ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 184 なんと複雑な国
トルコからガザへ向かった船団フロティーラ事件から約2週間。
国際的なプレッシャーからネタニヤフ首相がガザ沖の海上封鎖を緩和すると発表しました。しかしガザからはロケット弾が飛んできています。
イスラエル兵ギラッド・シャリートさんが拉致されてから4年目になりました。両親は、ハマスの要求を受け入れてテロリストを解放し、息子の解放を急ぐよう政府に訴えています。
両親は、その居住地であるイスラエル北部ミツペ・ヒラから、エルサレムの首相府までの徒歩デモ行進を企画。現在数千人から1万人が参加して行進しています。
外からの圧力や、戦争の足音が高まっているイスラエルですが、内部では、エマニュエル市の女子小学校で、アシュケナジ系ユダヤ人の両親が、子どもたちがスファラディ系ユダヤ人の子どもたちと一緒に勉強することを拒むという内輪もめ事件がありました。
イスラエルでは、全国的に今週から夏休みとなり、様々な夏キャンプが始まっています。イスラエル人の夏を覚えてとりなしましょう。(写真:北部のビーチで楽しむ家族連れ)
エルサレムよ。主をほめ歌え。
シオンよ。あなたの神をほめたたえよ。
主は、あなたの門のかんぬきを強め、
あなたの中にいる子らを祝福しておられるからだ。
主は、あなたの地境に平和を置き、
最良の小麦であなたを満たされる。(詩篇147:12-14)
ガザ、フロティーラ事件の後、国際社会からの強い圧力により、ネタニヤフ首相は、海上封鎖緩和の意向を発表しました。しかし、イスラエルの 言う「緩和」とは、封鎖を解くということではなく、「海路でガザへ搬入してもよいもののリスト」の変更に過ぎませんでした。そのリストがなかなか提出されず「時間稼ぎ」とも批判されていましたが、今週、イスラエルが新たに搬入を許可したのは、チョコレートなどの食品でした。
ガザからは、破壊された建物の再建に必要なセメントや鉄筋などの搬入が要請されていましたが、結局それらは地下トンネルの建設やロケット弾の材料になりかねないということで、許可されませんでした。封鎖の緩和は、結局イスラエルの詭弁にすぎないと落胆が広がっています。これを受けて1日、中東特使のブレア氏は、数週間後、セメント類も搬入される予定であると発表しました。
搬入されたチョコレートのお返しに、ガザからは1日、西ネゲブの町やアシュケロン郊外にカッサムロケットや迫撃砲が撃ち込まれました。建物などに被害が出ましたが、けが人はありませんでした。
イスラエル兵ギラッド・シャリートさん(当時19 歳)がガザのハマスに拉致されてから、ちょうど4年となりました。両親は、ハマスの要求をすべて受け入れて、息子を取り返してほしいと首相に訴えるため、自宅のある北部イスラエルのミツペ・ヒラから、エルサレムの首相官邸まで徒歩で歩く抗議デモ行進を計画しました。
この行進への反響は予想以上で、出発時点では1万人、徐々に減ってはいるものの出発5日目でまだ数千人が参加しています。
このデモ行進とほぼ同時期にイスラエル政府は、凶悪なテロリストの逮捕に貢献した元ハマスの息子ハッサン・ヨーゼフ氏に、政府としての感謝を表明したところでした。テロリストを逮捕して国民を守ることは政府の最重要事項です。
しかし今回、シャリートさんのために立ち上がった群衆はシャリートさん解放のため、逮捕したテロリストを自ら釈放するよう訴えているのです。ネタニヤフ首相の難しい状況が伺えます。
1日、ネタニヤフ首相は、デモ隊がエルサレム入りするのに先立ち、もしハマスの要求をそのまま飲めば、イスラエル兵の拉致がさらに増えること、また2004 年にヒズボラに誘拐されたビジネスマン、タネンバウム氏を取り戻す代価として400 人を釈放したが、その後27 人のイスラエル人がテロの犠牲になったと語りました。そのため、シャリートさんの解放をに最善をつくすものの、イスラエル政府が今支払いうる値は、テロリスト1000 人の釈放が限度であると呼びかけました。この中にハマスが要求する凶悪な者の名は含まれていません。また釈放される1000 人も、西岸地区には戻ることは禁ずるとしています。これに対してハマスは、いかなる妥協もするつもりはないと発表しかえしました。
