などの軍事拠点があります。もし戦闘が始まれば、市街戦は避けられないと予想されています。(写真青の部分が病院、赤の部分が軍事施設)

さらにヒズボラが、国境からイスラエル領内にむけてトンネルと掘っていたことが明らかになりました。ヒズボラがイスラエル側へ侵入し、国境付近にいる兵士を拉致することが目的とみられています。現在、イスラエル軍が最も警戒していることが、兵士が拉致されることだと報じられています。イスラエル軍の報告を受けて、ヒズボラは「イスラエルは戦争をしようとしている」として非難しました。

<ギラッド・シャリート兵士の両親>

ガザのハマスに拉致されたままのギラッド・シャリート兵士の解放のため、北部イスラエルからエルサレムの首相官邸へ徒歩行進していたデモ隊がエルサレムに到着しました。両親は、ギラッド兵士が解放されるまでは動かないとして首相官邸前でテント生活を続けています。ネタニヤフ首相は、アメリカから帰国してすぐ両親に電話をかけたようですが、大きな動きはありません。

<イスラエル軍内部で自殺者上昇中>

イスラエル軍内部では、今年に入って自殺者が増えていると報告されています。2005 年に自殺したイスラエル兵の数は35 人、以後減少し、2009 年は21 人でした。ところが今年は半分が過ぎた現時点ですでに19 人が自殺しています。軍の調査では、自殺の原因はそれぞれ個人的なことが理由であり、兵役 が原因ではいということです。
イスラエル軍内部には、単独で移住し、家族縁者がない孤独な兵士や、経済的な問題を抱える者、家族や友人をテロや戦争で失った者など、心に傷を持つ兵士少なくありません。主が自殺者をとどめてくださるように祈りましょう。

<踊るイスラエル兵>http://www.youtube.com/watch?v=CDs19vPlM50&feature=youtube_gdata

ヘブロンの通りをフル装備で警備しているイスラエル兵6人。背景にはイスラムの祈りアザーンが聞こえます。と、そのとき、6人がしゃがんだかと思うと立ち上がってポップダンスを踊り始めます。ほんの数十秒足らずですが、軍服の下にいる普通の若者の姿をかいま見ることができます。
ビデオはユーチューブに乗ってまたたくまに世界中に広がり物議をかもしました。ビデオは投稿したのは踊っていた兵士たち自身でしたが、彼らは軍から厳重な処分を受けたもようです。


■ リビアからガザへ5000 万ドル、プラス建設物資搬入

先月のフロティーラ事件以来、別の様々な団体がガザへ支援船を派遣しようとしてきましたが、幸いイスラエル軍と衝突することなしに現在に至っています。
先週土曜日も、リビアのカダフィ大佐の息子が巨大な支援船をギリシャ発でガザへ向かわせました。積荷は食料や医療物資。乗組員はリビア人やギリシャ人など。

イスラエル軍との衝突が懸念されましたが、イスラエル軍からアシュドド港へ寄港し、そこから陸路で物資を運ばれるよう指示されると、この船はむしろエジプト領内の港に寄港し、そこから陸路で物資を運ぶと返答しました。イスラエル軍もこれに同意、船は無事にエジプトのエル・アリシュ港に到着し、物資は陸路ガザへ向かうということです。

カダフィ大佐ジュニアはさらに5000 万ドル(約50 億円)とセメントなどの建設物資を、UNRWA(国連パレスチナ難民支援帰還)を通じて陸路ガザ地区へ搬入すると発表しました。カダフィ氏によると、この件については、エジプトの仲介により、イスラエルからも同意を得ているということです。カダフィ氏は、「私たちがほしいのはぶどうであり、ブドウ畑を守っている警備員と戦うことに興味はない。」と言い、家も着るものもないガザの兄弟たちを本格的に支援できると、喜びを語っています。

<多すぎる物資、少ない給料>

先々週、イスラエルは、海上封鎖の緩和を行い、チョコレートや衣類などの物資がガザへ入るようになりました。現在、ガザでは流れ込むイスラエルからの安い物資に対抗できないとしてガザ内部の経営者などから悲鳴が出ています。ガザでは物資はあふれても、ハマスが給料を払わないので、それを実際に購入できる人が少ないということです。

