ホーム祈るハイメール通信 登録・停止バックナンバー > ハイメール通信No. 183 牙をむくサタン

ハイメール通信

ハイメール通信No. 183 牙をむくサタン

トルコを出発した人道支援組織「ガザに自由を」の船団と、ガザ沖を海上封鎖していたイスラエル海軍が衝突し、9人の死者が出ました。現在世界中が反イスラエルのデモを行っています。トルコはイランとの関係を深め、イランと共に対イスラエルの姿勢をあからさまにしています。イランは、次回のガザ航海船籍を護衛するとして、トルコの協力を受けて、赤新月社を名乗るイランの海軍船2隻を地中海に配備しました。

イランに対する経済制裁は予定どおり発令されるみこみですが、大きな打撃を与えるものではありません。パレスチナ人たちは、この風向きの変化を好機ととらえ、レバノンとイスラエルとの国境付近で、大規模な反イスラエルデモを計画したと発表しました。イスラエル周辺であからさまな敵対行為が目立ってきました。城壁の見張り人の出番が来ています。

身を慎み、目をさましていなさい。あなたがたの敵である悪魔が、ほえたける獅子のように、食い尽くすべきものを捜し求めながら、歩き回っています。
堅く信仰に立って、この悪魔に立ち向かいなさい。ご承知のように、世にあるあなたがたの兄弟である人々は同じ苦しみを通って来たのです。
あらゆる恵みに満ちた神、すなわち、あなたがたをキリストにあってその永遠の栄光の中に招き入れてくださった神ご自身が、あなたがたをしばらくの苦しみのあとで完全にし、堅く立たせ、強くし、不動の者としてくださいます。(第一ペテロ5:8-10)



■ 「ガザに自由を」とイスラエル海軍の衝突で9人死亡 その背景にあるもの

「人道支援物資を載せた6隻の船フロティーラをイスラエル海軍が急襲し、9名の死者が出た」-この見出しをもって、日本でもイスラエルの非道ぶりが報道されたことと思います。世界中で、反イスラエルの激しいデモが行われました。東京でも反イスラエルデモが行われました。この事件について、今検証が行われています。
国連は、国際査察を行うと提示しましたが、イスラエルは拒否。独自の内部調査を行うと発表し、さらに批判を受けています。

<事件のいきさつ>

「ガザに自由を」は、イスラエルの海上封鎖をやめさせようとする親パレスチナ人の人々からなる国際組織です。イスラエルは2007 年に、ハマスがガザ地区を占拠して以来、その沿岸の海上封鎖を行ってきました。海路で大量の武器がガザに搬入されるおそれがあるからです。案の定、これまでに武器を満載した大型輸送船が2隻拿捕されています。これらの武器はハマスやヒズボラにイランが送ったものとみられています。

しかしそのような現状は世界ではあまり注目されません。イスラエルによる海上封鎖で、ガザの人々が閉じこめられている、悲惨な暮らしを強いられているという一般通念が広がり、反イスラエル感情を持つ人々が世界中に起こされていました。

「ガザに自由を」は、これまでにも2度、ガザへの航海を試みています。今回は特にトルコのIHHと呼ばれるNGO人道支援団体の支援を受けて、3度目のガザ行きを目指しました。トルコ人(IHH)の活動家を中心に37 カ国から来た活動家(赤ちゃんを連れている人もいた)663 人です。イスラエルは、船団に封鎖点200 キロから海上が封鎖されていることを告げ、最寄りのアシュドド港へ入るよう要請しました。そこで、積荷を検査し、人道支援物資はすべてガザ地区へ陸路で「ガザに自由を」のスタッフで搬入することを提案しました。ところがフロティーラ側は「黙れ!アウシュビッツへ帰れ!」などと応答し、進路を変えようとしませんでした。
そこでぎりぎりになってイスラエル海軍は、精鋭のコマンドーたちを、船団を導いていたマビ・マルバラ号にヘリコプターで船に乗り込ませ、進路を変更させようとしました。このとき、彼らが使用した武器はペイントボールやスタンガンのみで、人を殺す武器は使用を赦されていませんでした。

ところが降り立つ兵士を待ちかまえていたのはナイフや棍棒を手にしていた活動家たちでした。活動家らは、兵士たちを取り囲んでリンチし、下のデッキなどに放り投げたりしました。ある兵士はピストルを抜き取られて足を撃ち抜かれ、耳をほとんど切り落とされた状態となりました。
もし、活動家らが証言しているようにイスラエル兵が圧倒的な武力で乗船してきたのなら、精鋭部隊のコマンドーがこのような目に遭うはずがありません。イスラエル側が正当防衛と判断し、武器を使い始めたのは、乗船から20 分後です。応援も駆けつけ、紛争がおちついた時には活動家9人(トルコ人8人、アメリカ人1人)が死亡、多数が負傷していました。