ハマスの創始者の息子として生まれ、自らもハマスの指導的立場にあったモサブ・ハッサン・ヨゼフ氏が、インターネット伝道を通じてイエスを信じるものに変えられたことは世界中の話題となりました。
ヨーゼフ氏は、ハマスの活動が平和と無関係であるばかりか、破壊を生み出すばかりであることをはっきりと証しています。
ヨーゼフ氏はイスラエル政府を支持するつもりはないとしながらも、平和に貢献するためとの動機から、イスラエルの治安組織シン・ベトに協力。シモン・ペレス大統領の暗殺はじめ、数々の自爆テロを未然に防ぐなど、イスラエルに大きく貢献しました。
ヨーゼフ氏は現在アメリカ在住です。先週アメリカへの亡命がようやく認められました。もし認められなかった場合は、西岸地区へ送り返されることになり、処刑されるところでした。
ヨーゼフ氏の父親は、すでに息子の勘当を表明しています。ヨーゼフさんは、「父は最もつらい立場に立っている。しかし、自分の道が正しいとの確信があるので、いつか父や家族にも知ってもらいたいと」語っています。
今月、エマニュエルという町の女子小学校で、アシュケナジ系のユダヤ人の親たちが、自分の娘たちをスファラディ系の子どもたちと同じ教室で勉強させることに反対し、子どもを学校へ行かせないという出来事がありました。
アシュケナジとは、ヨーロッパ系の白人のユダヤ人ことで、スファラディとは中東の褐色の肌を持つユダヤ人を指します。
アシュケナジで正統派の子どもたちは、聖書やタルムードなどの宗教教育のみを受けており、基本的には将来も一般社会では働かない人々になります。一方スファラディ系ユダヤ人は、アラブ系または中東系のユダヤ人で、褐色の肌色をしています。スファラディは貧しい家庭が多いので、子どもたちは一般の教育を受けて社会で働くようになります。
このため、この学校では以前からアシュケナジとスファラディの子どもたちを分け、教室はもちろん、入り口なども別にしていました。しかし教室がいっぱいになったため、両者を同じ教室に入れなければならなくなったのです。そのため、アシュケナジ系の親たちが、世俗的なスファラディと同じ教室へ行かせないと訴え、子どもを休ませました。政府は、これを(スファラディの子どもたちへの)人権侵害であるとして、子どもを休ませたアシュケナジの親たちに刑務所へ出頭するよう命じました。命じられた親たちは「神に従うための迫害」として喜んで出頭し、それに10 万人近い黒服の正統派アシュケナジたちが同行するという騒ぎがありました。刑務所入りは両親のいずれかということでしたが、一部が収監、数日後に釈放され、今は全員が家に帰っています。
この事件は一件、宗教的な違いが背景にあるように見えますが、事の本質は人種差別であると批判されています。またイスラエルの国が、イランを初め、外からの脅威にさらされているのに、同じユダヤ人どうしでこのような内輪もめを起こした人々を激しく批判する記事もありました。
7月に入り、子どもたちが夏休みに入りました。大学でも第一期の期末試験がほぼ終了し、10 月まで長い 長い夏休みに入ります。
イスラエルの夏は大変暑いので、お金のあるユダヤ人はヨーロッパなどで7月、8月を過ごします。ヨーロッパでは、反ユダヤ・イスラエル主義が悪化していることが指摘されています。彼らの安全のためにお祈りください。
毎年この時期にトルコへ旅行するイスラエル人も多かったのですが、今年はトルコとの関係がかなり悪化していることを受けて、トルコへ旅行するイスラエル人は激減しています。
一般の人々は、近場のビーチなどで手頃に夏を楽しんでいます。また各地のコミュニティセンターでは、今週から子どもたちの夏季学校「カイタナ」が始まります。メシアニックの教会でも、7月中に2週間程度のカイタナが予定されています。子どもたちにとっては、自然に親しみ、聖書を学ぶ時となります。7月11-19 日はヤングアダルトの若者たちのリトリート「カツィール」が行われています。将来のイスラエルを霊的に導く若者たちです。成長の時となるよう祈りましょう。
様々な大人の争いにまきこまれているガザの子どもたちも覚えて祈りましょう。皆様の教会での夏のキャンプやイベントも祝福されますようお祈りいたします。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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