ホーム > 祈る > ハイメール通信 登録・停止 > バックナンバー > ハイメール通信No. 151 ロシアと中東諸国
ロシアとイラン、カタールが天然ガスのカルテル(石油のOPECのようなもの)を立ちあげる計画を始めています。ロシアとイラン、シリアの関係が急接近しています。
オルメルト首相はエルサレムのロシア地区(ロシアン・コンパウンンド)を提供し、これ以上イランやシリアに武器売却をしないよう要請しましたがよい返答は得られませんでした。
次期首相で現在、連立政権模索中の与党カディマ党首のリブニ外相。宗教政党シャスの合意を得られず、政府立ち上げに難航しています。
イスラエル北部の町アッコで、ユダヤ人とアラブ人が投石などで争い、数百人規模の暴動が勃発しました。余波でエルサレムとテルアビブでユダヤ人がアラブ人を襲撃し、計9人が逮捕されています。
あなたは、北の果てのあなたの国から、多くの国々の民を率いて来る。彼らはみな馬に乗る者で、大集団、大軍勢だ。
あなたは、わたしの民イスラエルを攻めに上り、終わりの日に、あなたは地をおおう雲のようになる。ゴグよ。わたしはあなたに、わたしの地を攻めさせる。それは、わたしがあなたを使って諸国の民の目の前にわたしの聖なることを示し、彼らがわたしを知るためだ。(エゼキエル38:15-16)
10月ロシアのプーチン首相が、テヘラン(イラン首都)を訪問しました。ロシア首相としてテヘランを訪問するのは1943年のスターリン以来初めてとなります。プーチン首相はアフマディネジャド大統領をモスクワに招いています。
世界で天然ガス輸出の3分の1を占める上記3国がカルテル(石油で言えばOPEC)を設立する方向で動き出しています。
天然ガスは石油と違って般出入が難しいため、現時点では産出地それぞれで供給や価格設定をしており、世界的な標準ありません。ロシアからの天然ガスの輸入に頼っているヨーロッパは、供給や価格が安定しなくなるのではないかと懸念しています。
またもしイランがホルムズ海峡を封鎖すれば、石油だけでなく天然ガスにも影響が出て、世界中が被害を受けることになります。
*イランは石油にも天然ガスにも恵まれていますが、核エネルギーの開発を行うと主張しています。ロシアは、2005年からイランで最初の核施設ブシャールの核燃料供給に協力しています。(使用済み核燃料はロシアに返す事で同意)
ロシアとシリアは冷戦時代からの友好国です。9月、ロシアがシリアの地中海に面する港を軍港に変えることで合意しました。
ロシア海軍は現在黒海を通じてのみ地中海へアクセスしていますが、シリアに軍港ができれば今後ロシア海軍が地中海に常駐することになります。
ロシアは数ヶ月前に最新の地対空ミサイルシステムをイランに売却していますが、さらにシリアとイランにS300対空ミサイルを売却しようとしているとの情報があります。S300は地上から30Km上空の戦闘機も打ち落とすことができます。
もしS300が配備されてしまうと、イスラエル空軍(写真)がシリアとイランの空域に入るのが著しく制限されることになります。
*イランがすでに現在持っているミサイルはイスラエル全土をカバーする威力があります。
シリアのアサド大統領がロシアの新聞のインタビューに答えて、ロシアからイスカンダル・ミサイルを購入する可能性も示唆しました。
イスカンダル・ミサイルは、スカット・ミサイルやカチューシャ・ロケットよりも性能が良く、射程が280Kmあるので、イスラエルとの国境ゴラン高原に配備すればイスラエルの都市のほとんどが射程に入ります。この他、ロシアは、シリアに中距離弾道ミサイルを売却することも検討しています。
オルメルト首相は10月、ロシアのメドベージェフ大統領を短期訪問。イランの核開発支援への懸念を伝え、イランとシリアへS300を売却しないよう要請しました。しかし、ロシアからの確約はとれませんでした。ロシア側は中東諸国へは「攻撃用」の武器は売らないが、要請があれば「防衛用」の武器は売ると言っています。