<その後船はどうなったか>

フロティーラ6隻はすべてアシュドド港へ寄港、負傷者はイスラエルの病院で手当を受け、活動家らはイスラエルに数日収監された後、本国へ送り返されました。彼らが運ぼうとしていた人道支援物資については、ハマスが搬入を拒否したため、まだイスラエル領内に保管されています。ハマスが拒否した理由は、支援物資の中でセメントや鉄材だけは搬入が赦されなかったからです。これらの物資は、地下トンネルの増設や、カッサムロケットの材料になりうるためイスラエルが搬入を拒否していました。

<ガザの人々の実情について:アルーツ7 6月9日>

世界がこぞって人道支援を行っているガザ地区ですが、実際の現状はどうなのかはよくわかっていません。その日の食べ物にも困っている人々は確かにいるようですが、いろいろな筋からの情報によると、一般の生活はごく普通である様子が伝えられています。CIAの統計によれば、ガザ地区の平均寿命は72才で世界の平均を5才上回っています。
また新生児死亡率では1000 人中35 人で、アフリカの貧しい国々が100 人以上であることに対してかなり少なくなっています。しかしながら、パレスチナ人への国際支援は世界一となっており、1994 年から約10 億ドルをうけとっていると計算されています。

イスラエルのGPO(政府報道課)は先月、外国メディアを、ガザの高級ホテルに招待(案内)し、ガザの繁栄している一面もアピールしました。確かに、もし本当に食べ物にも困っているなら、フロティーラが運んできた物資を拒否するはずがありません。ガザに出入りする記者になぜガザのそのような姿をもっと報道しないのかと聞くと、確かに貧しい人もいるので、不用意に報道できないということでした。

<今後の調査について>

イスラエルは国連が派遣する調査団を拒否しました。不公正な結果を出されることが明白だからです。代わりにイスラエルは全法務大臣を調査委員長に任命しました。現在のイスラエル側の問題は、事件発生当時、アシュケナージ総参謀長が、本部入りしたのがイスラエル兵の乗船の後であったこと、乗船したのが国際海域であったことなどが問題として上がっています。兵士たちの動きについては、命令に従い適切な動きであったと高く評価されています。


■ トルコが中東を一つにする!??

トルコは、2年前のイスラエルのガザ侵攻以来、徐々にイスラエルと距離を置く一方、イランとの親交を急速に深めています。今回、フロティーラ事件で、トルコ人8人が死亡したことで、さらにその溝は深まりました。トルコのエルドガン首相は、イスラエルを激しく非難して次のように言いました。「トルコ語がわからないならヘブル語で言いましょう。十戒に書いてある。「殺してはならない。」」また同首相は「ハマスはテロ組織ではない」と断言。イスラエルの海上封鎖からガザを解放するべきであると語りました。
トルコでは7日、イスタンブールのモスクにアフマディネジャド大統領が演説し、「イスラエルの最後は近い」と語りました。群衆は過激な様相となり、「アメリカに死を!」「イスラエルに死を!」と叫んだと報告されています。

アフマディネジャド大統領は、フランスのテレビ局のインタビューに対し、フロティーラに関係したイスラエル兵は「非人道的な行為」により、裁判にかけられるべきだ」とも語っています。

さらにトルコは、来月、イランのアフマディネジャド大統領をトルコに政府レベルで正式に招待したと発表しました。(前述のアフマディネジャド大統領のイスタンブール訪問は、宗教レベル)イランは、現在、核開発疑惑により、第4回目の制裁措置に定められている国です。イスラエルは、このトルコの動きを、国際社会の足並みを乱すとして強い懸念を表明しました。

<トルコのねらいは?>

トルコはこれまで、イスラム諸国の中で唯一の民主国家であり、西側よりの国として知られていました。ところが現在のエルドガン首相は、急速にロシア、中東との関係を構築しようとはかっています。

今回のフロティーラ事件により、トルコは中東アラブ諸国のヒーローとなりました。経済的にも西側にも影響力のあるトルコの動きをイスラム諸国は歓迎しています。ヘブライ大学国際関係のラピドット・フィリーラ教授は、トルコがしていることは、最近のイスラム過激派によるテロにより、国際的な反イスラム感情が広がりつつある事への対抗ではないかと見ています。イスラエルのガザ封鎖への国際的な同情という波にのり、イスラム(特に多数派のスンニ派)の国際的な認識を変えようとしているというのです。結果は、トルコを代表とするイスラム勢力の拡大です。これが実現すると、ハマスやヒズボラはテロ組織ではなくなり、イスラエルを援護する国はなくなります。トルコはかつて世界最大の国であったオスマントルコの時代に戻ろうとしているのではないかと論説する評論家もあります。トルコが中東とヨーロッパの橋渡しになりかねない状況になりつつあります。