イスラエルから陸路で搬入された物資は、先月だけでトラック3000 台、ディーゼルオイル60 万リットルに上っています。6月は特に搬入率が60%も上昇していました。ガザは実際に何が必要で何が不要なのか、実際の市民はどんな生活をしているのか、全く不明の中で、国際支援が効果的に行われているのかどう かわからなくなっているようです。

一方、ガザを支配しているハマスは、依然、過激な方針を変えておらず、イスラエルの協力したとするパレスチナ人6人を処刑したと報告されています。今回、リビアから送られる資金や建設用具がハマスの過激な者たちに利用され、武器にならないように。またガザの人々の生活や社会が本当に改善され、憎しみか ら解放されて自らの人生を思うことができるように祈りましょう。


■ ネタニヤフ首相、満面のアメリカ訪問

ネタニヤフ首相がアメリカのオバマ大統領を訪問。主な目的はアメリカとの関係回復と、イスラエル支援への確約をとることでした。
数カ月前、アメリカのバイデン副大統領が、エルサレムを訪問したのに合わせるようにして東エルサレムにユダヤ人住宅の建築許可が内務省から出されたため、アメリカとイスラエルの関係がぎくしゃくしていました。

今回も、ネタニヤフ首相の訪米に合わせて、同様の建築許可が下りたのですが、今回はどういうわけか、ネタニヤフ首相、オバマ大統領共に、この動きを完全に無視。なにごともなかったかのように会談がとり行われました。イスラエルのファーストレディであるサラ・ネタニヤフ夫人も、 ミッシェル・オバマ大統領夫人と夫人どうしの会談をもっています。

会談後、両首脳ともに、会談は大変有意義なものだったと語りました。ネタニヤフ首相は、大統領との会談の他、アメリカのテレビによる直接インタビューにも応じ、アメリカとイスラエルの関係が普遍であることをアピールしました。その上で、ネタニヤフ首相は、アッバス議長に今すぐに直接対話をはじめようではないかとテレビ放送を通じて訴えました。

オバマ大統領もイスラエルのテレビの直接インタビューに応じました。その中で、オバマ大統領は、ネタニヤフ首相がむしろタカ派であることを認めつつも、彼の目的は単に領地を広げることではなく、真に国の治安を考える優秀なリーダーであると語りました。また最近オバマ大統領が“アラブよりではないか”との印象でイスラエルでは懸念されているがどう思うかとの問いに対し、大統領は、自分のミドルネームが「フセイン」であることや、アラブ諸国に近づこうとしている外交政策がそういう印象を持たれているようだと認めました。しかしそれらは、アラブ諸国との距離を縮めて和平にむけた話し合いをすすめるためであり、イスラエルを拒否するものではないと語りました。

<パレスチナ人との関係>

上記アメリカとの関係が良好に進んでいる一方、実際のパレスチナ人との関係は改善のみこみがありません。エルサレム市は先週、違法に建てられた物件であるとして、東エルサレムの家屋2件を破壊しました。また、1998 年、パレスチナ人2人を殺害したユダヤ人テロリストのハイム・パールマンの一件がマダ」未解決であることがわかりました。パールマンは、この二件の殺人の他に7件のパレスチナ人殺人未遂の疑いもあります。パールマンが所属していたのは、ユダヤ教超右派の過激派グループです。

<悪化するトルコとの関係>

アメリカとの関係が良好であるのに対し、隣国トルコとの関係は悪化の一方です。トルコは、イスラエルがフロティーラでトルコ人9人が死亡したことへの謝罪をしないなら、トルコはイスラエルとの関係を完全に遮断すると言っています。トルコはすでにトルコ航空のイスラエルへの乗り入れを少なくしており、将来トルコ航空がイスラエルに乗り入れを完全に遮断する可能性が高まっています。

<祈り>

  1. 神殿崩壊記念日: ユダヤ人たちの心が主に向かうように
  2. 北部レバノンとの国境の治安のために 兵士が拉致から守られるように
  3. イスラエル軍兵士を覚えて 自殺者がこれ以上増えないように
  4. ガザ地区のハマスの動きを主が見張っていてくださり、リビアの支援が正しく使われるよう
  5. ネタニヤフ首相の日々の決断を覚えて

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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