オルメルト首相はロシアを訪問する際、おみやげとして、エルサレムの中心にあるセルゲイ地区(ロシア地区)の所有権をロシアに返還することを申し出ています。これが実現すると、エルサレム中心部の一部がロシア領になります。
この土地は1952年までは旧ソ連が所有していた土地でした。1964年、イスラエルはこの土地の90%をロシアから350万ドルで購入(当時現金のかわりに特産品のオレンジで支払ったため「オレンジ協定」と呼ばれた)。残りの10%とそこにある建物は、1967年の六日戦争まではロシアのKGBが使用していました(六日戦争後はイスラエルの領有となりました)。今回、ロシアに提供する対象となっているのはこの10%の土地と建物です。
この決断をしたのはオルメルト首相の他、リブニ外相、フリードマン法務相、バル・オン経済相からなる委員会。しかしオルメルト首相はすでに辞任しており、今は新政権設立までの仮首相であるのに、そのような重大な決断をするべきではない、エルサレムの中心地に友好的とはいえない国が土地を所有するのは危険が大きすぎると反対意見が出ています。
また、現在のクネセト(国会)の土地はもともとギリシャ正教所有だった土地の上にあり、今回前例を作ることで、クネセトの土地を返還するよう要求される可能性も懸念されています。
ナスララ党首が2週間ほど前、何者かに毒物を飲まされ、重症に陥っている模様です。ここ1週間以上、公に姿を現していません。イランは15人の医師を送ってナスララ党首の命を救い、イランへ搬送して治療を続けるとみられています。ヒズボラはイスラエルの犯行と主張していますが、内部による犯行も否定できず、捜査が続けられています。ナスララ党首は10日前、もし暗殺された場合は従兄弟が彼のポジションにつくよう指名したと伝えられています。
オルメルト前首相の辞職から新政権設立期限である4週間目が10月20日でした。しかし与党カディマの連立交渉が難航し、まだ新政権を樹立できていません。そのためリブニ・カディマ党首は21日、ペレス大統領にもう2週間の猶予を要請、受け入れられました。
イスラエルでは、宗教政党のシャス党を味方につけられるかどうかで連立が成立するかどうかが決まってしまう場合が多くなっています。今回、交渉が難航しているのは、シャスが児童手当の引き上げを要求しており、カディマが同意しないからです。(写真:シャス党党首のイシャイ氏)
また年金党も高齢者の年金引き上げを要求し、カディマが応じないため連立への参加を足踏みしている状態です。
カディマのリブニ氏は、リクード、労働党に加えてシャスも年金党も連立に入らない、左寄り中道政権を立ちあげることを検討していますが、党内からは強い反対を受けています。
この中でシャスは、リクードのネタニヤフ党首とは合意にいたっていると報じられています。カディマはシャスとの交渉を継続しますが、成功率は50-50と見られています。
イスラエル北部の町アッコでアラブ人とユダヤ人の間に、数百人規模の暴動が勃発しました。10月9日のヨム・キプール(贖罪の日)の夜、断食し祈りを捧げているユダヤ人地区に、アラブ人青年が騒音をたてながら猛スピードで車を乗り入れたことが暴動のきっかけとなりました。
怒ったユダヤ人が車に投石、続いて数百人のアラブ人がユダヤ人地区へ投石攻撃を開始しました。乗り入れた車の背後には、すでにマスクをつけたアラブ人の暴徒がいたことが目撃されており、計画的な犯行だったと推測されています。
「ユダヤ人を殺せ!」と叫びながらユダヤ人の店や住居への投石で窓が割られ、車はひっくりかえされました。暴徒を恐れたユダヤ人の中には、防空シェルターへ逃げ込んだ者もいます。この夜、警備にあたっていた警察官はたった15人。殺気立ったアラブ人たちを止めることはできませんでした。死者はなく、14人が負傷し病院に運ばれました。