<イスラエル人ならゲイでも嫌われる・・>

スペインでは、近々、大規模なゲイ・レスビアンの大会が行われることになっていますが、今回の事件を受けて、イスラエルのゲイたちは参加を拒否されました。中東一のゲイ・キャピタルを誇るイスラエル(テル・アビブ)」に大きな打撃となっています。


■ 戦争の足音-イランの挑発

今回のフロティーラ事件を受けて、イランのアフマディネジャド大統領は、次回のフロティーラのガザへの航海にはイランの革命軍を護衛につけると発表しました。実際には、13日、イランは、イランの海軍2隻を地中海に配備、赤新月社(イスラムの赤十字社)船籍とともに、ガザへ向かわせる動きです。
これらの船籍は政府の指示がありしだい、動ける準備を整えています。もしこれらの船が、ガザへ向かえば、イスラエル海軍と衝突することは必須となります。赤新月社の準備などは、トルコ政府が協力していると見られ、かつては友人であったトルコが完全に旗印を翻した形です。これらの船がガザへ向わないように主の介入の祈りが必要です。注)14日、イランはこの2隻を突然撤退させました。

<単なるゴミ箱行き-イランへの制裁>

フロティーラ事件により、すっかり影をひそめてしまったのが、核兵器開発疑惑によるイランへの制裁です。国連の安全保障理事会は、10 日、イランへの4回目の制裁の発令を決めました。(この制裁に、トルコは「誤りである」として反対を投じました。)しかし、この制裁は、イランにとって何の痛みも伴わないものでした。アフマディネジャド大統領は、今回の制裁を「ゴミ箱行き」と鼻で笑い飛ばす発言をしました。またオバマ大統領も、実際にイランに効を奏する制裁は次回になるだろうとも語りました。
またこの制裁は、イスラエルがイランを攻撃しうる可能性を否定しないかわりに、ロシアが2007 年にイランと交わした最新迎撃ミサイルs300 の売却も可能となったままです。このミサイルが配備されてしまうと、イスラエルがイランの核施設を攻撃することが非常に難しくなります。ロシアは、イスラエルやアメリカの要請で、今に至るまで実際にs300 をイランに引き渡すことは控えてきましたが、イランはロシアが契約を履行するよう要請しています。


■ レバノンのパレスチナ人(ファタハ)の挑発

フロティーラ事件の波にのり、レバノンのパレスチナ人(ファタハ)はイスラエルとの国境で大規模デモを計画したと発表しました。ヒズボラは世界中のパレスチナ人を招き、子どもも老人もこのデモに参加させたい考えです。代表のアル・マクダは、「子どもや老人たちが国境を越えてイスラエル側へ入っていくかもしれない。イスラエルはどうすることもできないはずだ」と語りました。さらにこのようなデモをイスラエルとのすべての国境で行うべきだとも語りました。

北部国境でこのような動きがあると大変危険です。レバノンとイスラエルの国境には、ヒズボラが、臨戦態勢を整えており、いつ戦争になってもおかしくない状態だからです。イスラエルでは、ヒズボラの化学兵器による攻撃に備え、今年初頭より、ガスマスクの配布が始まっていたようです。
ガスマスクセット(ガスマスク一組と、化学兵器に当たった際に心停止に備えて打つ薬物入り注射器・乳幼児には、テント)は基本的に、本人の申請により、ただでもらえるのですが、遅くなると一組25シェケル払わなければなりません。すでにただでもらえる時期は終わり、25シェケル払って受けとる時期に入りました。しかし、住民はいたって平穏で、戦争が近いとだれもが知りながら、そのときが来るまでは何も考えていない様子です。エルサレム旧市街では、光のショーが行われており20 万人がエルサレムに来ています。また、ゴラン高原からエイラットまでのサファリラリーが行われるなど、毎年の行事も変わらず行われています。観光業も好調で、先月5 月は、史上最高の観光客を記録しています。

<祈り>

イスラエルの周囲で敵意をむき出しにした行為が目立ち始めました。

  1. 主がイスラエルの城壁を高くし、あらゆる攻撃から守ってくださるように
  2. あらゆる企てが、現実化しないように
  3. ネタニヤフ首相に正しい情報が的確に伝えられ、タイミングを逃さず決断できるように
  4. 人々の心が主に向かうように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

ページトップへ戻る

特定非営利活動法人
B.F.P.Japan (ブリッジス・フォー・ピース)

Tel 03-5969-9656(平日10時~17時)
Fax 03-5969-9657

B.F.P. Global
イスラエル
アメリカ合衆国
カナダ
イギリス&ヨーロッパ
南アフリカ共和国
日本
韓国
ニュージーランド
オーストラリア

Copyright 1996- © Bridges For Peace Japan. All Rights Reserved.