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ハイメール通信No. 182 危険な知恵比べ

核兵器疑惑のイラン。6月に予定されていた制裁措置が再び揺らいでいます。イランがトルコを経由してウランの濃縮を他国に依頼することに同意したとみられるためです。この動きについて安全保障理事会各国が対策を検討中です。
シリアがレバノンにいるヒズボラに射程300 キロのM600 ミサイルを譲渡しました。500 キロの弾頭をつけてテルアビブを攻撃可能となります。
アメリカのミッチェル特使を介して行われている間接的和平交渉。何を交渉の議題にするかですでに合意できていません。西岸地区ではカージャックや個人をねらったテロも起こっています。危険な知恵比べを繰り広げているような中東情勢です。

戦争や暴動のことを聞いても、こわがってはいけません。それは、初めに必ず起こることです。だが、終わりは、すぐには来ません。(ルカ21:9)



■ 制裁待った!-核兵器疑惑のイランが新しい動き

核兵器疑惑の払拭できないイラン。いよいよ6月に厳しい貿易上の制裁が発動されることになっていました。ところが先週、イランが新しい提案を出してきたため、関係各国の間に論議をかもしています。
先週、イランは、トルコとブラジルとの協議で、1200kgの低濃縮ウラン(濃縮をすすめれば核爆弾を1個作る事が可能な量)を第三国に医学用濃縮ウランとして濃縮してもらうことに同意しました。
計画によると、イランは1カ月以内にトルコへ1200kgの低濃縮ウランを輸出します。代わりにトルコは1年以内にイランへ120kgの医学研究用濃縮ウランをイランへ引き渡します。つまり、トルコがホストとなり、イランの危険なウランを安全なウランに交換するというものです。万が一イランに120kgの濃縮ウランを1年以内に引き渡すことができなければ、トルコは責任を持って最初の低濃縮ウラン1200kgを返還するという補償までつけています。

この1200kgの低濃縮ウランを第三国へという案は、元々IAEAがイランに要請し、イランが拒否していこれを受けて、中国は、イランの動きを歓迎するとして貿易制裁を延期する意見を出しました。各国はイランの報告を受けて正式な見解を発表すると見られています。イスラエルも現時点ではまだ見解を出していません。新しい提案を出したイランではありますが、同時に国内でのウラン濃縮を停止するつもりはないことも明言しています。従って、今回の提案と、制裁の目的であるイランの核開発停止受け入れとは全く関係がないとして、制裁は予定通りに実施すべきだとの記事もあります。

また、いったん拒否した1200kgの低濃縮ウランを国外に出す案をなぜ今になって出してきたかについて、たとえそれだけの低濃縮ウランを手放したとしても、イランにとっては全く影響がないほどに、すでに十分なウランを持っているとの見方もあります。一方で、制裁が本当に実施された場合、アフマディネジャド大統領に不信を持っている国民は再び大規模なデモを起こして国内の混乱を招くと予想されるため、大統領があせって今回の提案を出したのかもしれないという見方もあります。

<祈り>

  1. 国際社会、またイスラエルのネタニヤフ首相が、正しい判断、対処できるように
  2. イランがもし核兵器を開発しているなら主が阻止してくださるように、
    それが使われることがないように

■ 対ヒズボラ戦線緊張 - M600 ミサイルがヒズボラへ

シリアが、レバノンにいるヒズボラにM600 ミサイルを譲渡したとの情報があります。M600 は500 キロもの爆弾を弾頭部分に装着することができます。南レバノンから発射された場合、余裕でテルアビブを攻撃することが可能です。 ヒズボラは2006 年の第二次レバノン戦争以来、すでにミサイルやロケット弾を4万発確保していると推測され、戦力が比べものにならないほど高度になっていることが明らかになっています。

先月、イスラエルのペレス大統領は、ヒズボラがシリアからスカッド・ミサイルを受けとったとして非難したことに対し、シリアとレバノンは事実無根だと強く反発、対立色がいっそう強まっています。