その翌日の夜はユダヤ人数百人がアラブ人の居住区に反撃。アラブ人の家3軒が燃やされました。その後、警察の増強によって20日月曜になり、ようやく暴動のない夜がおとずれました。警察は増強した部隊を引き揚げることにしていますが、ユダヤ系住民は今回の暴動はまるで「ポグロム」のようだったと語り、警察がいなくなればまた暴動が起きるのではと恐怖をつのらせています。
この後の子どもたちへの心理的影響が懸念されています。
アッコはユダヤ人とアラブ人の入り交じった町です。同じアパートにユダヤ人家族やアラブ人家族が入居し、両者の店舗がとなりあわせに商売をしているなど、「共存」ができているところと思われていました。
しかし、ユダヤ人がアラブ人を恐れて徐々にアッコを離れ、ネタニヤやカルミエルなど近郊の町へ引っ越して行ったため、アラブ人人口が増えて、今ではアッコがアラブの町のようになっています。
今回の暴動により、さらに引っ越していくユダヤ人が出るものと思われます。今回、幸い死傷者は少なかったのですが、心理的な影響が大きく、さらにユダヤ人が住みにくくなりました。
アッコには苦労して会堂を所有するにいたった、小さなメシアニック・ジューのグループがいます。リーダーは30代のガイ師。
暴動が起きる前から、伝道妨害だけでなく、いわれのない悪い噂をながされたり、のろいのことばを投げかけられたりしていました。彼らが強められて、神を証できるように祈りましょう。
アッコの事件に刺激され、ユダヤ人青年たちがアラブ人を攻撃する事件が相次ぎ、計9人が逮捕されました。エルサレムでは、ユダヤ人の若者がアラブ人の家に火炎爆弾を投げ入れるなど、アラブ人7人が負傷しています。中には間違えてユダヤ人の家に火炎爆弾を投げ入れて家を燃やしてしまった若者もいました。(この若者は自首しました)
23日、エルサレムのギロでは、二人の警察官がアラブ人に職務質問をしていた際、一人の警察官がいきなりナイフで刺されました。もう一人の警察官が発砲しましたが、犯人は逃げて通りかかった60才の男性を刺しました。この男性は1時間後に病院で死亡。刺された警察官も重傷です。撃たれた犯人も病院に運ばれ手当を受けています。
同じ日にイスラエル中央の町ホド・シャロンでベテラン警察官一家(3才と1才の子ども含む4人)が死亡しているのが発見されました。原因は銃創。自殺の可能性も含めて捜査が進められています。
新年祭、贖罪の日、仮庵の祭り、その最終日のシムハット・トーラーの祝日が終わりました。祭りの最終日、シナゴーグからはトーラーの巻物が持ち出され、人々は聖書を授かったことをダンスしながら喜び合いました。
例祭が終わると、日常が戻ってきますが、経済危機のあおりをうけて、例祭が終わるのを待って解雇される人が多く出ると予想されています。
イスラエルの秋の例祭シーズンとちょうど同時期に行われたBFPフェスタ2008。各地で教会の皆様の暖かい協力をいただいて、祝福のうちに終わりました。
今、『ハイナイト』への登録申し込みや『オリーブライフ』『ハイメール』へ登録をいただいた方々への対応に追われる、嬉しい悲鳴を上げているところです。各地でお会いできた皆様、また今回はお会いできなかった皆様の教会の上にも、主の祝福が豊かにありますようにお祈り申し上げます。
ニュース情報源:GPO(イスラエル・プレスセンター)、イスラエル外務省HP、ハアレツ、エルサレムポスト、アルーツ7、イスラエルインサイダー、CNN、BBC、イスラエル国防軍HP、外務省HP、アル・ジャジーラなど
画像提供:www.israelimages.com、Isranet他
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