アメリカのオバマ大統領は、この事態を大変懸念していると表明。オバマ大統領はまもなくレバノンのハリリ首相と会談することになっています。レバノン政府が、ヒズボラに対して行われているシリアの軍事支援を黙認していることについて話し合われるものと見られています。アメリカはイスラエルの防衛機能を増強するため、現在開発中の「アイアン・ドーム・システム」(イスラエルの上空に侵入してくるミサイルを早期に発見し撃ち落とすシステム)に2億500 万ドルを資金援助することを決めました。

<大規模な市民レベルでの訓練>

イスラエルでは2006 年のレバノン戦争以来、毎年、大規模な市民レベルでの防戦訓練を行っています。今年は来週水曜日から、68の市町村、国民の70%が参加して行われます。これは、「ターニング・ポイント4」と呼ばれ、過去3年で最大級の大規模演習です。今回の主な目標は、市町村が有事に的確に対応できるようになることです。 水曜午前11 時、指定された68 の町でサイレンが鳴ると、学校でも家庭でも、また職場においても市民は速やかにシェルターに非難します。この際、サイレンがもれなく聞こえているかどうかもチェックされます。

北部ハイファ地域では、特に多数の化学工場があるため、もしロケット弾によりこれらの地域が攻撃された場合、二次的な化学物質による被害が出ると懸念されています。実際、20 日、ハイファ北部アッコの化学工場が火災となり、有害な化学物質が空気中に噴出し、広域にわたって市民は一時家屋内に非難するなどの事故が起こりました。
市民はそうした特殊な状況についても指導を受けます。同じくハデラでは列車をどのように安全に停止し、乗客を誘導させるかの訓練が行われます。エルサレムでは、特に人間だけを殺す化学兵器に対処する訓練も行われます。
*ハイファのランバンホスピタル、アシュケロンのバルジライ・ホスピタルでは、大病院が大規模なミサイル攻撃に備えて、地下にERや手術室、集中治療施設を建設中です。

<緊張する北部国境>

上記の大規模訓練を受けて、ヒズボラは数千人の兵力をイスラエル国境に近いレバノン南部に展開させました。レバノンのハリリ首相は、北部が緊張しているときになぜ訓練を行うのか、パレスチナ側と間接和平交渉もしている中で、なぜ「戦争を前提とした訓練」を行うのかと、イスラエルが逆に戦争を挑発していると訴えています。
イスラエル政府は、訓練はずっと前から計画してきたものであり、軍事演習ではないとして、計画の変更はないと言っています。レバノンのハリリ首相は、世界は、中東の平和のために今本気で取り組むべきだと警告しています。

「戦場でワルツを」

1982 年のレバノン戦争に従軍しイスラエル兵の心理と当時の最前線の現場を自らの体験を元にフォルマン監督が製作したアニメ作品。 ゴールデン・グローブ賞外国語部門を受賞したほか、アカデミー賞外国語部門でもノミネートされました。
映画は、サブラ・シャティーラ虐殺事件(第一次レバノン戦争中に村の住民1,000 人以上が残酷に虐殺された事件)を目撃したとみられるイスラエル兵(フォルマン監督自身)のその後の心理を描いたものです。
サブラ・シャティーラでは、実際の虐殺は、ファランジストと呼ばれるレバノンのキリスト教右派が行ったものですが、イスラエル軍はそのお膳立てをし、夜間は照明弾をあげて虐殺を幇助したため、事実上イスラエル軍が行った事件として世界中から非難を受けています。この映画の中では、このような虐殺を行ったファランジストたちを「ノツリーム(クリスチャン)」とイスラエル兵が呼んでいます。キリストの名が今現在においてもユダヤ人の間で汚れたものになっている厳しい現実を実感させられます。映画はビデオレンタルショップで新作として借りることができます。

<祈り>

  1. 戦争の足音が高まっています。
    主がイスラエルを守ってくださるように。
  2. 今なすべきことを、ネタニヤフ首相が、主から聞き漏らさず対処していくことができるように

■ 不可能に挑戦 -間接和平交渉のミッチェル特使

イスラエルとパレスチナ自治政府の間で始まった間接和平交渉。アメリカのミッチェル中東特使が両者を2往復しました。しかし、現時点では、イスラエルは水問題を中心に、パレスチナ側は国境線を中心とした話題を特使に訴えており、接点がない模様です。つまり、何を話題にするかにおいてすらまだ一致していないのです。パレスチナ側は、イスラエル製品のボイコットを継続して行うなど、強気の姿勢をくずしていません。話し合いを維持継続するため、テロ関係のパレスチナ収監者の釈放と、西岸地区のさらにいくつかの町の統治をパレスチナ側に引き渡すよう、イスラエルは期待されています。今回の動きは、イスラエル側に不利に動いています。交渉団リーダーのネタニヤフ首相にたいへんな知恵が必要となっています。

<感謝:守られたイスラエル市民>

和平交渉が始まっていますが、市民をねらったテロは続いています。幸い、市民が守られたと言うレポートがいくつかあります。西岸地区で夫婦と赤ちゃんを乗せた乗用車。夫が車から降りて給油中に、テロリストが車をカージャックして、妻と赤ちゃんをのせたまま走り去りました。妻は車内でテロリストと格闘、負傷しながらも運転を妨害してガードレールにつっこみました。テロリストはそのまま車外へ逃走。妻と赤ちゃんは無事でした。
また同様に、女性が運転する車の前にいきなりパレスチナ人の車が入りこみ、女性は車を停車させられました。女性は車外へ連れ出され車は奪われてそのまま走り去りました。そこへ後続のイスラエル人の車が来て、女性を助け出すことができました。西岸地区では走行中のタクシーが投石され、女性が負傷しました。一緒に乗っていた夫が反撃して銃を数発撃ち返しています。
テルアビブのヤッフォでは、車のエンジン部分に仕掛けられた爆弾が爆発して車が大破。後部座席に乗っていた女性二人と子ども1人は奇跡的に無傷でした。3人はショックに陥り、一人は病院に収容さましたが、3人とも無傷であったことは奇跡だとイスラエルに新聞は書いています。

<ガザ地区情勢>

ガザ地区では、相変わらずいたちごっこが続いています。先々週、ガザとの境界にいたイスラエル兵1人が、ガザ地区内からの射撃で負傷しました。金曜日、密輸トンネルの爆破でパレスチナ人2人が死亡しました。パレスチナの戦闘員は軍服を着ていないため、民間人との区別がつきにくく、イスラエル兵は攻撃するか否か一瞬で判断しなければなりません。カッサムロケットを撃ってくる戦闘員の背後に子どもがいる、攻撃すれば子どもが巻き添えになる、一瞬ひるんだすきにロケット弾が発射されてしまいます。パレスチナの戦闘員が発射したロケット弾は、イスラエルの子どもたちの頭上に落ちているかもしれないのです。空軍のパイロットによると、ロケット弾を発射しようとしている戦闘員を上から攻撃する場合、一瞬そのそばを一般人が通りかかった場合、攻撃命令はキャンセルされます。空軍の攻撃は多くの命を巻き添えにする可能性があるため、一発の攻撃も上官の許可がなければ実行できません。逆に数秒の間に命令が出て攻撃する場合もあります。命令が出てから10 秒単位で反応しなければならないということです。イスラエル軍兵士は、自分自身の内にある恐怖と戦いながら、このようなジレンマをも経験しています。
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/137618

<祈り>

  1. イスラエルの人々がテロから守られるように
  2. 助かった人々が主を覚えることができるように
  3. テロリストが主を知ることができるように

ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど

画像提供:www.israelimages.com、Isranet他

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